ソニー・コンピュータエンタテインメントと角川ゲームスは本日3月20日、PS Vita向けのゲーム公募企画「Project Discovery」の授賞式を、東京都・SSJ品川ビルにて開催した。
「Project Discovery」は、新しいスマートノベルゲーム開発をテーマに、プロ・アマチュアの垣根を超えて、シナリオやキャラクターデザインといったゲームアセットを広く公募した、PlayStation Vita向けのゲーム開発プロジェクトだ。
プロジェクトではシナリオライター部門、グラフィックデザイナー部門、サウンドデザイナー部門、ボイスアクター部門の4部門の募集が行われ、主審査をSCEJ、角川ゲームスが担当。また、特別審査員として、ロボット、ユーフォーテーブル、ベイシスケイプ、角川書店も参加した。
授賞式ではまず、ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン プレジデントの河野弘氏が登壇し、主催者代表挨拶を行った。河野氏によると、昨年8月より始動してから、12月7日の募集締め切りまでに516点もの応募があったという。そして応募ほとんどが締切の3、4日前に送られてきたとのこと。
河野氏は「締め切りギリギリまでたくさんの応募があったということは、本当にたくさんの人が最後の最後までこだわって制作してくれたのだと思います。たくさんの人が興味を持ち、エントリーしてくださったことを本当に嬉しく思っています」と、喜びを口にしていた。
河野氏の挨拶が終わると、早速受賞者の発表が執り行われた。各部門の受賞者と、授賞式に出席した特別審査員は以下の通りとなっている。
受賞者 受賞作品
シナリオライター部門
Excellent Prize:恩田竜太郎さん「だいだいダイスキ!」
Spirit Prize:押石八兎さん「非接触型恋愛」
グラフィックデザイナー部門
Excellent Prize:飴えりかさん「銃娘」他
Spirit Prize:nakazyさん「オンライン侍」他
サウンドデザイナー部門
Excellent Prize:東原一輝さん「風の~melody~ / Racing a Machine」他
Spirit Prize:橋口礼さん「Introduction / Soul of Soldier」
ボイスアクター部門
Excellent Prize:川上晴香さん「後輩・同級生・妹」
Spirit Prize:堀龍也さん「爽やかな青年・『君』の人生の創造主が『僕』だったら」
※Excellent Prize:パイロット版の制作に参加していただく最優秀作品。
※Spirit Prize:佳作として最終選考に残った優秀作
特別賞 ROBOT賞
数多くの映像制作を手がけている株式会社ロボットより、その作品性を高く評価された優秀作品に贈る特別賞。
Special Prize:北野梅花さん「鉄観音高校紅茶道部活動記録~決戦は学園祭~」
※本作品はシナリオライター部門より選出。
出席者
加太孝明氏 (株式会社ロボット 代表取締役社長)
近藤光氏 (ufotable 代表取締役社長)
崎元仁氏 (ベイシスケイプ 代表取締役社長)
芦尚文氏 (株式会社角川書店 デジタルコンテンツ部/電子書籍部 部長)
藤田咲さん (声優/アーツビジョン所属)
各受賞者、審査員のコメントを紹介
シナリオライター部門
シナリオ部門にてExcellent Prizeを受賞したのは、恩田竜太郎さんの「だいだいダイスキ!」。そして、Spirit Prizeは押石八兎さんの「非接触型恋愛」が受賞した。
恩田さんは「このような賞をいただくことができて、大変嬉しく思っています。受賞されたほかの方々とともに、素晴らしい作品を作っていけるように頑張りますので、よろしくお願いします」とコメント。また、押石さんは「今回の受賞を原動力にして、これからも執筆活動を頑張っていきたいです」と、今後の意気込みを語っていた。
さらにここでは、特別賞を受賞した北野梅花さんの「鉄観音高校紅茶道部活動記録~決戦は学園祭~」の表彰も行われた。北野さんは「これを機に、もっと面白い作品を作っていきたいです」と話していた。
また、ロボット 代表取締役社長 加太孝明氏より、各作品の寸評も公開された。
恩田竜太郎さん「だいだいダイスキ!」
本作品はロボットの少女と人間の少年による、初めての恋愛が描かれたものでした。初々しい恋愛を描きながら、どこかノスタルジックな感傷も感じさせてくれました。
押石八兎さん「非接触型恋愛」
少年の溢れんばかりの思いが、潔癖症の少女の高い壁を突き破り、歩み寄っていく物語でした。少年の自意識過剰ながらストレートな思いと、作品描写の勢いが相まって、瑞々しいエネルギーが生み出されていました。
北野梅花さん「鉄観音高校紅茶道部活動記録~決戦は学園祭~」
部活動を中心にした少女の日常を描いた物語で、熱い青春物となっていました。登場人物が生き生きと描かれていて、1本の映画を見たような、さわやかな印象を受けました。
グラフィックデザイナー部門
グラフィックデザイナー部門は、Excellent Prizeを飴えりかさんが、Spirit Prizeをnakazyさんがそれぞれ受賞。
ステージには飴えりかさんが登壇し「他の方の作品を見て『もうちょっとちゃんとタイトルを考えればよかったかな』と思いました(笑)。賞をもらえたことは本当に嬉しかったです」とコメント。
また、ここではufotable 代表取締役社長の近藤光氏が登壇。
数々のアニメを作り上げてきた同社を例に挙げ「アニメーションを作るときには100人から200人のスタッフが必要になるのですが、スタッフのすべての基本になるのが、キャラクターなどのデザインなんです」と、グラフィックデザイナーの重要性を語った。そして「たくさんのスタッフの人生が関わってくるし、多くの人に見られる、責任重大な仕事なので、頑張ってください」とエールを贈っていた。
サウンドデザイナー部門
サウンドデザイナー部門では、Excellent Prizeを東原一輝さんが、Spirit Prizeを橋口礼さんが受賞した。東原さんは「今回のプロジェクトでは30曲ほど提出したのですが、どの曲も楽しんで制作できました。ソフト開発でも楽しみながら携われたらと思っています」と述べた。また橋口さんは「このような賞をいただけて、大変光栄に思っています。これからも、面白さとは何か、感動とは何かを考えながら、音楽を作っていきたいです」と話していた。
ここでは、ベイシスケイプ 代表取締役社長 崎元仁氏が登壇。崎元氏は選考時、応募された音楽を聞く際、作曲者のプロフィールは一切見ず、楽曲だけを聞いて選考していったという。
また崎元氏によると、技術的な面だけではなく、これからどれだけ成長できるかという将来性も考えながら選考したとのこと。
ボイスアクター部門
ボイスアクター部門ではExcellent Prizeを川上晴香さんが受賞。川上さんは「こんな素敵な賞を受賞でき、本当に嬉しいです。今までずっと夢見てきたことなので、実現できて幸せです」と、涙ながらにコメントしていた。
一方、Spirit Prizeを受賞した堀龍也さんは「声で自分の想像したものを表現して、それが認めて貰えたことが何よりも嬉しいです。これからも声優という部門で頑張っていきたいと思っているので、よろしくお願いします」と話していた。
この2名の受賞者に対して角川書店 デジタルコンテンツ部/電子書籍部 部長の芦尚文氏は「今回の応募作品は、どれもが熱意の感じる内容でした。その中からお二人は選ばれたのですから、自信を持って、これからのステージで頑張ってください」と述べた。
また、「今回惜しくも落選した方の中にも、可能性を感じるものが多かったので、これからも諦めずに挑戦していってください」と、選考から漏れてしまった人たちへのメッセージも残していた。
また、授賞式に応援として駆けつけていた声優の藤田咲さんからは「『Project Discovery』というチャンスを掴めたということは、これからの未来を輝かせるチャンスを手にしたということです。やる気のある人たちが輝く世界は本当に素敵なことだと思うので、お二人とも頑張ってください」といったメッセージが贈られていた。
受賞者が制作するスマートノベルゲームのパイロット版が配信決定!
各受賞者の表彰が終わると、ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン パブリッシャーリレーション部 NBPセクション ディレクターの浅野高志氏と、角川ゲームス 開発本部/副開発本部長 プロデューサーの田中謙介氏が登壇し、「Project Discovery」の今後の予定を発表した。
両氏によると、Excellent Prizeの受賞者が参加するスマートノベルゲーム「だいだいダイスキ!(仮称)」のパイロット版を制作し、2013年秋にPlayStation Storeにて配信するとのこと。
開発には、ソニー・コンピュータエンタテインメントと角川ゲームスが共同開発した「Discovery Engine」を採用。このエンジンを使用すると、短期間で優れたノベルゲームを作れるそうだ。
浅野氏は「パイロット版をプレイしていただき、ユーザーさんからいろいろな声を頂けたらと思っています」を語っていた。
最後に、角川ゲームス 代表取締役社長 安田善巳氏が登壇し、挨拶を行った。安田氏は「この時代に家庭用ゲームの制作に参加できることは本当に貴重なことだと思います。ゲームはほかのエンタテインメントビジネスと同じく、必ず結果が出ます。辛く、苦しく、悔しくなる場面もあるとは思いますが、ユーザーさんからの評価されたときは、この上ない喜びになるはずです」と、受賞者に対して応援のメッセージを贈っていた。
また安田氏は、「Project Discovery」の第2弾を2013年度に開催することも発表し、授賞式は幕を閉じた。
(C)2012-2013 Sony Computer Entertainment Inc. / Kadokawa Games Ltd.
※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。
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