日本ファルコムの歴史を彩ってきた、数々の名曲たちの饗宴！「ファルコムjdkバンド ツアーファイナル東京」レポート

日本ファルコムの音楽を象徴する、ハイテンポな楽曲のラッシュがライブを盛り上げる

上海、広州、北京と中国各地で行われてきた大規模なツアーのファイナルを締めくくる形で行われた今回のライブは、「TO MAKE THE END OF BATTLE」（イースII）よりスタート。移植やリメイクに伴い、幾度となくアレンジが行われてきた、ファンからの絶大な支持を集めるシリーズ屈指の名曲が、JDKの手によって熱く、色鮮やかに蘇る。

さらにその後も、「Inevitable Struggle」（英雄伝説 零の軌跡）、「Genesis Beyond The Beginning」(イース・オリジン)　という、ゲーム中でも「ここぞ！」という場面で使われてきた、ファルコムらしいハイテンポでメタリックな人気曲を立て続けに演奏。ギターとバイオリンが前面に出たロックなアレンジはライブとも相性抜群で、開幕して早々に会場のボルテージは最高潮に達することに。

そんな本ライブの中で初のボーカル曲となったのが「英雄伝説 閃の軌跡」のオープニングテーマである「明日への鼓動」。ここからはjdkバンドの歌姫である佐坂めぐみさんも加わり、「I miss you」（英雄伝説 閃の軌跡）、「碧き願い」（英雄伝説 碧の軌跡 Evolution）、「I'll remember you」（英雄伝説 閃の軌跡II）という「軌跡」シリーズの歴代OP・EDテーマで、その美声を高らかに響かせていく。

中でも「碧き願い」では、曲のタイトルと同様に会場のサイリウムも青一色へと染まる、幻想的な光景が形作られていく。また、「I'll remember you」では、佐坂さんの歌声を主軸とした、ややしっとりとした主旋律の後に、間奏での激しいギターソロが奏でられるという「静」と「動」が見事にマッチしたメリハリの効いたセッションが行われるなど、一息を付かせないスピーディな展開となっており、客席も大盛り上がり。その興奮ぶりは、演奏後に「最高！」という歓声がいくつも上がっていたほどだった。

その後は再びBGMのパートとなり、「Night Survivor」(イースVIII -Lacrimosa of DANA-)、「バレスタイン城」(イース -フェルガナの誓い-)、「10 A-TO-Z」(イースVIII -Lacrimosa of DANA-)と、「イース」シリーズの人気曲たちが目白押し。バイオリン、ギター、キーボード、ドラムといったそれぞれの楽器たちの主旋律が何度も入れ替わり、「俺が主役だ！」と言わんばかりの激しいアピールをするにも関わらず、一切破綻することなく練り上げられるハーモニーはまさに圧巻。背筋がゾクリとするような、熱く激しい楽曲に聞き入りつつ、主人公であるアドル・クリスティンとして冒険した日々が、自然と脳裏へと浮かび上がってくる。

ライブ後半には、中国で行われたツアーに関する思い出話も

その後、一度は退場していたボーカル担当の佐坂さんが再びステージへと登壇。佐坂さんは「皆が格好よすぎて、出るタイミングを見失った」とコメントして笑いを誘いつつも、その直後には「英雄伝説 閃の軌跡II」のオープニングテーマ「閃光の行方」を堂々と熱唱。ハイテンポな熱い楽曲を、力強い歌声で迫力満点に歌い上げ、他のメンバーに負けず劣らずの「カッコイイ姿」を披露してくれていた。

合間に行われたMCパートでは、中国各地で行われた、今回のツアーでの思い出話として、ライブの際の背景として用意されていた大きなスクリーンに驚いたというエピソードが語られることに。スクリーンに美しい映像が映し出される度に客席から歓声が上がるのだが、ステージに上がっているjdkバンドの面々には、後ろで流れている映像を確認することはできなかったため、ライブ中はその内容が気になって仕方なかったのだという。

またヴァイオリン・ボーカル担当である水谷さんが、日本と中国ではサイリウムを振るタイミングが微妙に異なっているのに驚いたことを明かすと、中国と日本ではリードのスタイルが違うことを指摘する、中国事情に精通したコメントが客席から寄せられることに。実はコメントしたのは、今回のライブのために中国から駆けつけたという熱心なファン。その他にも中国のライブから続けて参加しているというファンの姿も少なくなく、jdkバンドと日本ファルコムの音楽が、世界中でどれだけ愛されているかを実感することができた。

その後には明るくノリの良い「東亰ザナドゥ」のオープニング主題歌「seize the day」では、楽曲の特徴の一つでもある甲高いシャウトを、客席が一緒になって発するという一幕もあり、会場全体が一丸となって、ライブを盛り立てていく。

続く「空を見上げて」（英雄伝説 空の軌跡）は、それまでのハイテンポな楽曲とは一風異なる、しっとりとしたバラード。広大で美しい「空の軌跡」の世界観を表現するように、ゆったりとした歌声と穏やかなメロディが会場中へと響き渡る。

ラストの曲となったのは、「英雄伝説 空の軌跡SC」のオープニングテーマである人気曲「銀の意志 金の翼」。伸びやかなバイオリンの旋律にあわせたコールも加わり、フロアは熱狂の渦へと包み込まれていった。

これでライブは終わったかに思われたのだが、終演後に自然と沸き起こった、割れんばかりの「jdk」コールに答える形で、今度はお揃いの日本ファルコムのマスコット「みっしい」Tシャツに身を包んだjdkバンドメンバーが再び登壇！

アンコールでは、日本ファルコムの歴史そのものとも言える、全てのはじまりの名曲「FIRST STEP TOWARDS WARS」（イースI）から、ライブの終幕を感じさせるのにぴったりな、切なく穏やかな「星の在り処」（英雄伝説 空の軌跡）と、畳み掛けるように人気曲のラッシュが続く。

そして本当の最後の曲となったのが、「みんな集まれ! ファルコム学園」のオープングテーマに採用されたことでも認知度が高い「GO FIGHT!」。ライブにピッタリな熱くノリノリの曲調から繰り出される「GO！」「FIGHT！」のコール＆レスポンスも完璧に決まり、その盛り上がりは最高潮へと達することに。そうして最後まで興奮冷めやらぬ熱気の中、ツアーのファイナルを締めくくるに相応しいライブの幕は閉じられた。

「軌跡」シリーズ最新作「英雄伝説 閃の軌跡III」の発売も少しずつ近づく中で行われた今回のライブツアー。ボーカル曲とBGMが適度に入り混じった、jdkバンドライブならではの構成は今回も健在で、ツボを押さえた激しいロックアレンジも含めて、ファルコムの音楽ファンにとってはたまらない内容となっている。またメンバーの誰もが演奏中に満面の笑みを浮かべており、心から気持ちよさそうにセッションしていることが、見ている方にも伝わって来る、非常に雰囲気の良いライブだとも感じることができた。

なお公演中には、早くも次回のライブが10月14日に東京・大塚Deepaにて開催されることも発表された。ライブハウスという限られた空間での演奏は、アンプから発せられた振動をその身で直に感じとることもでき、ゲーム中に聞く楽曲とはまた違った魅力を持っている。日本ファルコムのファンであるなら、是非とも一度jdkバンドライブに足を運び、背筋がゾクゾクするようなド迫力の演奏を、間近で体験してみて欲しい。