バンダイナムコゲームスは、本日3月1日、東京・デジタルハリウッド大学 駿河台キャンパスにおいて、2014年サービス開始予定のPS3オンライン専用タイトル「エースコンバット インフィニティ」の特別講演を実施した。

本講演では、「エースコンバット インフィニティ」プロデューサーの河野一聡氏が、2013年末に国内オープンβテストが終了し、今後の情報が待たれていた基本無料のPS3オンライン専用タイトル「エースコンバット インフィニティ」に関する話はもちろんのこと、ゲームの制作におけるポイントも語った。

河野氏自身のキャリアから見えるゲーム作りのスタンス

河野一聡氏
河野一聡氏

河野氏自身の自己紹介も兼ねて最初に語られたのが、河野氏が1994年にナムコ(バンダイナムコゲームスの前身)に入社して以来、どのようなかたちでゲーム制作に携わってきて、それによってどのような知見が得られたかについてだ。

河野氏のキャリアは、1996年発売の「スマッシュコート」にUIデザイナーとして参加したことからスタート。続く「レイジレーサー」でテクスチャーやUIのデザインをしつつ、当時別のスタッフが作っていた背景モデルに納得が行かずに勝手に描き直すということをしていたという。そこでの仕事が認められる形で「エースコンバット2」に参加することになったということだが、ここで現在もアートディレクターとして「エースコンバット」シリーズに関わる菅野昌人氏との出会いがあった。

ここまでの仕事を振り返りつつ、当時の河野氏が心がけていたのは「常に1つ上のレベルをやる!」ということだったという。自分に与えられた仕事について最高のものを作るというのは当然ながら、いつももう1つ上のレベルは何かを考え、それを実行するということを自らに課していたそうで、それは以降のタイトルにも及んでいく。

次に関わった「R4 -RIDGE RACER TYPE 4-」は、当時のナムコにまだ存在していなかったアートディレクターを名乗り、コースのコンセプトや色設計、ユーザーのニーズ、パッケージデザイン、トータルデザイン、UI全てのアートを監修するなど、河野氏にとってはデザイナー人生における大きなターニングポイントだったという。また、ここから映像制作の面でシリーズを支える糸見功輔氏が加わっている。

続いてアートディレクターとして参加した「エースコンバット4」では、アートやUIはもちろんのこと、アニメーション制作を手がけるSTUDIO4℃の片渕須直氏と出会い、2人で主人公と敵側それぞれの視点でストーリーが進んでいくという構成を一緒に作るという新たなアイデアに挑む。さらに、最終面の設計をする中で、音楽と映像と無線の演出が組み合わさった時にプレイヤーにすごい感動を与えることができるという気付きを得て、そこを徹底的に作りこんでいくことに興味を持ったそう。

そして、ここで出会ったのが「エースコンバット」シリーズの音楽を手がけてきた小林啓樹氏。アートディレクターの領分を超えて、小林氏にオーケストラにしてほしい、そして最終面はコーラスを入れてほしいという要望をしたところ、見事それに応えて素晴らしい楽曲を書いてきてくれたと話した。

アートディレクターを名乗りながら、一つ上のレベルでさまざまなことに取り組んできた河野氏は、続く「エースコンバット5 ジ・アンサング・ウォー」でディレクターを担当。前作と同様の取り組みに加えて、映像の製作者として開花していた糸見氏に映像関連を任せつつ、河野氏がチャレンジしたのはブランドを作ることで、その一環として「エースコンバット」シリーズの持つ世界観をブランディングし、ユーザーに伝えていくためのブランド「PROJECT ACES」を立ち上げた。

さらに、その先を見据えた人材育成にも興味を持ったそうで、ゲーム中の幕間に挿入されるプリレンダムービーを制作する際には、次世代機を見据えて「エースコンバット5」で制作し、その技術を踏襲することで「エースコンバット」シリーズは高クオリティを保ったまま、次世代機に移行できると話し、実現させたという。

その後の「エースコンバット・ゼロ」の時には、PROJECT ACESのブランディング運営や人材育成に注力しており、開発現場からは徐々に身を引いており、糸見氏の下について制作を行うというかたちで、立場が逆転したそう。また、同時に開発していた「エースコンバットX」ではUIデザインをやり、STUDIO4℃に幕間を作ってもらいながら新企画に挑戦したものの、実際に形にすることはできずにその後も挑戦を続けてきたという。

ここで河野氏が新たに気づいたのが「2つ上からの目線をもって1つ上のレベルをやる!」ということで、これは自分の2つ上ぐらいの立場から自分を見て、実際に自分がどう見えるかを認識した上で、期待された一段上のことを行っていくという考え方だ。

この気づきが得られた要因の1つとして、「アイドルマスター」シリーズの総合プロデューサーなどで知られる坂上陽三氏と飲みに行った際に「河野くんさー、『エースコンバット5』以来ずっと遊んでるよね? お金儲けてないよな?」と言われたことにあったという。そう見えていることに焦った河野氏は、プロジェクト全体を運営しつつも、プロデューサーとディレクターを兼任して「エースコンバット アサルト・ホライゾン」、「マッハストーム」、そして現在開発中の「エースコンバット インフィニティ」へと繋がっていった。

βテストでのフィードバックを受けた改良が進む「エースコンバット インフィニティ」

河野氏自身が何かをする際にいつも考えていることは、「皆さん、どうすれば、喜んでいただけますか?」ということだという。それはゲームの企画はもちろんのこと、今回の講演や友人にプレゼントを渡すときなど多岐に渡る。

これを分解して考えると“皆さん”はターゲット、“どうすれば”はアイデア、“喜んでいただけますか?”はニーズに応えるという点にそれぞれ寄っているということで、今回の講演を実例に紹介した。

まず、「エースコンバット」の名前を知っている、もしくは昔良く遊んでいたという人に向け、「エースコンバット インフィニティ」のプロモーションムービーとともに、ゲームの特徴として、チュートリアルから親切に解説してくれるテストフライト、無線演出なども健在な完全新シナリオのキャンペーンモード、4人同士の編隊でマルチプレイが楽しめる協同戦役モード、そしてインターネットに繋がっていれば無料でダウンロードして遊べる点を紹介した。

次に「エースコンバット」シリーズの熱烈なファンに向け、国内βテスト以降、大きな動きのない「エースコンバット インフィニティ」の現在の状況を紹介。まず、先日まで行われた海外でのβテストについては、想定の倍にもおよぶ反響があったそうで、それだけにフィードバックの量も多くなっていることなどを面白おかしく紹介。

今作で用意された戦闘機ツリーも一新される。なお、こちらについてはまだ最終版ではないとのこと。

また、正式サービスに向けた取り組みとして、いくつかの修正や機能拡張に関する話題も飛び出した。もっと手強い敵を用意したり、チャレンジという仕様を組み入れたり、幕間に発生するランダムイベントだけでなくその前後もランダムになったこと、よりマッチングしやすくなったことなどが語られた。

「エースコンバット」の小説を書いた山本平次郎氏による設定や、菅野氏と糸見氏によるデザインなども紹介された。

小林氏らによる「エースコンバット」シリーズ楽曲の生演奏も!

そして、同時に配信されていたニコニコ生放送の視聴者を含む、全ての人に満足してもらうための取り組みとして、講演のゲストである小林氏が登場し、さまざまなアニメ・ゲーム作品でギターを弾いている後藤貴徳氏らとともに、フラメンコギターが特徴的な「エースコンバット・ゼロ」の「ZERO」を披露。ファンにとっても人気の高い楽曲ということで来場者も聴き入っており、小林氏が手拍子を求めると、会場全体がそれに応えた。

また、「エースコンバット5」のエンディングで流れる「The Journey Home」のインストバージョンも演奏。こちらは小林氏曰く、普段眉間にシワを寄せる感じの曲が多い「エースコンバット」の中で、制作の鬱憤を晴らすかのごとく穏やかな曲も作りたいという気持ちで作った楽曲だったそうで、「エースコンバット」の空を見上げる思いで聴いてほしいと話した。

その後は、会場に姿を見せていた糸見氏も加えた3人で、「ZERO」のムービー制作にまつわるエピソードに花を咲かせつつ、1時間以上に渡る講演は惜しまれつつも幕を閉じた。

糸見功輔氏 小林啓樹氏

なお、演奏のために用意された「ZERO」の譜面に、3人のサインを入れてプレゼントするTwitterキャンペーンの実施も決定した。3月3日14時から行われるということなので、詳細は公式サイトなどでチェックしよう。

会場でサインを入れるタイミングでは、小林氏と後藤氏による即興も楽しむことができた。

エースコンバット インフィニティ

バンダイナムコエンターテインメント

PS3ダウンロード

  • 発売日:2014年5月20日
  • 12歳以上対象
  • PS Storeダウンロード専用タイトル

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ACE COMBATR INFINITY & (C)2013 NAMCO BANDAI Games Inc.

※画面は開発中のものです。

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機種
PS3
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ダウンロード
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バンダイナムコエンターテインメント
シリーズ
エースコンバット
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