スパイク・チュンソフトから本日12月17日に発売されるPC用ソフト「RPGツクール MV」の発売記念イベントが、12月16日に東京都内の富士ソフトアキバプラザ レセプションホールにて開催された。

ここでは、「MV」の制作スタッフが登壇し、ツクールシリーズの紹介や、MVで実装された新機能、さらにMV発売後のアップデートや収益化、多方面展開へのサポートなど、さまざまな施策が紹介された。本稿では、本イベントの模様をまとめてみたい。

まずは開催に先立ち、KADOKAWA エンターブレイン事業局 ソフトサービス開発部 部長 ジェネラルプロデューサー野田稔氏が挨拶を行った。

野田稔氏

いよいよ国内発売を迎える「MV」だが、まずはしっかりユーザーのもとに届けたいと野田氏は言う。本作は、2013年夏ごろから構想を立てており、次のツクールをどうしようと考えた結果、グラフィックの美麗化とマルチデバイス出力の採用という二つの要素に注力することになった。

また、KADOKAWA代表取締役社長の川上量生氏から「ツクールで作ったゲームで遊べる人が少ない」と指摘されたこともあったという。野田氏自身もそれは感じていたようで、ツクラー(RPGツクールで自作ゲームを作る人)は増えているのに、肝心の作品を遊ぶ人が増えていないことは早くから問題視されていた。そういった経緯から、MVでは遊び手を増やそうという目標が早くからあったようだ。そして、これからはユーザーと一緒にMVを育てて行きたいと今後の展望を述べ、スピーチを締めくくった。

飯塚康弘氏

続いて登壇したスパイク・チュンソフト 海外事業グループゼネラルマネージャーの飯塚康弘氏は、「MV」の今後の展開を説明した。

今作のパブリッシャーであるスパイク・チュンソフトは、MVにおいて何をしなければならないのか。その命題の答えの1つに、「ツクラーの人口を増やす」ことがあると話す。作る人が増えれば遊ぶ人が増える、遊ぶユーザーが増えればツクラーの人口が増える。一見当たり前とも言える流れではあるが、飯塚氏は、これは非常に大切なことである断言。

続いて氏は、作る人を増やすために必要な3つのアクション(施策)を紹介した。1つ目は、ワールドワイドスタンダードだ。デジカと連携し、MVの世界同一環境を目指す。具体的な部分では、海外でデジカから提供されている54種類のプラグインを、日本語に翻訳して発売日から提供するなどがある。

2つ目は、自社IP素材の提供だ。「風来のシレン」、「かまいたちの夜」、「ダンガンロンパ」などを素材として提供することがツクラーの手助けにもなるし、ツクール未経験の人も興味を示してくれるのではないか、というのが狙いとのこと。

3つ目は、アカデミックパックの提供だ。学校でもMVを活用してもらえるために、最大50パーセントオフでアカデミックパックの販売を実施する。さらなる施策として、MVの全国学校対抗GAMEツクール大会(仮)の開催も予定されている。現在は詰め段階に入っており、詳細は近々発表できるとのこと。

一之瀬裕之氏

KADOKAWA エンターブレイン事業局 ソフトサービス開発部 パートナーアライアンス課の一之瀬裕之氏は、「MVで変わること」をテーマにスピーチを展開。まずはツクールシリーズの歴史や、販売実績が紹介される。全世界合計で、695,000本を販売していると、自信を持って説明していた。

堂々の販売実績を持つツクールシリーズ。長く愛されているのも納得の数字だ。

また、ツクール発のゲームが他メディアへと拡散されていくケースが多いのも、同シリーズの特徴だ。ホラーゲーム「青鬼」や「死臭」などは映画化もされており、大きな注目を集めたことは記憶に新しい。

またMVは、基本ベースはHTML5とJavaScriptで動いており、ブラウザでプレイすることも可能だ。さらに大きな特徴として、マルチデバイスへ対応していることが挙げられる。PCはもちろん、タブレットやスマートフォンもプレイできるため、いつでも気軽にゲームを作ることができる強みがあると一之瀬氏は言う。さらに、ゲームがある程度完成したら、TwitterにURLを貼るだけで即プレイしてもらえるため、自分のゲームを人に紹介しやすいという側面もある。そのため、ファンが非常に増えやすいとも語っていた。

さらに、MVではコラボ関連の施策も数多く用意している。判明しているだけで、パックマンやワルキューレの冒険、バカとテストと召喚獣、ニンジャスレイヤーなど、数多くの人気IPが名を連ねている。この動きは今後ますます活発化していくだろうと話していた。

最後に、アップデートに関する詳細が語られた。ここでは、不要素材の削除ツールや、画像・音声素材簡易暗号化ツール、キャラクター生成ツール、公式プラグインなどを配布することが発表される。アップデートスケジュールは、第一弾が2016年2月初旬、第二弾が2016年4月初旬を予定しているとのことだ。

(左から)田村幸一氏、斉藤大地氏

続いては、カドカワ ゲーム情報ポータブル事業本部 新規サービス部サービス企画セクションの田村幸一氏とドワンゴ 企画運営本部 フロンティア企画部 ゲーム制作セクションの斉藤大地氏が、「自作ゲームを支援する」というテーマでスピーチを行った。

「自作ゲームを多くの人に遊んで欲しい」という願いを込められたメッセージをより大きくするために、「制作環境のサポート」、「自作ゲームを広げる」、「一緒に作品を作る」、「収益化のお手伝い」という4つののサポートの内容を紹介した。

「制作環境のサポート」では、現在、勉強会を実施をしている。こちらは、スパイク・チュンソフトの中村光一氏をゲストも招いたり、MVを発売前にプレイといった内容だ。このような勉強会は、今後地方での開催も視野に入れつつ、来年以降も行っていくとのこと。さらに、ニコニコ生放送での交流生放送も実施している。

施策その2「自作ゲームを広げる」では、自作ゲームを応援するイベント「ニコニコ自作ゲームフェス」を開催したり、受賞作品をコンシューマに移植したり映画化したりといった、多方面での展開が活発だ。また、エンターブレインと共同で開催している「えんため大賞」や、「ニコニコ生放送」での自作ゲームの紹介、さらにリアルイベントへの出展なども積極的に展開している。

施策その3「一緒に作品を作る」では、自作ゲームを無料配信するサイト「ニコニコゲームマガジン」を通して、さまざまな作品の紹介を行っている。「殺戮の天使」や「Hero&Daughter」、「コクラせ」、「ファラオリバース」など、同サイト発のヒット作も決して少なくない。「ニコニコゲームマガジン」を起点に、漫画化、小説家、アニメ化といった展開も多数行われており、優秀なクリエイターがデビューする場所として大きな役割を担っているのだ。

施策その4では、「Hero&Daughter」が、今冬、Steamにて販売されることが発表された。

プレゼンテーション終了後は、ツクラーのtachi氏(写真左)と花姫パパ氏(写真中央)のトークセッションも実施。ゲームを作っている時の苦労話や、印象的なエピソードなどを語っていた。

RPGツクールMV

KADOKAWA

PCパッケージ

  • 発売日:2015年12月17日
  • 対応:Windows/Mac
RPGツクールMV

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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