スクウェア・エニックスは3月26日、ヨドバシAkibaにて「A REALM REBORN: FINAL FANTASY XIV Original Soundtrack」の発売記念イベントを開催した。
本イベントは、「A REALM REBORN: FINAL FANTASY XIV Original Soundtrack」に収録されている楽曲制作の中心となった祖堅正慶氏を招き、サントラやゲームについてのトークを行うというもの。
こちらの記事でもお伝えしている通り、当日は銀座ソニービルでも祖堅氏によるイベントが行われていた。本会場でも、その時と同じく、限られたスペースながら人がぎゅうぎゅうに集まり、お互いの距離感が近いなかで行われた。
イベント冒頭では、サントラについての紹介が行われた。サントラでありながらも、Blu-ray Discを採用していること、119曲分のハイレゾ音源とフルHDによる映像やアートワークが楽しめること、ポータブルデバイスで聴くために用意された高音質のMP3データも収録されていることなど、改めてその魅力が語られた。
制作に関するエピソードにも触れられ、普段ゲームで使うために楽曲を作るときはサントラに収録されているような曲名は付いておらず、開発名称でやり取りされていることが明かされた。例えば、トラックリスト38番の「ネメシス」はID(インスタンスダンジョン)のボス戦で流れる楽曲であり、「ID_BOSS_01」といった呼ばれ方をしているとのこと。
MCとのトークも弾み、「曲名は覚えていないかもしれませんが、効果音から何から何まで、曲は全て覚えています」という祖堅氏には、曲名からどこで流れるBGMなのかを当てるクイズが出題されることに。
まず「心温まる場所」という曲名を挙げられると、コスタ・デル・ソルとハウジングエリアで悩みつつ、ハウジングエリアを選択。ハウジングエリアは昼と夜で音楽が変わるため、さらに夜を選択した。しかし正解はハウジングエリアの昼であり、夜の曲名は「体温まる場所」と惜しい結果になった。
次の「妨げられた眠り」は全く予想が付かないようで、答えを見てみると「タムタラの墓所」となっていた。「イカ(ボス)が寝てるってことね!みんなが玉を開けるから起きちゃうのか」と、曲とダンジョンの関連性に納得した様子を見せていた。この説明に「なるほど」と思ったのは筆者だけではないだろう。
最後に出たのは「戦士の直感」という曲。結果から言ってしまうとこれはインスタンスダンジョンでのバトル曲になっているのだが、楽曲制作時のエピソードとして「最初IDのバトル曲はひとつだけだったんですが、締切ギリギリになってから『さすがに飽きるよ』となって、高レベル帯のIDに曲を追加することになったんです」と、ちょっとした裏話が語られた。
曲当てクイズは以上となり、話題は祖堅氏が好きな曲へシフト。銀座ソニービルの会場では“この場で流したい曲”として「クリスタルの雨」を挙げていたが、ここではトラックリスト55番「我が魂を捧げて」が選ばれた。
この曲はオルガンの独奏によるもので「ドロドロした感じがカッコいい」と話しており、当時はハウケタ御用邸のバトルをこの曲にしたらどうか、といろんな人に交渉したが、残念ながら全員から拒否されてしまったようだ。
楽曲制作の話がさらに盛り上がり、いつどんな時に曲を思いつくのかといったトークも展開。これについては「僕はゲームエクスペリエンス(体験)を一番大事にしようと思っているので、俺の曲を聴いてくれ、っていうのはポリシーに反するんです」と語り始めた。
ゲームに合っているかが重要であるため、例えばボス戦の曲であれば“どういうバトルを経てたどり着き、どんな形で倒すのか”といったことを把握したうえで曲を作り始めるという。実作業はピアノの前に座って弾いてみるより、鼻歌をスマートフォンなどで録音しておき、それをトレースしながら作っていくことが多いとのこと。
台本にないMCのアドリブで、手持ちのスマートフォンに録音されているものの一部が会場で流されることになった。どんな内容だったか記事で伝えられないのが残念だが、「チャーツクツクチャーツクツクチャー」という感じの鼻歌が流れると、さすがに恥ずかしそうにしていた。
こうした鼻歌は没になることが多く、「素直に決まるのはそれこそ100分の1ぐらいですかね」と、シビアな一面も話してくれた。
ゲーム音楽と一般の音楽における作り方の違いについての話題もあり、これには「ゲーム音楽はやっぱりゲームエクスペリエンスを高めるためのものです」とコメント。ゲームと音楽を融合させるとどういったエンターテイメントができるのか常日頃から考えて作っているため、単純にステレオで音楽を聴いてもらう状況とは異なるというのだ。
実際にゲーム内で効果音が邪魔になるようであれば、特定の楽器の音を抜いてしまうなど「ゲームエクスペリエンスを高めるためであれば、曲に対して躊躇なくメスを入れてきました」という。
しかしサントラは音楽を楽しむための作品であるため、そうした制限を全て取り払い、気持ちよく聴けることにフォーカスして制作されている。「日頃ゲーム内で聴いているものとは違う印象で聴いていただけると思いますので、ぜひ楽しんでください」と総括。普段プロデューサーレターLIVEなどに出演している時のイメージとは異なる、祖堅氏の仕事に対するストイックな面が多く見られたイベントとなった。
ただ、最後には本サントラの初回生産分に付属するゲーム内アイテム「マメット・バハムート」が手に入るシリアルコードが帯の裏面に記載されているため「帯は捨てちゃダメですよ、1番大事ですよ」と、お得(?)な小ネタで場を和ませてくれる姿も。
なお、サントラの商品ページでは、祖堅氏が好きだという「我が魂を捧げて」をはじめ、多数の楽曲が試聴できるので、商品購入に迷っている方はチェックしてみるといいだろう。
「A REALM REBORN:FINAL FANTASY XIV Original Soundtrack」商品概要
発売日:2014年3月26日(水)
価格:¥5,000+税
収録曲数:119曲
品番:SQEX-20016
仕様:Blu-ray Disc 1枚
公式サイト:http://www.square-enix.co.jp/music/sem/page/ff14/REBORN/
発売元:株式会社スクウェア・エニックス