「学マス」の細かな演出は工夫の賜物だった!制約がある中で生み出された親愛度コミュ、初星コミュの制作フローを解説【CEDEC2025】

CEDEC2025
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7月22日~24日にかけて、パシフィコ横浜 ノースにて開催のゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC2025」。7月24日に行われた「『学園アイドルマスター』のコミュができるまで ~制約の中で光る演出術と制作システムの工夫~」の内容を紹介する。

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「学園アイドルマスター(以下、学マス)」を開発するQualiArtsより、スクリプターの宇野雅視氏、3Dモデル・3D演出ディレクターの杉村貴之氏、テクニカルアーティスト室 Unityエンジニアの山城悠太郎氏が登壇した本セッション。「学マス」の魅力の一つであるコミュ(いわゆるストーリー)の制作に関わる要素を詳細に解説していった。

(左から)宇野雅視氏、杉村貴之氏、山城悠太郎氏
(左から)宇野雅視氏、杉村貴之氏、山城悠太郎氏

本セッションの内容を紹介するにあたり、前提として認識いただきたいのが、「学マス」では大きく2つのコミュが用意されていること。ひとつはメインストーリーにも紐づく、縦画面で楽しめる「親愛度コミュ」、そして「学マス」の世界観を知るための導入にもなっている横画面の「初星コミュ」だ。

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この2つのコミュはそれぞれ制作体制を分けており、前者は比較的短いサイクルで実装されており、後者はある程度の期間を設けて実装されている。ただし、いずれもQualiArts内製のストーリーパート演出ツール「Uguiss」を使用している点は共通している。以降は、同ツールの使用を前提とした内容となるので、留意しておいてほしい。

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まず宇野氏から紹介されたのが縦画面コミュの制作手法について。親愛度コミュに代表されるように、メインゲームであるプロデュースの中での発生を想定している縦画面コミュは、リリース時点でも800話以上に及ぶボリュームがあったそうだが、2025年7月時点ではすでに2,000話を超えるボリュームになっているそう。単純計算では月間で100話以上のペースで実装されていることになる。

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それだけの物語を提供するにあたって掲げているのは、高いクオリティを担保すること、そしてコンスタントに提供することだという。これらは相反するものとなっているが、それを実現するために行っているのが、基本的な仕組みづくりによる省力化と、物語とアイドルを引き立たせる細かな工夫だ。

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縦画面のコミュにおいては基本的にカメラを固定し、寄りと引きで表現。また、立ち位置も固定しており(画面のように通常身長と高身長で比較すると分かりやすい)、複数人の場合は背景に対する基準位置を決めることで対応しているそう。

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そうした効率化の一方で、個々のアイドルの魅力・個性を引き立たせるような演出を随所に用意。分かりやすいところとして、姫崎莉波が膝枕をするシーンや、十王星南がアイドルとしての能力を測定するシーンなどが挙げられた。

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続いては、杉村氏から横画面で楽しめる初星コミュに関する制作エピソードが語られた。繰り返しになるが、初星コミュは「アイドルマスター」シリーズ初となる学園を舞台とした作品である本作の世界観などを分かりやすく伝えるパートとして制作されており、全66話で総尺5時間ほどのボリュームとなっている。

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その大きな特徴となるのが、アニメのような感覚で見られるストーリー体験であること、そしてシナリオの魅力を可能な限り映像化すること。同じく同社が手がける「IDOLY PRIDE」も同様の仕組みを持っているが、Uguissは主に3Dモデルの立ち絵を使用することを想定して組み上げたツールであり、初星コミュの制作においては、描画可能な人数が3人までであること、プロデューサーの姿や描写を絡めた演出ができないこと、短い汎用モーションのつなぎで演技を構成することなど、いくつかの制約があったという。

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そのような背景の中、どのように初星コミュが作られているかのフローを紹介。最初期は絵コンテとMayaでのVコン(※ビデオコンテ)を制作してからボイス収録、その後Uguiss上に実装するという流れをとっていたそうだが、移行時に流用ができずに二度手間になってしまうことから、現在ではUguiss上でVコンを制作してアフレコを行い、収録したボイスを含めた最終調整を行って完成、というフローになっているそう。初星コミュは制作の立ち上げが遅く、リリースまで1年ほどのところからスタートしているということで、制作における試行錯誤が伺える。

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クオリティを上げていく中でコンセプトとして掲げているのが、伝わる演出を心がけること、そしてテンポの良さを大事にすることだという。前者ではシナリオの中身や意図が明確に伝わるかを意識しており、セリフ以外の情報量が少ないテキストの中からも内在的な狙いなどを汲み取って映像化していくそうだ。

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そして後者では冗長さを感じさせない、ぐいぐい展開していくシナリオにすることで、テキスト自体のコメディとしての軽快さを表現でき、合わせてアニメ映像としての間の使い方などの情緒も表現できる。

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ここからは実際の映像を交えながら演出上の取り組みを紹介。演技で見せられる部分は表現の幅が決まっていることもあり、そこをカメラ演出で補うことによって演出的な意図を持たせているという。セッション内では花海咲季と藤田ことねが交互にダンスを踊るシーンで、ことねのダンスに躍動感を生み出すカメラ表現などが紹介された。

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また、会話の間を調整することでコメディのテンポ感を出したり、月村手毬がトレーニング時に内省する時に別カットを差し込んだり、咲季が用意した食事を手毬を思い返す際に実際の食事を差し込んだりと、単純な演技だけではない仕掛けが施されていることが解説された。

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そのほかにも、妹である花海佑芽に負けた咲季をより印象的に描写するための細かな演出変更、佑芽・秦谷美鈴・星南の3人の掛け合いにおける、後半のオチを引き立たせるために結束感を感じさせるような位置関係の演出などが紹介された。

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こうしたUguiss上での取り組みに加えて、一部のカットシーンではより自由度の高いカメラワークを活かすため、Mayaを用いて専用の演技を収録するようなケースも。また、PVやCM映像の制作におけるUguissの活用例も紹介された。

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セッションの最後に山城氏から紹介されたのは、上記を踏まえたUnity上での制作ツールについて。こちらは技術的な要素を多分に含むため、概要程度に留めて紹介する。

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先述の通り、「学マス」のコミュは大きく2種類となるが、それぞれに映像再生方式(横画面)、インタラクティブ方式(縦画面)の再生方法が採用されている。

映像再生方式は自動で進行する特徴を持っているが、その一方で、リアルタイムレンダリングで動画としては書き出さないかたちになっており、シーク操作にも対応している。一方、インタラクティブ方式はプレイヤーによるタップでの進行が基本となる。

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それぞれの形式で開発実績があり、なおかつ性質上2つの仕組みの相性が良くなかったことから、当初はそれぞれを別のシステムとして実装する方針だったそうだが、スクリプト制作者の負担の大きさや開発効率のほか、初星コミュには分岐が存在することも課題となり、結果的にタイムライン方式を採用しつつもインタラクティブな挙動を実現する仕組みで制作環境を統一したそう。

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実際に編集をサポートするツールとしてグリッド表示やゲーム画面上でのカメラ調整などが実装されており、確かに使いやすそうだと感じた。そのほかにどのような機能を備えているか気になる人は、8月4日10時までタイムシフト配信が行われているので、チェックしてみてはいかがだろうか。

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CEDEC2025公式サイト
https://cedec.cesa.or.jp/2025/

CEDEC2025特集

2011年イクセル入社後、Gamerをはじめとした媒体の運営に携わる。好きなジャンルはRPG、パズル、リズム、アドベンチャー(ほぼギャルゲー)。実はゲームよりもアニメが大好きです。

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