ガンホー・オンライン・エンターテイメントから発売予定の「LET IT DIE: INFERNO」のエキセントリック・プロデューサーであるアンクル・デス氏と、ディレクターの新英幸氏へのインタビューをお届けする。

2016年に第1作、2022年には第2作「DEATHVERSE: LET IT DIE」がリリースされた「LET IT DIE」シリーズ。今回発表された「LET IT DIE: INFERNO」は、シリーズ第3作となる完全新作で、ローグライクなサバイバルアクションを踏襲しつつ、「DEATHVERSE」のPvP要素も盛り込んだ作品だ。
なおアンクル・デスは、「LET IT DIE」シリーズを通して登場する謎のナビゲート役のキャラクター。今回インタビューさせていただいた、本作のエキセントリック・プロデューサーであるアンクル・デス氏も、同様に謎に包まれた人物となっている。

「DEATHVERSE」を作り直すのではなく、完全新作として開発
――まず、開発の経緯をお聞かせください。
新英幸氏(以下、新):もともとは、「DEATHVERSE」を作り直そうとして立ち上がったプロジェクトでした。ただ、修正して再度リリースしようと開発を進めていた時、「それで本当に面白いゲームになるのか?」という議論になったんです。だったらもう最初からフルスクラッチで作った方がいいだろうという判断になりました。
なので、本作は「DEATHVERSE」とは完全に別のシリーズ第3作として一から開発し直したタイトルになっています。
もともと、「DEATHVERSE」のサービスが終了になったのには、即時解決の難しいネットワークの問題が根深く関わっていまして、どうにかしてその不具合を直すことに労力をかけるよりは、いっそ最初から作り直した方が良いゲームが作れるだろうと。
アンクル・デス(以下、アンクル):結果的には「DEATHVERSE」を闇に葬るような形になってしまったのですが、あの開発の時間がすべて無駄になったというわけでは決してないです。
「DEATHVERSE」で良かった要素はしっかりと本作にも残していて、目指したところとしては、初代「LET IT DIE」と「DEATHVERSE」のいいところ取りだったんですが……。
新:まさに「地獄の開発」と呼ぶに相応しい大変さでした(笑)。

――では、開発は「DEATHVERSE」が終わったあとにすぐ?
アンクル:そうですね。「そっちで行くぞ」と決めてからはすぐに開発に取り組んでいました。
メインはPvEで、PvPはやりたい人だけがやる作りに
――では、今回「PvPvE」というゲームジャンルを選ばれた理由を……。
アンクル:いや、そこは訂正させてください。本作の目指すジャンルは「PvEvP」……ないし、「PvEvちょっとP」みたいなところなのでね。
――PvP要素はさほど強くなく、PvEが主な遊びということですか?
アンクル:はい、メインはPvEになります。PvPは嫌がる人も一定数いるのは分かっているので、避けられるように工夫しています。
たとえば、本作ではレーダーを使えば人の接近を感知できるようになっていて、逃げることもできる。ゲームの目的は他のプレイヤーを倒すことではなく資源を持って帰還することなので、脱出できればそれでいいんです。逆に「やるぞ!」と挑む人は挑めばいい。ハイリスク・ハイリターンにしたい人もいれば、避けたい人もいる。そこはプレイヤーが選べるようになっています。
――確かに、日本のプレイヤーはPvPは苦手という人も多いのではないかと思います。
アンクル:僕も、リアルでは喧嘩っ早くてすぐ手が出るタイプなんですけど、オンラインだとすごく温厚だと言われるんですよ。マルチプレイで協力するときなんかも、「行きたいところありますか?」とか「どこでもいいです」とか、口調も丁寧になるので(笑)。
新:リアルのPvPは好きだけど、オンラインPvPはあまりやらないっていう(笑)。
アンクル:そう。リアルでは熱くなるけど、オンラインでは本当に礼儀正しい人になるくらいなので、PvPが苦手な人たちも気持ちは分かるんですよ。
――その上で、PvE要素を組み込んだのはどういった理由だったのでしょうか。
新:そもそも、「PvEを作ろう」とか「PvPをやろう」という発想からスタートしてないんです。「LET IT DIE」らしさを表現するために必要な要素を突き詰めていったら、結果的にPvP要素も入っていた……という流れです。
結局は「笑わせてなんぼ」「驚かせてなんぼ」というのが「LET IT DIE」らしさと思っていて、そのノリやテンションを表現するのに「理不尽さ」も欠かせなかったんです。
アンクル:初代「LET IT DIE」の時も海外のお客さんから「頭おかしい」「クレイジーだ」と言われて、それがむしろ快感でしたからね。
なのでその「イカれ具合」みたいなところはしっかり出していこうと。アイテムを整理してる間もゲームの進行は止まらないので、敵に襲われることもあるかもしれない。プレイヤーはそれに「ふざけんなよ」と憤るかもしれませんが、世の中なんてだいたい理不尽ですからね。

「理不尽さ」こそが「LET IT DIE」
――「LET IT DIE」らしさについて、もう少し詳しくお話いただけるでしょうか。
新:従来の作品から引き継いでいるのは“バカっぽさ”。他のゲームにはない雰囲気は健在で、さらに強化しています。理不尽さも増していますね。
アンクル:前作はハクスラ要素が強めでしたが、今回は「プレイヤー自身の成長要素」を強化していて、死んだらロストはするんですけど、ある程度それまでの積み上げは残るようになっています。
今まで、武器の耐久も結構鬱陶しかったと思いますが、今回は装備が壊れなくなりました。
――話を聞いていると、むしろ快適になったのかなという印象すらあるんですが、「理不尽」というのはどのあたりに起因するんでしょうか。
新:死んだ瞬間に問答無用でロストすることです。「LET IT DIE」の時は、死んでもアイテムはその場に残っていて、回収し直すことができたんですけど、今回はロストしたアイテムを取り戻す手段は基本的にないです。
とはいえ、さすがに全部を失うのは心が折れてしまうと思うので、絶対になくしたくないアイテムについては、セーフボックスに入れておけば残るという保険は用意しています。
死んだ時点で自分の身体も全部なくなるんですけど、自分の精神的な部分の経験値として、「ボディマスタリー」というスキルと、そのスキル解放に使う「マスタリーポイント」は残ります。なので何回も死にながら、少しずつ自分を強化して繰り返し遊んでいただく……みたいなサイクルを想定しています。
アンクル:一言でいうと、「死ぬほど強くなるゲーム」がキャッチコピーなんですよ。まぁ、今日ミーティングで思いついたばかりのものなんですけど(笑)。
ローグ系にしても、最近はローグライトって言葉も出てきて、どういうゲームなのかをパッとイメージしづらくなってきてるじゃないですか。何回も死にながら少しずつ積み上げていくゲームジャンルをもう少し分かりやすく説明したいんですよね。
そのあたりの時短だったり救済の措置として、スタンダード、デラックス、アルティメットの3つのエディションを用意していて、プレイの途中からでもアップグレードしてエディションを切り替えられるようにハイブリッドな課金モデルを導入しています。
――3種のエディションには、どのような違いがあるのか教えてください。
新:スタンダードから上位のものになるにつれて多くの選択可能なボディ、アクセサリーが開放され、探索に役立つアイテムも支給されます。
またデラックス以上では、フレンドとプレイ可能なデスマッチ「デスジャンボリー」を開催する権利を得ることができます。
――それ以外に課金要素はあるのでしょうか?
新:追加課金によってボディやアクセサリー、専用アイテムの購入、アイアンパーチという拠点での+α増強等が行えます。
――「LET IT DIE」はZ指定でしたが、今回はCEROのレーティングはD相当になったんですね。
アンクル:レーティングが「LET IT DIE」の時に一番大変だったポイントでして、日本のプレイステーションでZ指定のソフトをDLしてもらうには、クレジットカードの認証が必要になるんです。そのため、日本だけクレジットカードで100円で購入していただくという販売形式を取らざるを得なくなり……現在「LET IT DIE」って全世界の累計で900万くらいダウンロードされているんですが、その9割近くがアメリカという比率になっています。
なので今回は、レーティングを下げてでも、もう一度日本でちゃんとローンチしようと。欠損などのゴア表現は少し減らしましたが、ノリの良いアクションはしっかりと残しているので、「LET IT DIE」らしさは損なわれていないと思います。
15分以上の連続プレイは精神が持たない!?
――本作では、新たに「地獄門」が主な舞台となっていますが、基本的には「LET IT DIE」と同じ世界と考えても良いのでしょうか?
新:はい、今までのものをゴリゴリ引き継いでいます。「LET IT DIE」で上に登ることはやりきったので、次は下に行こうと。プレイヤーが見たことのないような地獄を舞台にしようというところから始まっています。
アンクル:プレイヤーは、その「地獄門」の中にある資源を集めて持ち帰る、いわばトレジャーハンター的な活動をしているイメージです。一方、「ヨツヤマ」という企業が「地獄門」の資源を独占しようともしているので、それに抗うレジスタンス的な立場でもあります。
――プレイヤー(主人公)の目的は何になるのでしょうか。
新:「地獄門」の最奥に眠る、「死神の目」と呼ばれる、伝説のお宝を手に入れることです。「死神の目」には、世界のエネルギー問題を一発で解決できるほどのエネルギーが秘められている……とされています。
――過去作のキャラクターも登場しますか?
新:過去のキャラクターがそのまま出てくることはありません。……が、しっかりと世界観は引き継いでいるので、知っている人ならすぐに「これってあれだよね」と気づいていただけると思います。
――舞台が「地獄門」になったことで、ゲーム性への影響はありましたか?
新:先に舞台があったのではなく、純粋に「どう遊ばせたいか」を優先してゲームデザインを考えていて、今回は“死んだら終わり”というシステムに適していた舞台として「地獄門」が作られたという流れでした。
「LET IT DIE」の塔は、細かい階層を少しずつ上っていくような形式でしたが、今回は主に大きく3つの階層に分けられる構造になっています。各階層内で、枝分かれする細かい階層はありますが、縦ではなく横に広がったとイメージしていただくと良いのかなと。

――エンドコンテンツ的な要素はあるんでしょうか?
新:エンドコンテンツとはまた違うかもしれませんが、一回の探索でどこまで深く潜れるのか、というのはチャレンジとして楽しんでいただけると思います。
装備品や敵との出会いは完全にランダムで一期一会なので、プレイするたびに変わる環境の中で、臨機応変に探索を進める必要があります。前回と同じプレイにはまずならないので、何度も繰り返し遊んで楽しんでいただけると思います。
――1回の探索時間の目安はどれくらいなのでしょうか?
新:探索には制限時間があり、大体1プレイ15分ほどを想定しています。
――思っていたより短いですね。
アンクル:地獄なので、むしろそれ以上の時間は精神的に持たないんですよ(笑)。ゲームの進行が止まらないので、一回始めちゃったらおちおちトイレにも行けなくなる。帰還するにしても途中で死ぬにしても、一旦一息つくタイミングは必要なのでね。
ただ、1プレイが短い分、そろそろ止めようかなと思っても「もう一回」と続けてしまうところがあって、なかなか時間泥棒的なゲームになっていると思います。
新:まぁ、そうやって「あと一回」とやったところで死んでロストしちゃったりもするんですけど(笑)。
TGSでは、「おもてなし」と「地獄」の2種類の試遊台が
――「LET IT DIE」や「DEATHVERSE」で得られた反応から決まった要素はありますか?
アンクル:やっぱり、シングルプレイの「LET IT DIE」がやりたいっていう声が多い一方で、「DEATHVERSE」みたいな対戦がやりたいという声もいただいていて……それらは、同じシリーズなのに相反するものでした。
PvEをやりたい人にとって、PvPがあると嫌なのは分かるのですが、それが生み出す面白さも間違いなくある。そこをいかに融合させるか……というのが課題でした。
――冒頭でPvPを避けられる、という話もありましたが、もう少し詳しく教えていただけるでしょうか。
新:まず、「LET IT DIE」や「DEATHVERSE」から踏襲している点として、攻撃手段は基本的に近接アクションになります。その上で、本作はレーダーが見れるようになっていて、敵の位置や重要アイテムのおおよその方向が分かるようになっています。
アンクル:例えば、脱出ポッドの近くに人の反応があれば、待ち伏せされている可能性が高いですよね。脱出ポッドは複数個所にあるので、別の脱出ポッドを使うように帰還ルートを変えたり、避けようと思えば結構簡単にPvPは避けられるようになっています。

――なるほど。近接攻撃が主体だからこそですよね。シューターだと、視界外からいきなり撃たれて即死する……みたいなのも多いですし。
新:そうですね。先手をとってもシューターほど有利になるわけでもないので、初心者狩りが起きにくいような仕組みになっていると思います。PvPがやりたい人はPvPがやりたい人同士で戦っていただいて、PvEだけやりたい人はそちらに専念できる、両方のユーザーに楽しんでいただけるバランスにできたのではないかと思っています。
アンクル:お互い、あくまでも目的は資源を持ち帰ることなのでね。もしかすると、プレイヤー同士の共闘みたいなのも起こり得るかもしれません。
――システム的には、プレイヤー同士の共闘はあまり想定されていないのでしょうか?
新:不可能ではないです。フレンドリーファイアがあるので、他のPvEゲームのような共闘はできませんが、うまくコミュニケーションが取れれば共闘っぽいことはできると思います。ただ二人だと簡単に倒せたりするんで、共闘されすぎると、我々としては困る部分もあるんですが……(笑)。
アンクル:まぁ、そうやってがら空きになってる背中を見ると、つい殴りたくなっちゃうんですけどね(笑)。意図せず攻撃が当たっちゃったりもしますし。

――エモートはあるんでしょうか? それで他のプレイヤーに共闘したいという意思を伝えられたり……。
新:エモートはあります。……が、とてもそういう意図で使えるような生易しいものではないです(笑)。
アンクル:前提として、本作も「LET IT DIE」なのでね。エモートもいろんな意味で激しいアクションになってます(笑)。
――プレイヤーを倒す主なメリットは何になるのでしょうか。
新:他の人が集めた資源をそっくり奪えることです。他のプレイヤーも自分と同じように資源を集めているので、それをそのまま手に入れられるのは効率が良いです。ただ、当然逆に殺されるリスクもあるので……。
アンクル:ハイリスク・ハイリターンな択ですね。我々としても、ほとんどのプレイヤーはお互いを避けるだろうと予想しています。
ただ、奪った方が手っ取り早いと互いに判断するプレイヤーも必ず出てくるとも思っていて、どのくらいの頻度でPvPが起きるのかは、我々にもまだ読めていない部分ですね。
――左右での武器の使い分け、というのも今回の特徴だと思うのですが、具体的にどのようなメリットがありますか?逆に片手を開けたり、同じ種類の武器を持つメリットもあるのかなと。
新:左右武器の組み合わせにより、両手攻撃のモーションが変化しますので、色々な武器の組み合わせを楽しめます。また取得できるコアの効果により、「同じ武器種を両手で持っていると強くなる」、「左右で交互に攻撃するとダメージ増加」などの特殊な効果があったりもします。
――PS5とPC間のクロスプレイは可能ですか?
新:可能です。PS5/Steamのプレイヤーが入り乱れての探索、デスマッチ参加、チーム戦参加ができます。
――本作は、TGS2025のガンホーブースでも試遊出展されるんですね。
アンクル:そうですね。ただ、TGSで用意している試遊台は基本的に「接待版」です。製品版の難易度でそのまま出してしまうと、「無理!」となった人がブチ切れて、ブースが壊されかねないので(笑)。ゲームをほとんどやったことない人がブースに来ても楽しめるような、「おもてなし」用の難易度にしています。
ただ、「俺は接待なんていらん!」というゲーマーの方もおられると思うので、そういう方向けにはいろんな意味での”地獄”を体験できるハード版も用意しています。心臓に疾患とかあって、ペースメーカーをつけたりされてる方には、遠慮してもらった方がいいかなと思うんですけど……。
――つまり、「地獄」とはゲームの難易度的なところだけの話ではないと……。
アンクル:そう、体験型アトラクション的なブースになっているので。自分でも体験してるんですけど、毎回本当にやだなぁと思いながらプレイしてます。本当に辛いので……。
新:プレイしてる人を見てる側も辛くなるくらいです。ただ、痛いのが厳しいですっていう人向けに、ある程度威力を調整できるようにしていますので。
――威力! ……なんとなく、どういう意味での“地獄”なのかが分かってきました……(笑)。
新:ただ、“おもてなし”版の方はそんなことはないので! どうしても短時間の試遊だと、ゲーム本来の面白さである、探索と帰還を繰り返して少しずつ奥に進めるようになっていく楽しさを伝えられないので、まずは全体のシステムを一通り体験していただく方が良いのではないかと判断しました。
――最後に、プレイヤーに向けたメッセージをお願いします。
新:今回、「DEATHVERSE」を経た新しいゲームを出せることになりました。「LET IT DIE」を遊んでくれた方はもちろん、より多くの方々に楽しんでいただけるようになっています。ぜひ手に取ってください。
アンクル:今、新さんは「LET IT DIE」を遊んでくれた方~と言っていましたけど、実際に日本で遊ばれたことのある方は、相当少ないと思うので……(笑)。今回を期に、「そういうゲームがあったんだ」と名前だけでも覚えていただけたら嬉しいですね。
――ありがとうございました。

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