シリーズ30周年を迎えてのワールドコンサート「FINAL FANTASY 30th Anniversary Distant Worlds: music from FINAL FANTASY JIRITSU / 而立」東京公演二日目をレポート

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0コメント アサミリナ

12月10日に東京国際フォーラム ホールAにて開催された「FINAL FANTASY」シリーズ30周年を記念したワールドコンサート「FINAL FANTASY 30th Anniversary Distant Worlds: music from FINAL FANTASY JIRITSU / 而立」東京公演二日目の模様をお届けする。

2017年12月9日、10日の二日間、「FINAL FANTASY(以下FF)」シリーズのオーケストラコンサートで、2017年7月から海外ツアーも行われている「FINAL FANTASY 30th Anniversary Distant Worlds: music from FINAL FANTASY JIRITSU / 而立」の東京公演が、東京国際フォーラムにて開催された。

日本では2年ぶりとなる「Distant Worlds」シリーズ、そして今年は「FF」シリーズ30周年、かつ「Distant Worlds」シリーズ10周年という記念の年ということもあって、会場には日本からだけではなく多くの海外から足を運んだと思われるファンの姿も見ることができた。

東京公演の前日、12月8日には大阪公演も開催されているが、このレポートでは12月10日の東京公演の模様をお届けする。なお、公演後に行なわれた植松伸夫氏、アーニー・ロス氏、鈴木瑛美子さんの3人へのインタビューの模様も掲載しているので、あわせてそちらもご覧頂きたい。

コンサートの前には植松氏の他、天野喜孝氏、松田洋祐氏が登場!

コンサートが始まる前に、「FF」シリーズ楽曲生みの親の植松伸夫氏がステージに登壇した。そして「FF」シリーズ30周年という記念すべき年なのもあり、さらにスペシャルゲストとしてスクウェア・エニックス 代表取締役 松田洋祐氏と、「FF」シリーズの歴代イメージイラストを担ってきたイラストレーターの天野喜孝氏、MCとしてアナウンサーの郡正夫氏もステージへと上がった。

植松氏は、この30周年という数字を中国の孔子の言葉「而立」に例え、自分の足で立ち、価値観や美意識もこの30年で固まってきたのではないかと語り、その上で今回のコンサートのタイトルに「而立」というサブタイトルをつけたという。パンフレットなどで見ることのできる力強い「而立」の文字は、植松氏自身の書だそうだ。

天野氏は当時はまだ30代だったそうで、30年前はみんなも若かったし、そして30年という年月は長かった、と振り返った。また、「FF」の最初のコンサートが開催された時のことを思い出して、ゲームの音楽がオーケストラで聞けるということに、当時はとても驚いたと語った。

植松氏は、昔に天野氏と対談をしたことがあるそうなのだが、天野氏が途中で突然中座したため、「何か失礼なことを言って気分を害されたのだろうか」と、とてもうろたえたそうだ。しかししばらくして戻ってきた天野氏は「突然絵が浮かんだので描いてきた」と答えたという、なんとも芸術家らしい秘話を披露してくれた。

また、本日会場にくることはできなかったが、「FF」シリーズの親である坂口博信氏からビデオメッセージも届いた。坂口氏は「30年は長いですね、僕の半生です」と語り、普段植松氏に向かって「直接言うことはないけれど植松さんの音楽がとても好きです」と述べる坂口氏に、植松氏が「普段言われないので照れますね」と恥ずかしそうにする一幕も。

最後に、松田氏が「FFは今年で30周年で、改めて関係者の皆さんとファンの皆さんにお礼を申し上げます。FFシリーズはこれからも大きく成長していきますので、今後の展開や発展に期待していてください。このコンサートはFF30周年という節目の最後を飾るのに相応しいイベントになると思いますので、皆さん楽しんでいってください」と、会場を埋め尽くした「FF」シリーズのファンに感謝の意を述べた。

「FF7」、「FF12」に「FF13」「FF14」「FF15」他、歴代シリーズから様々な楽曲が演奏された第一部!

コンサートの幕開けはやはりこの曲「プレリュード(FFシリーズ)」から。ハープで始まる美しい音色に耳を傾けていると、これまでの楽しいトークで緩んでいた心が一気に「FF」ワールドへと引き込まれてしまうから不思議だ。

続いて二曲目は根強い人気の「ビッグブリッヂの死闘」。「FF5」の曲ではあるものの、様々なタイトルで使用されている楽曲とあって、原典の「FF5」を知らなくてもこの曲はわかる、というファンも多いだろう。力強い合唱から始まる「ビッグブリッヂの死闘」は、この「Distant Worlds」シリーズならではのアレンジだ。

ここで指揮者のアーニー・ロス氏から「今日はFFシリーズ30周年をお祝いする祭典でもあります、このコンサートももう10周年になりますが、このコンサートを世界各地で続けることができるのはファンの皆さんのおかげです」と会場のファンへメッセージが。

そして「次は三曲連続で演奏しますが、その前に大事な曲をやりましょう!」と述べると同時に、会場には「勝利のファンファーレ(FFシリーズ)」が鳴り響いた。ここで鳴らすということは、すなわちギルガメッシュを倒したということだろうか。構成からして既に楽しめる。

四曲目は「FF7」から「星降る峡谷」。「FF」シリーズの吹奏楽コンサート「BRA BRA FINAL FANTASY」シリーズでは演奏されている曲だが、オーケストラでは今回の「Distant Worlds」が日本での初演奏となる。「FF7」のコスモキャニオンで流れる曲で、派手さはないものの哀愁漂う雰囲気に、根強いファンがいる一曲だ。コントラバスの低音の入りから、やがては大太鼓が印象的なリズムを刻むアレンジは、まるでレッドXIIIの唸り声のようにも聞こえた。

五曲目は「FF9」より、「独りじゃない」。ジタンが一人でガーランドに突っ込もうとする場面で、後からどんどんと仲間が加入してくる、まさに「独りじゃない」と実感するシーンで使われる、静かでありながらも胸に熱いものがこみ上げる曲。スクリーンに流れる「FF9」の名シーンの数々と相まって、この曲で泣いてしまったファンも多いのではないだろうか。

続く六曲目は、「FF8」から「The Oath」。「FF8」のイベントシーンの多くで流れる曲だ。ここでは特に、スクリーンに流れる映像に「卑怯」という言葉を、あえて使いたい。エンディングで見ることができる風神、雷神、サイファーの姿などを出されては、泣くなというほうが無理というものだ。曲のしんみりとしたムードと胸に宿る思い出とが渦巻いて、訳がわからないまま涙が零れてしまった。

七曲目は「FF12」から、崎元仁氏作曲の「剣の一閃」。こちらも公式オーケストラコンサートとしては、日本では初の演奏となる一曲だ。「剣の一閃」は一部のボスで流れるバトル曲で、全「FF」シリーズのバトル曲の中でもかなり珍しい最初から最後まで明るめかつテンションが高めの曲となっている。今回演奏されたのは、そのHD版「FINAL FANTASY XII THE ZODIAC AGE」で新録されたオーケストラバージョンの「剣の一閃」とほぼ同バージョンで、十年以上この曲をオーケストラで聞けるのを待っていたのは、決して筆者だけではないだろう。

続いては、「FF14」より、祖堅正慶氏作曲の「Heavensward」。この曲は、「新生FF14」初の追加ディスクとなった「蒼天のイシュガルド」のオープニング曲。この曲と共に会場のスクリーンにも流れていたムービーは、様々な者らの謀略に巻き込まれ、罪人として追われることになった光の戦士(プレイヤー)がイシュガルドという土地に辿り着き、イシュガルドで1000年に渡って繰り広げられている竜と人との戦争に関わることになるまでの過程を描いたもので、「Heavensward」はこのムービーのために作られた曲となる。

合唱の歌声と演奏から受ける圧力、この一曲だけで「FF14」という作品の持つストーリーのスケール感やシンクロ感などを感じ取ることが出来るはずだ。「FF14」をまだプレイしていないという「FF」ファンが、今回のコンサートでこの曲とムービーに何か感じるものがあったならば、ぜひとも一度エオルゼアに訪れてみてほしい。

九曲目は「FF13」から浜渦正志氏作曲の「ファングのテーマ」。タイトル名にファングの名を冠する曲だが、「FF13」のバトル曲である「閃光」のメロディが使用されていたりするなど、「FF13」の楽曲が色んな要素で楽しめる一曲、かつ音楽としてもファングらしい豪快さが現れている曲なだけに、この選曲はファンにとっては嬉しいのではないだろうか。

十曲目は「FF15」から「Choosing Hope」。この曲は2017年11月15日に配信が開始されたばかりの「FF15 オンライン拡張パック:戦友」の主題歌で、作曲は植松伸夫氏が担当し、そして檀上にはこの曲を歌う鈴木瑛美子さんが登壇した。

まだわずか十八歳とは思えない鈴木さん。その姿は完全にまだあどけなさの残る少女といった風なのに、そこから発される圧倒的でパワフルかつソウルフルな歌声に、会場のファンは完全に飲み込まれてしまっていた。そしてそれを象徴するかのように、鈴木さんが歌い終えた後、会場は凄まじい拍手とコールに包まれていた。

第一部の最後を飾ったのは「FF8」のオープニング曲である「Liberi Fatali」。「Distant Worlds」シリーズでは何回か演奏されている常連曲のひとつだが、この「Liberi Fatali」は「FF」というシリーズの音楽を愛するファンにとってみると、ゲーム音楽のオーケストラコンサートの素晴らしさを感じられると思う。合唱に魂を揺さぶられ、生のオーケストラを肌で感じ、それと共にスクリーンに流れるオープニングの映像とで、否が応にも士気を上げられるだろう。そして第一部の〆としても、盛り上がった気持ちをそのまま第二部に持っていける、良い終わり方だった。

「FF11」に「FF15」、「FF6」のオペラまで登場した第二部!

第二部の最初は「FF7」より「オープニング~爆破ミッション」。言わずもがな、「FF7」のオープニングムービーからそのあとの壱番魔晄炉を壊すまでのメドレー曲。自然とエアリスのアップから壱番魔晄炉を目指す列車とが切り替わるあのカットシーンが浮かぶし、スクリーンにも当然あの映像が…映像が!?

最初はPSで発売された「FF7」の映像だったが、演奏が「爆破ミッション」に入ったところから、突如PS4向けソフトとして現在開発中の「FF7 REMAKE」の最新PVへと切り替わったのだ。ある意味で、この日一番のサプライズだったのではないだろうか。

なお、最新PVで使われているオーケストラバージョンの「オープニング~爆破ミッション」はそもそも「Distant Worlds」で過去に演奏されたものなだけに、オーケストラの演奏に映像のほうが後から重なった珍しい現象と言えるかもしれない。

十三曲目は「FF4」から「愛のテーマ」。ゲーム楽曲で小学校の音楽の教科書に掲載されたということでも有名な曲だ。これまでの上がったテンションを一度落ち着けるように挟まれていたこともあり、しっとりとした演奏にじっくりと聞き入ることが出来た。

それに続くは「FF11」から「Sword Song バトルメドレー」。演奏前には、「FF11」のほぼ全ての楽曲を作っている水田直志氏が紹介された。

今回は恐らく「Distant Worlds」シリーズでは初演奏となる楽曲が聴けるに違いないと思いつつも、ある程度は「ここらへんが演奏されるのではないか」という自分の予想も立てていたのだが、アトルガンエリアで使われているパーティバトル曲「Mercenaries' Delight」や、アルタナエリアで使われているパーティバトル曲「Clash of Standards」など、いい意味で予想を裏切る曲が演奏され、「FF11」の曲を何年間も一日中聞いてきた我々ヴァナ・ディールの民にとっては、この上ない幸せな時間となった。もちろん映像もアトルガンエリアとアルタナエリアでのバトルシーンが流れていて、とても懐かしい気持ちに浸れた。

十五曲目は「FF15」から「APOCALYPSIS NOCTIS」。こちらも演奏前に、作曲をした下村陽子氏が紹介された。「FF15」の実質第二のメインテーマとも呼べる楽曲で、映画版「KINGSGLAIVE FF15」のエンディングでも使われているということを抜いても、「FF15」の持つテーマやストーリー、映像との親和性、すべてを含めて素晴らしいチョイスだった。混声合唱の良さが活かされ、ピアノの音の響きも美しく、ただただ曲に酔いしれたいのに、スクリーンに映る映像に色々なことを思い出して、涙と戦うジレンマに襲われる。一言で言うなら、「つらい」。これしかないだろう。

十六曲目は「FF10」から「ザナルカンドにて」。この曲も、知らない「FF」ファンはいないだろうというほど有名すぎる、実質「FF10」のメインテーマとも言える曲。「最後かもしれないだろ?」という言葉を、オープニングで聞いたときと実際にザナルカンドで聞いたときでは、その印象がまるで違ってくる。そしてそれと共に「ザナルカンドにて」という曲の印象も変わるだろう。ほぼ毎回「Distant Worlds」シリーズで演奏されている曲だが、名曲というのは何度聞いても素晴らしいのだなと痛感させられる。

十七曲目は「FF6」の「オペラ~マリアとドラクゥ」。「FF6」でセリスが演じることになるオペラの曲を本当にオペラにしてしまった曲で、生演奏にはいくつかのバージョンがあるのだが、今回演奏されたのは5年程前に作られた「完全版」。ステージには太田悦世さん、渡邉具晃さん、押見春喜さん、郡正夫氏が登壇。郡氏の情感たっぷりなナレーションに、ソリストたちの歌声が会場に響く。

まるで自分がオペラハウスにでもいるかのような錯覚に陥るほど、本格的なオペラがそこにはあった。これには会場もたまらずスタンディングオベーション。いつまでも鳴り止まなかった拍手が、この「マリアとドラクゥ(完全版)」の素晴らしさを全て表していたと言えるだろう。

第二幕の最後を飾ったのは、もちろんこの曲、「FFメインテーマ(FFシリーズ)」。プレリュードに始まりメインテーマで終わるという構成も憎い。この曲をバックにスクリーンには歴代シリーズの主人公のシルエットとスタッフロールが流れていたのだが、とても印象的だったのは「FF15」が四人のシルエットで映し出されたことだろうか。これ以上は語るまい。「FF15」を好きだと思っている人たちは、きっとほぼ全員が同じ感情を抱いたと、筆者はそう信じているからだ。

最高に盛り上がった中でのアンコールは、「FF7」の「エアリスのテーマ」、そして同じく「FF7」から「片翼の天使」。どちらもファンには馴染み深い曲だ。「片翼の天使」では、なんと植松氏も合唱団に加わり、そして会場に集まった5000人のファン全員で「セフィロス!」を大合唱することに。

東京国際フォーラム全体が震えるほどの「セフィロス!」コールで最高に楽しいフィナーレを迎えたのも、「堅苦しくならずにみんなで楽しもう」というコンセプトを常に掲げている植松氏らしい構成だ。

「FF7」以降の曲が多めではあったが、それでも「FF」ファンが楽しめる内容であり、なおかつMMOゲームという特性もあって若干プレイ層が違う「FF11」や「FF14」の楽曲もしっかり押さえており、全シリーズを万遍なく愛する一人のファンとして、とても満足のいく内容だった。

「FF」が発売されてから30年、筆者もリアルタイムに「FF」を発売当時からプレイをし、同じように30年の年を重ねてきたのだが、「30年間、FFというタイトルを好きでよかった。だからこそ、今こんな素敵なコンサートに来れて、最高の時間を過ごせているんだ」と心から思える、そんなコンサートだった。

公演後、植松氏、アーニー氏、鈴木さんにインタビュー!

(左から)植松氏、鈴木さん、アーニー氏

――まずは今日の公演を終えての感想をお願いします。

アーニー氏:ファンタスティック! 素晴らしいコンサートでした。今回このコンサートには色んなスペシャルゲストの方に出演していただいていますし、その中でより良いコンサートにしたいので、あれこれと様相を変えたり、ステージングを変えたり、音楽の雰囲気もちょっとアレンジを変えたりと、本当に楽しいです。

いまちょうど30周年のコンサートは中盤に差し掛かったところですが、2018年の1月にはカーネギーホールでの演奏も予定していますし、そのあとはロサンゼルス、カンザスと、これからどんどん続いていきますが、どの公演もエキサイティングです。

植松氏:とりあえず盛り上がってよかったなぁ、と。これまでもマレーシアとかシンガポールとかフランスとかロンドンとかシカゴとかで30周年記念のコンサートやってきたんですが、プログラムは場所によって結構いじっているんですよ。

中には演奏予定していた曲があったんだけれど譜面が間に合わずにそれがやれなかったので急遽別の曲をいれたりっていう、現場でバタバタしてたこともあるんですけれど、そういうのも込み込みでライブ感を楽しめる2~3ヶ月になるかな、とおもいます。

先程アーニーさんも言っていましたけど、1月もアメリカのニューヨーク、ロサンゼルス、カンザスと続きますんで、なかなかスリリングな三ヶ月になるとは思っていますが、今日みたいにものすごい盛り上がるとしんどさも吹き飛ぶし、やった甲斐があるなと思いますね。

鈴木さん:初めてこうしてFFに関わらせていただきましたが、世界中でコンサートが開かれていて、世界中にファンがいて、こんなに人気のあるゲームに自分が携わっていて、しかもステージに出れるなんて夢にもおもっていなくて、初めての歓声ですごく気持ちよく歌えました。

昨日MEET&GREET(公演後に行われるサイン会)で初めてFFのファンの方にお会いしましたが、みなさんの愛情がすごく伝わってきて、FFってすごいだなぁと実感しましたし、世界中で愛される理由もわかりました。そして、私なんでここにいるんだろう、って思ったりもしました(笑)。海外でもまだたくさんコンサートがあるようなので、それらも成功したらいいなと祈っています。

――セットリストを色々変えているということでしたが、今回日本ならではということでいれた曲というのはありますか?

植松氏:今回何を抜いて何をいれたかというと、FF6の「仲間を求めて」とチョコボ抜きましたね。海外の公演ではFF11が入っていなかったので、FF11をいれるべきじゃないのっていう話はしていて、あと日本では鈴木さんを呼んで「Choosing Hope」をやろうよ、っていうのがあったので、すると鈴木さんのパートの5分間分他の曲抜かなきゃいけないじゃないですか(笑)。

あと一昨日の大阪公演は、鈴木さんが期末テストでこれなかったんですよ(笑)。だからその分、かわりに光田(康典)くんのFF15の曲を入れたりしましたね。場所場所で色々やっていますよ。だから来月のアメリカでやるプログラムも何か変わっているかもしれないですね。やってみないとわからないんですよ(笑)。とはいってもさすがに今日決めて明日変えるっていうわけにはいかないんで、1~2週間前には決めていますけど。

――今回FF11を入れようというのは出来る限り色んな作品の曲を、ということですよね。

植松氏:そうですね。でも今回、FF2とFF3は入っていないんですよ。2時間しかないので、色んな曲やりたいんですけど譜面があまりに多すぎて。多分100曲超えていると思うんですけど、それをどうやって2時間の中にいれるかという試行錯誤がありますね。それにお客さんが何を望んでいるかわからないというか、世代も多岐に渡っているので、初期の音楽を聴きたいのか最近の音楽を聴きたいのか、毎回悩むところなんですよね。あと、FF7ファン異常に多いじゃないですか(笑)。なのでどうしてもFF7は多めになっちゃうかもしれませんね。選曲は本当に悩ましいところです。

――「Choosing Hope」で鈴木さんの声に衝撃を受けましたが、日本での公演を終えて皆さんの鈴木さんへの感想を聞きたいです。

アーニー氏:ただでさえステージに上がるのはとても緊張することです。ましてや5000人を前にするわけですし、その5000人はFFという作品を本当に熟知している方々なので、その前で歌うというのは彼女にとっては大変難しいことだったと思いますが、彼女はよく歌い切ったと思います。

歌うだけじゃなく、優しく柔らかく歌いつつ最後にはそれを盛り上げていくというという風に作り上げていったのは素晴らしかったと思います。おめでとうとお伝えしたいですね。

植松氏:鈴木さんの「Choosing Hope」は、今回明らかに分が悪いですよね。他の曲は一番古いやつだと30年前の曲で、みんなが知っている曲が多いなかで「Choosing Hope」は今のところ一番新しいFFだから、曲を知らないひとも多いわけです。そこに混ざってやるんだったら「Eyes On Me」とか「Melodies of Life」をやったほうがウケるのはわかっているんですけれど、あまり知られていない「Choosing Hope」をやるっていうのは鈴木さん自身不安だったんじゃないかと思います。

でもやっぱりお客さんは正直ですよね。鈴木さんがはけた後にまで延々続く拍手っていうのは、それはやっぱりお客さんの胸を打っている証拠です。お客さんは正直ですよ、つまらないときはすぐ拍手なくなっちゃいますもん。

鈴木さん:もちろん緊張はずっとしていたんですが、その緊張はミスするかもとかそういうことではなくて、受け入れられるかという部分で、特にリアルな反応をまだ一度も聞いたことがなかったので、そういう不安もあったし、あとやっぱり5000人を前に歌うという初めての経験に緊張していたんですが、レコーディングをさせていただいたときよりももっと歌い込んで慣れてきて、ストーリーの中にはいって歌えたかな、という評価を自分でしているので、お客さんが喜んでくださって、SNSのほうでもいいコメントをいただいたので、今はとてもほっとしています。

――鈴木さんの海外デビューはいつになりそうですか?

植松氏:いつにしよう(笑)。

アーニー氏:3週間後のカーネギーホールですかね?(笑)

植松氏:海外のファンの方にも、ぜひとも聞いていただきたいですよね。

アーニー氏:鈴木さんがコンサートに参加することによって、オーケストラと合唱団と鈴木さんとですごくいいバランスになると思っていますので、ぜひ海外にも来てほしいですね。

――オペラはすごく盛り上がりましたが、「Distant Worlds」の10周年でオペラをやろうと思った理由と、完全版にあたって何か苦労した点などがありましたら教えてください。

植松氏:なんでやるかって、ウケるからですよ。

――(笑)

植松氏:いや、ほんとにね、コンサートの曲をなんで〆るかって考えた時に、「サァー…」っていう感じで終わる曲は締まった感じがしないんですよ。そこで「ダダダン!」とか「ジャン!」って終わると、「おおおおおおお!」っていう気持ちになるでしょ。そういう曲がオペラしかなかったっていうだけなんですけど(笑)。

実際あちこちの海外で色々やって、オペラ以外のエンディングのコンサートもやっているんですけれど、オペラで終わるのが一番反応がいいんですね。FF6を作ったころ、最初のオーケストラバージョンはラルスとドラクゥのバトルの部分がなかったんで、中途半端な曲だとおもって、6~7年前にバトルのシーンを追加して、最終的にはドラクゥがラルスをやっつけてマリアと結ばれる、という中間部分を僕が作ったんです。

それをいつかオーケストラでやりたいなぁと思っていて、完全版ってそんなしょっちゅうやっているわけじゃなかったんで、今回の30周年コンサートではどこの会場でもあれで終わらせていますね。あれで終わって、メインテーマが流れるのが感動的だって皆さんおっしゃってくれています(笑)。

アーニー氏:個人的にはとても気に入っています。植松さんがおっしゃったようにバトルシーンをいれたりだとか、プログラムにそういったものを取り込むことによってプログラム自体にも楽しくなるとおもいます。30周年を迎えるにあたって、ベストなコンサートのエンディングはなんなのかと考えたときに、やはりオペラのもつインパクトが一番適しているのではないかとおもいます。

自分としては、ナレーション、ソリスト、合唱団にたいしてもキュー出しをしなければならないし、ナレーションにキューを出すタイミングは次のソリストが歌う歌いだしにきちんとあわなければいけないので、自分にとってもすごくチャレンジですし、毎回違う都市でそれを新たな人に教えていかなければならないというのもチャレンジで、それを楽しみながらやっています。

――30年ということでとにかく豪華でしたが、来年以降チャレンジしたいことや、まだやり足りていないことがあったら教えてください。

植松氏:先のことって僕あまり考えたことないのでわからないんですよね。そのときそのときでみんなと話し合って、アレ面白いんじゃない、コレ面白いんじゃない、って感じでちょこちょこやっているだけなんで。

「Distant Worlds」を10年続けてきて、アーニーさんと一緒にやってきて思うのは、アーニーさんってすごいフットワークが軽いんですよ。で、僕も結構物事をじっくり考えて計画的にやるほうじゃなくて、これおもしろそうだとおもったらぽんといっちゃうので、そういうところでアーニーさんとはすごく気が合って、恐らく二人ともそんな先のことは考えていないですね。その時何が面白いだろうっていうのを考えてすぐ実行に移しちゃってるだけな気がします。

でも僕は、こういう仕事では実はそれって重要だとおもうんですよね。熟考して長い時間をかけていいものをつくるっていうのはひとつの道ですけれど、とりあえずやってみて失敗したら反省点を活かして次にいくっていう。それはもしかしたら人によって性格の差なのかもしれないですけど、僕たちは二人ともそういうタイプなのであんまり来年とかこれからのこととかは考えていないです(笑)。

最後には女子高生の鈴木さんにあわせて、全員でピースサイン!

――(笑)ありがとうございました!

セットリスト

【第一部】

01. プレリュード【FINAL FANTASY シリーズ】
02. ビッグブリッヂの死闘【FINAL FANTASY V】
03. 勝利のファンファーレ【FINAL FANTASY シリーズ】
04. 星降る峡谷【FINAL FANTASY VII】
05. 独りじゃない【FINAL FANTASY IX】
06. The Oath【FINAL FANTASY VIII】
07. 剣の一閃【FINAL FANTASY XII】
08. Heavensward【FINAL FANTASY XIV】
09. ファングのテーマ【FINAL FANTASY XIII】
10.Choosing Hope【FINAL FANTASY XV】
  ソリスト:鈴木瑛美子
11.Liberi Fatali【FINAL FANTASY VIII】

【第二部】

12. オープニング~爆破ミッション【FINAL FANTASY VII】
13. 愛のテーマ【FINAL FANTASY IV】
14. Sword Song バトルメドレー【FINAL FANTASY XI】
15. APOCALYPSIS NOCTIS【FINAL FANTASY XV】
16. ザナルカンドにて【FINAL FANTASY X】
17. オペラ~マリアとドラクゥ【FINAL FANTASY VI】
  ソリスト:太田悦世 / 渡邉具晃 / 押見春喜 ナレーター:郡正夫
18. FFメインテーマ【FINAL FANTASY シリーズ】

【アンコール】

19. エアリスのテーマ【FINAL FANTASY VII】
20. 片翼の天使【FINAL FANTASY VII】

「FINAL FANTASY 30th Anniversary Distant Worlds: music from FINAL FANTASY JIRITSU / 而立」公演概要

~東京公演~
2017年12月9日(土) 開場 17:00 / 開演 18:00
2017年12月10日(日) 開場 13:00 / 開演 14:00

会場:東京国際フォーラム ホールA
演奏:新日本フィルハーモニー交響楽団

作曲:植松伸夫 ほか
指揮:アーニー・ロス

主催:キョードー東京
企画制作・招聘:キョードー東京
協力:スクウェア・エニックス

公式サイト
http://www.square-enix.co.jp/music/sem/page/distant_worlds/jiritsu/

※画面は開発中のものです。

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