2014年11月17日、オーストリアのゲームパブリッシャーから主要スタッフが来日して、自社のゲームタイトルを紹介する来日発表会が行われた。開催場所は、都内にあるレッドブル・ジャパン。

目次
  1. Mi’pu’mi(ミプミ)
  2. Sproing(スプローイング)
  3. paysafecard(ペイセイフカード)

発表会では、彼らがどのようなポリシーのもとゲーム制作を行ってきたのかに始まり、オーストリアのゲーム事情、そして日本における展開のあり方など、さまざまなことが語られた。本稿では、特に目立ったトピックにフォーカスしながら発表会の内容をレポートしていく。

司会・進行役はメディアコンテンツ研究家の
黒川文雄氏
開催の挨拶を行った、オーストリア大使館 商務部
商務参事官のミヒャエル・オッター氏。
カール・ゲンザー氏

パブリッシャーのプレゼンに先立ち、まずはABAオーストリア経済振興会社 東京 日本代表のカール・ゲンザー氏が、オーストリアのマーケットを紹介。

氏によると、オーストリアは規模こそ小さいものの、拠点としては非常にバランスが取れている優れた地域であるという。また、首都であるウィーンはベンチャー企業が盛んで、イベントも数多く行われているとのこと。ゲーム開発の場としても、非常にホットな場所になっているそうだ。氏は、日本とオーストリアの交流がもっともっと深まってほしいとコメントしていた。

Mi’pu’mi(ミプミ)

ここからは、オーストリアのゲームパブリッシャーのプレゼンをレポートしていこう。まずは、ウィーンに本社を置くインディー系ゲーム開発会社 Mi’pu’miだ。「グランド・セフト・オート」シリーズで有名な、ロックスターゲームスに在籍していたメンバーで結成された同社は、「会社が大きくなくても面白いゲームは作れる」というポリシーのもと、ジャンル、プラットフォームを問わずさまざまなゲーム開発を行っている。

これまでに手がけてきたタイトルは「Cute Kingdom」、「Wizard Of Oz」、「Hitman: HD Trilogy」など。最新作である都市形成ゲーム「ANNO: Build an Empire」は、ドイツ、スイス、オーストリアでナンバー1のダウンロードアプリケーションとして、数多くのユーザーがプレイしているらしい。また、オリジナルIPとして「LOOT The FLUTE」を準備中とのこと。

Sproing(スプローイング)

Sproingは、2001年に設立された、インディー系としてはもっとも古いスタジオのうちの一つになる。メンバーは85~90人と、かなりの規模。もともとはコンソールに特化したゲーム制作を行っていたらしいのだが、近年ではF2P(フリートゥプレイ)のゲームにシフト。モバイルやブラウザといったライトなゲームと、ハイエンドなコンソールゲームの開発経験を併せ持ったゲーム開発を得意としている。

これまでに手がけてきたタイトルは、「Asterix and Friends! 」、「SkyRama」、「Silent Hunter Online」など。もっとも新しいタイトルは「Sigils: Battle for Raios」というアクション系のRPGで、現在はカナダとオーストラリアでリリースされている。

paysafecard(ペイセイフカード)

続いては、決済システム「ペイセイフカード」の開発を手がけているpaysafecardのプレゼン。paysafecardはウィーンに本社を置く会社で、設立は2000年。現在までに39カ国に展開しており、来年には日本での展開も予定されている。ペイセイフカードとは、16桁のデジタルコードを入力するだけでオンラインで決済が行えるシステムのこと。素早く、シンプルに、安全に決済できるのがウリであり、銀行口座やクレジットカードのナンバーは不要が不要なので、キャッシュ感覚で支払いが行える。販売店はスーパーマーケットやガソリンスタンド、コンビニなど。

「ペイセイフカード」は二種類のターゲット層に分けられるという。一つは、クレジットカードや銀行口座を持っていない層。そしてもう一つは、クレジットカードや口座は持っているが、ネットでの安全性を求めている層だ。ペイセイフカードは、その二つのニーズにマッチしたシステムが特徴だ。日本で「ペイセイフカード」が導入されることによって市場がどう変わるのか、今から注目したい。

プレゼン終了後、来場者を交えてのトークセッションが行われた。クリエイター陣は、日本とオーストリアの文化の違いを理解しつつ、日本の文化を学んでいきたいとコメント。文化が分からなければ、ローカライズを行うことが難しくなると考えているのだそうだ。

また現在、ゲームユーザーには二つのカテゴリが存在するという。一つは、PC、コンソールゲームを背景に持つ伝統的なユーザー。もう一つは、新しい世代のモバイルゲームを好むユーザーだ。今後は、素晴らしいゲーム性を保ちながら、国際基準ともなるビジュアルのスタンダードをクリアしていけるかが、大きなカギになるとのこと。そのためには膨大な予算やスタッフが必要になるためハードルも高いが、非常にやり甲斐を感じているとも語っている。

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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