5pb.が3月21日に実施したXbox 360用ソフト「バレットソウル -インフィニットバースト-」の体験イベント「キャラバン2014序&トークショー with わっしょい!」の模様をレポート。各STGメーカーの開発者が集まった座談会の様子も紹介していくぞ。
目次
今回は、3連休の初日を飾る2014年3月21日に、東京・秋葉原の廣瀬本社ビル5階で開催された体験イベント「キャラバン2014序&トークショー with わっしょい!」の模様を紹介。
本イベントでは、5pb.が2014年4月24日に発売を予定しているXbox 360向けシューティングゲーム(以下:STG)「バレットソウル -インフィニットバースト-(以下:バレットソウル IB)」の試遊体験に加え、本作に搭載されているキャラバンモード(2分間タイムアタック)を利用したタイムアタック大会、シューティングゲームに携わる各メーカーの開発者が一堂に会する座談会、本作の開発陣によるトークショウが行われていた。
先んじて行われていた試遊では多くの参加者が列を作り、ゲームを続々とプレイ。「キャラバン2014序」と題したタイムアタック大会も並行して行われていたため、個々のプレイヤーたちの熱が会場を大いに賑わせていたぞ。
なお、キャラバンでは2分間のスコアの高さが競われるため、“敵を如何に早く倒し、次の敵機に撃ちこむか”というプレイスピードが肝となる。そこで見事、会場での想定スコアであった1.5億点というスコアを大いに上回る“3.8億(381,427,080点)”を叩き出し、1位を獲得した“AAA”さんには、賞品として「番長Tシャツ復刻版」が贈呈された。
プロシューターの華麗なプレイが飛び出した「わっしょい!2014ミニ」
お次は同時開催となった、シューティング好きの、シューティング好きによる、シューティング好きのためのライブイベント「わっしょい!2014ミニ」。ここでは、Xbox 360「バレットソウル IB」の新モード「バーストモード」を“初見プレイをしろ!”と頼まれた太菱氏と、AC版「ケツイ~絆地獄たち~」の裏2週ノーミスプレイ達成を目標に、「バレットソウル」のディレクターを務める鷺岡潮氏のプレイヤーとしての姿、全一スコアラー・SPS氏がライブ環境でのプレイに挑戦。
実況には、東京・練馬に店舗を構えるゲームセンター「Game in えびせん」のえび店長が登壇し、ゲームシステムと2人のスーパープレイを適切に解説してくれていたため、プレイをしたことがない人でも分かり易く把握できる場となっていた。
まず最初は太菱氏による「バレットソウル IB」のバーストモードの初見プレイ。選んだキャラクターは「勇往邁進のループ」で、画面上部に位置取るという初見とは思えないほどの豪快なプレイを炸裂。“前に出て撃ちこめば撃ちこむほど”スコアが取れ、一定時間強力なショット&移動速度が得られる「合体バースト」を使用するためのゲージも回収できるため、積極的に上に行こうとする太菱氏。やはりプロシューターとして培ってきたノウハウが攻略のための道筋を開くのかもしれない。
なお、本作では敵の打った弾が“敵を倒した時点”で全て消える仕組みとなっているため、素早く敵を倒すだけで画面下部に敵弾が届くことすらも防ぐことができる。基本のショット範囲も広く、合体バーストも非常に強力であるため、STGに自信がないユーザーがクリアを目指す際は、画面下の方に陣取ることがコツであるようだ。
バーストモードではメモリ型の体力制が取り入れられている。 | |
新ボスの姿もお披露目!多彩な弾幕が目を引く。 | |
上着を脱いで本気モードに!所々「お前初見じゃねえだろ!」と鷺岡ディレクター(SPS氏)にツッコまれながらも 見事初見プレイ(?)を完遂!「自分でもできるかも」と思わせる難易度デザインが本作の魅力の一つだ。 |
お次は、その硬派さとSTG界でも強烈な難易度を誇るAC版「ケツイ~絆地獄たち~」の裏2週ノーミスプレイに、全一スコアラー・SPS氏が挑む。1週目からしてお世辞にも「簡単」とはいえない「ケツイ」というこのゲーム。自機や敵機の位置によっては敵弾にランダム性が生まれ、“そのズレがプレイヤーを苦しめる”ため、アドリブと知識を総動員して適応していかなければならない本作だが、流石全一、見惚れるほどの華麗なプレイで視聴者のドキドキハラハラを高めていく。ライブという環境でありながらも裏2週の突入条件である「ノーボム&ノーミス」「スコア:1.2億点以上」を難なくこなし、いよいよ課題となる裏2週が始まる。
シューティングメーカー勢揃い!座談会LIVE
STGの開発者が一堂に会するこの座談会では、「ギンガフォース」「エスカトス」を送り出したキュートより米沢勇気氏、「カラドリウス」シリーズでお馴染みのモスより星野仁氏、「シューティング技能検定」でSTGの新たな道を開拓したトライアングルサービスより藤野俊昭氏、「3D ファンタジーゾーン オパオパブラザーズ」が発売されたばかりのM2より堀井直樹氏、そして司会としてMAGES.の盛政樹氏が登壇。
当日は「バトルガレッガ」「蒼穹紅蓮隊」で当時のAC市場を賑わせたエイティング・外山雄一氏が病欠となってしまったため、会場では計5人での進行となった。
座談会ではお題が挙げられ、まずは「ゲーム業界に入った経緯」をテーマにトークがスタート。米沢氏は「学生の頃からゲームが好きで、ゲームを作りたくて仕方がなかったため、自作ゲームをコンテストに応募し、その流れで声をかけてもらったキュートに入社した」とのこと。
星野氏は「学生の頃からゲーセンに入り浸っていたため、ゲーム関係の仕事に就きたいと考え、情報処理の道を歩みつつ、一社目に受けたモスに入社した」と発言。会社の前に張られていたAC用クイズゲーム「子育てクイズ マイエンジェル」のポスターを見て、現社長・駒沢敏亘氏に「好きなゲームは?」と聞かれた時に、「はい、マイエンジェルです!」と答えたことが決め手であったらしい。
続く藤野氏は「高校生の時分に『グラディウスIII』を友達と一緒にプレイしながら『このゲームはどういう人が作っているのだろう?』と思い、ゲーム専門学校からゲーム業界に居ついた」とコメント。
オチへの期待がかけられている堀井氏は「家にいてゲームをしていたら親に怒られる。ゲームが仕事なら怒られない! と思ってやったらやっぱり怒られる。」と何ともゲーマーには親近感の湧く悩ましさ。“ゲームをやっても怒られないのがゲーム屋”という仕事への憧れは、誰でも一度は考えるものだ。
基本的にゲームばかりをやっていたという彼ら。今ゲーム業界という中でこの場に居られることに対しては、「運が良かった、そして諦めが悪かった」ことこそが最大のポイントであると全員一致の見解。
「ゲーム会社にはどうあがいたら入れるのか」という盛氏の質問に、堀井氏は「あきらめなければどこでもなんでも入れる」として、返す刀で「例えば御社にバイトで入った子が3年間ずっとこの仕事をやりたいです、と言ってたらどうします?」と返答。盛氏は「うちはまず『ケツイ』をクリアしないと無理です、今クリアできたらディレクターになれます(笑)。」と、先程挑戦した同社のディレクターに手痛い労いをかける場面も。
話を戻して「ゲーム業界への入り方」だが、やはり専門学校生や社会人を通してから飛び込んでくるという人が多い現代の間口の広さであっても、まずは「熱意と志」を持って取り組むという姿勢が重要だと語り、テーマを締めた。
続いてのテーマは「シューティングへの愛」。米沢氏は「マークIIIの『ファンタジーゾーン』をはじめ、メガドライブ、PCエンジン、セガサターンと家庭用STGを中心に長く触れていたため、じっくりと1人でやるSTGが好き。」とのこと。
星野氏、藤野氏、堀井氏は「かつてゲームセンターの花形であったSTGジャンル」に強い想いを持っているようで、STGを自分で作りたいという気持ちに変わったという。
最後のテーマは「今後作ってみたいゲーム」。米沢氏は「STGを作り続けたい。また、ハードスペックの向上により“やれること”が増えてきている昨今だからこそできる、新たなスタイルのSTGを模索していきたい」と新たな展望を語った。
星野氏は「STGというジャンルが終わらないよう裾野を広げたい。『難しい』『マニアのジャンル』という意識を払拭したい。今はスマートフォンを利用して、手軽にSTGの爽快感や楽しさが伝えられる仕組みを作っていきたい。」とした。
藤野氏は「『シューティング技能検定』のように、STGでありながら新機軸のプレイ感覚やアイディアを考えたい。あとは『ミステリー小説』が好きなので、インパクトの強い『驚き・感動』を与えられるようなゲームを作りたい。」と、「何やってもOK!を突き進む男」という堀井氏からの言葉がピッタリのヴィジョンを話してくれた。
堀井氏は「移植屋らしく皆さんが作ったゲームを10年、20年後に復刻します(笑)。でもオリジナルもすっごいやりたい!」と語り、STG屋らしい指針を示して座談会は終了となった。
各社よりの告知を紹介
キュート
「ギンガフォース」の廉価版が出ます。まだ詳細は決まっていませんが、近日中の発表を予定しております。新作の情報などについてもぼちぼち発表していきたいです。
モス
まずはPS3「カラドリウス ブレイズ」の発売を延期してしまい申し訳ありません。少しお待たせしてしまう形となりますが、その分クオリティを挙げていきたいと思っておりますので、今しばらくお待ちください。また、2013年4月24日にはPS3「雷電IV OverKill」も配信されますので、こちらもよろしくお願いします。
トライアングルサービス
色々諸々あって発売日が1ヶ月遅れてしまい、Xbox 360「ゲーセンラブ。~プラス ペンゴ!~」が2014年4月24日に発売されます。STGタイトルの発売が被ってしまうなんて、これはもう運命ですね(笑)。「バレットソウル」とセットで買っていただくと嬉しいです。
M2
今週3月19日に3DS「3D ファンタジーゾーン オパオパブラザーズ」が配信を開始しました。あとは3月に大きなプロジェクトが2つほど発表予定なので、そちらもお楽しみください。
最後は「バレットソウル -インフィニットバースト-」開発者トークショー!
イベントのトリを飾るのは、「バレットソウル」シリーズのプロデューサー・盛政樹氏とディレクター・鷺岡潮氏による、開発者ならではのトークショー。ところが、「バレットソウル IB」の開発などはインタビューで既に語っていることもあり、今回は特別に「『ケツイ』だけを極めて会社に入った鷺岡Dへ質問!」という談話からスタートした。
まずは「そもそもなんでシューター(スコアラー)になったの?」という質問。鷺岡氏はゲームセンターなどでゲームはよくやっていたが、入り口はスチームパンクな世界観と特有の難易度(ランク)上昇システムが魅力の「バトルガレッガ」攻略ビデオを見て、「自分でもこういう風にやりたい!」との思いからシューターとしての一歩を踏み出したとのこと。しかし、故郷の香川県では「バトルガレッガ」が近所で稼働しておらず、その当時稼働が開始されていた弾幕系の金字塔「怒首領蜂」から始めたという。
しかし、最初の内はビデオのように上手くはいかず、「最初はレバー精度も低く、STGの“切り替えし”や“早回し”といった独自の理論も知らず、そこをどうにか独学でやっていたため時間がかかった」と語り、当初の目標であった“6億点”を達成するのに2年もの年月がかかったと語る。その期間もさまざまなゲームを触ってはいたものの、本気でガッツリやっていたのは「怒首領蜂」であったと、シューターならではの攻略年月の深さが伺えるエピソードを話してくれた。
その後はSTGから少し離れていたものの、白と黒が織り成す独自のシステムが異彩を放った「斑鳩」、「怒首領蜂」の正統続編と呼ばれる「怒首領蜂 大往生」を経て、今回のノーミスプレイの題目であった「ケツイ ~絆地獄たち~」に辿り着く。「ケツイ」に関しては、当初「本格的には考えていないものの、とりあえず“難しい”と噂になっていた裏2週クリアを目標にプレイ」などと考えていたら、「気づいたら『ケツイ』ばっかやっていた」と語った鷺岡氏。その一因については、パターンが決まれば同じようなスコアしか取れない当時のSTGタイトル群の中にあって、“攻めれば攻めるほどスコアが伸びるゲームデザイン”の魅力に憑りつかれ、振り返れば9年半もの付き合いになっていたという。
そんな鷺岡氏にとって「ゲームを作る側」というのは、そういうものがあると認識していただけであって“なりたい or ならない”といった思考が及ぶものではなかったとのこと。切っ掛けは「Xbox 360『ケツイ ~絆地獄たち~ EXTRA』にテスターとして参加してみないか?」と電話をもらったこと。そこから開発側の人間として働き始めたことが、現在の鷺岡氏の始まりであったようだ。
2011年発売の「バレットソウル ‐弾魂‐」のダウンロードコンテンツキャラクターの開発からディレクターとして参加した鷺岡氏は、盛氏とのSTG嗜好が近かったため、「このゲームのあの場所みたいにして」といった指示であっても「アレですね。分かりました!」と意気投合していた様子。そんなSTG愛とスコアラーとしての経験則がふんだんに活かされた「バレットソウル IB」では、“攻めるゲームシステム”を主柱に、ゲームスピードなど“直した方がいいと思う点にメスを入れ”、どっしりと気軽に楽しめるよう1週プレイに魅力を凝縮。プレイヤーストレスを軽減するために体力制を導入し、シンプルにSTGの良さを感じられるようなゲームデザインに仕上げたとしている。
なお、「虫姫さま」などをはじめ、業界に旋風を巻き起こしたSTGタイトルに携わる元ケイブのプロデューサー・浅田誠さんのMAGES.入社に対して盛氏は、「現在本人がどのような作品を作っていくのかは伺っていないが、当人の特色を活かし、毛色の違う作品などを展開していく」と述べ、場を締めくくった。