【ゲームとアニメの≒】第10回「ゲゲゲの鬼太郎」(第6期)「見えないけれどそこにいる存在」として描かれる妖怪

ゲームとアニメの≒
0コメント 藤津亮太

アニメ評論家・藤津亮太氏が話題のアニメを紹介する「ゲームとアニメの≒(ニアリーイコール)」。第10回は2020年3月に放送が終了した「ゲゲゲの鬼太郎」(第6期)を取り上げます。

ゲームとアニメは本来異なる媒体ですが(≠)、その中での共通項(≒)となる部分にフォーカスしたいという思いから立ち上げた本連載。毎回話題のアニメをアニメ評論家の藤津亮太氏の切り口で紹介しつつ、Gamer編集部からはそのアニメがどういったゲームファンにオススメできるかをピックアップしていきます。

今回は、2020年3月に放送が終了し、4月26日からは「デジモンアドベンチャー:」の放送休止に伴い再放送がスタートしている「ゲゲゲの鬼太郎」(第6期)を取り上げます。

こんなゲームファンにオススメ!

第10回「ゲゲゲの鬼太郎」(第6期)

先日「ゲゲゲの鬼太郎」(第6期)の放送が全97話で終了した。同作の放送開始は2018年。1968年の最初のアニメ化から数えてちょうど50年目にあたる。

半世紀の間に制作された6つのTVシリーズは、時代を反映してそれぞれに個性的だ。例えば第2期で妖怪すねこすりが登場するエピソード(第14話「怪自動車」)は交通死亡事故の増加を背景にした内容だった。これが第6期のすねこすりのエピソード(第6話「厄運のすねこすり」になると限界集落が舞台になっている。

また、こうした時事問題の取り入れ方だけでなく、鬼太郎や妖怪の描き方もシリーズごとに異なっている。大雑把にいえば第1期・第2期が作り上げたアニメ「鬼太郎」の“スタンダード”に対し、第3期と第5期はヒーロー性を強調しており、逆に第4期は原作回帰の色合いを強く打ち出している。

そして第6期は、怪奇色は濃いが原作回帰ではなく、時事ネタの向こう側に妖怪の存在を発見していく姿勢で多くのエピソードが作られていた。直近の第5期がろくろ首やねこ娘が人間界でバイトをするなど「人間の隣人」として妖怪を描いていたのに対して、第6期は「見えないけれどそこにいる存在」として妖怪を描こうとしたのだ。この姿勢は、毎回冒頭で流れる「見えてる世界が全てじゃない/見えないモノもいるんだ/ほら 君の後ろの暗闇に」というナレーションの中ではっきりと打ち出されている。

第6期の鬼太郎はこの「見える世界/見えない世界」の中間に位置して、人間には見えない世界の存在を知らせ、妖怪には人間の世界で悪さをしないようにする役割を担っている。

「見えない世界をある」と感じることができるのは想像力によるものだ。そして「見えない世界」を見えないからといって、想像力を欠いたまま「ないもの」として考えつづけているとどうなるか。「ないもの」にされたものたちの逆襲が始まるのである。それが終盤、鬼太郎を追い詰めることになるぬらりひょんの動機であった。

フィクサーとして人間社会に入り込みながらも人間支配などに興味を持たず、「夜の闇を取り戻すためだけ」に戦争をしかけるぬらりひょん。これは「見えないもの」の復讐であった。これは現実世界でオカルトがオカルトとして嗜まれるのではなく、近代科学や合理主義への反発としてオカルトが持ち上げられ、カルト化してしまう状況と対応しているようにも受け取れる。

どうして人間は妖怪という、見えないものを想像してしまったのか。第6期が問おうとしたことのゴールはそこにあるように思う。

「ゲゲゲの鬼太郎」公式サイト
http://www.toei-anim.co.jp/kitaro/

藤津亮太(ふじつ・りょうた)

アニメ評論家。1968年、静岡県生まれ。雑誌・WEB・BDブックレットなど各種媒体で執筆するほか、朝日カルチャーセンター、SBS学苑で講座を担当する。著書に『「アニメ評論家」宣言』(扶桑社)、『チャンネルはいつもアニメ―セロ年代アニメ時評―』(NTT出版)、『声優語~アニメに命を吹き込むプロフェッショナル~』(一迅社)、『プロフェッショナル13人が語るわたしの声優道』(河出書房新社)などがある。毎月第一金曜日には「アニメの門チャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/animenomon)でアニメの話題を配信中。

告知

1日21:30より生配信「緊急事態だから観たいアニメ10選」(アニメの門DUO 2020年5月1日)http://www.youtube.com/watch?v=PPWAGBBkv0Qを行います。ジャーナリストのまつもとあつしさんと、緊急事態だから観たいアニメを語ります!

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