15年の歴史がオーケストラで蘇る―「キングダムハーツ」シリーズ初のオフィシャルコンサート「KINGDOM HEARTS Concert -First Breath-」レポート

15年の歴史がオーケストラで蘇る―「キングダムハーツ」シリーズ初のオフィシャルコンサート「KINGDOM HEARTS Concert -First Breath-」レポート

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8月11日、東京芸術劇場にて「KINGDOM HEARTS Concert -First Breath-」が開催された。本稿ではコンサートの模様に加え、公演直後の下村陽子氏、指揮者の和田薫氏からのコメントを紹介する。

2002年にPS2用ソフトとして誕生した「キングダム ハーツ」シリーズは、これまでにハードを変えながら多くのファンに愛されてきたスクウェア・エニックスを代表するアクションRPGだ。

ディズニーキャラクターと「ファイナルファンタジー」シリーズのキャラクターのコラボレーション、多くの謎が潜むストーリー、手軽に爽快感のあるアクションを楽しめるバトルなど魅力は数えきれないが、下村陽子氏が手掛ける楽曲も確かな魅力のひとつだ。

今回の「KINGDOM HEARTS Concert -First Breath-」は、約15年に渡る「キングダムハーツ」の歴史の中で、意外にも初のオフィシャルコンサートとなる。会場となった東京芸術劇場にはたくさんのファンが駆けつけ、コンサートに対する期待の高さを伺わせた。

オリジナル朗読劇も交えた迫力のコンサート

独特の緊張感が漂う中、まず奏でられたのは「Destati」。「キングダムハーツ」シリーズを代表する楽曲で会場の温度を徐々に上げていく。

1曲目が終わると会場が暗転し、シリーズを通してナミネを演じる中原郁さんが登場。ナミネによる朗読劇が会場に響くと、その流れのまま2曲目として「Dearly Beloved」が披露された。冒頭の「Destati」から一転、荘厳なメロディーに観客は固唾を呑んで見守っていた。

今回のコンサートで披露された朗読劇はゲーム内の会話をそのまま再現したわけではなく、オリジナルのセリフも用意されている。会場のファンにとっては驚きの演出となったはずだ。

フルートやサックスのソロパートも印象的な「Traverse Town」や疾走感あふれるメロディーの「Hand in Hand」でファンを楽しませると、今度はシリーズ楽曲の生みの親である下村陽子氏がステージに登場する。

下村氏は「1作目から15年が経った今、こんな華やかな舞台に立てて感動的です」と語ると、指揮者を務めている和田薫氏に対して、学生時代からの大ファンであったことを明かす。思い入れのある人物が指揮を担当してくれることに「本当に幸せです」と喜びを表していた。

その後は「Lazy Afternoons」を経て、作中の重要なシーンで流れる「The Other Promise」「Another Side」も立て続けに演奏された。どちらもプレイヤーから高い人気を誇る楽曲であり、その美しい旋律に耳を傾けていた。

第2部は軽快なリズムの「Gearing Up」から始まると、ピアノの旋律が印象的な「Destiny's Union」も披露し再び観客を「キングダムハーツ」の世界に引き込む。

第2部でも声優陣の朗読劇は展開され、ここでは中原さんに加えテラ役・置鮎龍太郎さんも登場。2人は演奏の合間に設けられたトークパートにも登場すると、シリーズの思い出を振り返るとともに、キャラクターの魅力をユーモアたっぷりに語ってくれた。

ディレクターの野村哲也氏も姿を見せると、会場からは大きな拍手が巻き起こる。野村氏によるとナミネとテラの会話は最新作の物語でもカギを握っているとのこと。貴重なセリフの数々が重要な意味を持っていることが分かると、会場からは驚きの声が溢れていた。最後には改めて「来年で15周年を迎えるので、皆さんと盛り上がれたらと思います」と語り会場を後にした。

ここからコンサートは終盤に突入する。まずは「musique pour la tristesse de xion」が厳かに演奏されると、作品を盛り上げてきたボスバトルの楽曲もメドレーで披露。最後にはコンサートを締めくくるにふさわしい「March Caprice For Piano & Orchestra」まで飛び出し、観客席はスタンディングオベーションに包まれた。さらにアンコールでは下村氏まで演奏に参加する一幕まであり、すべてのプログラムが終わる瞬間まで会場に駆けつけたファンを楽しませた。

「これまでの歴史を追体験できるコンサートを目指しました」

コンサートの閉幕直後、ステージにも姿を見せた下村氏と指揮者の和田氏より、コメントをもらうことができた。コンサートを終えての感想から編曲のポイント、さらにはお互いの魅力と、ここでしか聞けない貴重な言葉の数々をいただいたのでぜひチェックしてほしい。

同じくステージに登壇した野村氏からのコメントも到着。こちらも今後続いていくコンサートツアーや来年のワールドツアーへの期待が高まる内容になっている。

――まずはコンサートを終えての感想をお願いします。

下村氏:開催するまでの準備には大変なこともたくさんありましたけど、今はただただ喜びでいっぱいです。私一人でできることではなく、たくさんの人の協力があったからこそ実現したコンサートです。なにより、これだけ多くの方々が見に来てくださり、本当に幸せな気持ちです。

和田氏:聞くところによるとお客様の中には泣いていた方もいたそうで、嬉しい限りです。ここまで「キングダムハーツ」の音楽に浸れるのは指揮者冥利に尽きますね。「キングダムハーツ」では楽曲のオーケストラアレンジを担当しており、下村さんとも15年近い付き合いになります。指揮を振っている最中は、これまでの思い出が走馬灯のように蘇ってきました(笑)。

――編曲をするにあたって意識したことはありますか?

和田氏:ファンの皆さんはやはりゲームのイメージが強いと思いますので、それを大切にして、原曲をそのまま生で味わってもらいたいと考えました。あとは吹奏楽ならではの迫力、音圧が伝わるように頑張りました。

下村氏:事前にデモテープで音源を聞いていたので、どんな演奏になるか想像できているつもりだったんです。だけどリハーサルで実際に聞いてみると想像を遥かに超えていて、「和田さんの頭の中ではこんな音楽がなっていたんだ!」と驚愕しました。ファンのかたが泣いていたというお話でしたが、実は私も泣きそうになっていました(笑)。

――楽曲の選定にはどのような基準があったのでしょうか。

下村氏:まずはシリーズの初代からプレイしている方が、これまでの歴史を追体験できるコンサートを目指しました。「こんなシーンあったよね」と、遊んだ時のことを思い出しながら楽しんでもらいたかったのです。そんなルールを設けていたので、テツさん(野村哲也氏)も監修に参加してくれました。

――野村さんから、楽曲に関する具体的なオーダーはありましたか?

下村氏:楽曲の選定にはほとんど関わっていませんが、朗読劇の部分はテツさんの強い要望があったものです。朗読をスムーズに入れるためにイントロを長めに取ったり、和田さんには無理をさせてしまいました(笑)。ゲームのディレクターがここまでコンサートに関わってくれるのは、私はあまり聞いたことがありません。そういう意味でも恵まれた作品だなと感じました。

――下村さんはステージ上で、学生時代から和田さんの大ファンだったと話していましたよね。改めてどんなところを魅力に感じたのか教えてもらえますか。

下村氏:やっぱり楽曲が熱いんですよ! 一度聞くと忘れられず、また聞きたいと思わせる楽曲は魅力的ですし、不思議でもあります。

和田氏:ありがとうございます。巨匠にそんなことを言われると恥ずかしいです(笑)。

――逆に和田さんは下村さんが作る楽曲に対してどんな印象を持っていますか?

和田氏:楽曲にしっかりとキャラクターが付いていて、独特の世界観を持っているのは凄いことだと思います。僕から見ても「キングダムハーツ」は下村さんの楽曲抜きには語れないですよね。僕が行う編曲というのは素材があって、それを調理する行為のことです。つまり素材が良くないとどんなに頑張っても良い料理は作れません。その点下村さんは、ピカイチの素材を作ってくれます。

――下村さんの楽曲制作の中で、和田さんから影響を受けたことはあるのですか?

下村氏:実は和田さんにかぎらず、どんなに凄い作曲家の音楽も詳しく分析はしないんです。ただ無意識のうちに影響を受けている部分も絶対にあると思います。

――今後もコンサートツアーは愛知・大阪と続きますし、来年にはワールドツアーも控えています。今後へ向けての展望や意気込みがあればお願いします。

下村氏:長くこの仕事をしてきましたが、シリーズ物にずっと携わることはなかったので、「キングダムハーツ」は私自身にとっても特別なタイトルです。今後もたくさんの方の期待を裏切らず、喜んでもらえる楽曲を作っていきたいです。

――ありがとうございました。

野村哲也氏コメント

東京の昼・夜公演に出演しましたが、残念ながら私は全公演に出演するわけではありませんので、どこに出てどこに出ないのか、それもサプライズです…。

実は、今回のコンサートのセットリストや内容は、来年のワールドツアーのセットリストと同時並行で考えたもので、個人的には今回のブラスコンサートとワールドツアーで前後編のような構成で考えました。

今回楽しめた方はまた次回もお越しいただいて、来られなかった方は次回こそ参加していただければと思います。

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