全世界のゲームユーザーから圧倒的な支持を得る「METAL GEAR」シリーズ。コナミデジタルエンタテインメントの本社にて、そのスピンオフ作品である「METAL GEAR SURVIVE」のCO-OPプレイモードを一足先に体験することができた。そのインプレッションをお届けする。
CO-OPプレイのミッションは、3つのフェーズで構成
コナミデジタルエンタテインメントより2018年に発売予定の「METAL GEAR SURVIVE」(PS4/Xbox One/PC)。前作にあたる「METAL GEAR SOLID V」から、サバイバルアクションへとジャンルを一新、「METAL GEAR SOLID V グラウンド・ゼロズ」のエンディングにて発生したワームホールに飲み込まれ、偉業のクリーチャーが跋扈する世界へと転移した兵士たちの視点が描かれるという、従来のシリーズ作とは路線の異なる、スピンオフ作品だ。
なお本作はドイツ・ケルンにて開催中のゲームイベント「Gamescom 2017」にも出展されており、今回体験することができたのも、それと同じバージョンとなっている。
まず本作におけるプレイヤーは、ソリッド・スネークのようなキャラクターではなく、ゲーム開始時に作成した自身の分身となるアバターを操作することになる。このアバターは「METAL GEAR オンライン」のような細かい作成が可能になっており、使用する武器なども自由なセッティングが可能となっているとのこと。ただし今回は時間が限られているため、近接武器を中心とした構成の「ファイター」、豊富な銃火器をもつ「シューター」など、あらかじめ用意された4種のプリセットの中から使用キャラクターを選ぶという形式となっていた。
本作の主なゲームモードとなるCO-OPプレイは、いくつかのフェーズに分かれて構成されている。今回体験することができた、ワームホール採掘機の防衛を目的とする2つのミッション(それぞれ今年のE3とGamescom で試遊可能となっていたもの)では、どちらも3フェーズで構成されている。
順を追って説明していくと、最初のフェーズ1では、目標となる採掘機の場所までたどり着くのが目的となる。道中にはクリーチャーたちが待ち受けており、攻撃を仕掛けて倒すだけではなく、従来のMETAL GEARのように、隠れてやり過ごすことも可能となっている。
目標地点にたどり着くか一定時間が経過すると自動的にフェーズ2へと移行するのだが、エリアの各所には素材が配置されていることも。素材は装備や武器の開発に必要になる上、ミッション終了時のリザルトで算出されるポイントにも加算される。
この素材を回収した時に得られるポイントは、クリーチャーをキルした時に匹敵するほど高い上、素材は全プレイヤーで共有されるため、多く集めておくに越したことはないのだが、プレイヤーがもてる重量には限りがある。重量をオーバーしてしまうと走ることができなくなるデメリットもあり、クリーチャーに遭遇した際には非常に危険。防衛地点の近くには、素材を納品することができるアイテムボックスが置かれているので、ある程度集まったところで回収を切り上げて、目標地点へと向かうのが良いだろう。
続くフェーズ2は、フェーズ3で行う防衛戦に向けて、戦闘の準備を行うタイミングとなる。本作では、バリケードやフェンスなどの障害物から、滑る床や地雷などのトラップ、固定機銃や迫撃砲といったさまざまなオブジェクトを設置できるようになっており、これらを適切な場所に配置しておくことで、クリーチャーの侵入を阻むことができる。
クリーチャーは採掘機を目指して移動してくる性質上、採掘機の近くは激戦となりやすく、そこにオブジェクトを集中して配置しておくと無駄がないのだが、採掘機から一定範囲内のエリアに配置されたオブジェクトは1度の襲撃ごとにリセットされてしまう。設置できるオブジェクト数には限りがあるので、敵の進行がゆるい序盤の内は温存しつつ、終盤に一気に守りを固めるようにするなどの工夫も必要となってくる。
またこのタイミングでは、サブミッションと呼ばれるミニクエストも発生する。サブミッションを達成すると、その後の防衛が楽になる強力なウォーカーギア(プレイヤーが乗り込むことができる2足歩行型の戦車のような兵器)や補給用の弾薬などを獲得できるようになっているのだが、サブミッションは採掘機から離れた場所で発生することが多く、その攻略に夢中になりすぎると、肝心の防衛の準備がおざなりになってしまうことも。
加えてサブミッションが発生しているエリアでは強力なクリーチャーが出現することも多いので、消耗した状態で攻略に向かうのは危険。チーム全体状況に応じて、向かうべきかどうかを決める戦略も重要となりそうだ。
フェーズ3では、いよいよ出現するクリーチャーから採掘機を守る防衛戦が行われる。クリーチャー達の移動速度はそれほど早くないため、序盤の内こそ自分たちから打って出ていく余裕もあるのだが、クリーチャーはほぼ途切れることなく、あらゆる方向から押し寄せてくるため、採掘機から離れるのはリスクが大きく、どの場所に陣取って戦うかの判断が難しい。
なお戦闘中にダメージを受けると怪我を負い、行動に制限が掛けられることもある。「METAL GEAR SOLID 3」で採用されていたシステムをイメージすると分かりやすく、例えば足の怪我を負うと、その場に立ち上がることができなくなり、移動速度が大きく低下する。一度メニュー画面を開くことで治療を行えるのだが、治療している間もゲームは進行していくため、焦りが先行するあまり、治療にもたついてしまうということもあった。
とくに動けなくなった状態で、クリーチャーが近づかれ、先に排除することを優先するか、治療を済ませてから戦うかを迫られるのはかなりのスリリングで、「サバイバルアクション」と銘打たれた本作ならではのハラハラ感を味わうことができる。
戦闘中にダメージを受けすぎて瀕死となってしまった場合、一切の攻撃を行えなくなってしまうが、味方から治療を受けることで、即座に戦闘に復帰することが可能。ただしこの救助の瞬間は無防備になってしまうので、救助中に攻撃を受けて瀕死となる、ミイラ取りがミイラになるような状況も発生していた。
なお救助が間に合わず死亡してしまった場合でも、定時間経過後にリスポーンができるので、途中で死んでしまったためプレイが終わるまで暇になるということはない。ただしリスポーンした場合、戦線復帰まで大きなタイムロスが発生してしまうので、できるだけ避けたいところだ。
これらのクリーチャーによる一度の襲撃はWAVEという単位で区切られており、一定時間採掘機を防衛することができれば、自動的に次のWAVEへと移行。その後はこのフェーズ2~3の流れを何度か繰り返していくことになる。
クリーチャーの中には、障害物を飛び越えてくる厄介な存在も
今回の体験することができた2つのミッションは、共に3つのWAVEまでの敵が出現するようになっており、E3用のミッションは難なくクリアすることができた。
問題はGamescom用に用意されたミッションで、こちらも基本的な流れは、E3のものから変わっていないのだが、採掘機を防衛する際の地形が複雑に入り組み、クリーチャーの侵入経路が大幅に増えており、その難度が大幅に上がっていた。
最初にプレイしたミッションと比べると、操作の慣れやゲームの理解も深まり、効果的なオブジェクトの配置も分かりつつあったのだが、敵の侵入速度がとにかく早く、少し目を離した隙にあっという間に採掘機へとたどり着かれてしまい、迎撃のために配置していた迫撃砲をほとんど生かせないといったミスも犯してしまう。
戦った中でも厄介だったのが、「トラッカー」と呼ばれる新しいタイプのクリーチャー。E3のミッションでも、通常のクリーチャーのほかに「ボマー」と呼ばれる、一定量のダメージを受けると爆発し、周囲に大ダメージを与えてくるクリーチャーも登場していたのだが、こちらは動きが遅いこともあり、接近に気づいてさえいれば十分に対応可能だった。
一方のトラッカーは、素早い移動速度に加えて、フェンスやバリケードなどの障害物をジャンプで飛び越えてくるという性質をもっている。トラッカーを放置していると、あっという間に採掘機に近づかれてダメージを与えられ、その対応に手間取っている間に後続のクリーチャーがさらに押し寄せてくる……という悪循環に陥り、みるみるうちに耐久値を削られてしまい、2WAVE目が終了した時点でほとんど耐久値が残っていないという有様に。当然この状態では、もっとも襲撃が激しくなる3WAVE目を乗り切ることはできず、あえなくミッション失敗となってしまった。
E3用のミッションでは、採掘機を囲むように四方にフェンスを設置しておくのが有効で、クリーチャー達がフェンスに群がっている間にまとめて撃破することができていたのだが、それがほぼ通用しなくなっていた。出現するクリーチャーの種類によって、設置するオブジェクトを使い分けていく必要もありそうだ。
ただ今回のようにミッションに失敗してしまった場合でも、回収した素材などはそのまま持ち帰れるようになっているので安心。クリーチャーがどこから侵入し、どのあたりにオブジェクトを配置すると効果的かという、地形やミッションの流れを把握することの重要性が非常に高いため、難度の高いミッションもコツコツと挑戦を繰り返すことでクリアしやすくなっていくのは、かなりありがたい仕様だと感じられた。
武器の中では、安全な位置から攻撃できる銃が非常に強力な反面、弾数に限りがあるのがネックとなる。弾薬の管理というのはシューター系のゲームでは必ず存在する要素だが、本作では出現する敵の数が多い分、かなりシビアになっており、肝心な時に弾切れを起こしてしまうという状況がしばしば発生していた。サブミッションの報酬として補給用の弾薬が獲得できるほか、回収した素材から武器を作成することも可能となっているので、さまざまな手段で弾切れを補っていく必要があるだろう。
また弾薬の節約には、斧やCQCといった近接攻撃を使うのも効果的。ただし斧などの威力の高い近接武器は攻撃の隙も大きく、クリーチャーからの反撃を受けやすい。まだゲームに慣れていない今回のプレイではうまく使いこなすことができなかった。
ただしリスクが大きい反面、敵に発見されていない状態であれば、背後からナイフで急所を一突きにして即死させるという攻撃が発生することも。このステルスキルで倒した場合、通常のキルよりも高いポイントを獲得でき、ボマーを爆発させることがないというメリットもある。何より決まった時の爽快感が抜群なので、積極的に狙っていきたいところだ。
今回確認できただけでも、近接武器には槍や斧など様々な種類のものがあり、それぞれに攻撃力やリーチ、モーションが大きく異なり、使い勝手もガラリと変わってくる。自分にあった性能の武器を探してみるのも楽しそうだ。
なお今回筆者が体験した操作方法は 一部のコマンドを除いて「METAL GEAR SOLID V」のシュータータイプとほぼ同じものとなっていたので、違和感なくゲームに入ることができた。ただ1つ大きな変更点として、△ボタンには、「アクティブスキル」と呼ばれる、アバター固有の能力を発動させる操作が割り振られていたのだが、今回のプレイではまだ使用することができなかった。アクティブスキルはクラスごとに細分化されており、事前にアバターにセットしておくことで使用できるようになるとのことだが、今後の続報に期待したい。
シングルプレイでは、ベースキャンプの拡張も大きな楽しみに
さらに今回は実際にプレイすることこそできなかったものの、未だほとんど情報が出ていなかった、シングルプレイに関するゲームプレイ映像も見ることができた。
シングルプレイでは、フィールドを探索して用意されたさまざまなミッションをこなして素材を集め、使用できる武器や装備、クラスを成長させていくことが基本的なサイクルとなる。中には特定の装備が必要になるエリアなども存在しているようで、ゲームを進めていく内に、探索可能なエリアも広がっていくという楽しみも存在する。育成したクラスや装備はどちらのモードでも共有されるので、CO-OPプレイで集めた素材で強力な装備を作り、シングルプレイの攻略を楽にする(もちろんその逆も可能)という遊び方もできるようになっており、それぞれのモードのモチベーションを確保しやすくなっている。
プレイヤーの拠点となるベースキャンプは、最初こそ殺風景な場所だが、そこにさまざまな施設を建設していくことで、プレイヤーだけの基地を作っていくことができる。様々な種類の建物や兵器を自由に配置することができるようで、かなり自由度の高いビルドが可能となっているとのこと。見た目にこだわったベースキャンプを作り、他のプレイヤーをあっと驚かせたりするのも楽しそうだ。
なおシングルプレイはゲーム全体のチュートリアル的な側面も備えており、ゲームを進めていくことで、基本的な操作方法やテクニックを学ぶことができるようにもなっているという。最初はある程度シングルでプレイし、操作やシステムに慣れてから、CO-OPプレイを遊ぶようにするのが良いだろう。
ワームホールに飲み込まれ、異世界に飛ばされてからのストーリーも存在しているようだが、今回見ることができた映像では、ストーリーの要素はそれほど色濃くなく、あくまでゲームプレイの部分がメインとなっているように感じられた。割合としては、「METAL GEAR SOLID」と「METAL GEAR ONLINE」の中間的な位置づけをイメージしておくと近いのかもしれない。
今回体験して何よりも筆者が感じたのは「やっぱりMETAL GEARは面白い!」という純粋な感情だ。
本作では従来のシリーズ作よりもかなり戦闘の割合が強くなっているが、撃ち合いだけではなく、アイテムの回収やサブクエスト、オブジェクトの設置など様々な面でチームに貢献できるようになっており、戦い方の幅が非常に広い。クリーチャーを発見した際、正面から銃や近接武器で倒す、隠れてやり過ごす、ステルスキルを狙う、罠に嵌めて倒すなど、さまざまな対処法が存在する。
こうした単純な撃ち合いだけではない、いろいろなプレイイングが可能となっている自由度の高さは、まさに「METAL GEAR」シリーズらしい要素で、本作にもしっかりと残されている。フルトン回収装置や、ウォーカーギアといったユニークな武器や装備の数々も、「METAL GEAR」をプレイしているということを改めて感じさせてくれた。
本作におけるCOOPでは、誰がどこにオブジェクトを設置し、サブミッションをこなすかという役割分担の重要性が高い分、チーム間での連携がうまく決まった時の爽快感はかなりのもの。ゲームスピードが非常に早いこともあり、今回の体験プレイではそれぞれのプレイヤーから何度も悲鳴が上がる騒がしいプレイとなっており、フレンド同士で遊べば阿鼻叫喚(?)になりつつ、ワイワイと楽しめることは間違いない。シリーズの中でも「METAL GEAR SOLID PEACE WALKER」での協力プレイに熱中していた筆者のようなプレイヤーにとっては、たまらない作品となりそうだ。
また今回体験することができたミッションはどちらも採掘機を防衛する内容となっていたが、今後はそれ以外のルールの追加も行っていくとのことなので、遊び方の広がりについても期待していきたいところ。
ストーリー的に従来のシリーズ作から関連性が薄いのはシリーズファンにとっては残念だが、一方で必要な事前知識がほぼなくなっているため、「METAL GEAR」シリーズを遊んだことがないプレイヤーへの敷居は大幅に下がったと言える。歴史も長いシリーズだけに、「興味はあるけど前作をプレイしていないし……」と今まで尻込みしていたプレイヤーには、うってつけの作品となっていると言えるだろう。
シリーズにとってさまざまな挑戦が盛り込まれた「METAL GEAR SURVIVE」。操作性やグラフィックなど、基本的な要素は「METAL GEAR SOLID V」のものを引き継いでおり、ゲームとしての完成度が非常に高いことは言うまでもない。その上で示される、新たな可能性の数々を、もう一つの「METAL GEAR」として受け入れることができるか。その答えは、自らの手でプレイして確かめて欲しい。