スクウェア・エニックスは9月21日、「東京ゲームショウ2014」において、今年配信予定のスマートフォン向けゲーム「ファイナルファンタジーVII Gバイク」と、既にAndroidで好評配信中の「ファイナルファンタジー ワールドワイドワーズ」のクリエイタートークイベントを開催した。
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ステージにはスクウェア・エニックスから、「シアトリズム ファイナルファンタジー カーテンコール」や「ピクトロジカ ファイナルファンタジー」などのプロデューサーを務める間一朗氏、「ファイナルファンタジー ワールドワイドワーズ」のディレクターである鈴木泰平氏、そしてぴろし社長の愛称でおなじみのサイバーコネクトツー(以下、CC2)代表取締役社長である松山洋氏らが登壇した。
松山氏は冒頭の挨拶で、鈴木氏が2年ほど前に研修でサイバーコネクトツーに3~4か月ほど在籍していたのに、そのまま就職せずに帰郷されてしまったという不思議な縁についての秘話を披露した。間氏の「その選択は間違っていなかったということですね!」という厳しいツッコミには、会場からどっと笑い声が上がった。
「FFWWW」でこんなにフリック入力が上達した!? 実例を紹介!
まずは、先日Android向けに配信が始まったばかりの「ファイナルファンタジー ワールドワイドワーズ(以下、FFWWW)」の紹介からスタート。「FFWWW」はバトルの部分にばかり焦点をあてられがちだが、本格的なRPGとして作成されているそうだ。
キャラクターの名前やアビリティの名前をデコって長い文字列にすればするほど、攻撃力があがる。その代わり長い文字列にするほど入力にも時間がかかるので、その駆け引きがこのゲームの面白さだという。
まだ配信が始まったばかりということもあって、コンテンツのボリュームは少な目だが、今後いろいろと追加していく予定とのこと。またiOS版の配信が待たれるが、こちらは近日中に配信が開始できるであろうことが伝えられた。iOS利用者はもうしばらくだけ待とう。
ここで、フリック入力をしたことがないというスクウェア・エニックスの橋本真司エグゼクティブプロデューサーに「FFWWW」を実際にプレイしてもらい、フリック入力がどれくらい上手くなるのかを見てみようというVTRが流れた。
しかし橋本氏は練習をサボってばかりでなかなかきちんと練習をしてくれなかったそうだ。そこで開発陣らは、橋本氏をやる気にさせるために、社内でそれぞれの年代から代表者を選出。橋本氏にそれを突きつけることでやる気にさせる作戦に出た。
VTRの終了と共に、訓練の成果を実際にステージで披露するべく、橋本氏がステージに登場し、実際にプレイを披露した。
橋本氏が必死にプレイをしている横で、鈴木氏は「このゲームでは、例えばギルガメッシュ戦のときにパーティにバッツを連れていくと、固有の会話が発生したりします」という、FFシリーズのファンならば色々と楽しめるような内容になっていることを明かした。
なお肝心の橋本氏は、訓練の結果、随分とフリック入力が上達している様子を見せてくれた。「FFWWW」は、本当にフリック能力の上達を促してくれるらしい。
「FFWWW」では、配信開始記念キャンペーンということで、ティーダが使えるようになるキャラクリスタルやアビリティ「クイックトリック」を、新たにゲームを開始した全てのユーザにプレゼント中だ。このキャンペーンは9月30日までで、万が一iOS版の配信が間に合わなかった場合はこのキャンペーンの期間を延長し、iOS版を待っているプレイヤーにもこれらがプレゼントされるように配慮するとのこと。iOS版ユーザも、安心して配信開始を待とう。
「FF7 Gバイク」のゲーム内容が初めて詳しく語られる!
次のコーナーは、「ファイナルファンタジーVII Gバイク(以下、FF7 Gバイク)」。そもそも何故CC2の社長である松山氏がこの場にいるのかというと、「FF7 Gバイク」の開発はCC2が担当しているからに他ならない。
CC2と言えば、「.hack」シリーズや「NARUTO疾風伝 ナルティメットストーム」シリーズ、スマートフォンでは「ギルティドラゴン」や「フルボッコヒーローズ」など、数々のヒット作を飛ばしているデベロッパーである。そのCC2とスクウェア・エニックスがタッグを組んで開発されたのが、「FF7 Gバイク」だ。
そもそも「FF7 Gバイク」は、「ファイナルファンタジーVII(以下、FF7)」の中で実際にあったミニゲームで、それを現代風に作るとどうなるかというコンセプトの元で作られている。
躍動感や熱気みたいなものを特に意識し、「FF7」の中のミニゲームをリメイクしたのではなく、「FF7 Gバイク」一本で「FF7」を感じられるようなゲームにする、ということだ。
そこで、マテリアやリミットブレイクなどのシステムも「FF7」から継承し、「FF7 Gバイク」にも、これらのシステムを搭載。過去の「FF7 Gバイク」には入っていなかった要素もふんだんに盛り込み、召喚獣や「FF7」での仲間キャラクター、本来の「FF7」のバイクゲーム中には出現しなかった敵キャラなどが登場する。
ここで実際のプレイ動画を見ながら、松山氏が「FF7 Gバイク」の詳細を語った。
基本的にはオートランで、バイクは何もしなくても勝手に進んでいく。そして、ジャイロセンサーでスマートフォンを傾けるだけでその方向にバイクを動かすこともできれば、動かしたい方向をタップすることで移動させることもできるし、どちらかひとつの入力方法に設定することも可能だ。
敵に近づくと自動的に剣で攻撃するので、基本的にはバイクの移動にだけに集中できる。マテリアは武器にセットして使用。武器によってマテリア穴が違うのは従来の「FF7」と同じで、仲間キャラクターは何か条件を満たすと助けに来てくれるとのことだ。
松山氏は「自分で作っておいてなんだけれど、こうやって見ちゃうとスマホだけじゃもったいないよね! PS Vitaとかでも出したいよね!」と、この作品の更なる展開をもくろんでいるようだ。間氏に冷静に「そういうのはいずれまた」とぼかされていたが、ユーザーとしては期待したいところだ。
「FF7 Gバイク」について質問&コメントに松山氏がお答えします!
ステージは、前もってスクウェア・エニックス メンバーズで募集していた「FF7 Gバイク」へのさまざまな疑問に、松山氏自らが回答するというコーナーへ。
――「FF7」をプレイしたことがなくても遊べますか?
松山氏:もちろんです! 一本のRPGとして「FF7 Gバイク」は完結している作品です。ゼロからちゃんと楽しめます。
間氏:そうですね、ただ我々は、もう「FF7」をプレイしたことがない、という前提ではもう作れませんので、その辺りについては難しいですね。
――コースはミッドガル以外にもある?
松山氏:ミッドガル周辺を延々走り続けるゲームではありません! 他の「FF7」の世界観の中でもしもここにコースがあったら、といったような感じで、さまざまな場所を走ります。また、順次追加もしていきます。
――クラウド以外のキャラクターや、他のシリーズのキャラクターも使えるようになりますか?
松山氏:色んなキャラクターは登場します。でも基本的に操作できるのはクラウドのみです。でもクラウドにも色んな衣装のバージョンがありますし、そういった衣装替えの要素などは用意します。「FF7」以外のキャラクターについては、今のところ考えていません。
間氏:このゲームでそういう広がり(他のシリーズのキャラクターが登場すること)は、やっちゃいけないかなっていう風にも思いますね。
――アクションが苦手でも楽しめますか?
松山氏:もちろんでございます。CC2ってアクションゲームを得意として作ってきているんですけれど、私自身はアクションゲームすごい苦手で、社内でゲームを作っているときも普段から「社長でもクリアできるかどうか」がひとつのガイドラインになっているくらいなんです。
――バイクの改造はできますか?
松山氏:できます! っていうか、ぶっちゃけハーディ=デイトナ(※「FF7」でクラウドが乗っていたバイク)に乗っているっていうことは、フェンリル(※「FF7AC」でクラウドが乗っていたバイク)もみんな期待するよね!? 衣装も含めてね。合体剣とかも見たいじゃない。ACまで含めて、クラウドはクラウドだからね。
間氏:これ今のうちに言っておいたら、もっと乗れるもの増えそうだなぁ(笑)
鈴木氏:アイテムのギミックとかも楽しみだね。
松山氏:色んなバイクのデザインとかも、ノムさん(野村哲也氏)に見てもらっています。原作に出てきたもの、そうでないもの、色々取り揃えています。
橋本氏:アイディアを出し合う会議を北瀬や間や野村とか全員とするときに、僕らも色々いれてくれとお願いをしてあるからね。
――対応機種を教えてください。
松山氏:とりあえず、Androidに関しては力の限り頑張って増やします。iOSは、ぶっちゃけると間さんが「FFはやっぱりクオリティが大事だからiPhone5以上でいい、昔の機種は切り捨てよう」とか言っていたのに、他のゲームで昔の機種切り捨てたらいっぱいお客様から苦情がきちゃったもんだから、「やっぱり4Sも対応して」とか言い出して、今必死にやっているところですよ!
間氏:ごめんごめん、確かに言ったけど、でも結局iPhone4S対応してくれているんだよね?
松山氏:はい、iPhone4S対応しています。最新のiPhone6でももちろん遊べます。
間氏:Androidは何百機種とあるので難しいですけれど、できるだけ多くの端末で遊べるようにはします。
――クラウドのボイスは入りますか?
松山氏:そりゃ入ります! でも、さっきも言った通り急にiPhone4Sに対応しろとか言うから、今メモリがカツカツなんですよ。色々なもの圧縮しなきゃいけないから、ボイスについてはそのうち徐々に増やしていく形になるかと思います。
間氏:いやいや僕は、CC2さんならできると思うから言っているのよ(笑)。ボイスに関しては、うちの野村もすごいこだわっているところなので、しっかり入れていきます。
――マテリアの使い方が気になります。
松山氏:先程も少しお話しましたけど、作中に出てきたマテリアは大体出てきます。そして原作通り、武器のマテリア穴にあわせてはめていきます。元々マテリアってよく出来ているシステムなので、そこは一通りちゃんと体感できるようにしています。
橋本氏:今日情報多いね(笑)
松山氏:ここで言わないでいつ言うんですか! そもそも最初にE3で情報出したあと、ずっと止まっていましたからね。
――新しい技はありますか?
松山氏:リミットブレイクのことですかね? このゲームは、それこそ最初バスターソードから始まって、そのあと徐々に色んな武器をゲットしていくんですけれども、武器によってリミットブレイクが変化していきます。バスターソードだと「破晄撃」が出ます。武器の変更をしてルーンブレイドにすると、「超究武神覇斬」の流れを汲む技になるんですけど、今のところ「バイクの轢き殺しアタック」って呼んでます。まぁその名前は絶対採用しないですが。技名は今スクウェア・エニックスさんと揉めている最中です(笑)。
――衣装チェンジなどの要素はありますか?
松山氏:衣装チェンジはさっきも言った通りあります。「FF7」ってアドベントチルドレンとかビフォアクライシスとかクライシスコアとか色々あって、それらも全部クラウドじゃないですか。だからその衣装は用意します。あと、ノムさんに『新しい衣装描いてくれ』って頼んでるのに、一向に上がってくる気配がなくて、こっちは待ちぼうけくらっている状態ですよ!
間氏:今日はこれガチの話でね、ちょっと映像出せますか?
橋本氏:世界初!
間氏:これ大変だったんだよ、いや俺が大変だったんじゃなくてテツさんがなんだけど(笑)
松山氏:待てーーーーーー! スクウェア・エニックス! できてるやん!
間氏・橋本氏:できてるできてる。
松山氏:えっ、これいつできたの!?
橋本氏:いつだったっけ、TGS初日?
間氏:さっき上がりました。
松山氏:うちに納品せぇよ!
間氏:うん、だから今日持って帰って。これ今確認して。すごいよね、やっぱね。
松山氏:いや、確かにすごいけどね!? ノムさんにリクエストした通りになってるけどね!?
間氏:じゃあ満足した?
松山氏:はい。これからこの衣装作ります。
間氏:さすがにリリースまでには間に合わないかもしれないけどね。
松山氏:間に合うわけないやろ!(笑)
橋本氏:これもう来年の東京ゲームショウには、このコスチュームの方が会場にいらっしゃるかもしれませんね。下手したら12月のジャンプフェスタとかでもういるかもしれませんしね。
「FF7」のリメイクについて
コントのような質疑応答のあと、間氏は「一番多かった質問」として、「FF7」のリメイク要望について語った。せっかく橋本氏がいるのだから、と間氏に話を振られた橋本氏だったが、「それより早くこのGバイクをまず完成させてよ!」と上手くかわされてしまった。残念ながら現時点ではまったく予定にはないようで、橋本氏は「皆様の応援も多いですし、これからも社内の説得を頑張りたい」と語るにとどまった。
生粋の「FF7」ファンである松山氏は「Gバイクが成功したら、そのときこそ本気で『FF7』のリメイク考えましょうよ!」と食い下がり、橋本氏も「そうですね、そのときには」と頷くと、会場からはわっと大歓声が上がった。
「7以外にも、8とか9とかもありますからね!」と暴走気味の松山氏に、間氏は「このまま続くとそろそろ問題が起きそうなので、ここらへんでおしまいにしましょうかね」と、落ち着いた様子でその場をおさめた。
ちなみにバックヤードからの視線が相当冷たかったようで、間氏はこのあとバックヤードには戻らずに走って逃げると語り、会場の笑いを誘った。常に熱い松山氏と、冷静さを失わない間氏の会話で、始終来場者の笑い声が絶えないトークショーとなった。