毎年恒例となりつつある「モンスターハンター」シリーズのオーケストラコンサート「狩猟音楽祭」が、今年も8月23日に東京国際フォーラムにて開催された。最新作の楽曲や新曲も惜しげなく演奏された東京公演の様子をレポートする。
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2009年に初公演され、昨年にはシリーズ10周年を記念して実施された「狩猟音楽祭」。今年の公演は、9月10日に「モンハン日記 ぽかぽかアイルー村DX」、11月28日には「モンスターハンタークロス」という2つのシリーズ最新作の発売を控え、また夏休みということもあってか会場は大勢のオーディエンスで賑わっていた。
本公演の指揮を務めるのは、昨年に引き続き栗田博文氏。演奏は東京フィルハーモニー交響楽団だ。またゲストには、この「狩猟音楽祭」恒例のゲストとなった和楽器ユニット・HIDE×HIDEの2人、そしてギタリストの寺前甲氏、宮崎大介氏が顔を揃えた。
東京国際フォーラム・ホールAが満員の観客で埋まり、楽団員も席につく中、まずはコンサートマスターが登場。ラの音で各楽器の音を合わせる恒例の“儀式”を終えると、いよいよ栗田氏が登場し、コンサートの幕が開いた。
公演は「モンスターハンター4G」の新曲からスタート
公演の先陣を切るのは、“千刃竜”セルレギオスのテーマ「煌めく千の刃」だ。「モンスターハンター4G」で初登場したモンスターだけあって、この曲が記憶に新しい人も多いだろう。
新曲でスタートしたコンサートは、バルバレのメインテーマ「太陽の集落」、ケチャワチャの「金色の追憶」と続く。特に「金色の追憶」は、(失礼ながら)ケチャワチャのテーマとは思えぬほど勇壮な楽曲で、オーケストラで演奏されることでより迫力あるものとなった。
「モンスターハンター4」「モンスターハンター4G」から3曲を演奏し終えたところで、司会とともにシリーズプロデューサー・辻本良三氏が登場。辻本氏は、シリーズ11年目に改めてこの「狩猟音楽祭」を公演できることをうれしく思うと同時に、ハンターたちには思い入れのある曲が演奏されるので期待してほしいと語った。
オーケストラ+和楽器+ロック=ジンオウガ
MCをはさんだあとは、トランペットの音色が印象的な「海上の村、モガ」、木琴の弾む音が楽しい「碧 港江にタンジア」と、「モンスターハンター3」「モンスターハンター3G」の楽曲が続く。
と思いきや、ブラキディオスのテーマ「剛き紺藍」が始まった。重厚なフレーズが特徴のこの曲を聴くと、筆者のようにブラキディオスに苦労した日々が思い出される人も多いのではないだろうか。そしてこの曲に限らないが、オーケストラで聴くと鈴木まり香氏の作る楽曲のクオリティに改めて驚かされる。
思い出とともに「剛き紺藍」を堪能したあとは、和楽器ユニット・HIDE×HIDEが登場し「モンスターハンターポータブル3rd」より「狩人の集う秘湯」が、続いて寺前氏と宮崎氏がエレキギターを携えて現れ、ジンオウガのテーマ「閃烈なる蒼光」が奏でられた。
シリーズ楽曲の基板であるオーケストラサウンドと、「モンスターハンターポータブル3rd」らしさを表す和楽器の音色、そしてエレキギターによるロック調を取り入れた「閃烈なる蒼光」は、「モンスターハンター」楽曲の中でも出色。この異なる3つのサウンドのハーモニーが堪能できるのも「狩猟音楽祭」ならではの醍醐味だ。
HIDE×HIDEで尺八を奏でる石垣秀基さん、中棹三味線を操る尾上秀樹さんはともに「モンスターハンター」プレイヤー。石垣さんは「モンスターハンターポータブル」から、尾上さんは「モンスターハンターポータブル3rd」からプレイしているそうだ。石垣さんは、昨年の「狩猟音楽祭」台湾公演で楽屋を訪れた辻本氏に手伝ってもらい、G級に上げてもらったというエピソードも披露した。
11月に発売を控える「モンスターハンタークロス」については、石垣さんが待ち切れないと率直な気持ちを述べると、尾上さんは4大モンスターのBGMが気になると話し、2人とも心待ちにしている様子だった。
「クロス」&「アイルー村DX」楽曲が初披露!
休憩をはさんだあとは、いよいよ最新作2作品の楽曲がお披露目。ハープから始まる「モンハン日記 ぽかぽかアイルー村DX」楽曲は、やさしさと可愛らしさ、そして冒険心あふれるサウンドが連なっており、穏やかなアイルー村の暮らしにぴったりの楽曲となっていた。
そして「モンスターハンタークロス」メドレーでは、プロモーションムービーで流れていたベルナ村のBGMと、古代林のBGMのオーケストラアレンジが演奏された。特に古代林のBGMはリズミカルでテンポの良いパーカッシブな楽曲で、そのカッコよさに興奮した人も多かったのではないだろうか。早くゲームでも聴きたい一曲だ。
コンサートも佳境に入ったところで、「モンスターハンター」から「モンスターハンター3」までの中から数曲が披露。荘厳な雰囲気を醸す「生命ある者へ」に始まり、海の底からモンスターが這い寄るような出だしが特徴的なラギアクルスのテーマ「海と陸の共震」、そして寺前氏と宮崎氏によるアコースティックギター演奏も交えた「ポッケ村のテーマ」と続いた。
「ポッケ村のテーマ」で一息ついたあとは、シリーズを代表するモンスターたちの楽曲が立て続けに演奏された。クシャルダオラの「嵐に舞う黒い影」、テオ・テスカトルとナナ・テスカトリの「炎国の王妃」、そして「眼光 -The Hunted-」からリオレウスの「咆哮」、モノブロスの「真紅の角」と続く。
この一連の楽曲は過去の公演でも演奏されており、まさにこの「狩猟音楽祭」の真骨頂ともいえるだろう。
最後はあの熱戦をオーケストラで
公演のクライマックスは、「モンスターハンター4G」のラスボスともいえるゴグマジオス戦を再現。
「軋む巨戦」「超重の戟翼」と重たく緊張感のある楽曲が披露されたあとは、やはりこの曲。“巨戟龍”ことゴグマジオス戦でも最終局面に流れる「英雄の証 4Version」だ。
もはや多くを語る必要はないこの名曲が極上のオーケストラで演奏されるのは、「モンスターハンター」関連イベントの中でも最上級の贅沢といえるだろう。
このあと、アンコールとして計5曲が演奏された。曲目を明かすことはできないのだが、実にハンターの血がたぎるラインナップであった。8月30日には大阪公演が予定されており、指定席のチケットはまだ残っているとのこと。当日券の予定もあるので、オーケストラで奏でられる「モンスターハンター」サウンドを満喫しに足を運んではいかがだろう。
セットリスト
M1. 煌めく千の刃/セルレギオス
M2. 太陽の集落/バルバレ
M3. 金色の追憶/ケチャワチャ
M4. 海上の村、モガ~碧/港江にタンジア
M5. 剛き紺藍/ブラキディオス
M6. 狩人の集う秘湯
M7. 閃烈なる蒼光/ジンオウガ
M8. モンハン日記 ぽかぽかアイルー村
M9. モンスターハンタークロス メドレー<プロモーションムービーより>
M10. 生命ある者へ
M11. 海と陸の共震/ラギアクルス
M12. ポッケ村のテーマ
M13. 嵐に舞う黒い影/クシャルダオラ~炎国の王妃/テオ・テスカトル&ナナ・テスカトリ
M14. 眼光 -The Hunted-~咆哮/リオレウス~真紅の角/モノブロス
M15. 軋む巨戦~超重の戟翼
M16. 英雄の証 4Version
「モンスターハンター 狩猟音楽祭2015」大阪公演
日時
8月30日(日)16:00開場/17:00開演
会場
オリックス劇場(旧・厚生年金会館)
チケット価格
指定席:8,000円(税込)
※問い合わせ先:キョードーインフォメーション 0570-200-888(10:00~18:00)
出演者(敬称略)
指揮
栗田博文
オーケストラ
京都フィルハーモニー室内合奏団
ゲスト
HIDE×HIDE(和楽器ユニット)/寺前甲・宮崎大介(ギター)
トークゲスト
辻本良三プロデューサー