アドベンチャーゲーム「Hookah Haze」をレビュー!シーシャとアクアリウムを通じて描かれる14日間の人間模様

プレイレビュー
0コメント 夏無内好

2024年7月11日よりNintendo SwitchおよびSteamで配信される「Hookah Haze」の先行レビューをお届けしよう。

短い余生を楽しむべく、主人公はシーシャとアクアリウムをテーマにした店を構える

長い闘病生活で生きる気力を失っていた炭木トオルは、ある日医師の提案で、自身の趣味であるシーシャの店を秋葉原に開くことになる。店を経営できる期間は、病気を抑えるために処方してもらった薬の数と同じ14日。わずかな時間のなかで、トオルは自分の店を訪れるヒロインたちと出会い、シーシャを提供しながら彼女たちとの会話を通して悩みや過去を聞き、その本心に触れていく。

アドベンチャーゲーム「Hookah Haze」をレビュー!シーシャとアクアリウムを通じて描かれる14日間の人間模様の画像
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シーシャとはいわゆる水タバコで、受け皿の上で原料を熱して発生した煙を、水を使ってろ過した後に吸って楽しむ嗜好品のこと。トオルの店のHookah Hazeでは、シーシャ台が並べられているのはもちろん、趣味のひとつであるアクアリウムも備えられている。店内は紫色を基調とし、かなり大人でゆったりとした雰囲気だ。

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本作はキャラクターたちのコミュニケーションが基本のアドベンチャーゲームなので、会話を中心にストーリーが進んでいく。会話を進める際の画面は、時折表示される1枚絵を除くと2種類あり、ひとつ目が画面下部にメッセージウィンドウが表示されるタイプ。そしてもうひとつが複数のウィンドウに区切られたタイプで、これがなかなか印象深い。

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まず画面中央にメッセージウィンドウがあり、その上と左右にキャラクターたちがひとりずつ表示される。発言者に応じて、メッセージウィンドウの一部が突出することで吹き出しになり、上と左右のいずれかに伸びていく。メッセージウィンドウが吹き出しを兼ねているというのは、コンパクトであり個人的におもしろい仕組みだった。なお、メッセージウィンドウの上と左右にいるキャラクターはほぼ固定されていて、基本的には左の枠にトオル、上と右にはヒロインが配置される。

トオルの枠のさらに左にはアクアリウム、その上には経過した日数と、画面全体の枠の色や輝度を変えるためのボタン表示。ヒロインたちの枠を超えていちばん右上には、街を映したモニターがある。画面下にはトオルのタブレットと、現在店内で流れている音楽(ゲーム内BGMを兼ねている)が分かるようになっている。

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各ウィンドウは店内やキャラクターの一部を映しているに過ぎないものの、それぞれを見ていくと、店の構図や雰囲気、登場人物たちの状況などがそれとなく想像できるようになっている。枠が仕切りとネオンサインの役目を果たしているという演出の良さと、メッセージウィンドウと吹き出しの融合、区切られた複数の枠で店内の状況を想像させる工夫は、機能美と演出を両立させていてすばらしいと思った。

人懐っこいコンカフェ店員にお姉さんタイプのショップ店員、マイペースな人形作家と、個性豊かなヒロインがそろい踏み

トオルの店に訪れるヒロインは、愛上あむ、明月院こころ、古森くるみの3人。彼女たちは仕事も違えば、生い立ちや境遇もまったく違う。

愛上あむ
愛上あむ

愛上あむは秋葉原のコンセプトカフェの店員で陽気かつ人懐っこい性格。明月院こころは落ち着いた雰囲気を醸しているお姉さん系といったところ。古森くるみは人形を手がけるクリエイターであり、興味のあるものや場所を見つけるとすぐに熱中する性格だ。三者三様といっていいくらいにそれぞれ見た目や性格、話し方も違うため、作中で一度会えばすぐに覚えられる。

明月院こころ
明月院こころ
古森くるみ
古森くるみ

ヒロインたちと会話を重ねていくと、彼女たちが抱える悩みや過去が少しずつ垣間見えてくる。あむは相手をその気にさせてしまう危うげな接客してトラブルに巻き込まれ、こころは大きな音にひどく怯え、くるみは自分と周囲との違いを気にしている。ゆったりとした雰囲気のなかでストーリーを進めていく本作だが、ヒロインによっては深刻なテーマを扱っていることもあり、そのギャップには驚かされた。とはいえ、びっくりするようなホラー的な演出はまったくないので、そこは安心していい。

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詳しいことは後ほど書くが、本作ではヒロインごとにルートが用意されている。相手との会話をこなしていくとあるタイミングで選択肢が表示され、どちらかを選ぶと対象の個別ルートに進むという仕組みだ。要は心に決めたヒロインとの会話を優先すればいいだけなので、特殊なアイテムがないか探したり、こまめにセーブデータを作る必要もない。分岐の仕組みがシンプルで手軽に楽しめるのも個人的にはポイントだった。

ヒロインの好みに合わせてシーシャをブレンド。組み合わせで来客も変わる

本作のシステムの核とも言えるのが水タバコのシーシャ。ヒロインとのコミュニケーションでもっとも重要な要素と言っていい。

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まず14日間という限られた日数のあいだ、毎日の始めにはプレイヤーは宣伝のため、レシピを考案済みのシーシャをSNSの“Hookah LINK”に投稿する。このオススメとして投稿したシーシャのフレーバーを好きなヒロインが、その日に必ず来店するようになっている。つまり特定のヒロインの好きなフレーバーのシーシャを毎日投稿すれば狙った相手の話を進めやすくなり、個別ルートにスムーズに移行できる。シーシャのフレーバーには「フルーツ」、「スイーツ」、「ドリンク」、「スパイス」、「ナッツ」の5種類があり、あむはスイーツ、こころはスパイス、くるみはナッツが好みだ。

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シーシャにブレンドしてほしいフレーバーについて、来店したヒロインからさまざまな要望がくる。その後はシーシャのフレーバーを組み合わせる段階になり、5種類のフレーバーから3つを選ぶ。選んだ組み合わせは未登録なら新しいレシピとして記録され、以降はブレンドする際の画面右にあるレシピの一覧からいつでも確認可能、“QUICK MIX”を選べば一瞬でそのレシピを作れる。どのようなフレーバーを組み合わせるか最初は戸惑うことも多いが、基本的にはヒロインごとの好きなフレーバーを必ず1種は入れておけばいいだろう。

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会話を進めていくと、シーシャの温度を調節するために炭を交換する場面が来る。用意されているのは最大5個で、最低でも1個は必ず入れなくてはならない。投入する炭の数に応じてシーシャの煙は味が変わるため、同時にヒロインたちの反応も変化。相手の要望に沿うよう炭をうまく交換するのが目的だ。

フレーバーを組み合わせるときのような明確な指標はないが、炭を交換する際はトオルが目安を教えてくれる。「火力を落とそう」、「この状態をキープ」といった言葉に注目すれば、最適な数はかんたんにわかる。

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ちなみに、毎日の始めにSNSへ投稿するレシピに応じて、その日に来店するヒロインが変わるのはすでに書いた通りだが、これを利用すれば、来てくれるヒロインが2人になることもある。例えば、スイーツとスパイスのフレーバーを組み合わせたレシピをSNSに投稿すると、その日はスイーツが好きなあむとスパイス好きのこころが来店する。

ヒロインの組み合わせによって専用の会話が発生するので、個別ルートが見たいヒロインの好みに加えて、ほかの女性の好みを入れた組み合わせをあらかじめ用意しておくのがオススメ。並行して進められるのでゲームのテンポは損なわれず、かつ新しい会話も加わって、メインとして選んだヒロインに対する思い入れや理解も増すはずだ。

各ルートはクリアに約3時間前後。全体を通して世界観に深みがでる仕掛けに

今回のレビューにあたってルートは一通りプレイした。それぞれ3時間前後でクリアできるくらいボリュームはコンパクト。本作は選択肢などに応じて結末が変わるマルチエンディングだが、制覇するにしても20時間はかからなさそうだ。そのうえで言えるのは、すべてのストーリーを読んだほうがいいということだ。

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3人のヒロインたちが抱える思いや悩みを知り、理解して道を示してあげるのが個別のルートにおけるトオルの役目なのだが、いずれかのルートをひとつ攻略するだけでは、トオル自身の背景や過去は曖昧なままになる。とくにあむのルートでは、トオルの取った行動には個人的に衝撃を受けた。

1日経つごとに日付が変わる演出が入る。右の錠剤がひとつずつ減っていく演出が痛ましい
1日経つごとに日付が変わる演出が入る。右の錠剤がひとつずつ減っていく演出が痛ましい

達観したような姿勢でいるのはなぜなのか、患っている病気は、14日を過ぎたらどうするつもりなのか。本作を始めて間もないころに生じるであろう、プレイヤーのトオルに対するさまざまな疑問は、ルートをこなすごとに解決していくはずだ。3人のヒロインだけでなく、トオル本人の話をもって本作は完結すると考えている。

舞台となる秋葉原を揺るがすとか、人知れず巨大な陰謀が渦巻いているとか、そうした壮大なスケールは別にない。裏を返せば、変に話を広げすぎることもなく、4人それぞれにまつわる個人的な話としてまとまっている。ルートはそれぞれ3時間前後でクリア可能というコンパクトさでありながら、伏線もしっかり回収されていく。迎えるエンディングにもよるが、内容によってはヒロインたちが前を向いて進んでいく王道的な展開もあり、いずれのルートも純粋におもしろかった。

シーシャとアクアリウムを掛け合わせるという、ゲームとしては斬新な設定が根底にある本作。魅力的な3人のヒロインや、店を構えたトオルの過去や境遇がカギとなるストーリーが楽しめるほか、枠を利用した演出やデザインによるおしゃれな雰囲気に浸ったり、フレーバーを組み合わせてオリジナルのシーシャを作ったりといった楽しみもある。いわゆる“雰囲気ゲー”やアドベンチャーゲームが好きな人は、自信をもってオススメできる1作だ。

※画面は開発中のものです。

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