声優の三宅麻理恵さんが気になるゲームを実際にプレイして紹介する「マリエッティのゲーム探訪」。第12回は工画堂スタジオ開発、デジカより2017年6月15日に発売されたSteam版「シンフォニック=レイン」を紹介します。

目次
  1. 「シンフォニック=レイン」とは?
  2. 三宅麻理恵さんプロフィール

昔のテレビゲームが遊びたくなると、テレビゲームに対応したゲーム機器を引っ張り出してきたり、リメイク版やアーカイブス、移植版など、最近はさまざまな方法で遊ぶことができるようになりましたね。

そんな中で今私が注目しているのが、インターネットを通じてSteamなどのプラットフォームを利用し購入できるPCゲーム。日本だけでなく海外のゲームも販売されていて、時に驚きの安さになるセール期間があり、それをきっかけに購入することもしばしば(以前ゲーム探訪で紹介した「WORLD END ECONOMiCA」シリーズの英語版も販売されています)。

今回はオリジナル版は2004年3月26日にPCゲームとして発売され、時を経てHD EDITIONとして2017年6月15日に発売されました、Steam版「シンフォニック=レイン」をご紹介させていただきます。

「シンフォニック=レイン」とは?

「シンフォニック=レイン」は、2004年に工画堂スタジオ くろねこさんちーむより発売されたPC用ソフト。「エンジェリック コンサート」「AS~エンジェリックセレナーデ」に続くミュージックアドベンチャーゲームの第3弾として、数々の楽曲を世に送り出した故・岡崎律子さんによる楽曲と、同社の西川真音氏らが参加したシナリオが大きな反響を呼んだ。

また、キャラクターデザイン・原画には当時新進気鋭のイラストレーターで、現在では「ヤマノススメ」などの代表作を持つしろ氏を抜擢。今回のHDリマスターにあたっては、同氏自らが再監修を行っている。

Steam版配信ページ
http://store.steampowered.com/app/629650/Symphonic_Rain/

ストーリー

雨が止むことなく降り続ける街ピオーヴァは、音楽家を夢見る若者達が集う、音楽の街でもありました。 クリス=ヴェルティンは、恋人のアリエッタが暮らす生まれ故郷の田舎街から遠く離れ、彼女の双子の妹トルティニタと共に、街のシンボルであるピオーヴァ音楽学院に通っていました。

魔導奏器フォルテールの奏者、フォルテニストになることを目指し、クリスがこの街に来てから2年以上の月日が流れ、季節は冬……。あと数ヶ月で卒業を迎えるクリスは、フォルテール科の卒業課題として、一月半ばの発表会で、歌唱担当のパートナーと共に、オリジナル曲を合奏しなければなりませんでした。

しかしクリスは、未だにそのパートナーさえ決めようともせず、ただやる気のない毎日を送り続けていました。週に一度届く恋人からの手紙と、この街に引っ越して来たときに出会った部屋の居候、身の丈14センチほどの小さな音の妖精フォーニが、彼の世界のすべてでした。


いつまでも、止むことなく降り続ける雨。

雨音が奏でるメトロノームにのせて、魔導奏器フォルテールの音色を響かせましょう。クリスの奏でる音色と、音の妖精フォーニの歌声が重なり、響き渡る時、何かが起こるのでしょうか?

……さぁ、妖精の歌を奏でましょう。

トルティニタ・フィーネ

主人公クリスの恋人の妹で本作のメインヒロイン。クリスと同じくピオーヴァ音楽院に在学。声楽科の三年生。幼馴染でもあり、姉の恋人でもあるので、何かと世話を焼いてくれます。

アリエッタ・フィーネ

クリスの恋人で、トルタとは双子の姉妹の姉(一卵性双生児)。クリスとの交流は時々交わされる手紙のやり取りのみとなってしまっています。本作はゲーム開始時から主人公に恋人がいるのが特徴ですが、遠距離恋愛状態なのでゲームを進めて他のヒロインと仲良くなったときにアリエッタとの関係がどうなるのかも注目です。

ファルシータ・フォーセット

音楽学院の声楽科三年生で、元生徒会長。優しく、おしとやかで、誰からも好かれています。旧作のPC版をプレイしてから随分経ちましたが、個人的に一番印象に残っているキャラクターであり、ストーリーでした。本作をプレイされる際にはぜひ探訪していただきたいと思います。

リセルシア・チェザリーニ

音楽学院に通う、クリスの後輩に当たる下級生。普段は殆んど喋ることもなく、とても大人しい女の子で、少々、心を閉ざした感があります。彼女をもっと笑顔にしたい、笑顔を見たい。そんな能動的な気持ちにさせられる子ですね。

フォーニ

クリスの暮らすアパートの部屋に居候している音の妖精。身の丈14㎝弱程しかなく、クリス以外の人にはその姿は見えず、触れることすら出来ません。謎が多い妖精ですが明るく無邪気な性格の彼女が、クリスやプレイヤーが憂鬱になった時にその空気を吹き飛ばしてくれて、その存在に励まされることもあることでしょう。


物語序盤はクリスの合奏パートナーを探すべくキャラクターと交流していきます。そしてパートナーと練習によって育まれる絆、卒業後の進路、遠く離れた恋人アル(アリエッタ)との関係…物語が進むにつれてさまざまな変化が起きてゆきます。

雨が降り止まない街なだけに、本作はほぼ全編にわたって雨の描写があります。室内でも窓の外は雨が降っていたり、雨音が聴こえてきます。プレイ開始時は物珍しくて「また雨が降ってるなあ」「こんな場所でもうっすら雨音がきこえるなぁ」と雨の描写に気持ちを持っていかれますが、気が付けば耳慣れてしまい、逆に雨音がないシーンになると不安になる事もあるかもしれません。雨の持つ安心感と憂鬱さが音や画面で演出されています。

本作は物語を読み進めていくアドベンチャーパートと、もう一つ音楽ゲームパートがあります。音楽ゲームパートというのは、楽曲に合わせて画面上に流れてくる音符に書かれた文字と同じキーボードのキーをタイミングよく押す、というもの。PCのキーボードに慣れていない方にとってはブラインドタッチの練習になりそうなモードです。どうしても苦手な方にはオートモードもあるので自分のプレイスタイルにあわせて選べますのでご安心を。

自主練習だと音楽のみで、パートナーとのアンサンブルの時はそのキャラクターが歌ってくれながらの演奏になります。キャラクターごとに楽曲が異なるので色々な楽曲を楽しめます。

本作はOPとEDの歌唱・作詞・作曲・BGM全般を故・岡崎律子さんが担当されています。雨に覆われて少し憂鬱な世界観を感じさせつつも、柔らかく包まれるような優しさを感じられる沢山の楽曲はぜひ体感していただきたいです。

~ほんのちょっとでもいいから ねえ 私を見て~
と、クリスの後ろで歌うトルタ

~こんな日は 少しだけ やさしい気持ちになれそうよ~
いつも優しいのにそんな歌を歌うファル

~言葉もなく 息を殺し 私は居たの~
人気のない旧校舎で歌うリセ

~すべてを許そう 好きなことをして みつけて ~
楽しそうに部屋で歌うフォーニ

それぞれのキャラクターの心に迫りたくなるような歌詞で、CDで発売されているボーカル曲集にも手が伸びるかもしれません。二番の歌詞も、ゲームをクリアしてからだと更に味わい深くて何度も何度も聞き返したくなることでしょう。

「シンフォニック=レイン」。キャラクターの言動、音楽、ゲーム画面、すべてが練られていてプレイすればするほど気づくことが増える作品です。

岡崎律子さんによって手掛けられた音楽と、やはり恋愛ゲームと一言で言ってしまっていいのか、それだけではとても言い表せない練られたシナリオの力も、いまだに本作が語り継がれる要素だと思います。妖精が出てくるファンタジーさがありつつも、登場人物の思いがけない強かさに驚き混乱し、人に見られたくないような弱さに共感できる。しろさんの描かれる柔らかなキャラクターの絵柄が、物語で展開される激しさを和らげてくれている気がします。

雨がやんだ空の向こうに“それぞれの”幸せがあると、光はあるとやさしく語りかけてくれる「シンフォニック=レイン」。キャラクター達は、クリスは、どんな幸せを掴むのでしょうか。優しくも胸に刺さるようなゲームを楽しみたい方にぜひプレイしていただきたい作品です。

三宅麻理恵さんプロフィール

生年月日:1985年6月7日
出身:大阪府
趣味:読書・落語・ゲーム
主な出演作品:「輪るピングドラム」萩野目苹果 役、「銀の匙」御影アキ 役、「緋色の欠片」春日珠紀 役、「アイドルマスターシンデレラガールズ」安部菜々 役

シンフォニック=レイン

デジカ

PCダウンロード

  • 発売日:2017年6月15日
  • Steam

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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