一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会とCEDEC運営委員会は、8月26日よりパシフィコ横浜にて開催する「コンピュータエンターテインメントデベロッパーズカンファレンス 2015(CEDEC 2015)」について、「CEDEC AWARDS 2015」の受賞内容を発表した。
「CEDEC AWARDS」は、コンピュータエンターテインメント開発の進歩へ顕著な功績のあった技術にフォーカスし、技術面から開発者の功績を称えるものだ。コンピュータエンターテインメント開発全般に貢献した人を表彰する「特別賞」は、今回アーケードゲームの黎明期において当時社会現象ともいえる一大ブームを巻き起こした、「スペースインベーダー」(1978年)の開発者の西角友宏氏、「パックマン」(1980年)開発者の岩谷徹氏に決定した。
世界中で人気となった「スペースインベーダー」と「パックマン」は、35年を経た現在でもプレイされ続けているほか、映画やアニメなどのモチーフにも使われるなど、今なお幅広い世代に愛されている。日本のゲーム業界の礎となった作品を開発した両名の功績を讃えての贈賞とのことだ。
また、著述賞は「3Dゲームをおもしろくする技術 実例から解き明かすゲームメカニクス・レベルデザイン・カメラのノウハウ」(著者:大野功二氏/発行:SBクリエイティブ株式会社/発売日:2014年7月26日)に決定した。大野氏が著わした本書によって提供された知見は、今後も廃れることなく長年にわたってゲーム開発に携わる人々の教科書となるであろうとの評価から、贈賞を決定したという。
そのほか、「エンジニアリング」「ビジュアル・アーツ」「ゲームデザイン」「サウンド」「ネットワーク」の5部門の優秀賞授賞者(最優秀賞ノミネート)は、部門につき5つのグループまたは個人の合計25が選定。いずれも斬新な技術でコンピュータエンターテインメントに新風を吹き込んだ功績により選ばれている。
なお、優秀賞は昨年のCEDEC受講者アンケートで高評価を得た講演者と、CEDEC 2015のセッションを選定するプログラムワーキンググループの各分野のプロデューサーとで組織された「CEDEC AWARDS 2015ノミネーション委員会」が選考している。そして各部門の優秀賞の中からCEDEC 2015受講者、講演者およびCEDEC運営委員会の投票により、栄えある各部門の最優秀賞授賞者各1組が決定される予定だ。
各賞の授賞式および最優秀賞の発表・授賞式は、CEDEC 2015会期2日目の8月27日17時50分より、CEDEC 2015会場内で実施される。
CEDEC AWARDS
http://cedec.cesa.or.jp/2015/event/awards.html
※優秀賞授賞者(最優秀賞授賞ノミネート)の詳細およびCEDEC AWARDSの実施概要は、CEDEC 2015公式Webサイトをご覧ください。
CEDEC AWARDS 2015 特別賞・著述賞
特別賞
受賞者:西角友宏(にしかど ともひろ)氏・岩谷徹(いわたに とおる)氏
「スペースインベーダー」「パックマン」はアーケードゲームの黎明期において、当時社会現象ともいえる一大ブームを巻き起こした。その人気ぶりは、我が国にとどまらず世界中に広がり、今なおプレイされ続けているだけではなく、映画、アニメなどでもモチーフに使われるなど、幅広い世代に愛されている。まさに、今日に続くゲーム業界発展の礎を築いた。
著述賞
受賞書籍:「3Dゲームをおもしろくする技術」実例から解き明かすゲームメカニクス・レベルデザイン・カメラのノウハウ
著者:大野功二(おおの こうじ)氏
発行:SBクリエイティブ株式会社
発売:2014年7月26日本書では3Dゲーム開発、特に実装面に関して具体的なタイトルを挙げ、面白さの理由、実装方法を考察しながら詳細な図入りで解説を行っており、他に類を見ない質と量を持った一冊として仕上がっている。ここで提供された知見は、今後も廃れることなく長年にわたってゲーム開発に携わる人々の教科書となる。
CEDEC AWARDS 2015 優秀賞授賞者一覧(敬称略)
エンジニアリング部門
- 次世代APIの技術的礎(いしずえ)を確立
「Mantle」開発チーム(Advanced Micro Devices, lnc.)- ゲーミングプラットフォームの新たな在り方を提示
クラウドプラットフォーム開発チーム(シンラ・テクノロジー・インク)- コンテンツ開発環境の標準として開発現場へ多大なる貢献
「VisualStudio」開発チーム(マイクロソフト)- 先進技術を柔らかで独創的なコンテンツに昇華
「え~でる すなば」開発チーム(株式会社セガ・インタラクティブ)- リアルタイムグラフィクス技術のパイオニア
五反田 義治氏(株式会社トライエース)ビジュアル・アーツ部門
- MUSIONの3Dホログラム技術を利用し、現実とゲームの融合をダイナミックに演出
清水 誠一郎氏(フリーランス)- ギルティギアシリーズにおけるアニメ調の表現
「GUILTY GEAR Xrd -SIGN-」開発チーム(アークシステムワークス株式会社)- ゲーム技術によるVFX映像への新しいアプローチを実現
「寄生獣」VFX制作チーム(株式会社白組)- シンプルな表現の上に成り立つゲームグラフィックのわかりやすさ
「Minecraft」開発チーム(Mojang AB)- リアルタイムで変化する高度なライティング技術
「The Tomorrow Children(トゥモロー チルドレン)」開発チーム(有限会社キュー・ゲームス、SCE JAPANスタジオ)ゲームデザイン部門
- ユーザーの期待に応えるゲームデザインと運営手法
吉田 直樹 氏(株式会社スクウェア・エニックス)- 対戦ゲームコミュニティ活性化の土壌の構築
「三国志大戦」開発チーム(株式会社セガ・インタラクティブ)- 「ねこ」の魅力を最大限に活かすためのゲームデザイン
「ねこあつめ」開発チーム(株式会社ヒットポイント)- ユーザーに挑戦を挑むゲームデザイン
「Q」開発チーム(株式会社リイカ)- キャラクター主導のスマホアプリゲームの開発と運営
「スクールガールストライカーズ」開発・運営チーム(株式会社スクウェア・エニックス)サウンド部門
- 「サウンドを視覚化する」事への取り組み
「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」開発&サウンドチーム(株式会社スクウェア・エニックス)- 総勢約60名のゲーム音楽家たちによる夢の饗宴
「大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS/for Wii U」桜井政博/任天堂/参加音楽家及びサウンド開発チーム(有限会社ソラ(桜井政博)/任天堂株式会社)- ゲームオーディオ技術の向上と底上げを推進する積極的活動
IGDA Japan SIG-AUDIO(国際ゲーム開発者協会日本 オーディオ専門部会)運営メンバー(国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本))- クロスメディア展開を見据えたサウンドプロデュース
「妖怪ウォッチ」シリーズサウンド開発チーム(株式会社レベルファイブ)- 「CAP’STONE」を通じたゲームサウンドを広く伝える取組み
カプコンサウンドチーム(株式会社カプコン)ネットワーク部門
- GPS技術を使った新しいユーザー体験
「Ingress」開発・運用チーム(Niantic Labs)- 錯覚を利用したアプリケーション側遅延対策の提示
森口 明彦氏及び関係者(株式会社バンダイナムコスタジオ)- 開発中のスマホアプリをワイヤレスで配信する仕組みの実現
藤﨑 友樹氏(株式会社デプロイゲート)- ゲーム実況プラットフォームのデファクトスタンダード
「Twitch」開発チーム(Twitch Interactive, Inc.)- 若手技術者の情報交流支援SNS系サービスの立ち上げ
「Qiita」開発チーム(Increments株式会社)