GWCは、7月11日に東京・渋谷ヒカリエホールにおいてカンファレンス「GMIC TOKYO 2014」を開催した。本稿では、基調講演の模様をレポートする。

「GMIC TOKYO 2014(グローバル・モバイル・インターネット・カンファレンス)」は、「進化し続ける68億人市場、世界のモバイル・コンテンツビジネスとは」をテーマに開催されるカンファレンスで、2009年から毎年5月に中国・北京で開催されている。2013年にはアメリカ・シリコンバレーで開催され、今回の東京、そして、9月にはインド・バンガロールで行われる予定だ。本稿では、基調講演の模様をお届けする。

モバイルインターネット業界での中国式逆襲
Cheetah Mobile CEO 傅 盛氏
Cheetah Mobile CEO 傅 盛氏

セキュリティアプリなどを展開するCheetah MobileのCEO 傅 盛氏は世界で活躍する中国企業について公演を行った。

傅氏は、モバイルインターネットの登場で全世界がフラットになり、中国企業にも大きなチャンスが巡ってきたと語った。そのような中で、中国で生まれて中国育ちの傅氏も世界で勝負することができていると説明した。

Baidu、Alibaba、Tencentの頭文字から取ったBATと呼ばれる企業をはじめ、多くの中国企業が世界で活躍し、今後もさまざまな中国企業が世界展開をしようとしているという。同社も今年の5月にニューヨーク市場に上場している。

中国企業の強みとして人材の豊富さを挙げた。海外企業が優秀な研究者やエンジニアを雇用することが難しくなってきているなか、中国には優秀な大学生やエンジニアが大勢おり、人材発掘を容易に行うことが可能で、同社でも500人だった社員を1年間で1500人まで増やすことに成功している。そして、製品開発に200~300名の人材を投入し、グローバル展開を急速に進めている。

海賊版によってソフトウェア市場の発展が阻害されてしまった中国市場では、企業が海賊版に対抗するためにソフトを無料化し、利益を出すかを試行錯誤してきたという。そして、無料であっても多くのユーザーがソフトを利用することで成り立つビジネスモデルの確立に成功した。

同社のセキュリティソフト「金山セキュリティ」は、立ち上げ当初、有料ソフトとしてリリースされた。その後無料化したことでユーザー数が毎年20%増加し、売上も有料ソフトの時と比べ3倍に増加したという。

同社の海外ユーザーの割合は63%に達しており、最も多い地域はアメリカとなっており、すでに中国市場だけでなく世界市場で展開している。2013年5月に4600万人だったユーザー数は、2014年5月に2.2億人にまで拡大。1年間で5倍のユーザーを集めることに成功したそうだ。

同社のアプリ「Clean Master」は、2013年5月のリリース当初、Google Playランキングで48位だったが、1年後には4位にまで上昇。その他のアプリについても世界各国のランキングで上位に位置しており、パブリッシャーのランキングでは、Facebook、Googleに次いで3位となっている。

傅氏は、同社のような若い企業がこのような成果を出すことができたポイントを、「モバイルの時代が到来したタイミングと中国企業が世界に進出するチャンスを捉えることができたこと」だと述べた。

LINEのグローバル成長について
LINE 代表取締役 COO 出澤 剛氏
LINE 代表取締役 COO 出澤 剛氏

LINE 代表取締役 COO 出澤 剛氏は、LINE誕生のきっかけや同サービスが成長した理由について公演した。

LINE誕生のきっかけは2011年の東日本大震災の時。震災発生当時、すべてのインフラが止まり、電話も繋がらない状態になってしまった。そのような状況でtwitterなどのサービスにより安否情報が拡散しているのを見て、インターネットの力を感じたという。しかし、同時にオープン型のインターネットの限界も感じたそうだ。そして、少人数でのクローズドなコミュニケーション手段が存在しない点に気づき、クローズドなコミュニケーションが可能なツールを考えたという。

その後、5月に開発体制を整え、1ヶ月半で開発しローンチ。2014年7月8日にはユーザー数が4億8000万人に到達している。

続いて、LINEが成長した理由について二つのポイントが語られた。

一つ目はポジショニングだ。パソコンの時代はEメール、携帯電話はSMSといったシンプルなメッセージサービス、そしてスマートフォンではメッセンジャーサービス。LINEはその次の第二世代メッセンジャーサービスだと位置づけている。

メッセージが送れるだけでなく、通話やスタンプでのやり取りやゲーム要素などリッチなコンテンツを楽しめるマルチコミュニケーションメッセンジャーの時代になり、パソコンに詳しい人だけでなく、一般の人でも簡単に使えるようになってきている。

LINEは、友達や家族など細分化されたネットワークをユーザー側が作ることができ、密度の濃いコミュニケーションをとることができる。感情を伝えることのできるスタンプも新しいコミュニケーションとしてスタンダードなものになると確信していると語り、検索やポータルサイトが主流となっていた情報との接し方も大きく変化し、コミュニケーションアプリがインターネットの入口になっていくのではないかと述べた。

二つ目には同社の企業文化を挙げた。スマートフォンでは、GoogleやAppleよりマーケットが整備されたことで、誰もがすぐに世界に向けてサービスを発信することができるようになった。そして、世界のビッグプレイヤーが国境を越えて各国の市場に参入できるようになり、刻一刻と状況が変化する環境になっている。このような環境を受けて、同社では素早く変化に対応することがもっとも重要視しているという。

変化に対応するため、長期的な計画は行わず、3ヶ月程度にとどめているという。ユーザーの反応を最も大事にしており、サービスのローンチ後は膨大なログを蓄積・解析、さらにブログやtwitterでどのような言及が行われているかもチェックしている。このようなことを繰り返し、短期間の計画を繰り返しているそうだ。

そして、現地にあわせたローカライズにも注力している。言語のサポート、ローカライズ、現地のパートナー、そして、現地のオフィスに大きな権限を与えている。この4つのポイントにより、徹底したローカライズを行いユーザーの声に耳を傾けながら、ユーザーファーストを貫いている。

LINEは日本以外の多くの国でも受け入れられており、すでに日本のユーザーは全ユーザーの10%程度になっている。LINEアプリのダウンロード数も10億を突破し、マネタイズもうまくいっていると語っていた。

今後については「世界でNo.1のプフラットフォームになる」と掲げ、コミュニケーション、デジタルコンテンツ、そして、O2Oを重視していきたいと語り締めくくった。

テンセントと共に成長―テンセントモバイルゲームのストラテジ
Tencent Games 副社長 王 波氏
Tencent Games 副社長 王 波氏

中国市場でさまざまなゲームを展開するTencent Gamesからは、副社長の王 波氏が登壇。40億ドル市場に成長した中国のモバイルゲーム市場と成長性について説明した。

中国市場の環境は日本と大きく異なり、参入には大きな壁が存在する。多様な端末と通信環境だ。Appleの端末もあれば、安い国産端末も存在し性能もさまざまだ。さらに、4Gでの通信環境が整った日本や韓国とは異なり、中国では2Gや3Gが中心である。市場規模は大きいがさまざまな環境が日本より2,3年遅れているのである。さらに、中国のモバイルユーザーの多くが30歳以下の若い人で、さまざまなゲームを平行してプレイするといったユーザーの特性もあるという。日本市場ではあまり変化しないモバイルゲームランキングだが、中国では毎週100本以上のゲームが登場し、頻繁に順位が入れ替わっているそうだ。

過去に多くの日本のゲームメーカーが中国に進出し、なかなか成功していない現状については次のように分析した。

中国では多様な市場やユーザー層が存在するほか、テレビ広告などに規制が設けられている。さらにセキュリティや支払い方法といった中国特有の事情を挙げた。

中国には、若い年齢層のユーザーが多い「Mobile QQ」やホワイトカラーが多い「WeChat」などユーザー特性の異なるツールが存在している。そして、その特性にあわせた手法で口コミによる宣伝を行う必要があるという。

左の図は、利用開始から2日目の利用率を表しており、友達の人数の増加により利用率が向上していることがわかる。
右の図は1日に遊んだ回数で友達が多くなるほど遊ぶ回数が増加している。

同社では、このようなデータの調査や研究を重要視しており、離脱や継続の原因を分析している。

日本のゲームは、中国や韓国のゲームよりもデザインやゲーム性が優れているが、どのようにプレイヤーを惹きつけるのかといった部分が弱点になっていると指摘した。

また、中国特有の支払い方法についても説明。内陸地域では、銀行に口座を持っていない人も多く、カードを買ってもらいチャージする形態をとるなど工夫が必要になる。

さらに、プレイヤーの財産となるコインやデータを守るための安全性も重視。ハッカーやBOTといった脅威からプレイヤーの財産を守るために200人以上のセキュリティスタッフを配置している。

最後に王氏は、テンセントのこのような能力と日本の高品質なコンテンツを結びつけることができれば、中国市場にマッチしたサービスが提供できると話し、「日本の企業と一緒に世界で成功したい」と語っていた。

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