バンダイナムコゲームスは、「アイドルマスター」シリーズ最新作、PS3用ソフト「アイドルマスター ワンフォーオール」を2014年5月15日に発売する。今回、同社で序盤の体験プレイができたのでレポートしていこう。

「ワンフォーオール」の基本システムの中で大きな変化として挙げられるのは、前作でライバルユニット「竜宮小町」のメンバーだった水瀬伊織、双海亜美、三浦あずさとそのプロデューサー・秋月律子の4人を含む、全13人がプロデュースできるようになったこと。そしてもうひとつは、今までのアイマスが決められた期間(約1年)を周回するパラレル型のプロデュースだったのに対し、本作では、一定期間のプロデュース期限があるのではなく、春夏秋冬の季節を巡りながら765プロ所属のアイドル13人を心ゆくまでプロデュースしていくエンドレスプロデュースを採用したことだろう。

本記事では序盤を実際にプレイした内容に沿ってレポートするが、基本システムに関しては当サイト他で既報の内容が大半となるため、システム面よりも“「ワンフォーオール」はアイマスとしてどうなのか、どれぐらいアイマスしてるのか”“本作のアイドルたちと出会って感じたこと”といった、実際にプレイしないと感じにくい空気感を中心にレポートしたい。

アイドルたちがいる光景

実はプレイ前、最初に一推しアイドルを選んでください、という指定をもらっていた。DDというか、なるべくフラットに見ようとしている自分にはなかなかの難題。ブシロードの田中ブンケイPなら「アイドルはみんなかわいいですよ」と韜晦しながらノータイムで律子を選ぶと思うのだが。熟考の末、今回は如月千早を最初に選ぶことにした。今回の体験プレイで描かれるのは、“アイドルたちとの新しい出会い”。自分にとってのアイマスとの出会いは、ゲームセンターで筐体から流れてきた彼女の「蒼い鳥」に吸い込まれたことであったことを思いだしたからだ。

とはいえ、実際にキャラクター選択画面を見た時は少々困った。意に反して、身体が勝手に律子や伊織を選びたがっている感じで、自分が思っていた以上に竜宮小町組のプロデュースを欲していたことを思い知った。

「ワンフォーオール」の物語は、765プロの正式なプロデューサーに就任したところから始まる。Pは研修的な形で以前から在籍しており、社長や小鳥さんとはもちろん、アイドルたちともちゃんと面識がある。これにはどこかほっとした。長年一緒に過ごしてきたアイドルに再会して「初めまして」と言われるのは、何度経験しても鈍い痛みが伴うし、今となっては違和感のほうが大きいやりとりだからだ。

冒頭765プロの事務所に入ると、春香や響たちが順番に挨拶し、プロデューサー就任を祝ってくれる。キャラクターの紹介と物語の進行をシームレスに進められるのは、アイドルたちが“そこにいる”765プロの室内をリアルに再現した副産物だろう。P視点で事務所に入っていく映像はPVなどで何度も見たが、自分がコントローラーをにぎると臨場感が段違いだ。響、そんなにおへそをだすとお腹を冷やすよ。律子の「誰か一人担当してもらうだけで、確実に私の事務作業が減りますからね」という何気ない台詞にも「ああ、この律子はプロデューサーではなく、事務員兼アイドルで頑張ってるんだな」とじんわり来る。美希は寝てた。

週が進んでも、事務所は無機質なホーム画面ではない。ある日事務所を訪れると、ホワイトボードにはその週誕生日のキャラクターを祝うメッセージが描かれていたりする。レッスンやオーディションに行く時には、ランダムで?留守番のアイドルたちが見送ってくれる。765プロは13人のアイドルとプロデューサーたちの居場所であり、常に彼女たちがそこに存在する空気感が大事にされているように感じた。

キミに決めた!

選択画面でいきなり時間をかけつつも、最初にプロデュースするアイドルは千早に決めた。千早がいるという動物園に向かい、早速プロデュースすることを伝えた。

「アイドル文化に埋もれてしまいたくないんです。歌の力を、伸ばしてください」

やはり、千早が歌を何よりも大事にする、同時にどこか危うさをはらんだ少女であることは変わらない。だが、そこにアーケード版にあったような、孤高でぴんと張り詰めすぎた感じはやや薄い。どちらかといえばTVアニメを経た劇場版での千早のおだやかさに近いものも感じて、気がついた。「ワンフォーオール」のアイドルたちは、自分以外の12人の仲間たちと共にいることが日常なのだ。春香という親友がいて、仲間たちがにぎやかにすごす事務所の空気に混ざりはしないまでも、心地よく感じている。そんな千早が孤独に、歌だけにすがっていた千早とは違う描き方をされるのはむしろ必然だ。

そんな益体もない深読みをしてしまったのは、実はプロデューサー(自分)の描き方にも変化があったからだ。今はアニメの未熟だが誠実な赤羽根Pのイメージが強い“プロデューサー”だが、過去のゲームシリーズのプロデューサーは実は、わりと変なやつだ。持ち主の願いを曲解するランプの精のように、「その選択肢でそう動くのかよ!」といった予想外の展開に翻弄されたPも多いことだろう。

だが本作のプロデューサーは、端的に言えばかっこいいのである。選択肢で選んだ意図にそって行動し、やりとりの中で、「あ、このやりとりがあったら、アイドルはまた少しプロデューサーを信頼するようになるだろうな」と納得ができる。主人公として積極的にアイドルに関与するようになった赤羽根Pとでも言えばよいだろうか。これは正直心地よい。

順番が前後するが、実はプロデュースできる2人目には我慢できず「アイドルマスター2」ではプロデュースできなかった伊織を選んだ。伊織との最初の出会いでは、プロデューサーのことをなんと呼んでほしいかを選択できる。もちろんここは「お兄ちゃん」で、ふふふふ…と選んだところ、「キモッ! 私変態のプロデューサーなんていらない! 下僕ってことにしてあげるわ!」との言葉を頂けた。プロデューサーは基本かっこいい男であるが、変態紳士になることもできるし、タッチコミュニケーションではさまざまな選択肢がある。

続く伊織の選択肢では買ってくる飲み物を選べるのだが、作中の“プロデューサー”が知らない伊織の好物が100%オレンジジュースであることを“我々は”知っている。よって伊織の御機嫌を取ることに成功したのだが、古株のプロデューサーは「伊織様の好みはもちろん把握してるぜ!」とちょっと嬉しいし、初対面のプレイヤーはそのまま初対面として、直感に従って成功したり失敗したりできる。

細かい話ではあるが、この今までキャラクターと重ねてきたプレイヤーの経験値で、少しキャラクターと距離を詰めやすくなるが、それがなくても全く問題なく楽しめる、という感じは間口を広く取る上で重要だと思う。朝の挨拶などのランダムな好感度の変化は少なくなったようで、プレイヤーの選択と仕事やオーディションの成否が関係性を作っていくのは達成感がある。

千早の“笑顔”のニュアンスの違い

さて、いまさらの確認になるが、「ワンフォーオール」の世界では「All Idol Rating Agency=A.I.R.A(アイラ)」がアイドルランクを認定しており、ランクE3から順番にアイドルランクを上げていく。ランクA3以上で出場できる「アイドルエクストリーム」が大きな目標になるようだ。

「ふれあい」でアイドルとコミュニケーションをとって思い出をため、「お仕事」で活動に必要なマニーをため、「レッスン」でボーカル・ダンス・ビジュアルの能力値を高め、「オーディション」や「フェス」でファン人数を集めていく。これら基本をローテーションで繰り返していく基本は「アイドルマスター2」とほとんど変わらないが、今までのアイマスが「限られた期間の中で、最適の育て方や勝ち抜き方でトップアイドルを目指す」形だったのに対して、本作は少しずつ積み上げていくRPG的なレベルアップの感覚に近い。

「ふれあい」で、響には気兼ねせず青汁を飲ませてにやにやできるが、千早に対する時はコーヒーの飲み方ひとつでもつい熟考してどう関わっていくべきかを考えてしまう。

「お仕事」で最初に選べる千早の「はじめてのお仕事」は、ゴルフ場で入賞者を祝福するプレゼンテーションだ。最初は不満顔だった千早がやりとりの結果、少し前向きに仕事に取り組んでくれるのだが、ここで浮かべるぎこちない笑顔が、たしかに“ひきつっている”ように感じる。ボーカルレッスンにプロデューサーが立ち会うことになった時の“ありがたいけど少し迷惑というか、戸惑っている”感じの笑顔といい、表情のチューニングが実によくされていると感じた。

余談だが、最初のお仕事ではファンが「1人」増える。プレイヤー自身がアイドルの最初のファンという解釈が定番だと思うが、千早の精一杯の笑顔で入賞者のおじさんが初めてのファンになった、とも思いたくなった。なお、ライブにアンコールがかかると、本当に嬉しそうな千早の笑顔を見ることができる。

さて、脱線したが、プロデュース2週目には最初のオーディション「the debut」に挑戦する。開始時点で選べる楽曲は「キラメキラリ」や「Kosmos,Cosmos」など各キャラクターの持ち歌が中心。「Colorful Days」も気になったが、やはり如月千早のデビューを飾るのにふさわしい曲は「目が逢う瞬間」だろう。衣装とアクセサリーは見た目重視でチョイスしたが、やはりステータスはボーカルが突出している。

いざ初のオーディションに向かうと、ここでなんと事務員の音無小鳥さんから肉声で電話が! 初オーディションの前にポイントを教えてくれる、つまりはチュートリアルなのであるが、そのやりとりの中でも、あー、小鳥さん残業して資料をまとめてくれたんだな、ありがたい…というような気分にひたることができるのが嬉しい。

オーディションや、後の週に登場するフェスの基本システムは、「アイドルマスター2」とほぼ共通だ。楽曲のBPMに合わせてボーカル・ダンス・ビジュアルに対応したボタンをタイミングよく押すとパラメーターに応じたポイントが入り、CHAIN(コンボ)によるボーナスがある。思い出をタイミング使ってゲージを溜め、バーストアピールに突入すると一気にボーナスが! …などはおなじみのプレイ感なので、無事に初オーディションを突破することができた。

オーディション合格のご褒美であるライブ画面は、背景のスタジオとアイドルたちのなじみがよくなり、実際のライブを見ているような感覚がより強くなったように感じた。ライブ中は十字キーでカメラの寄り引きを動かせるので、ずっとアップで眺めたりも可能だ。

自分、完璧だからな!

プロデュースから3週目には伊織が、4週目には響がユニットメンバーに加わった(加えた)。かなりテンポが早いが、なんせ本作では13人全員を同時プロデュースするのである。ライブやフェスではリーダー1人とメンバー2人、計3人までのメンバーを選んで本番に臨む。「番組ディレクターがビジュアル好み」などの要素があるので、衣装・楽曲と共に戦術の幅は広そうだ。歌姫千早に響の芯の強さと伊織の甘さが加わった歌声のハーモニーは完璧であり、初フェスも当然圧勝したのであった。ゲストではない、自分がプロデュースするユニットで伊織が一緒に戦ってくれる心強さに、胸が熱くなった。

伊織と響が加わったことで、ボーカル・ダンス・ビジュアルのパラメーターが少しバランス良くなった。さらにレッスンでバランスよく…とも思ったが、千早の視線を感じたので最初のレッスンはやはりボーカルレッスンにした。レッスン内容はリニューアルされており、ボーカルレッスンはリズムゲームっぽい感じだが、入力の合間にL1R1ボタンを押して息継ぎをしてブレスゲージを回復させないとレッスン失敗になってしまう。初見のぶっつけでもパーフェクトレッスンがとれたので、難易度はそこまで難しくはなさそうだ。ただし、レッスンの効果の大きさや持続時間はプロデューサーランクによって変わるとのことだ。

ん? プロデューサーランク? となったが、そのあたりはぬかりなく翌週に高木社長から説明があった。アイドルランクはA.I.R.Aが決めるが、プロデューサーランクは社長が決めるとのこと。毎期設定される目標(最初は「シーズン中に3000マニーのギャラを稼げ」)を達成すればランクアップ、逆に達成できなければ担当アイドルのプロデュースの解消もありえると社長に脅されたが、序盤のプレイではそこまではたどり着かなかったので、このあたりは本番のプレイを楽しみにしたい。

そして5週目に待っていたのが、最初の大きな山場であるオールスターライブだ。オールスターライブは本来夏と冬の最終週に行われる特別なライブ。所属するアイドルたちが3回のライブを行い、その合計でハコユレ震度(盛り上がり)ノルマ達成を目指す大一番だ。なお、最初のオールスターライブは夏冬とは別のいわば特別編となっている。

本番に臨む前に、本作の新要素である「スキルボード」による成長ができたので、千早のボーカルにボーナスが入るスキルを選択した。スキルボードは樹形図のように各方向に広がっており、レベルアップで入手したスキルポイントを目指す消費することで、取得した隣接したスキルと隣接したマスのスキルを取得できる。数マス先にはアイドルのシルエットがあり、どんな内容なのかとても気になった。

レッスンと衣装のチェンジなどを行い、いよいよ勝負のオールスターライブに向かう。

765プロ、ファイト、オー!

オールスターライブに向けて、社長から新曲がもらえた。アニメ「アイドルマスター」のオープニングテーマである「READY!!」と「CHANGE!!!!」、そしてゲーム「アイドルマスター2」の象徴的楽曲である「The world is all one !!」の3曲だ。シングルとしては3年前に発表された「The world is all one !!」だが、プロデュースアイドルに13人全員が揃い、「シンデレラガールズ」「ミリオンライブ!」のアイドルたちともライブやDLCで道が交わりだした今ほどこの曲がふさわしい時もない気がする。

オールスターライブでは、クインテット(5人ユニット)、クインテット、トリオで計13人が参加できるため、765プロ全体の総合力が問われることになる。楽曲はやはり、もらった新曲の「READY!!」「CHANGE!!!!」「The world is all one !!」をチョイスした。通常、ライブ会場に向かうローディング画面では、765プロアイドルのドット絵が歩いている姿がランダムで表示されるのだが、オールスターライブではなんと13人が一同に現れ、気分を盛り上げてくれる。

会場となる国立音楽堂に到着。ライブ前にはリーダーの千早だけでなく、春香や響との会話も。そして、本番直前には765プロ全員での円陣が! 全てのアイドルが声を揃っての「765プロ、ファイト、オー!」の声は、これだけのためにプレイする価値がある。

オールスターライブ本番では、これまでに溜めた思い出を惜しみなく使って、伊織が、響が、千早がバーストアピール。3回のライブが終わってなんとか目標のハコユレ震度をクリアすると、画面には「ONE FOR ALL!」の表示と共に、オールスターライブの大成功が告げられた。

オールスターライブに大成功すると、特別に13人全員でのライブPVを見ることができる。今回見ることができた楽曲は新曲「ONLY MY NOTE」! 大会場のステージへ、色とりどりの衣装で飛び出していくアイドルたち。カメラは現実では困難な動きでステージ上のさまざまな角度からアイドルたちを映し出す。真っ先に思い出したのは劇場版「THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!」のカメラアングルだ。そして、アイドルたちを背後から映し、その向こうにアリーナの光の海が見える光景は、先日の「シンデレラガールズ」ファーストライブのパブリックビューイングで採用されていたものに近い。このさまざまなメディアや現実の演出が相互に影響を与え合う感じはアイマスならではだろう。

オールスターライブ大成功で伊織と響のLVがアップしたこともあり、翌週に行われたランクアップフェスも無事勝利。リーダーの千早が「E2」ランクアイドルに昇格することができた。そう、ランクアップするのはリーダーだけなのである。所属アイドルは13人いて、「アイドルエクストリーム」参加条件はA3以上であることを考えると、道のりは果てしなく遠く、それだけ長い道をアイドルたちと歩いていけると思うと嬉しくなってしまう。

最後に「ワンフォーオール」のファーストインプレッションを総括しておくと、据え置きの前作「アイドルマスター2」を“ファンが望む方向へ、よりアイマスらしく”ブラッシュアップを重ねた新作だと感じた。ストーリー面に関しては序盤だけで判断することはできないが、10年近くアイドルと一緒に過ごしてきた人、アニメでアイマスを知った人、そして本作で初めてアイドルたちに出会う人それぞれが、なるべく違和感なく飛び込めるよう心を砕いているように感じたので、物語面でも期待できる気がした。

と、ここでコントローラーを置こうとすると、社長やアイドルたちに混ざって、変なメールが届いていた。何やらyura Darkさんを思い出すようなテンションのメールによれば、特別なショップに招待してくれるとか。一体何売ってるの? それだけ見ちゃ駄目? …駄目ですか。果てなく続くプロデュースの一端を垣間見てしまっただけに、早く続きをプレイしたい気持ちは募るばかり。蘭子や星梨花のDLCも気になるし、「ワンフォーオール」発売までは長い2週間になりそうだ。

アイドルマスター ワンフォーオール

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  • 発売日:2014年5月15日
  • 価格:7,600円(税抜)
  • 15歳以上対象
アイドルマスター ワンフォーオール

アイドルマスター ワンフォーオール

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  • 発売日:2014年5月15日
  • 価格:7,600円(税抜)
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アイドルマスター ワンフォーオール
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(C)窪岡俊之 (C)BANDAI NAMCO Games Inc.

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