千葉・幕張メッセにて9月25日~9月28日にかけて開催された「東京ゲームショウ2025」。Selected Indie 80内にオーストラリアのインディーチーム ArkimAが開発したパズルゲーム「TopplePOP」が出展されていた。
従来のパズルゲームの概念を大きく変えるアプローチに!

Steamで早期アクセス中の「TopplePOP」。同作は ゴムバンドにぶら下がった動物アクロバットを操る、直感的な操作性と奥深い戦略性を兼ね備えたアーケードスタイルのパズルゲームとなっている。
「ぷよぷよ」や「テトリス」に代表されるような、いわゆる落ち物系のパズルゲームはそれ自体が完成された遊びに仕上がっており、ルールの拡張などはありつつも本質的な遊びに変化は起きていない。しかしながら本作は、明確に落ち物パズルとしてのフォーマットを大きく変えた作品となっている。
同じ色のブロックを4つつなげると消えるという点、連続して消すことで連鎖が発生するという点は大きくは変わらないものの、本作独自の特徴として挙げられるのが、バンジーのような物理的な挙動を取り入れていること。あえて操作感に制約があることで思い通りにいかないことが逆転の可能性にもつながってくるため、オフラインで遊ぶ際にはワイワイ言いながら楽しめることだろう。

また、ゲームの目的がグランブルブロックに閉じ込められた仲間を救出するというミッションクリア型になっているのも面白い(ただし画面上部の線を超えてしまうとゲームオーバー)。プレイした範囲だと一人が勝ち抜くというものではなく、成功するかどうかが基準になっているため、遊びとしてのハードルも低くなっている。


加えて、「ミューテーター」と呼ばれる特定のギミックを追加することも可能。これによってゲーム性が大きく変化し、遊び自体の拡張性も備わっている。

ちなみに、ブロックを落とす際にはキャラクターをスイングさせて該当の場所に向かうことになるのだが、その場から直接ブロックを投げるアクションも用意されている。こうしたギミックの一つ一つからは「ぷよぷよ」「パズルボブル」などにインスパイアを受けていることが感じられた。

本作は東京ゲームショウのインディーショーケース「Sense of Wonder Night」のファイナリスト8作品にも選出。Nintendo Switch版も2026年にリリース予定とのことなので、続報に期待しておこう。
最後に開発者へのメールインタビューを紹介。上記で触れた要素について、コンセプトや実装のアプローチが語られているので、そちらも合わせて参照してほしい。

開発者インタビュー
――本作を開発しようとしたきっかけや着想を教えて下さい。
オーストラリアで子ども時代を過ごしていた頃、日本からやってきたビデオゲームに出会いました。それが「ぷよぷよ」だったのですが、当時は日本語が読めず内容も理解できませんでした。ただ、友達よりも早く、そしておそらくアメリカの多くの人よりも早く「ぷよぷよ」の遊び方を覚えたのです。当時のオーストラリアにはあまりビデオゲームがなかったのですが、この作品は子ども時代を通して強く心に残り、友人たちと夢中で遊びました。
そうした経験から、日本のパズルバトルゲームが自分にとってビデオゲームを作る大きなインスピレーションになったと思います。大人になってインディーゲームを作れるようになった頃、友人のひとりが「Boxen」というゲームを作っていました。これは「ぷよぷよ」に似ていましたが、ブロックを直接動かすのではなく、ロープにぶら下がったサルを操作するゲームでした。同じ色を4つ繋げるのですが、マス目の上で動くのではなく、すべてが物理挙動で自由に動く、よりフリースタイルな遊び方だったのです。
さらに「ロケットリーグ」を遊んだとき、「空中での物理挙動の操作」がeスポーツ的な面白さにつながることに気づきました。そこで、自分の子ども時代のパズルバトルと、物理挙動や空中操作を組み合わせれば、とても魅力的なeスポーツが生まれるのではないかと考えました。これが「TopplePOP」を作るきっかけでした。
――落ちものパズルのアプローチの中で、バンジーという流動性のある仕組みを取り入れているのが面白いと思いました。このアプローチのきっかけや、ゲームとして成立させる上での取り組みをお聞かせください。
多くの対戦ゲームには、習得に時間がかかる高度なテクニックがあります。私たちは「誰でもシンプルな操作で遊べるけれど、上達すればeスポーツレベルで競える深みのあるゲーム」を作りたいと考えました。
従来のパズルゲームではプレイヤーが直接ブロックを操作しますが、「TopplePOP」ではあえて「キャラクターを操作する」という一段階離れた仕組みにしました。キャラクターは長いゴムバンドやバンジーコードにぶら下がっているため、物理挙動はときに難しく、あるいはカオスに感じられます。しかし練習とスキルによって自在に操れるようになり、そこに高度な競技性が生まれます。
また、抽象的なパズルボードではなく、現実世界風のステージで遊べる点も気に入っています。例えばビーチや都市、eスポーツスタジアム、寺院、森、氷山、火山内部など、多彩な場所でキャラクターを操作できます。キャラクターで探索する楽しさが加わり、各パズルに物語的な要素が生まれるのです。
さらに、本作の目的は「ブロックにされてしまった人々を救出すること」です。単に形を並べるのではなく、プレイヤーはヒーローとして救出任務に挑むわけです。
――対人戦を意識した設計になっているように感じますが、実際に大会などのコミュニティの動きが起こってくれることを期待しますか?
はい、もちろんです。パンデミック前まではローカル専用のマルチプレイゲームとして開発していて、友人たちとのテストプレイはとても楽しいものでした。しかしパンデミックが起き、開発をリモートで進める必要が出てきたことで、「オンライン対応が不可欠だ」と気づきました。開発のためにも、出版のチャンスを広げるためにも必要だったのです。
オンライン機能の実装には多くの労力を要しましたが、それによって私たちのテストコミュニティの中で、オンライン・オフライン・ハイブリッドを含めたeスポーツ大会を開催できるようになりました。
また、チームプレイを実現するために「2対2」の仕組みも導入しました。協力と対戦の両方を楽しめることで、eスポーツとして多くの可能性が広がると考えています。
――日本のユーザーにぜひアピールをお願いします。
私たちにビデオゲームを作るインスピレーションを与えてくださり、本当にありがとうございます。子ども時代に夢中になった大好きなゲームの多くが日本から生まれました。「TopplePOP」は「ぷよぷよ × ロケットリーグ」と表現している作品です。ぜひ一度遊んでいただければ幸いです。遊んでいただき、本当にありがとうございます!
※画面は開発中のものです。
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