インターグローは、PS4ダウンロード専用ソフト「レイヤーズ・オブ・フィアー」を2016年秋に発売する。価格は、2,600円(税込)。ホラーアドベンチャーゲームとして海外で注目を集める本作の日本語版の配信に伴い、プレイレポートをお届けする。
ホラーゲームの新星として、主に海外のゲームファンから注目されていたホラーアドベンチャーゲーム「Layers of Fear(レイヤーズ・オブ・フィアー)」の日本語版が、このたびいよいよ登場となる。
本作は、つねに変化しつづける不思議な屋敷の中で、過去を明らかにするためのヒントを探していく一人称視点のホラーアドベンチャーゲームだ。プレイヤーは、過去の恐怖と戦っている画家となり、家族と才能を取り戻すため、傑作を生みだそうとする。
ゲームスタートして驚いたのは、何の説明もないまま館の中に放り込まれるという、ある意味不親切とも言えそうな放置プレイ的展開。とはいえ、逆に考えれば、敢えて説明を排除したことが恐怖を駆り立てることに一役買っており、ホラーゲームの演出としては、むしろ正しいとすら感じる。
ゲーム自体は非常にシンプルな作りになっており、行動は、扉を開けたり、オブジェクトを調べたり、カギとなるアクションを起こすといったささやかなもの。バトルもなく、ホラーとしてのスタイルは「静」の印象が強い。アクションに高いハードルを感じている方でも、気軽にプレイできるだろう。
また個人的に、ゲーム画面から余分なUIを極力排除しているところにも好感が持てた。システムを理解するまでに時間を擁することもない。チュートリアルが介入することもないため、序盤からテンポよくゲームを進めることができた。
そしてBGMらしいBGMは無く、環境音として、ピアノの旋律が響くのみ。序盤は怖さというより、物悲しさを感じた。
その後も、室内を淡々と探索していたのだが、時間が経つにつれ、少しずつ館の異常性に気づき始める。誰もいないのに部屋の中から音がしたり、物が落ちたり。果ては、アトリエらしき場所でいきなり額が飛んで来るようなドキリとしてしまう事象も。
また、館の構造上ありえないような部屋の配置も恐怖を煽る。ドアを開けると「あれ、さっきの部屋と違う……」といったこともしばしばあった。これは、主人公が狂気に支配されているからそう感じるのか、それとも。
また、部屋のオブジェクトや置き手紙などから、主人公の過去を垣間見ることができるのだが、絵に没頭していたためか、家族との関係は破綻していた様子。冷えきった関係が、徐々に狂気へと変貌するイメージを抱かせるのだ。
筆者は、ほとんど情報を入れずにプレイしたのだが、それが逆に良かったのかもしれない。先入観を持つこと無くプレイしたことで、空き部屋のような筆者の心の中が、不安と恐怖で満ち満ちていくのだ……。
ファーストインプレッションはこんなところ。そろそろまとめに入ろう。本作は、難易度自体はさほど高くなく、ルートは基本一本道。探索系アドベンチャーにありがちな「道に迷う」ということはほとんどなかった。クリア時間はだいたい6時間程度を想定しているとのことだが、やり方によっては、もっと早くクリアすることも可能だろう。
ホラーとしてだけではなく、人間の負の部分に踏み込んだサイコスリラーとしても秀逸な作品なので、その手のゲームが好きな人は、ぜひプレイしてみてほしい。