CRI・ミドルウェアは、オール・イン・ワン型オーディオソリューション「CRI ADX2」の大幅な機能強化版を7月末にリリースすると発表した。

「CRI ADX2」の機能強化版が7月末に登場―GTMF2013(東京・大阪)にて先行デモを披露

機能強化版では、専用サウンドオーサリングツール「CRI Atom Craft」を2010年の「ADX2」提供開始以来の「CRI Atom Craft V2」にメジャーバージョンアップし、以下2点の大きな新機能に対応する。

「イベント機能」と「スイッチ機能」の追加

サウンド開発を効率化し、プログラマの負担が少ないサウンドデザイナー主体の開発を実現。

多人数開発をサポート

プロジェクトを分割し開発できるワークユニットを導入、バージョン管理ツールとの連携も実現。

「イベント機能」と「スイッチ機能」によるサウンド開発の効率化

新たに搭載される2つの機能「イベント機能」と「スイッチ機能」は、より高いレベルの制御を可能にし、プログラマの負担を減らすとともに、サウンドデザイナーに多彩なサウンドの表現手段を提供します。

従来の手法では、キャラクターのAction(動作)にともなうサウンドの再生開始や停止、ステージやシーンなどのState(状況)切り替えにともなうサウンドのパラメータ変更は、プログラマ側(アプリケーション側)で直接的に制御していました。

イベント機能とスイッチ機能は、これらのサウンド制御をサウンドデザイナー側(「CRI Atom Craft V2」)で可能にします。

イベント機能では、Actionに対してのサウンド制御を行います。例えば「エレベーターに乗る」「エレベーターから降りる」というActionを2つのイベントとして、サウンドデザイナーは各イベントに効果音や再生制御を設定します。

これにより、プログラマ側でイベントを呼び出すだけで、エレベーターの乗り降りに合わせたサウンドの再生/停止が実行されます。不安感を強めるために「ワイヤがきしむ音」を後から追加することも、プログラムを変更することなく、サウンドデザイナー側で実行可能です。

スイッチ機能は、Stateに対してのサウンド制御を行います。例えば「洞窟」のステージが「水辺」のステージに変わったときに、足音を変更後のステージに合ったものに置き換えることが可能になります。

このように、サウンドデザイナーがサウンドに必要な処理のほぼすべてを設定できるようになるため、プログラマの負担を大きく軽減できます。

さらに単体のサウンドはもちろん関連した複数のサウンドに対してまとめて処理を実行したり変更を反映させたりすることが可能になり、サウンド開発が効率的に行えます。また、これらイベント機能・スイッチ機能という「ADX2」の新機能は、ゲームエンジンへの融合度を高めます。

「ADX2」では従来のプログラマ側で調整する方法も可能なので、プロジェクトの開発スタイルによって、サウンドデザイナー側で全ての設定を行うか、プログラマ側と調整しながら開発を進めていくのかを選択することも可能です。

多人数開発をサポート

「CRI Atom Craft V2」では、1つのプロジェクトを「ワークユニット」という単位で複数に分割し、各担当者が独立して作業を行えるようになります。

ワークユニットの適用

従来、1プロジェクトに対して1つであったユーザーフォルダを、複数のワークユニットに分割して作業を行えるようにしました。これによって、担当者ごとの個別作業がやりやすくなります。マテリアル(サウンド素材)もワークユニットごとの管理が可能です。

「プロジェクト設定」「全体設定」をファイル化

「プロジェクト設定」、「全体設定」を個別ファイルとして保存します。全体設定に変更があった場合でも、各担当者はファイルを更新するだけで新しい全体設定が利用できるようになります。

プロジェクトの起動・保存が高速に

作業中のワークユニット以外を「プロジェクトに含まない」設定が可能です。ワークユニットごとの読込ができるため、プロジェクトの起動が早くなります。マテリアルの読み込みも同様です。

バージョン管理ツールとの連携

バージョン管理ツールと連携し、誰がいつファイルを更新したのかを明確に把握できるようにします。対応ツールは「Apache Subversion」と「PERFORCE」です(これ以外にも順次対応して参ります)。

「CRI Atom Craft」と「CRI Atom Craft V2」の互換性について

多人数開発への対応のためプロジェクトファイルのファイルフォーマットが変わります。「CRI Atom Craft」のデータを活用したい方向けに専用のコンバータをご用意致します。

GTMF2013で「CRI Atom Craft V2」の先行デモを披露

CRIは、ゲーム開発者向けツール&ミドルウェア展示会「GTMF(Game Tools & Middleware Forum) 2013」にて、「CRI Atom Craft V2」の先行デモ展示を行います。

名称:Game Tools & Middleware Forum 2013
大阪開催:2013年7月19日(金)
東京開催:2013年7月23日(火) 10:00-18:45(受付開始 9:30)
ウェブ:http://www.cri-mw.co.jp/event/

「CRI ADX2」2013年後期の開発ロードマップを発表

上記の発表に併せて、「CRI ADX2」の2013年後期における開発ロードマップが公開された。

「ADX2」のクロスプラットフォーム性を強化する次世代ゲーム機への対応、Unreal Engine 4など昨今普及しているゲームエンジンを使用した開発に向けた各種エンジン対応、多人数開発への対応をはじめとするツールの機能強化、さらに年内にはサウンドの再生状況を視覚的に確認できる機能の追加など、最新のゲーム開発環境やユーザからの要望を考慮した機能強化を実現することで、より一層のタイトル開発の効率化を支援していくとのこと。

7月 サウンド機能強化、多人数対応(CRI Atom Craft V2)

  • イベント機能によるサウンド機能の強化
    サウンドの停止や、ボリューム等再生パラメータの変更をイベントとして登録できます。それにより、サウンド開発を効率化し、プログラマの負担が少ないサウンドデザイナー主体の開発を実現します。プログラム側での対応が少なくて済むため、ゲームエンジンとの親和性もより高まります。
  • 多人数開発への対応
    プロジェクトを分割し開発できるワークユニットを導入、オーサリングツールからバージョン管理ツール「Apache Subversion」へのチェックイン・チェックアウトにも対応します。
  • ビートシンク機能を追加
    データにビート情報(拍)を設定することで、ビートに合わせた自然なサウンド制御を実現します。
  • MIDIコントローラ対応
    ADX2のツールとMIDIコントローラを連携し、使い勝手のよい外部機器からのサウンド調整を実現します。AISACのシミュレーションなどが直感的に行えます。
  • メーターの追加(ラウドネスメーター/True Peakメーター)
    ラウドネスメーター: ITU-R BS.1770-3に準拠し、ゲームの最終出力音声を人の聴感に合わせる調整に有効です。瞬間ラウドネス、短期ラウドネス、長期ラウドネスに対応しています。
    True Peakメーター:ゲームの最終出力音声のクリッピングを検知するのに有効です。

8~9月 スマートフォン向けエンジン対応、ツール機能強化

  • cocos2d-x対応
  • Marmalade対応
  • イベント機能の追加(DSP パラメータのSnapshot(保存)/Bus Volume)
  • BPM検出機能の追加(波形登録時に曲のテンポを自動検出)
  • Unity for Wii U対応(正式版)

10月 各種ゲームエンジン対応

  • Unreal Engine 4対応
  • CryENGINE 3対応
  • Unityプラグイン Windows8対応(Windowsストアアプリ開発向け)

12月 プロファイラ機能搭載、PERFORCE対応

  • プロファイラ機能の搭載
    サウンドの再生状況を数値およびグラフによって視覚化することでデバッグ作業を大幅に効率化します。
  • バージョン管理ツール「PERFORCE」へのチェックイン・チェックアウト対応
    <参考> 近年に追加した機能
    次世代プラットフォーム対応、Windows8対応、Unity対応強化
  • 「プレイステーション 4」「Xbox One」への対応
  • Windows8への対応
  • Unity関連の対応強化
    Unity for Wii U対応(先行リリース版)/サウンドデータ保護機能追加/Android向け低レイテンシモード追加
  • DSPエフェクトの追加(I3DL2リバーブ/サラウンダ/マルチタップディレイ)
    I3DL2リバーブ:より高品質なI3DL2準拠のリバーブを搭載。パラメータの操作も直感的です。
    サラウンダ:ステレオ音声素材を疑似4chサラウンド化します。
    マルチタップディレイ:1つの音に対して複数のディレイをかけるエフェクトです。ディレイごとにゲインやパンのコントロールができ、モノラル音声で音の広がりを実現します。
  • WASAPI(Windows Audio Session API)出力への対応
    XAudioと比較して低遅延の発音制御が可能です。
  • CRI Audioからのコンバート機能強化

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※画面は開発中のものです。

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