ガストより2014年3月6日に発売されたPS3用ソフト「アルノサージュ ~生まれいずる星へ祈る詩~」。ここでは、本作の序盤を遊んでみてのプレイレポートをお届けする。

目次
  1. 「アルトネリコ2」の正統進化となるバトルシステム
  2. ジェノメトリクスと禊ぎで視覚的、精神的な成長が楽しめる!
  3. 謎が謎を呼ぶ物語の展開に注目!

「アルノサージュ ~生まれいずる星へ祈る詩~(以下、アルノサージュ)」は、土屋暁氏がディレクターを務める「サージュ・コンチェルト」シリーズの第2弾となる7次元RPG。詩が魔法の力になる世界を舞台に、強く儚い生命たちの存亡を懸けた愛と絆の物語が展開する。

土屋氏がこれまで手掛けた「アルトネリコ」3部作(発売元:バンダイナムコゲームス)や「シェルノサージュ~失われた星へ捧ぐ詩~(以下、シェルノサージュ)」との関連が明らかになるなど、緻密な世界設定が大きな魅力の本作ではあるが、ゲームシステムとしても新旧どちらのファンも楽しめる要素が盛り込まれている。ここでは、そんな本作の序盤を実際にプレイしてみて、筆者が感じたいくつかのポイントを紹介していこう。

「アルトネリコ2」の正統進化となるバトルシステム

本作の戦闘は、主人公がさまざまな攻撃を繰り出して敵を倒しつつ、詩魔法と呼ばれる強力な魔法を詠唱するヒロインを護っていくスタイルとなっている。前衛の主人公は△□×のいずれかのコマンドを選択してさまざまな攻撃を繰り出したり、敵の攻撃から身を挺してヒロインを護ることとなる。

攻撃ターン中、コマンド毎に攻撃回数が指定されており、全ての攻撃回数が0になると敵の攻撃を受ける防御ターンに移行する。基本は攻撃のターンと防御のターンが交互に展開するが、主人公が効果的な攻撃を繰り出し、敵をBREAKさせることができればボーナスが発生し、繰り返し攻撃することが可能となっている。

ここまでを読んでピンと来た人は、確実に「アルトネリコ」シリーズに触れてきたユーザーであることは間違いないだろう。このゲームシステムの基本部分には、2007年に発売されたPS2用ソフト「アルトネリコ2 世界に響く少女たちの創造詩(メタファリカ)」(以下、アルトネリコ2)のゲームシステムと似ているポイントが多数あるのだ。

「アルトネリコ2」を遊んでいない人に向けて補足しておくと、同作のゲームシステムは、前衛と後衛の2人一組となり、前衛には武器で戦うユニット、後衛には詩魔法を紡ぐヒロインがそれぞれ配置される。戦闘中は攻撃を繰り出す「Attack Phase」と敵の攻撃を防ぐ「Defend Phase」を交互に繰り返しながら、詩魔法をより強力なものにしていく。

両者のゲームシステムから共通点を抽出していくと、前衛と後衛の2人一組が基本になっている点、そして前衛は盾役となってヒロインを護り、後衛のヒロインが詩魔法を紡いていくという点、前衛の攻撃スキルの特性が各ボタンでそれぞれ異なる点などが挙げられるだろう。

「アルノサージュ」のバトルシステムを紐解く中で筆者が一番興味深かったのが、“WAVE”と呼ばれる仕組みを採用したことと、戦闘における詩魔法の定義が大きく変質していることだ。

まずWAVEというのは、そのフィールド上にいる全ての敵を、画面左上に表示したもの。画面に表示されている敵のグループはWAVEの1マスで表示され、例えば全部で10マスあるとしたら、10グループとの戦闘が連続して行われることとなる。つまり、1回の戦闘で全てのマスの敵を倒すことができれば、その後はフィールド内に敵が出現しないという仕組みになっている。

一見するとひたすら戦闘が連続するのかと思うかもしれないが、ここで大きな役割を担うのが詩魔法だ。戦闘が開始されると、WAVEは右側から徐々に赤くなっていく。この赤い部分が詩魔法の効果範囲となり、詩魔法を発動させると、その時点で赤くなっているマス分の敵グループを倒すことができる。つまり、本作では詩魔法が“戦闘の終了”を定義づける非常に大きな要素となっているのだ。

このように、とにかく敵に効果的な攻撃を与え続け、詠唱している詩魔法を繰り出すことでフィールド上の敵を一網打尽にするという流れが基本となっている。一気に敵を倒すことができれば、以後のフィールド探索が容易になるため、ストーリー重視でRPGを進める人にとっては戦闘のストレスが少なく、シンプルにストーリーを進行できることだろう。

とはいえ、RPGの醍醐味のひとつともいえるやり応えという点でも抜かりはない。本作では、NORMAL、HARD、VETERANと3段階の難易度が用意されており、NORMALでは容易に敵をBREAKさせ、詩魔法を広範囲に発動できるが、難易度が上がるほどに敵はより強固になり、BREAKは難しくなっていく。VETERANにもなると、装備などで強化した状態であっても手こずるレベルの難易度になっているので、我こそはという人はぜひ開始時より挑戦してもらえればと思う。

画面左はNORMAL、画面右はHARD。与えるダメージ量にも明確が違いがある。

ジェノメトリクスと禊ぎで視覚的、精神的な成長が楽しめる!

バトルシステムも特徴的だが、本作における独特な成長要素として見逃せないのが、詩魔法を生み出す「ジェノメトリクス」と、戦闘における能力を強化することができる「禊ぎ」だ。

まずジェノメトリクスについて紹介すると、こちらはキャラクターの心の内にある精神世界に潜り、抱えているさまざまな問題を解決していくことで、詩魔法が紡がれるものとなっている。詩魔法は戦闘における重要な要素となっているのでぜひ手に入れておきたいところだが、ここで筆者が推しておきたいのは、精神世界で描かれるイベントの魅力についてだ。

他人が内心、何を考えているかというのは日常においてもそうそうわかることではないが、本作ではダイブという手段をとることで、キャラクターの持つ心象風景を垣間見ることができる。マップ上のさまざまな場所に行くことでイベントは発生し、そのエピソードを見ることで詩魔法、ジェノメトリカ結晶、イベントCGなどのごほうびが得られるようになっている。

描かれるエピソードは、登場人物が現実の立ち位置とは異なっていたり、とんでもない世界構成になっていたりと想像を絶する内容ばかり。主人公はそのエピソードの登場人物となって問題を解決することになるのだが、そこで出現する選択肢も含めて斜め上を行く展開が待ち受けているので、とにかく純粋に、まずはジェノメトリクスで起こることを楽しんでもらえればと思う。

なお、ジェノメトリクスはゲームが進むにつれ、ヒロインのみならず、主人公たちとつながりのあるキャラクターへのダイブも可能になっていく。中にはゲーム進行のカギを握る局面もあるので、ジェノメトリクス内の行動に必要なダイブポイントがある場合は、積極的にジェノメトリクスに潜り込もう。

そして、ジェノメトリクスにいる過程で手に入れることができるジェノメトリカ結晶は、もう一つの成長要素として用意されている禊ぎを行う上では重要もの。頭、腕、足、胸、お腹の最大5ヵ所に結晶を取り入れることで、それぞれの結晶の効果が発動し、キャラクターを強化できる。

結晶を取り入れる部位を解放するためには、世間話をしてキャラクター同士の仲を深めることが重要。世間話のネタはトークマターとして各地に散らばっており、手に入れることでさまざまな世間話が楽しめる。レベルの低いトークマターから順に世間話ができ、トークマターのレベルが上がることで新たにできる世間話が増え、それにつれて結晶を取り入れられる部位も開放されていく。

このように、戦闘中のみならず、成長要素にもキャラクター同士の絆が重要となる仕組みが用意されている。壮大な世界観の中で展開していくストーリーの魅力はもちろんだが、こういった細かなところでキャラクターに感情移入できる仕組みが用意されているのは嬉しいところだ。

ちなみに、調合店でアイテムや装備を調合できる際に発生するムービーや会話、フィールド移動中、ストーリーに関わることから雑談まで幅広いつぶやきが見れるコミュニティリンクなど、本編に直接関わる部分以外でもクスリとできる、キャラクター同士のやり取りのボリュームも魅力。ゲームを遊ぶ際には細かな部分まで目を光らせて楽しんでほしい。

謎が謎を呼ぶ物語の展開に注目!

ゲームシステムが有機的に機能して展開していく本作のストーリーは、「アルトネリコ」シリーズからのプレイヤー、「シェルノサージュ」からのプレイヤー、そして「アルノサージュ」からのプレイヤーそれぞれに異なる印象を持つことだろう。そうした視点の変化による物語の深みこそが、本作の持つ面白みのひとつではないかと筆者は思う。

ここではあえて大きくは取り上げなかったものの、志方あきこさん、霜月はるかさん、みとせのりこさんといった「アルトネリコ」シリーズから連なる面々に、南條愛乃さん、ORIGAさんという新たな風が入り込んで生まれた詩曲の数々は、プレイヤー一人ひとりに対して、さまざまなな感情を呼び起こさせることだろう。

さまざまな人間ドラマによって生まれる感情の揺さぶりを場面場面の音楽とともに楽しみながら、デルタとキャス、アーシェスとイオンの2組の視点で物語の結末を見届けてもらえれば幸いだ。

アルノサージュ ~生まれいずる星へ祈る詩~

ガスト

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  • 発売日:2014年3月6日
  • 17歳以上対象
  • PS Storeダウンロード版

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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