KONAMIは、PS3/Xbox 360「ZONE OF THE ENDERS HD EDITION」に関連する新情報の発表の場として、5月25日東京・新宿バルト9にて、プレミアムイベント「ZONE OF THE ENDERS HD(はいだら)-NIGHT 宇宙最速~ReBOOT Preview~」を開催した。
目次
「Z.O.E HD EDITION」は、2001年にPlayStation2用ソフトとして発売され、爽快なアクションと奥深いストーリーで人気を集めたロボットアクションゲーム「ZONE OF THE ENDERS Z.O.E」と、2003年に同じくPlayStation2用ソフトとして発売された続編「ANUBIS ZONE OF THE ENDERS」の2作品が、より鮮やかなHD画質で1本のソフトとして楽しめるパッケージだ。
イベント当日は、本作および「Z.O.E」コンテンツに関連した新情報の発表のほか、本邦初公開の映像の上映など、話題性だけでなくファンも一体となって楽しめる内容となっていた。
「ZONE OF THE ENDERS HD(はいだら)-NIGHT 宇宙最速~ReBOOT Preview~」
開催日
2012年5月25日(金)
会場
新宿バルト9
出演
プロデューサー/小島 秀夫氏
メカニックデザイン/新川 洋司氏
脚本・ディレクター/岡村 憲明氏
脚本・ディレクター/村田 周陽氏
キャラクターデザイン・作画監督/西村 誠芳氏
クリエイティブプロデューサー/鳥山 亮介氏
アニメ監督/近藤 信宏氏
演出/山地 光人氏
ディンゴ・イーグリット役/井上 和彦さん
ケン・マリネリス役/雪野 五月さん
レオ・ステンバック役/鈴村 健一さん
エイダ役/芳野 美樹さん
司会・進行/DJ森一丁氏
「Z.O.E」シリーズ開発スタッフによるトークステージ
イベント全体が「Z.O.E」の世界観
「ZONE OF THE ENDERS HD(はいだら)-NIGHT 宇宙最速~ReBOOT Preview~」は、PS2「ZONE OF THE ENDERS Z.O.E」の発売から約11年を迎え、当時の作品のファン向けにイベント内容すべてが「Z.O.E」の世界観を楽しめるようなシアターイベントとなっており、開演前にはこのイベントのためだけに制作された独立型戦闘支援ユニット「ADA(エイダ)」音声による映画館マナー映像や、HD版の画質とシアターの大きな画面で放映された「ANUBIS ZONE OF THE ENDERS」のOP映像もファンを歓喜させた。
シリーズ開発スタッフが勢揃い「はいだらーーー!!」
続いて「Z.O.E」シリーズを手がけた、プロデューサー「小島 秀夫」氏、メカニックデザイン「新川 洋司」氏、脚本・ディレクター「岡村 憲明」氏、「村田 周陽」氏、キャラクターデザイン・作画監督「西村 誠芳」氏が勢揃いで登場し、もちろん会場と一体になって「はいだらーーー!!」を絶叫!その後さまざまな開発時のエピソードを語ってくれた。司会・進行はDJ森一丁氏。
――「Z.O.E」作品の誕生のきっかけとは?
岡村氏:自分は当時PS/SS「ときめきメモリアル ドラマシリーズ」の1・2作目を担当してまして…。
小島氏:岡村さんはその時「自分は天才だから3作目はやりたくない!俺にオリジナルをやらせろ!」と言っていたので、3作目をムラシュウ(村田氏)に頼んだら、それが一番面白かったんですよ(笑)。
岡村氏:だいたいそんな感じです(笑)。そして何を作るかもきちんと決まらないまま、迷走していたんです。1年くらい悩んで生まれたのが「九曜大戦」でした。平安時代の巫女キャラクターもので、シナリオも序盤の部分は完成していました。ある時小島監督に呼ばれて「何がしたいんや?」と聞かれ「ロボットアニメが作りたい」と伝えました。そして次に生まれたのが「アトランティス」なんです。この時点でレオとジェフティのイラストはできていました。
小島氏:岡村さんはずっとアニメを作りたいと話していましたね。
岡村氏:さらにここから仕切り直しをして違うものが生まれました。
新川氏:「アトランティス」のメカニックデザインの時点でかなり動いているものを見ることができたんですが、テストプレイをさせてもらいながら「このようにしたい」というイメージは持っていました。画面の右のデザインは学生時代の落書きです。
小島氏:実は面接の時にこのイラストを見ているんです。しかもその時のイラストの横にはすでにANUBISが描いてあったんですよ!
岡村氏:それでようやく作るべきゲームが見えてきたと。初期の頃のアイデアで「ビルの横に隠れる」といった企画もあったんですが、小島監督に「なんでロボットやのに隠れとんねん」と言われました(笑)。
小島氏:その時自分たちは横で「メタルギアソリッド2」を作っていたので隠れなきゃいけないのかと…(笑)。「METAL GEAR RISING REVENGEANCE」の開発チームも一時期そんなことを言っていました。
――主人公「レオ」と「エイダ」、そしてジェフティについて
岡村氏:とにかくロボットアニメを作りたかったことに変わりはありませんでした。「アトランティス」の時にも同じキャラクターが登場する別の物語を作っていたんですよ。その中での「レオ」はもう少し子供っぽく明るい性格、セルヴィスはもっと勝気でレオといつもケンカしていました。ヴァイオラは○ロンジョ様のようなキャラクターでコメディ色が強かったですね。
西村氏:ヴァイオラは当時のデザインを見てもすぐにヴァイオラと分かりすね。
――「ANUBIS ZONE OF THE ENDERS」で描きたかったテーマについて
小島氏:僕もそれ知りたい!(笑)
村田氏:当時僕は「Z.O.E」の西村さんのイラストがCGとして登場するデモシーンを制作していました。CGにすると多少不気味になってしまっていて(笑)。その後、ANUBIS開発チームに呼ばれ「ANUBISを倒せ!」と言われました。ANUBISを倒すことに必至だった開発チームでは、オープニング画面でSTARTボタンを押すとバックにいるANUBISが爆発してエンディング、といったヤバい企画もありました。最強のオービタルフレームの倒すジェフティをプレイヤーに体感させくて作りました。
小島氏:「メタルギアソリッド2」の開発が終わり、そのチームで「Z.O.E」を作ってみようと話が上がりました。
村田氏:それがものすごいスタッフで…。
小島氏:メタルギアソリッドは軍事色が強いので、新ちゃん(新川氏)も違うものがやりたいと。
新川氏:やはり方向性の同じものをずっと作っていると頭がこり固まってしまうというか。「Z.O.E」は本当に趣味なんです。
――主人公がレオからディンゴに変わった理由は?
村田氏:勝てるかどうかは…
会場:ランナー次第!!
村田氏:質問何でしたっけ(笑)?小島監督からANUBISを倒せといったオーダーと、「Z.O.E」を遊んだユーザーの意見を誠実に受け止め、しっかりと反映しなさいと言われていました。史上最強のオービタルフレームに立ち向かい、アクションでも「掴む」という過激なものもあったので繊細なレオに荷が重くはないのか、と考えていました。
西村氏:僕がANUBISチームに入った時には、政尾くん(政尾 翼氏)の原案がありまして、彼の絵をアニメ向けに直し、メカニックCGもアニメ寄りに加工ししていきました。バランス調整ですね。
村田氏:メカニックのレンダリングも何度もテストしました。最初は主線がクッキリ入ったいわゆる「トゥーンシェイド」タイプでしたが、イメージとしては30分アニメよりは、劇場版用を意識して調整して行きました。開発チームで西村さんのイラストを研究して色味などを作り上げました。
小島氏:ANUBISは本当に順調でした。自分は「メタルギアソリッド3」「ボクらの太陽」を開発していたので、野放しでした。当時恵比寿に事務所があったんですが、廊下を挟んで違う部屋だったので最後の方は会いませんでした。
村田氏:小島監督が来るときに「メタルギアソリッド」の最新開発映像を見せてもらうんですが、その後「なんであんなにスゴイんだろう…あれPS2だよね??」とチームは落ち込むんです。
小島氏:その秘密は「Z.O.E」で実験して、良かったら「メタルギアソリッド」で採用するからですよ(笑)。
――HD化となる両作品の思い出について
岡村氏:もう11年前となる自分の若いころの作品を見せられて恥ずかしいところもありますし、良く頑張ってたなとも思いながら現在デバッグ作業をしています。
村田氏:本当に綺麗になっているので楽しみにしていてください。
来場したユーザーからの質問
――ゲーマガ最終号の「Z.O.Eは最初はDreamcast向けだった」というコメントを読んで驚きました。PS2でZ.O.E誕生までの苦労話などありましたらお聞きしたいです。
小島氏:「メタルギアソリッド」が終わって、もう1ライン開発するということで「アトランティス」をDreamcastで進行していました。ちなみにアメリカのドラマ「アトランティスから来た男」で登場するパトリック・ダフィー演じる「マーク・ハリス」の海パンにあったうずまきのマークがDreamcastのマークに似ているということで開発が始まりました。そうこうしているうちにPS2が発表されましたね。
岡村氏:それを間違って聞いていて「アトランティス号みたいに」開発すると勝手に思っており、宇宙船アトランティス号をイメージしてお話を書いてしまいました。
小島氏:極秘のプロジェクトだったので…。他にも「レゾンデートル」や「メガドライバー」といった名称もありました。
――Z.O.EとANUBIS ZONE OF THE ENDERSの続き作品ですが、オービタルフレーム等デザインで注意や違いを見せる為に注意、心がけた点は?(金子一馬さんとのコラボの感想も教えて欲しい)
新川氏:僕は「Z.O.E」のまどろっこしい部分も含め好きだったんですが、ロボットアクションとしてのギミックを準備していました。現在のゲームのデザインは大枠を作って仮のポリゴンを貼り、動かして検証してみて、ゲームの武器を追加したい、など少しずつ積み上げていくやり方なんですが、Z.O.Eでは実現できなかったアクションや武装も、ANUBISでほとんど実現できました。金子さんとのコラボでは自分にないものでとても刺激になりました。
――ANUBISのレオは何故ハチマキをしているのですか?
西村氏:なぜなんですかね(笑)?原案の段階で「Z.O.E」より男らしく成長した、という意味でデザインされたらしいです。ただスネークとかぶっているので一度取ったらしいんですが、監督に戻されたみたいです。ただ、ハチマキは映像において有意義で、風になびいたりと感情表現を生かせるんです。でもレオはコックピットから出ませんよね…(笑)。
「Z.O.E」シリーズ声優陣が登壇!
開発スタッフによる爆笑のトークショウのあとは、「Z.O.E」シリーズ声優陣ディンゴ・イーグリット役「井上 和彦」さん、ケン・マリネリス役「雪野 五月」さん、レオ・ステンバック役「鈴村 健一」さん、エイダ役「芳野 美樹」さんが登壇した。
好きなキャラクターランキング
1位:ADA
2位:ディンゴ・イーグリット
3位:レオ・ステンバック
ユーザーが選ぶ「Z.O.E」シリーズ好きなキャラクターランキングが発表されると、僅差で4位となったケン・マリネリス役の雪野さんは「大歓声で登場したのに…はいだらーーーーー!!」と怒りの叫びを会場にふりまいた。
乗ってみたいオービタルフレームランキング
1位:ジェフティ
2位:アヌビス
3位:ビックバイパー
声優陣は「ビックバイパーってオービタルじゃないんじゃない?」とざわめき、4位にADAがランクインしていることも「適当でしょ?」とコメント。
ユーザーからの質問
――井上さんに質問:好きなディンゴのセリフはなんでしょうか?
井上さん:はいだら…。やはり「動けェーーー!」ですかね。あとは「金と力は正しいことに使え…」ですね。当時この仲間で収録したことはとても楽しかった思い出ですね。
――芳野さんに質問:ADAを演じておられる芳野さんは、ディンゴとレオではどたらが好きですか?
芳野さん:じゃあZ.O.Eのヘタレな方で…(笑)。
――鈴村さんに質問:様々な戦闘機乗りを演じておられますが、往年の名機であるビックバイパーのランナー役の決まった当時はどういった心境でしたか?
鈴村さん:本当に嬉しかったですよ。ゲームが大好きなので「グラディウス」のビックバイパーですから。レオ役というのは教えてもらっていたんですが、乗る機体は知らなかったんです。資料を見て「ビックバイパーじゃん!」と大騒ぎしました。ぜひ今後「ロードブリティッシュ」も出して欲しいですね。
――雪野さんに質問:ANUBISで最も有名なセリフであろう「はいだらー!」を初めて台本で見た時の感想を教えてください。
雪野さん:ひとことで言うと「?」でした。収録の時に村田さんに「このはいだらってどういう意味なんでしょうか?」と消え入るような声で聞きました。
村田さん:小声で実際にやってみた思い出があります(笑)。コンテにも「はいだらー!」(謎)と書いてありました…。その謎は未だ明かされていないんですよ。
名シーンアテレコに挑戦
続いては、ユーザーが事前に選んだ名シーンを登壇した声優陣がアテレコするというコーナーがスタート。まずアテレコされたのはANUBISでレオがディンゴの乗ったジェフティに再会し、エイダがレオに気付くというシーン。もちろん井上さんと鈴村さんが悪ノリし、エイダ役の芳野さんは笑ってしゃべれなくなるといった事態に…。
次のシーンは、ジェフティのコクピット内、生命装置をつながれたディンゴと、外で対応するケンのやり取り。変な緊張が走ったという雪野さんは、なんなくこなすが、最後の最後で井上さんがこっそり「はいだら!」。
最後のシーンは、アーマーンを止めるため、連合軍のエレナやレオ、そして敵対していたLEV隊と和解し、一斉に地下要塞に出陣する緊迫した場面。早口で難しい用語を演じてくれた井上さんと鈴村さんのセリフを、会場が静かに聞き入り、終わるとたくさんの拍手が贈られていた。
「Z.O.E HD EDITION」新たなOPアニメーションについて
発売日も決定したPS3/Xbox 360「Z.O.E HD EDITION」では、新たなOPアニメーションが用意されている。その映像を手がけたアニメ監督「近藤 信宏」氏と演出「山地 光人」氏が登壇。
11年前にはできなかったデジタルとアニメーションの融合で、新しくオープニングアニメーションが制作され、「Z.O.E HD EDITION」に収録される。このOPではケンが裸で登場することを聞いた雪野さんは「なんだか恥ずかしい」とコメントしていた。ヴァイオラはシャワーシーンが用意されていたらしいがどうしてもうまく入れ込むことができず、実現しなかったとのこと。
HD版はこんな綺麗になった!PS2との画質比較
HD版(1280×720pixel)になったことで、画面比率がよりワイドに。迫力&臨場感たっぷりのグラフィックでミッションを楽しめる。秒間表示フレーム数60fps、画像解像度720pに対応。BGM・効果音をサラウンド化、ゲームプレイをよりリアルに。
さらに2Dグラフィック・フォントを高解像度化。緻密な作り込みを重ねた美しいユーザーインターフェースを実現。アニメーションも最新のアップスケーリング技術でリマスタリング。美しく鮮明な高解像度で感動を新たに味わえる。
「Z.O.E」の続編とは…?
日本や海外のどこでも「Z.O.Eの続編を作ってください!」とよく言われる小島監督は、本会場では、小島プロダクションが創りあげた新しいオリジナルゲームエンジン「フォックスエンジン」にイメージを埋め込んだ映像を宇宙初公開。本気で制作される続編はプロデューサー「鳥山 亮介」氏が担当。
状況は始まったばかりというプロジェクトは、方向性として「正統派の続編」か「Z.O.Eのモチーフを使った違った世界観」のどちらが良いかを会場内に質問した。公開された映像には、オービタルフレームや登場キャラクターたちのイメージアート、そしてフォックスエンジンに組み込んだ、粘土で作られた模型のオービタルフレームが写っていた。ジェフティとアヌビスのようにも見える。
まだ詳細は決まってはいないが、プロジェクト名は「ENDERS PROJECT」となるようだ。「気持よく駆け巡るアクション」というゲーム性はまったく変えることはないと小島監督は話し、メタトロンなどの用語も登場するらしい。3D化される工程も少しだけ紹介されていた。また、会場には当日限定でこの映像に使われている模型が展示されていた。
スペシャルLIVE
第一部となるトークショウは終了し、ベクターキャノンを発射するシーンを再現したイベントオリジナルの映画館マナー映像「ADA Ver.」が再び公開されたあとは、第二部としてシンガーソングライターの「木村 真紀」さんとDJ YOLOが登壇、ゲームサウンドをリミックスした楽曲とライブを披露。会場は2時間近くZ.O.Eの世界観にタップリと浸って満足して帰っていったようだ。