【ゲームとアニメの≒】第12回「GREAT PRETENDER」情報量の多さの中にあるスピード感と緊張感

ゲームとアニメの≒
0コメント 藤津亮太

アニメ評論家・藤津亮太氏が話題のアニメを紹介する「ゲームとアニメの≒(ニアリーイコール)」。第12回はNetflixで配信中、7月からは「+Ultra」枠でのTV放送もスタートする「GREAT PRETENDER」を取り上げます。

ゲームとアニメは本来異なる媒体ですが(≠)、その中での共通項(≒)となる部分にフォーカスしたいという思いから立ち上げた本連載。毎回話題のアニメをアニメ評論家の藤津亮太氏の切り口で紹介しつつ、Gamer編集部からはそのアニメがどういったゲームファンにオススメできるかをピックアップしていきます。

今回はNetflixで配信中、7月からは「+Ultra」枠でのTV放送もスタートする「GREAT PRETENDER」を取り上げます。「91Days」などで知られる鏑木ひろ氏が監督を務める、痛快クライム・エンタテインメントです。

こんなゲームファンにオススメ!

  • 「逆転裁判」シリーズや「ネットハイ」など、エピソード単位で楽しめるアドベンチャーゲーム
  • 「グランド・セフト・オート」シリーズなどに代表されるクライムアクションゲーム

第12回「GREAT PRETENDER」

「GREAT PRETENDER」は情報量が多い。「エデンの東」「有頂天家族」の系譜の上に、80年代のイラストテイストを加えたカラフルな美術がまず饒舌だ。さらに、キャラクターのアップの時、口角の窪みが描かれるのも、ささやかに見えて画面の印象的なポイントになっている。だがなにより、そのストーリーに情報量が盛り盛りなのだ。

本作は信用詐欺師たちの活躍を描いている。日本一の詐欺師を自称する枝村真人(あだ名はエダマメ)に加え、“金髪クソ野郎”のフランス人ローラン、秘められた過去を持つ少女アヴィー、大酒飲みの美女シンシアの計4人が、世界のあちこちで仕事をする。

本作は数話で1エピソードが完結するスタイルで、「+Ultra」枠でのTV放送だけでなく、エピソードごとにまとめてNetflixで配信している。現在は、ロサンゼルスでマフィアを騙そうとするCASE1「Los Angeles Connection」(全5話)、中東出身で航空レースを牛耳る兄弟を狙うCASE2「Singapore Sky」(全5話)、ロンドンで名画を巡って横柄なオークショニアをはめようとするCASE3「Snow of London」(全4話)の3エピソードが公開されている。

本作は、どんなふうに情報量が多いのか。例えば第1話はオープニング直後から、老人を浄水器で騙し、外国人旅行者をカモにしようとするというエダマメのいつもの仕事ぶりをみせる。にもかかわらず、開始から10分経たないうちに舞台はロサンゼルスへと移っているのである。このスピード感が気持ちいい。スピード感があるということは、それだけ1話あたりに詰め込まれる情報量も多いということだ。第1話のラストでは、(いろいろあって)エダマメが「HOLLYWOOD」の看板に逆さ吊りにされたところまでが描かれる。

さらに詐欺が始まれば、スピード感の中に緊張が加わる。相手をはめようとする時のアドレナリンが出る緊張感と、思惑がはずれてピンチになった時の冷や汗が出る緊張感。この二種類の緊張感が、ホッとする一瞬を挟みながら、入れ替わり立ち替わり描かれて、視聴者を飽きさせない。スピード感のある展開と、緊張と緩和のサイクルのジェットコースターが見事に組み合わさって、本作はなかなかクセになる作品に仕上がっている。

しかしどうして、信用詐欺の物語が視聴者の心を掴むのか。それは詐欺師たちがカモの「人間らしい欲望」を浮き彫りにしするからだ。どんなに恐ろしそうでも、気取っていても、心のなかには誰もと同じ欲望がある。視聴者は詐欺師たちによって露わにされたその欲に共感し、その共感があるかこそ、失敗した姿を「ほらいわんこっちゃない」と上から目線で笑ってしまえるのだ。そして本作に登場するカモたちはどれも、エダマメたち以上に、個性的で味がある。

公式サイトの「INTRODUCTION」を見ると、シンガポールの後は、上海と東京が舞台になるようだ。果たして来たるべきCASE4では、どんな相手をどんなネタでカモるのだろうか。

「GREAT PRETENDER」公式サイト
http://www.greatpretender.jp/

藤津亮太(ふじつ・りょうた)

アニメ評論家。1968年、静岡県生まれ。雑誌・WEB・BDブックレットなど各種媒体で執筆するほか、朝日カルチャーセンター、SBS学苑で講座を担当する。著書に『「アニメ評論家」宣言』(扶桑社)、『チャンネルはいつもアニメ―セロ年代アニメ時評―』(NTT出版)、『声優語~アニメに命を吹き込むプロフェッショナル~』(一迅社)、『プロフェッショナル13人が語るわたしの声優道』(河出書房新社)などがある。毎月第一金曜日には「アニメの門チャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/animenomon)でアニメの話題を配信中。

告知

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