Terry氏
Terry氏

台湾で高い人気を誇るスマートフォン向けパズルアプリ「神魔之塔」。台湾ではすでに1000万ダウンロードを突破し、「台北国際ゲームショウ 2016」では、過去最大となる323コマのブースを出展。会期中は多くの来場者で賑わっていた。

「神魔之塔」を開発するのは香港のスマートフォンアプリメーカーMadheadだ。今回、同社のCEO Terry Tsang氏にインタビューを行った。

Madheadは、2008年にTerry氏と弟の2人で設立した香港のアプリメーカーだ。Terry氏は現在34歳で、大学で土木建築を専攻し、金融系の企業に就職、弟は大学卒業後にプログラミング系の仕事をした後、2人で同時に起業したそうだ。弟はCTOとして開発に専念し、Terry氏は弟が行わない業務をすべてこなし、二人三脚で会社を大きくしていったという。

立ち上げ直後は、ウェブやアプリの受託案件を請け負っていたそうだが、自社でもカジュアルゲームや写真系のアプリなど100以上のアプリを開発し、その経験を活かして2013年に生まれたのが「神魔之塔」だ。その間、資金調達を行っていないというのだから驚きだ。

本社は香港にあり、従業員は176名。台湾では21名が働いている。日本のスタッフも鋭意募集中で、良い人が見つかり次第、日本でオフィスを構えたいと考えているそうだ。

「神魔之塔」はリリース時からソーシャルサービスを使ったプロモーションを積極的に行い、リリース2日目にはヒットすることを確信したそうだ。具体的には、Terry氏の友達50人にアプリを遊んでもらい、さらにその友達50人にアプリを紹介してくれるよう頼み個人のネットワークでプレイヤーを集めるスタイルをとり、売上が上がりはじめたのが2日目なのだという。

本作は、ストアのセールスランキングで200日以上にわたって1位になったことがあるのだが、無料ランキングでは1度も1位になったことが無い。その理由としては、リリース後1年間はCPI広告やブーストを一切やらなかったことを挙げていた。2年目以降からは、さまざまなマーケティングにチャレンジし、今では「モンスターストライク」や「クラッシュオブキングス」といったアプリとコラボを行い、とてもうまくいっているのだという。

取材時もランキング1位となっていた。

台湾・香港・マカオ・中国・東南アジアでサービスが行われている本作だが、台湾では「神魔女神」と呼ばれる女性を起用したプロモーションを展開し、多くのファンを獲得している。神魔女神は当初5名の女性から開始し、それぞれがゲームに登場するキャラクターを担当。イベントなどではキャラクターのコスプレをしながらファンとコミュニケーションを取り、PRに務める。もともと素人だった彼女たちだが、神魔女神としての活動を通してアイドルとなった人もいるそうだ。現在は47名まで増えた神魔女神で一番人気の小雪さんのfacebookページは62万もの“いいね!”を獲得しているほど。

ゲームショウ会期中は、神魔女神の人気投票も行われており、投票結果に応じて彼女たちも賞品を手に入れることができるのだという。このような取り組みが行われていることもあり、神魔女神が自発的にイベントに参加してくれることも多いのだそうだ。

ゲームの公式アカウントや神魔女神の合計フォロワー数は1000万人ほどになるため、現在では、これらのネットワークで告知すれば瞬時にプレイヤーに情報を届けることが可能だ。ちなみに、台湾の人口は2300万人ほどで、単純計算で2人に1人くらいが本作をプレイしていることになる。そのため、食事の席などで本作の話題になれば、みんなですぐに遊び始めるといった光景も多いそうだ。

同社では本ゲームショウの開催にあわせて「Madhead 2016」というアプリを開発。すでにこのアプリは80万ダウンロードされており、無料ランキングで1位になっているという。会場の同社ステージの模様はすべて中継されており、本アプリで中継されており、会場に来れない人も本イベントを楽しめるようになっているという。

神魔女神の人気投票 対戦イベントも実施
ステージ前にはパネルを持った熱狂的なファンの姿も。

そんなMadheadの新作アプリが「時空之門」だ。本作は、だるま落としのようなゲームで、上から降ってくるブロックの色を3つ揃えて消すことでモンスターにダメージを与えていく。キャラクターグラフィックにはLive 2Dを使用。東南アジアなどで使われている端末でも動くように設計しており、5年前のSAMSUNG GALAXY S IIでの動作も確認している。CPUよりも電池が問題で苦労していると教えてくれた。

上から降ってくるブロックを次々と消していく。誰でも直感的に遊ぶことができる。

本作はグローバル展開を想定してワンバイナリでの開発が進められており、日本でも展開予定。リリース時期は、2016年4~5月頃となっている。

同社ではゲームショウにあわせてアプリ「Madhead 2016」をリリース。本アプリでは、会場ステージのライブ映像の視聴や神魔女神の投票のほか、「時空之門」の体験版も収録されている。

「Madhead 2016」から事前登録も行える。

前作「神魔之塔」は15人で7ヶ月だった開発期間だが、「時空之門」は45人で17ヶ月と多くの開発人員と時間を要しており、開発への意気込みが伺える。Terry氏は、前作はアジアでヒットしたが、本作は世界的なタイトルにしていきたいと語ってくれた。

右から「時空之門」「神魔之塔」

欧米での展開について聞くと、同社の全スタッフは英語が堪能で現地との情報交換を密にとっており、英語圏での展開には自信をもっているという。

日本でも神魔女神のような展開をするのか聞いたところ、台湾と同じようなやり方は通用しないのではないかと慎重な見方をしていた。しかし、1着10万円以上かけて製作したという衣装に関しては、日本のコスプレイヤーを研究したという。昨年の東京ゲームショウで行われたコスプレショーの審査員として神魔女神の1人が参加しており、何らかの形で神魔女神が活動するシーンが増えることもありそうだ。

Terry氏にインタビューして感じたのが、今風の新しい感性をもったCEOだという点だ。特に、質問の受け答えにあわせて、スマートフォンを操作し、次々と回答にあった画面をスマートフォンに表示してくれるのだ。また、自社タイトルを隅々まで遊びつくしており、ユーザーとともに自社タイトルを遊び、育てていく姿勢を感じることができた。同社が日本でどのような展開を行っていくのかに注目したい。

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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