コーエーテクモゲームスは本日9月29日、コーエーテクモホールディングス市ヶ谷事業所において、「フィリスのアトリエ ~不思議な旅の錬金術士~」の発表会を実施した。
“旅”をテーマとした、「アトリエ」シリーズ最新作「フィリスのアトリエ ~不思議な旅の錬金術士~(以下、フィリスのアトリエ)」。一度の発売延期を経て、いよいよ11月2日に発売を控えた本作の発表会が行われることになった。
まずはコーエーテクモゲームス 代表取締役社長の鯉沼久史氏が挨拶。同社として今年度から取り組んでいる5つのブランドによる開発体制、そしてそのひとつであるガストブランドの看板タイトル「アトリエ」シリーズの、ブランド制採用以降初のタイトルとなることを紹介。今作からはコーエーテクモゲームス製のミドルエンジンで開発を進めており、協力、競争関係を築きながらノウハウを共有できていると手応えを話す。
続く、「フィリスのアトリエ」ゼネラルプロデューサー 井上忠信氏からは、来年で20周年を迎える「アトリエ」シリーズについて、シリーズ累計での販売本数が400万本を突破していること、来年に向けていくつかの企画を立案していることが紹介された。
ここからは、「フィリスのアトリエ」で初めてプロデューサーを務める岡村佳人氏によるプレゼンテーションが行われた。
錬金術に焦点を当てて新たな面白さを目指すとともに、NOCO氏、ゆーげん氏という2人のイラストレーターを起用するなど、新たなスタンダードを目指した意欲作「ソフィーのアトリエ ~不思議な本の錬金術士~(以下、ソフィーのアトリエ)」。同作から連なる「不思議」シリーズの続編としてリリースされる「フィリスのアトリエ」では、広大なフィールド、プレイヤーの選択によって結末が変化するクエストなど、さらなるチャレンジをもって制作が進められている。
まずはテーマである“旅”を表現した最大級の広大なフィールドについて。従来のコンパクトな構造のマップではなく、全部で8つの街・集落を移動し、その最中にはさまざまなロケーションを楽しむことができる。フィールドが広がったことに伴い、自身で調合したアイテム「空飛ぶ箒」を使って空を飛んだり、爆弾で岩を壊して素材を入手したり障害物を取り除いたりと、新たなギミックも搭載。さらに、アイテムを用いることで水中を移動できるなど、単純にフィールドを歩き回るだけでない楽しさも用意されている。
調合システムに関しては、前作で採用したパネルを用いたシステムを踏襲しつつ、ブラッシュアップ。新たに用意された触媒というアイテムを投入することでパネル上にラインが発生、そのラインを埋めることでより品質の高いアイテムを調合することができる。また、前作に続いて実装されている「レシピ発想」はさらに直感的にプレイヤーの行動に伴って新しいレシピを発想していくため、各地の旅を楽しみながら新たなアイテムが調合できるようになる。
フィリスは各地を旅することになるため、今作では調合を行うアトリエも、各地にあるたき火の近くでテントのかたちで展開していく。そのアトリエ内の内装をカスタマイズできるシステムとして、「アトリエメイク」が実装されている。ここでは実際に調合したアイテムを配置できるだけでなく、配置したアイテムに応じた恩恵も得られる。単純に内装を楽しむだけでなく、快適なゲームサイクルを楽しむためのブレイクスルーにもなっているという。
また、「更衣室」にてフィリスのコスチュームを変更できるのも本作のセールスポイントのひとつ。さまざまなロケーションのフィールドに合わせた衣装が多数用意されており、これらは全てゆーげん氏による描き下ろしだ。
そして今作のバトルシステムについては、前作「ソフィーのアトリエ」とは異なり、従来の「アトリエ」シリーズで採用されていた、キャラクターが順番に行動するコストターンバトルを採用。これにより、状況に応じた行動を選択するという戦略性の高いバトルを実現し、加えて「サブウェポン」と「チェインバースト」という2つの新たな要素を用意している。
サブウェポンは、各キャラクターごとにメインの武器以外にもう1種類武器を装備できるというもので、敵の弱点や相性、武器の持つ特性を生かしながら戦闘を楽しむことができる。チェインバーストは、前作での連携システムをさらに発展させたもので、キャラクターの行動を先行入力して、キャラクターの行動がスピーディーに展開していく。サブウェポンを用いてゲージを溜めつつ、いかに早く、効率よくチェインバーストを展開するかが勝負になるようだ。
ここで岡村氏が聞き手となり、主人公フィリスなどのキャラクターデザインならびにコンセプトデザインを担当したゆーげん氏、そしてフィリス役の本渡楓さんを交えたゲストトークへと移る。
プラフタなどキャラクターデザインを手がけた「ソフィーのアトリエ」に続く起用となるゆーげん氏だが、今作では前作以上にチームとしてひとつの作品を作るという意識を強く持っており、制作における目印になるものを作るという意味合いでコンセプトデザインとしてクレジットされたという。綿密にまとめられていたというキャラクターの設定資料、そして実際にキャラクターを配置できるようなイメージボードを用意するなど、じっくりと制作していった様子が伺える。
それはゆーげん氏と岡村氏で何度も試行錯誤をしたというフィリスのデザインにも表れており、発表会ではゆーげん氏が「アトリエ」シリーズの主人公像をイメージしたという初期デザインが披露されたほか、当初はイルメリアが最初の主人公デザインだったことなどが明かされた。
そんなフィリスを演じた本渡さんは、大人っぽいという第一印象から、徐々に自由奔放な面が見えてきたとキャラクターのイメージに触れる。1ヵ月以上におよぶ収録を通して自身がフィリスになっていくような感覚を覚えたということで、そういった部分が実際の演技にも反映されているようだ。
さらに、作中でのさまざまなシーンをまとめた映像を見ながらのトークも。外の世界に憧れてソフィーに弟子入りする場面や超弩級調合で作られた船で旅立つシーンなどが映し出される中で、本作ではBGMを100曲近く制作していることや、1年間で公認錬金術士になった後、自由に冒険できることなどが紹介。さらに多数用意しているというエンディングについては、各エンディングの条件をクリアしていれば、最後にフィリス自身によってエンディングを選ぶことができるという。
続いて、リアーネなどのキャラクターデザインを担当したNOCO氏と、リアーネ役の佐藤あずささんが登壇し、二人に共通するリアーネに関するトークが展開していった。
シンプルで洗練されたデザインが印象的なリアーネだが、実はほとんど修正のないまま現在のデザインに落ち着いたのだとか。岡村氏からどのようなキャラクターを描きたいかのヒアリングもあってスムーズに、かつ前作とは違う立ち位置であることから、プレッシャーを感じずに取り組めたことで、NOCO氏らしいキャラクターに仕上がったそうだ。
また、リアーネは美人で大人っぽいキャラクターではあるものの、フィリスに対しては過保護な様子を見せるなどの一面もあるという。リアーネを演じた佐藤さんも当初大人っぽくてカッコイイという印象を持っていたようだが、基本的には自然体で演じつつ、ここぞというシーンで落ち着いた感じで収録したことを振り返っていた。
ちなみに、フィリスとリアーネは姉妹という関係性であることから、仲の良さを表す場面もたくさん用意しているという。会場で流れた映像ではリアーネがとある目的を達するためにフィリスに別れを切り出すシーンもあったが、一体どのような展開が待っているのかにも期待したいところ。
その後は岡村氏より、限定版情報や「よるのないくに2 ~新月の花嫁~」「BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣」とも連動する「ガスト美少女祭り」、そしてTGS 2016販売グッズのガストショップでの通信販売が決定したことなどが紹介される。そして、グループ内のさまざまな部署からノウハウを吸収しつつ、シリーズ20周年に向けてのスタートを切れるようなクオリティの高い作品を目指して開発しているということを力強く語りつつ、発表会を締めくくった。