千葉・幕張メッセにて9月17日より開催中の「東京ゲームショウ2015」。グリーブースで9月17日に行われた、「KMS Project(仮)」のステージをレポートする。
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ステージに登壇したのは、元セガネットワークスで「ぷよぷよ!!クエスト(以下ぷよクエ)」のプロデューサーを務めてたグリーの高大輔氏と、声優の園崎未恵さん。園崎さんは「ぷよぷよ」で長年アルルの声を担当していたこともあり、高氏との交流もあったのだそう。
そもそも園崎さんも幼いころからゲームが大好きだったそうだが、「スマホでRPGをしていてもあまりしている感じがない」と、現在のスマホゲームへの感想を述べた。
高氏も「冒険しているRPGが少ない。ストーリーを読んでいるだけで、バトルはオートまかせ。マップはタップして移動するだけで実際にその世界を歩いているわけでもない。冒険感が圧倒的に減った」と、現状を憂う心をスクリーンから訴えた。
「KMS Project(仮)」から「アナザーエデン」へ
タイトルの「アナザーエデン」は、二日前に決まったばかりだという。そのため、まだロゴのイメージすら決まっていなく、サブタイトルがあるかもわからないという状態だそう。
しかし、「おもしろいゲームがない」と、現状を嘆くだけならば誰にでも出来る。「アナザーエデン」は一体、なにがすごいのか。それを再び高氏がスクリーンの大画面から訴えた。
シナリオを担当する加藤正人氏は、「クロノ」シリーズや「ゼノギアス」など多くのタイトルで演出やシナリオを担当した経歴を持つ。加藤氏がこのように公の場所に顔を出すのは非常に珍しく、加藤氏自身も「こういう場所は苦手なんですよ」と話す。
今回、「アナザーエデン」で加藤氏はシナリオだけではなく演出のスクリプトも担当しているのだそう。そして加藤氏の作品の魅力を語るのに作曲家の光田康典氏を抜きにはありえない、とまで思わせるほど加藤氏の作品と相性が良い、光田氏の音楽。なんとその光田氏が、「アナザーエデン」のオープニングテーマを担当することが、新たに発表された。
高氏によれば、加藤氏はグリーに入社してきて偶然知り合ったものの、加藤氏がいるならば光田氏を呼ぶしかないと思ったそうだ。昔懐かしいRPGを遊んできたプレイヤーならば、間違いなくこの発言には頷くであろう。
しかし光田氏は今年、来年と既にスケジュールが空けられないほど忙しく、光田氏と交流の深い加藤氏の口添えもあって、多忙を極める光田氏になんとかオープニングテーマを作ってもらえることになったのだそうだ。
そしてゲーム内の音楽は、光田氏のサウンド制作会社プロキオンスタジオ所属の土屋俊輔氏と、マリアム・アボンナサー氏が担当することに決定。
「アナザーエデン」はどのようなゲームになるのか?
「アナザーエデン」のジャンルはRPG。スマートフォン向けRPGではなく、スマートフォンで自分たちが遊びたかったRPGを作っているそうだ。
では具体的に、”スマートフォン向けRPGではなく、スマートフォンで自分たちが遊びたかったRPGを作っている”とはどういうことなのか? それについて、高氏は再びスクリーンにその思いを乗せた。
”ソーシャルゲームをやめてみた”というのは、つまりはフレンド機能とかは一切ないということだそうだ。そして、本当に3Dである必要があるのかというゲームも多い、と高氏は力説。
3Dにすることでスマホが発熱したりする問題もあるし、開発費も跳ね上がる。表現は3Dより劣っても、圧倒的なコンテンツの量を用意したい、と高氏が述べると、園崎さんも「2Dだからこそ、自分の感情を乗せやすい」と昔のドット絵の時代を懐かしんだ。
さらに踏み込んだ内容として、あげられたのは2点。
フィールドを歩ける、というのは当たり前のことのように感じるが、実際スマホでフィールドを気持ちよく歩けるゲームは本当に少ない。スマホには十字キーがないため、マップとマップをタップして移動する手法になりがちだが、そこを頑張ってみたという。
開発に取り掛かってから最初の3~4ヶ月はとにかくマップを気持ちよく歩くことだけに注力したが、特許に絡むのであまり詳しいことが言えないそうだ。現時点では映像もだせないができるだけ早く出したい、ということなので、首を長くして待っていよう。
そして肝心のシナリオだが、高氏曰く「加藤さんの厨二病センスを最大に活かしたシナリオ」だそうだ。元々加藤氏といえばその物語の壮大さが魅力なだけに、シナリオが長いのは容易に想像のつくところだが、ゴールデンウィークあたりからシナリオを書き始めたシナリオは、現時点で300~400ページくらいになっているそうだ。そのシナリオの極一部が公開され、声優の園崎さんが情感たっぷりに読み上げる場面もあった。
加藤氏曰く、「クロノトリガー」と別口のタイムトラベルものをかけるな、とちょうど思いついたのだとか。つまり「アナザーエデン」は、新たなる”時の見る夢”だと言えるのかもしれない。
園崎さんが実機でプレイ!そのプレイの感想を実況
ここで園崎さんが、高氏の実機を使用して実際に「アナザーエデン」をプレイしてみることに。ただ、このゲームには特許申請中のテクノロジーがたくさんつまっているため、一切まだ見せられないのだそうだ。
園崎さんは「十字キーがないのにこんなにスムーズに動くなんて」とその操作感にとても驚いていた。ソフトウェア十字キーのゲームも存在していたり、タッチしたほうに移動するスマホRPGもこれまでにたくさん存在したが、いずれも操作感になじめなかった人は多いだろう。
しかし園崎さん曰く「本当にコントローラがあるみたい」にスムーズに移動ができるようだ。なお、街からフィールドへはシームレスになっており、マップ切り替えがないとのこと。バトルの仕組みは今遊んでみただけでは説明しきれない、と述べるに留まった。
コンセプトアート公開!そして明かされる衝撃の設定
ここまで一切絵のない場面が続いていたが、最後の最後、いよいよコンセプトアートだけが一部公開された。
シナリオは古代、現代、未来の3つに分かれているというのは前述の通りだが、コンセプトアートの左下から古代、現代、未来になるという。
まるで猫が率先しているようにも見える開発画面がいくつか並べられたが、高氏によれば「猫が主人公です」ということだそうだ。猫が時空を旅する壮大なファンタジーとは一体、と現状では疑問符しか浮かばないが、時がくればその詳細は明かされると思い、今は続報を待とう。
気になるリリース時期は?
現在、2016年春くらいのリリースを目指して鋭意開発中を進めており、年末か年明けかそれ以降で、クローズドベータを実施予定とのこと。
特許の申請があるため現状はあまり情報を出せなかったが、近日中には動くものを出せれば、と高氏は述べた。なお、園崎さんをゲストに呼んでおきながら、高氏は「このゲームには一切CVを入れるつもりはない」と断言。
園崎さんも「こういうゲームにCVはいらないですが、イメージソングとか歌いたい」とさりげなく高氏におねだりする場面も。その場でその案は採用され、イメージソングは本当に園崎さんが担当することになったようだ。
なお、このステージの前日に、「アナザーエデン」のツイッターアカウント(@rpg_AE)も作成されている。気になる人は早速フォローして、最新情報を楽しみにしていよう。