マイネットは、7月1日にゲームメーカーに向けた「マイネット ゲームサービス カンファレンス」を開催した。ここでは新レーベル「PARADE」が発表された講演や、スマホゲーム業界についてのパネルディスカッションの模様をお伝えする。

上原仁氏
上原仁氏

マイネットは、今年10周年を迎えるスマートフォンゲームの開発・運営を行う企業だ。自社の事業を“ゲームサービス事業”とし、ゲームメーカーのタイトルを買い取り、データ分析に基づくリビルドによる付加価値で利益を生みだす「セカンダリ事業者」としての買取・運営移管実績を持っている。

7月1日に行われた「マイネット ゲームサービス カンファレンス」では、マイネット代表取締役社長の上原仁氏による新レーベル「PARADE」のお披露目と、セガゲームス セガネットワークス カンパニー COOの岩城農氏、gumi 代表取締役副社長 COOの川本寛之氏、そしてスクウェア・エニックス 執行役員の渡辺泰仁氏によるスマホゲーム業界の今後の展望や、ゲームサービス業についてのパネルディスカッションが行われた。今回は、その詳細をお伝えする。

本カンファレンスの冒頭で行われた「スマホゲーム産業の構造変化とゲームサービス業の誕生」をテーマとした基調講演では、上原氏は2015年を「IP、トップパブリッシャーでなければ勝てない」「成功法則がない」「いいものを出しても売れない」問題を抱えたスマホゲーム業界の“乱世”だったと振り返った。

これに対し2016年上半期は、SAP系パブリッシャーの復権や、オリジナルタイトルの上位ランクイン、そして「事前登録→チューニング→TVCM→IPコラボ」という成功法則が形成されつつあるとし、新規タイトルへの合理的な投資=ポートフォリオマネージメントが可能になった「いいものを出せば売れる」市場の安全化がされたとまとめた。

しかし、その一方でスマホゲーム市場は現在頭打ち状態を迎えているという見方もあり、人数・ラインを増やして規模を拡大し多数のタイトルをリリースするより、1ラインごとに得られる収益を計算し、ラインの整理をすることで確実にヒット作を生み出していくといった、規模より効率性を重視するフェーズに移行しているという。

これを受け、企業が持てるリソースの中で効率的に利益を生み出す経営サイクル作りのニーズに応えられるのが、マイネットを筆頭とするゲームサービスないしセカンダリ事業者と上原氏は位置づけた。パブリッシャーが新作をリリースしたもののヒットに至らなかった場合、次なるヒット作の新規開発に向けて背中を押すゲームサービスソリューションの提供がセカンダリ事業だが、これによりゲームメーカー経営の新たな循環の構造化が可能となる。

マイネットは、今日のゲーム産業を飛躍的に発展させたモバイルのフリートゥプレイに見られる、ゲームの制作よりサービスに対してお金が払われる事業構造を踏まえ、ゲームサービスに特化した事業に注力してきた。具体的には、メーカーからタイトルを買い取り、リビルドと呼ばれるBPR活動や、コラボを使った相互送客、キャラクター制作による付加価値の創造、そして現在運営している21タイトルのサービスの集約効果を使って利益を生み出している。

さらに独自の取り組みとして、“エンディングマネジメント”が挙げられる。ここで言うエンディングとはゲームのクローズを指し、ユーザーと開発の両者に満足してもらえるストーリー展開やエンディングムービー、エンドロールなどによる大団円の形を用意するものだ。このゲームで遊んでよかったと最後までユーザーに楽しんでもらえるよう、ゲームサービス事業者としての付加価値として提供しているという。

そして今回、これらのゲームサービス事業をマイネットの運営する21のタイトル、そして今後増えるであろうタイトルに対して保証し、ユーザーに長くワクワクを提供し続けるという意図でブランドネーム「PARADE」が銘打たれた。

「PARADE」のレーベルマネージャーである執行役員の西久保氏は、ゲーム内での友人やクリエイターとのやりとりなど、オンライン上の人と人との繋がりを守りたいという目的を明確にするため、レーベルに「明日もあなたに会える」というキャッチコピーをつけたという。さらに「オンライン型のゲームはユーザー参加型のクリエイティブである」という定義を基に、ユーザーが作り上げたコミュニティの維持発展を目的としたゲームサービスの提供こそが、新レーベルの価値であると語った。

西久保氏

「PARADE」のゲームサービスは、「リビルド」「集客」「キャラ力」「データドリブン」という4つの柱を元に提供される。まず「PARADE」に参加した後は、タイトルの利益がでない理由に着目した「リビルド」が行われる。ユーザーバリューは削らずに、ワークフローの整理などによるビジネスプロセスの細分化を計るという。

次にマイネットの集客基盤であり、現在83社が参加するコラボネットワーク「クロプロ」によるお金のかからない「集客」が実施される。クロプロでは参加タイトルとのコラボマッチングや、実施した際の数値計測、APIや仕様が提供されており、これを用いることで相互送客の活性化が見込める。またマイネットの強みであるキャラクターアセットを活かし、1つのタイトルでの人気キャラクターを別のタイトルで登場・活躍させることで「キャラ力」による収益性の拡大が実現されている。

最後に、これら一式をすべて支える独自の分析フレームワークが「データドリブン」だ。運営タイトルを「データドリブン」で比較することで、ユーザーの継続率や課金に関してのより良い意志決定が、データに基づいて行われるという。

上原氏は運営21タイトルを活用したゲームメーカーとの企業間コラボへの積極的な取り組みや、ユーザー、クリエイターに“ワクワク”を提供する「PARADE」の拡大に尽力すると今後の抱負を語り、基調講演および新レーベル発表を終えた。

パネルディスカッション「1兆円に迫るスマホゲーム業界の今後を読む」

続いて上原氏がモデレーターを務め、ゲストに川本氏、渡辺氏、岩城氏を迎えてのパネルディスカッション「1兆円に迫るスマホゲーム業界の今後を読む」が開始。「16年上半期の戦略・成果の振り返り」からセッションが始まった。

まず川本氏は2016年上半期は、2年半程前から仕込んできたタイトルが世の中に出せるようになり、その内の6~7割がヒットする状況になったという。しかし、ここに至るまでには、ユーザーの求めるレベルに対応させるための追加開発や、リリースの遅延の連続により売上とコストに逆ざやが生じるなどの失敗で赤字が続いたと振り返った。現在は川本氏が成熟期における事業回収で利益のコントロール、そして代表取締役社長の國光宏尚氏が新規事業の立ち上げを担当。現在の地盤を固めると同時に、未来のgumiを創るこの体制により2016年の反転を迎えることができたと語った。

さらに川本氏はヒット作を生みだすキモについて、売れているゲームと売れなかったゲームの差は魂の入り方、ゲームに対するクリエイターのこだわりだと感じるという。遅延により赤字を生んでしまったことは確かだが、妥協をしなかったことによって確かなクオリティの作品を作ることができたとし、自社の強みであるスタジオ制によるノウハウの蓄積も大きな要因であるとまとめた。

次に渡辺氏は「グリムノーツ」のヒットを挙げ、作品のできも良かったがマーケティングの成功が大きかったと振り返った。また、高い精度で完成した作品の良さをどのように伝えるか、お客さんとゲームの内外で盛り上げれる運営作りが今後のテーマだと語った。ちなみに、渡辺氏いわく「グリムノーツ」に学ぶマーケティングのキモは「思いつく限りのできることをすべてやる」に限るとのことだ。

岩城氏は戦略の核として、海外展開は必要不可欠と捉えると同時に、自分がイメージできる日本のユーザー層に向けた面白いゲーム作りを重視するとした。さらにゲームの届け方としてソーシャルメディアの使い方を見直し、スマートフォン以外の接触頻度の高いメディアにもチャレンジすることが必要だとし、Noah Passについてもそういった仕組みの提供を考えていると話した。また市場の成熟化に対しては、大きなタイトルの穴を埋めることが第一だとし、さらにユーザーの細分化についてはユーザーの規模・数字を把握し、いかに早い段階で強みを活かした企画の打ち出しができるかが大切だと語った。

左から川本寛之氏、渡辺泰仁氏、岩城農氏

続いてのテーマは、市場の成熟に伴い全体の売上は頭打ちとなりシェアの奪いあいとなる中での「今後1年の戦い方」について。川本氏はかけたコストを回収できるヒット作を確実に出すという戦略が求められるとし、向こう1年内にベスト30位内を狙えるクオリティの高いタイトルをリリースすることで黒字を出しgumiの立ち位置を確保していくとした。

また直近では「FINAL FANTASY BRAVE EXVIUS」グローバル版の配信など、海外展開におけるコンテンツの取捨選択の考え方に関連して、川本氏はgumiのゲーム事業戦略に生じた一部の変更についても語ってくれた。gumiが上場以前から持つゲーム事業に関する戦略は「国内で作って国内で売る」「国内でヒットしたものを海外に輸出する“パブリッシング”」「海外で作って海外で売る」の3つ。この内“パブリッシュ”については自社の海外ネットワークや、「ブレイブ フロンティア」のノウハウを活かして、他社の数々のヒット作を海外に輸出してきた。しかし、ローカライズ、リリース、その後の運営において、コンテンツの追加や、世界観の継承、運営スタイル、開発言語といったさまざまなコストが発生し、売上をシェアしても両者にとって旨味がない状態になっていたため、「自社開発したものに限り“パブリッシング”」を行うことに切り替えたという経緯があったようだ。

次に昨年まで事業部長を務めていた渡辺氏は、それぞれのディビジョンが戦略を持って戦うことと、ライン間でのナレッジの共有が強みだとし、タイトルの精度を上げるにはラインを絞ることが大事だと語った。この発言を受け、岩城氏は成長し続けるという中期のコミットに対する短期の目標のバランスの取り方に着目したラインの絞り方をしているとした。一方、川本氏は売上の増減や投資額などの数字のデータで上から順に経営目線で並べ足を切るという断捨離に近い形でラインを絞っていると語った。さらにこの断捨離で絞られないようにする為には、パブリッシャー側にタイトルのクオリティを確認できる人材=プロデューサーが存在し、上とのかみ合わせを整わせることが大切とアドバイスをした。

最後に岩城氏は去年から国内を中心に戦い方を変えたとし、自社の強みを生かした成長を目標に、ゲームの売り方、届けかた、海外への展開の仕方を考え、さまざまなチャレンジをしていきたいと語った。

そして今後1年の事業上の抱負としては、川本氏は新規・既存のタイトルのヒットに加え海外展開など自社の強みを活かしたゲーム事業の最大収益化を、渡辺氏は社内における横のナレッジの共有で事業全体のランクアップを目指すとした。そして岩城氏はコンテンツ面においてフリートゥプレイの売上に占める割合にあわせたビジネススタイルの変更、さらにコンテンツのパッケージングの仕方については今月か来月に「チェインクロニクル」で面白い発表ができると話した。

最後に設けた質問タイムでは、アクセルマークの代表取締役社長 尾下氏からスマホゲーム業界の合従連衡は起こり得るのかという質問、また経験者からのアドバイスが求められた。これに対し、川本氏はgumiとしては海外のスタジオを組成させてきた実績や海外の事例などを踏まえると投資対効果としてはあまり高くないと感じるとし、渡辺氏は合併を経験した身として顔合わせの際の濃い思い出話を披露。岩城氏は売り上げのシェアを考えれば合従連衡をおこしたいとし、スタジオの独自性の高さを守れる幸せな結びつきができるなら上手くいくとまとめた。

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