アークシステムワークスが10月6日に発売するPS4/PS3版「ブレイブルー セントラルフィクション」の開発者インタビューとして、シリーズ総合プロデューサー・森利道氏に、これまでの氏の歩みと、本作の制作背景などを尋ねてきた。

目次
  1. アークで“表に出たい奴でてこい”
  2. 最初の“コンセプトはぶらすな”
  3. BBCFで“ブレイブルーは完結”

10月6日、2D対戦格闘ゲームとして一時代を築き上げた「ブレイブルー」のシリーズ最終章「ブレイブルー セントラルフィクション(以下、BBCF)」が発売される。ユーザー側から見ると約8年、クリエイター側から見ると、構想・開発も含めて一足早い10周年を迎えているこのシリーズ。その内容がタイトルを重ねるごとに洗練されてきたのは周知の事実でもある。

というわけで今回は、「ブレイブルー」のプロデューサーとして、シリーズとともに歩んできた森利道氏に、「ブレイブルー」のこれまでと、「ブレイブルー セントラルフィクション」のこれからを尋ねてきた。森氏が蒼の物語にかけてきた想い、知っておいても損はないだろう。

「ブレイブルー」シリーズ 総合プロデューサー・森利道氏

アークで“表に出たい奴でてこい”

――ゲーム発売前の追い込み時期にも関わらず、お時間をいただきましてありがとうございます。いよいよ今回のBBCFをもってシリーズ最終章となるわけですが、まずは簡単にゲームの特徴などをお聞かせいただけますか。

森氏:BBCFは「ブレイブルー」シリーズのナンバリングタイトルとしては「ブレイブルー カラミティトリガー(BBCT)」、「ブレイブルー コンティニアムシフト(BBCS)」、「ブレイブルー クロノファンタズマ(BBCP)」に続く4作目となり、シリーズ集大成という位置付けの作品です。

ストーリーにおいては主人公「ラグナ=ザ=ブラッドエッジ」の最後の物語を描き、システムにおいてはさらにキャラクター性を引き出すため、僕らが“より良いと思うモノ”を搭載しました。

――作業的にはちょうど、一息つけたところですか?(インタビュー実施日:9月28日)

森氏:実は、ゲーム本編の作業自体は9月に終わらせています。ただ9月に入ってからは、新プレイアブルキャラクターの「Es」と「マイ=ナツメ」のキャラクター制作や、プレオーダー先行で実施した、ネットワークロビーの限定解放の準備に時間が取られていました。

――9月の施策を目途に動いていたとすると、発売日に対しては約1ヶ月ほど前倒しで、ゲーム制作が進行していたと言えるのでしょうか。

森氏:それに東京ゲームショウ2016や発売記念イベント、生放送配信でのプロモーションも並行していたので、本当に大変でした……(苦笑)。特にマイに関しては、TGSの少し前にようやく形になったくらいなので、これからしっかりと作り込みをしなければなりません。

――ちなみに“元々の9月から10月にかけては、さまざまな大作タイトルが重なりに重なっていた”状況でした。しかし、気付いたら早まったり、遅くなったりと、ものの見事にBBCF発売日近辺のタイトルが分散したという時事がありましたが、思うところはありましたか?

森氏:正直、ホッとしました(笑)。各作品でファン層に違いがあるのは確かですが、各社さんのビッグタイトルが全体的に2017年方向にシフトした事実は、ちょっとだけラッキーでしたね。

――ゲーム紹介に入る前に少しお尋ねしておきたいことがあります。今回はディレクターに石川辰則氏が抜擢されていたわけですが、開発チームの人材は若手を中心に据えるなど、新たな人事体制が採られていたのでしょうか。

森氏:開発チームの人材は基本的には変わっていません。ディレクターに関してはこれまでもちょこちょこと人事を変更してきましたので、その流れを踏まえています。

――ディレクターを変更する意図をお伺いしても?

森氏:「ブレイブルー」はある種、完成してしまっているシリーズなので、“これから格闘ゲームを作っていくスタッフ”にディレクションさせることで、いい勉強になるんですよ。

最近だと、小澤(プランナー・小澤陸氏、通称“勝ちたがり小澤”)がプロモーション面で活躍していますが、彼は開発面でもゲーム制作に尽力しています。僕はそういった若い力を持つ、“今までBBシリーズで遊んできたスタッフたち”の力を借りて、BBCFという作品を作ることを当初から考えていました。前作BBCPの大元のバトルシステムにしても、パチ君(プランナー・関根一利氏、通称“パチ”)に任せていましたし。

――失礼かとは存じますが、アークさんで大々的に名前が出ているクリエイターとなると、世間的には森さんと石渡さん(「ギルティギア」シリーズ ゼネラルディレクター・石渡太輔氏)の両名しか挙がらないだろうと認識しているのですが、いかがでしょう。

森氏:僕もそう思います。

――では、今後は関根さんや小澤さんを筆頭に、若手の力を押し出していく意向があると?

森氏:いえ、表に出したいんじゃなく、“表に出たい奴でてこい”なんですよ。僕もこれまで「表に出してください!」と言って、このような場に出させてもらっているわけではありませんから。自分で作ったモノを、しっかりと紹介したいから、僕が表に出ているだけです。

――つまり、若手の方々に関しては、クリエイターとしての熱量次第というわけですね。

森氏:「ブレイブルー」に関しては、僕が企画した作品ですし、これまでもずっと(ブレイブルーを)一番面白いと思っているのは僕です。それをユーザーの皆さんにどのように伝えていけばいいのかを考えていたら……いつの間にか、こういう風になっていただけです。

僕は企画当初から「ブレイブルー」を格闘ゲームとしてではなく、コンテンツとして育てていきたいと考えていました。それ以前のアークの体制では、作品が「格闘ゲーム!格闘ゲーム!」と強く押し出されていましたが、僕は当時「コンテンツとして売っていきたいんだ!」と強く熱弁したのです。その頃は中々、それがうまく伝わらずでしたが。

――格闘ゲームを全面に押し出していた時期というと、まだアークさんが本格的なパブリッシング業務に乗りだす前、「ギルティギア」の販売元をサミーさんが担当していた頃ですか。

森氏:そうです。当時の「ギルティギア」シリーズは、サミーさん(現、セガサミーホールディングス)を販売元とし、アークは企画・権利元として携わっていました。なので、販売することに関してはすべてサミーさんにお任せしていたんです。

そして、サミーさんには優秀な広報さん(竹中氏、宮田氏)がいらっしゃいまして、そのお二方が「ギルティギア」に対して、ものすごく愛をもって活動してくれていました。アーク側が何も言わなくても定期的に大会を開いてくれたりと、施策を打ってくれていたんですよ。

――そういうのは権利元としては助かる関係性だったのでは?

森氏:いえ、アークはそれに甘え過ぎていたんです。マーケティングという仕事のノウハウをまったく分かっていなかった。僕も最初は「ギルティギアが人気なんだ!」と解釈をしていましたし、「良いモノを作れば、売れるだろう!」という考えすら持っていましたので。

――「良いモノを作れば売れる」。パッケージ販売をはじめ、ゲーム業界の行く末に陰りがみえ、この言葉だけでは通用しなくなってきたのは、2000年代のことでした。

森氏:当時の「ギルティギア」の人気は、竹中さんと宮田さんが頑張ってくれていたからこそ、ファンもずっと付いてきてくれていた。そのことを分かっていなかった。

僕は当初、アークの下請け(デベロッパー)として「ギルティギア」の開発を手掛けていたピックパックさんという開発会社におり、外部から「ギルティギア」に関わっていました。そして、横から当時の事情を見ていたからこそ、サミーさんの頑張りが特に目につきました。良いモノを作っているだけで売れる、この考えにも疑問を持ちはじめました。

そのためアークに移籍後、「ブレイブルー」を企画したときは、先ほど言ったようにコンテンツとして売り出していきたいと語ったんですよ。まあ、当時はそれがよく分かってもらえなかったために、社内でかなり揉めたんですけどね……(笑)。

――「ブレイブルー」は順風満帆ではない立ち上がりからスタートしていたのですか。それをここまで押し上げるまでに、表に出されていない苦労が相当あったんですね。

森氏:大変でしたよ。はっきり言って当時は、味方が木戸岡さん(アークシステムワークス 代表取締役・木戸岡稔氏)しかいませんでしたから。ここで社長が味方してくれていたからこそ、なんとかゲームの制作にまで漕ぎつけられたのだと思っています。

――あの頃のゲーム会社の趨勢はまさに、「良いモノを作れば、売れるだろう」から脱却できたか否かがポイントになっているかと思います。今の話を聞くと、アークさんのパブリッシャー進出という面からすると、良き分岐点であったのではないでしょうか。

森氏:ここからようやくゲーム以外の展開を推し進めるようになりましたからね。それこそ「ぶるらじ(ブレイブルー公式WEBラジオ)」の配信を開始した辺りのことです。

――「ぶるらじ」ですか。もはや「ブレイブルー」における最大級のプロモーション施策になっていますよね。あの番組のおかげで、格闘ゲームファン以外のユーザー層にも拡大したでしょうし、実際にゲームセンターを眺めていると、その気も見て取れます。

森氏:当初の「ぶるらじ」は開発スタッフたちによる協力が大きく、中でもデザイナーの影山(影山博美氏)は、番組で使う“ちびキャラ”のイラストを全部作ってくれましたし、彼女が奇抜なアイディアをたくさん生み出してくれたからこそ、面白い番組を作り上げることができました。僕も彼女の考えた通りに挿絵を描いていましたからね。

――番組の企画や構成などは森さんが手掛けられているのでは?

森氏:僕が考えたのは、ちびキャラを動かして“視覚的に見えるラジオ”をニコニコ動画で配信するという企画と、「出演者が面白い発言をしたとき、それが面白い発言だと分かる演出を差し込む」という基本的な演出です。とにかくツッコミを入れたかったので。

――ツッコミ、ですか。

森氏:昔、ダウンタウンさんが司会をやっていた、「HEY!HEY!HEY!MUSIC CHAMP」という音楽番組があったじゃないですか? あれの斬新なところは、浜ちゃんと松っちゃんの発言を強調して、「ここ、ツッコムところですよ!」と視聴者に伝えたことです。僕はそれをフィーチャーし、ラジオでもそれができたら面白いだろうと考え、「ぶるらじ」を作ったんです。

――いわゆる、TV的な演出をラジオに落とし込んだのですね。

森氏:あの当時は動画文化が黎明期でしたし、声優ラジオ番組は数えきれないほど氾濫していました。「ブレイブルー」では当時の格闘ゲームにおけるタブーをバンバンとぶっ叩いていたので、ラジオ業界に対しても“見えるラジオ”で斬り込んでみようかなと。

――稚拙な質問ではありますが、「ぶるらじ」の面白さの秘訣とはなんでしょう。

森氏:見えるラジオとしての効果はもちろんですが、あれは杉田さん(声優・杉田智和さん)や今井さん(声優・今井麻美さん)が上手くかみ合って、面白くなったんです。

――非常に分かります。おそらく、これを見ている読者さんも共感できるでしょう。声優の方々が第一印象に立っているからこそ、さまざまなユーザー層に訴求できているのだと思いますし。

森氏:結構、奇跡的な組み合わせだと思っているんですよね、あれ。

――そんな「ぶるらじ」ですが、当時の社内プレゼンはいかがでしたか? 先の「ブレイブルー」の流れを踏まえて想像するところ……。

森氏:企画書を作って、会議に持っていったら、「こんなのウケるわけないだろっ!」と一蹴されましたね(笑)。文字どおり、開発スタッフにしか味方がいなかったです。

――ですが、いまや押しも押されぬ「ぶるらじ」に成長しています。社内の空気を換えるためにも、必要なやり取りだったのではないでしょうか。

森氏:それと「ぶるらじ」の展開の裏には、「ブレイブルー」を知ってもらうことよりも、「アークシステムワークスという名前」を知ってもらいたかったという、僕の考えがあります。

先程の話にも繋がりますが、「ブレイブルー」以前の「ギルティギア」の時代というのは、ユーザーの皆さんにとっても“ギルティギアといえばサミー、あるいはセガ(現、セガゲームス)”という認識であったと思います。

――個人的にも、“ギルティギアといえばサミー”という連想には心当たりがあります。

森氏:あの頃は、誰もアークシステムワークスという社名を知らなかった。僕にとってはそれが非常に悔しかった。しかし、当時の社内には“それを悔しい”と思う風潮がなかった。

移籍前の僕は社名を出せない下請けでしたが、アークは「ギルティギア」の権利元です。それなのに、どうして社名を売ろうとしないのか? 移籍前からアークと関わっていて、移籍後はアークにいる僕ですから、その姿勢に悶々としていました。

――ですが、流れは確実に変わりました。

森氏:同じ時期に、木戸岡さんもパブリッシングに対する考え方を持ってくれていたことが大きいです。ただ、今でも「なんで僕みたいな馬の骨を拾ってくれたのか?」「そこから好きに制作をやらせてくれたのか?」を不思議に思うことはありますが(苦笑)。

――「ブレイブルー」以降は、もはやアークシステムワークスという社名でのみ認識するようになりました。それはユーザーの皆さんにとっても同じことと思います。

森氏:アークのスタッフたちには、“知ってもらうことの大切さ”を理解してもらいたかった。見られれば注目され、注目されれば手に取ってもらえる。人にお金を払ってもらうのはすごく大変なんです。今の世の中、良いモノを作るだけでお金を出してもらえるわけじゃありませんから。

そのため、僕らのことを知ってもらえた人たちに支えてもらい、それらを繋げて、ファンを少しずつでも増やしていく。当時はそれに躍起になっていた――というと少し変な言い方かもしれませんが、この考えを元に「ブレイブルー」という作品を作ってきたのは確かです。

最初の“コンセプトはぶらすな”

――BBCFをもってシリーズ8周年を迎えましたが、シリーズ自体の企画・構想から考えると、森さんの中ではすでに10年は過ぎているのでしょうか。

森氏:そうですね、僕自身は10年以上「ブレイブルー」と関わっています。

――家庭用版BBCFの開発の着手は、いつ頃のことでしたか。

森氏:開発の着手というと、ちょうど2年くらい前です。本格的な制作を開始したのは、アーケード版を作り終えてからすぐのことになります。

――では、「BBCFでシリーズを終わらせる」と決めたのはいつ頃なのでしょう。

森氏:一番最初からです。シリーズをはじめたときから決めていました。ただ……。

――ただ?

森氏:全4部作にまで延びてしまったことは想定外。本当は全3部作で考えていたのですが、前作BBCPにおいて物語がボリューミーになり過ぎてしまったんですよ。その大元の要因となったのは、「セリカ=A=マーキュリー」の存在です。

――つまり、小説「ブレイブルー フェイズシフト」シリーズで物語が膨らんだと。

森氏:そうです。元々「ブレイブルー フェイズシフト」シリーズの物語は、BBCPのゲーム内ストーリーとして収録しようと考えていましたが、いかんせんセリカのキャラクター性が立ちすぎてしまって……。彼女のおかげで良い方向に広がっていった世界観を綺麗にまとめるには、「しっかりと書くべきだろう!」と。結果これです(苦笑)。

――今回のストーリーは当然、前作からの続きですよね。おさらいとして、プレイ前に知っておいた方がいい小ネタがありましたら教えていただけますか。

森氏:できればBBCFをプレイする前に、家庭用版BBCPのストーリーモードのエンディングを見ておいていただけると、僕としては嬉しいかなと。

――その部分は(BBCFのストーリーモードの導入部で見られる)前作までのあらすじでは、カバーされていない範囲なのですか?

森氏:触れていません。そこで改めて触れてしまうと、情報を出しすぎてしまうので。BBCFのストーリーは“BBCPのエンディングで見られる、2人の女性キャラクターの会話”を前提に作っていますので、そこでの会話内容を覚えておくと、より楽しめるはずです。

――今回で物語は完全決着。すべて終わると思っていても構いませんか?

森氏:完全に終わります。続ける方が難しいぐらいの終わり方を描いています。

――ボリュームはいかほどでしょう。サブシナリオやギャグシナリオも含めると。

森氏:約30時間くらいです。すべての演出を飛ばさずに見る、かつサブシナリオもそうやって遊んでいたら、ともするともっと時間がかかるかもしれませんが。

――そうなると、今回のBBCFがシリーズ歴代最大のボリュームといっても?

森氏:なっているかもしれません。僕がストーリーモードを通しでプレイをしたときは、1日では全然終わらず、十数時間×3日かけましたし。

――もしかして、ストーリーモードをすべてご自身でプレイされたのですか……?

森氏:はい。僕の場合は、シナリオの展開や演出のタイミングが上手くいっているのかをすべてチェックするので、ゲームをはじめて、オート機能をONにしてから、すべてのボイスと演出が流れきるまで、じーっとチェックし続けなくてはなりません。観賞じゃなく、あくまでチェックですから、ボタンを押して場面を飛ばすこともしません。

――これまでのシリーズ作品でも、その作業をやっていたのでしょうか。

森氏:そうです。

――感服いたします。そういえば先日「ギルティギア イグザード レベレーター(以下、GGXrd R)」のインタビューで、石渡さんが「GGXrd RをVRで動かしてみた」と話してくれました。「ブレイブルー」では何か試されましたか?

森氏:いえ、むこうはすべて3Dグラフィックで制作していますが、こちらはキャラクターが基本的に2Dグラフィックですから。PS VRの仕様上、無理がありますので試せていません。

――GGXrd Rでは豊富な3D素材を用いて、映画のようなカメラワークで見せていくアドベンチャーゲームの新たな手法が採られていましたが、それに関して何か思うところはあったのでしょうか。「ブレイブルーもそうしたい!」みたいな。

森氏:いまだに思っていますよ、「羨ましい!」って。もし、あの技術が「ブレイブルー」の企画立ち上げ時にあったら、僕が使っていましたから。

――良し悪しを除いても、ゲームの見せ方は大分変わっていたかもしれませんね。

森氏:当時のスペックや技術では“3Dに見せられない”という制約がありました。でも、今はそれがGGXrdシリーズでできると証明されたので、「だったらそれで作りたい!」と思っちゃいますよ。しかも、さらにその上の技術を生んで、それで作りたいくらいです。

「3Dで作らないんですか?」という質問はBBCTの頃にもされましたが、僕は当時から「今の3D技術では、これ以上2D風に見せられないので、やりません」と回答しています。ただ、個人的には“アニメ的に見せられる表現”であるならば、2Dでも3Dでもどちらでもいいと思っています。

――「ブレイブルー」を作っていくうえで気を付けてきたポイントはありますか? 「ここをこうしないと、ブレイブルーじゃない!」みたいなものです。

森氏:しいて言えば、「コンセプトはぶらすな」です。

――コンセプトですか。詳しく聞いてもいいですか。

森氏:一例でいうと、BBCP初期バージョンにおける「ν-No.13-(ニュー・サーティーン)」というキャラクターが挙げられます。BBCP初期のニューは、「フェイスリフト」という固有システムを新たに搭載し、ルナフォルマとディアフォルマという2つの戦闘モードを切り替えて戦うキャラクターに仕様変更していました。

でも、僕はアレを、BBCP Ver2.0へのアップデートと同時に辞めさせたんです。

――よく覚えています。

森氏:ニューはBBCTの頃からあくまで“シューティングキャラクター”です。つまり、BBCPで彼女のコンセプトはぶれたんです。僕も当時はスタッフたちに説得され、「んー、まあ、ありかな」と一時的に納得してしまったのですが、これは違うと思い直し、仕様変更に踏み切りました。一度決めたコンセプトはぶらすな、そこで改めて再認識しました。

――よく覚えています。私はBBCPになるまで「Λ-No.11-(ラムダ・イレブン)」を持ちキャラとして使っていましたから……(苦笑)。

森氏:BBCSのときのラムダは、本当に良くできていました。「(ストーリーの都合上、キャラクターを削除しなくてはいけないのが)もったいないなぁ……」とずっと考えていましたから。個人的に死んでしまったキャラクターを生き返らせることはしたくなかったのですが、その後のストーリー展開も加味し、BBCP Ver2.0以降からは再度プレイアブル化しています。

――キャラクターでいうと、BBCFには新プレイアブルキャラクターとして「Es」と「マイ=ナツメ」が参戦しますね(※Esは10月6日より、マイは10月27日よりDLC配信)。この2人の簡単な説明もしていただけますか。

森氏:まず、両者ともに“使いやすいこと”を前提としています。これはいくつかある理由のうちの1つですが、弊社のゲームって、なぜだか分からないのですが、可愛い女性キャラクターをやたら難しくしたがるんですよ(※キャラクター操作における難易度という意味で)。

――固有名詞を挙げきれないほど、心当たりが多いですね……。

森氏:なので、「今回は簡単にしよう!?」「扱いやすいキャラクターにしよう!?」と打ち合わせを続けてきました。しかし、ただ扱いやすいだけではどうしても面白くならないので、Esに関しては攻撃にディレィがかかるドライブ能力「クレストアーツ」を搭載しています。

パッと見でもラグナのように動かすことができ、D攻撃を気兼ねなく振れる。そのうえでセットプレイは奥深く、空中ダッシュは特殊機動と、シンプルな分だけ要所に特殊性を加えました。そして最も大切なこととして、Esは元々「XBLAZE」シリーズの登場キャラクターなので、ADVユーザーさんが触っても、難しさを感じさせないようにと心掛けています。

――もう一方のマイに関してはどうですか。

森氏:マイはスピンオフコミック「ブレイブルー リミックスハート」のキャラクターですが、プレイアブルキャラクターとしては、弊社の「P4U(ペルソナ4 ジ・アルティメット イン マヨナカアリーナ等)」シリーズを参考にしています。

――P4Uですか。そのエッセンスはどのような部分で見られるのでしょう。

森氏:P4Uは1つのボタンを連打するだけでも、スタイリッシュなコンボを出すことができ、格闘ゲーム初心者であっても気軽にできる格闘ゲームとして送り出しました。そしてマイは専用コンビネーション技「ヴァリアブルアーツ」の特性によってコンボが簡単で、攻撃が空振りしても、違う攻撃へと繋げられるので、初心者には扱いやすいと考えています。

また、上級者にとっても「小パンをかすらせて~~に繋げる」など、開発し甲斐のあるキャラクターになっているはずですので、期待しておいてください。

――Esとマイのプレイアブル参戦を決めたのは、いつ頃のことですか。

森氏:BBCFの企画当初から決めていました。ただし、先行したアーケード版では彼女らのほかに、新規キャラクターとして「ヒビキ=コハク」「ナオト=クロガネ」「ナイン=ザ=ファントム」「冥王・イザナミ」も参戦を予定していましたので、一気に作ることはできなかったため、Esとマイに関しては家庭用版での追加となりました。

――ナオトにしてもそうですが、BBCFでは当初から“さまざまな形で派生していた蒼の物語のキャラクター”を集結させる狙いがあったのでしょうか。

森氏:ありました。シリーズ最終章ということで、コンテンツキャラクターをすべて出そうと決めていたんです。まあ、「XBLAZEだけはごめんね……」なのですが(※他媒体からの参戦キャラクターは押し並べて主人公であったが、Esだけはヒロイン枠からの参戦となる。つまり「XBLAZE」の主人公・篝橙八だけ……を表現した森氏の言葉)。

――この時点で関連作品のすべてのキャラクターが参戦した、そう見ても問題ありませんか。

森氏:はい、すべて出し切れました。

――ストーリーモードにしてもそうですが、「ブレイブルー」の家庭用版では1人用コンテンツがとても充実していますよね。

森氏:BBCFではディレクターの石川も率先して「(1人用コンテンツの充実を)やりたい!」と動いていたので、特に「グリムオブアビスモード」に関しては彼に任せました。

――これは発売記念特集の記事にも書かせていただきましたが、「グリムオブアビスモード」は家庭用版シリーズ作品の中でも、最高峰の出来になっていると感じられます。ダンジョンRPG的なフレーバーが非常に練られていますよね。

森氏:これまでのアビスモードも“1人でコツコツとやっていけるモード”としては作ってきましたが、さまざまな仕様を一新したグリムオブアビスモードに関しては、石川の“こういうゲームが好き”が上手く働き、従来よりもさらに作り込みが増しましたね。

――あくまで大枠での話ですが、「ブレイブルー」以前の格闘ゲームの家庭用版というと、どうしても“対戦以外にやることが少ない”というのが常だったので、昨今の充実っぷりには目を見張るものがあります。もちろん、格ゲーマーの興味値を最大化させている要因は「ネットワーク対戦」の存在だと思いますが。

森氏:今回のネットワークモードでは、“皆でワイワイ楽しむゲームセンターの雰囲気”をうまいこと表現できていると思います。あと、「マイルーム」の出来が凄まじく良いので、個人的にはぜひマイルームで遊んでもらいたいです。

ちなみに先日、期間限定で開いたネットワークロビーでは、僕らの番組「あーくなま」のスタッフたちが“小澤軍団”としてユーザーの皆さんと手合わせしました。ただ、その際、ユーザーさんにものすごい長蛇の列を作らせてしまって、申し訳ありません。最初からいた人たちには結局、3時間くらい対戦に付き合ってもらうことになってしまいましたので。

――3時間待ちですか、大盛況で何よりです。

森氏:ただ、それを見ていて“ちょっと昔のゲームセンターの姿”を思い出しました。それに日本人はゲームの中だというのに、待機の待ち列が綺麗に直線になっているんですよ。

――日本人特有の“待ち列のマナー”ですね。ほとんどの方は無意識でそうやってしまったのではないのでしょうか。

森氏:途中でうちのスタッフも「アバターで<最後尾>って看板でも作りますか?」って言いだしましたからね(笑)。ゲーム発売後は対戦ばかりに焦点を置くのではなく、こういったコミュニケーションの輪を広げるイベントも考えていきたいです。

――そういえば、先に行われた発売記念イベントでは「制作中の修羅場の一場面」が語られていましたが、開発チームの人間関係というのは……心配しなくても大丈夫ですか?

森氏:あの話ですね(笑)。僕はあれが正しい姿だと思っています。

――「ブレイブルー」のみならずの話だとは思いますが、アークさんのゲームには“こだわり”という言葉がしっくりくる印象です。

森氏:僕は「こだわりを無くして、何を作るつもりなんだ」と思っていますから。やはり、自分らが生み出したモノなので、それを見る人たちには愛してもらいたいじゃないですか。なればこそ、相応のこだわりをもって作らないといけません。Esのときの一悶着は良いと思いますよ、ゲームシステムを作っているときなんか、もっと揉めますから。

――現場の空気というのは、メディアの人間にはどうにも想像できません。

森氏:決して皆でワイワイしながら仲良く作っているわけではありません。「こうした方がいい!」「ああした方がいい!」の意見を遠慮なくぶつけ合います。だからこそ、作り終わった後、これだけ仲良くできるんですよ。スタッフ全員、腹を割って話しているので(笑)。

BBCFで“ブレイブルーは完結”

――BBCFでは新たに「エクシードアクセル」と「アクティブフロウ」が搭載されましたが、ここまでのアーケードでの稼働を踏まえ、感触はいかがでしょう。

森氏:BBCPで導入したときの「オーバードライブ」は少なからず使い辛い一面がありましたが、調整スタッフの案から生まれた「エクシードアクセル」を追加したおかげで、その使い道も広がりました。BBCPで完成したシステムを、BBCFでより最適化して届けられていると考えています。

――家庭用版ではエクシードアクセルやクラッシュトリガーなどの一部システムに調整が加えられていますよね。

森氏:エクシードアクセルに関しては、通常技キャンセルでの使用時における攻撃発生フレームを早くしました。まあ、そのほかの修正点を含めても、基本的にはシステムの使いやすさの向上が主なものなので、バトルバランスが大幅に変化するものではありません。

――アーケード版にもアップデートは随時適用されますか。

森氏:もちろんします。それに今回は「アーケード版も家庭用版もできるだけ長く遊んでほしい」という思いで作っていますので、大小問わず継続的なアップデートを想定しています。

――それでは対戦環境におけるバトルバランスに関してはいかがでしょう? 人それぞれの繊細な問題なので、フワッとでも構いませんが。

森氏:僕は良いと思っています。何をやっても良い悪いの意見は必ず出てきますし、これに関しては「僕らがこれを面白いと思って出している」ことなので。例えば、巷では「ナインが強い!」と騒がれていますが、僕個人としては「そこまでか……?」という思いもあります。

――キャラランクというのは格ゲーにおける至上命題ですが、どうしても各々の力量と、人口の最大公約数によって、最適解が割り出せない課題になってしまいますものね。

森氏:ナインもリリース当初は「最弱!最弱!」と言われてましたが、キャラ研究が進んだ結果、より有効な使用方法が生み出され、一部で「強い!強い!」という声が上がっています。しかし、その強さに対しての攻略法がないわけではありません。それに、そういった対戦環境自体への攻略にも面白さがあります。大会ではそれが顕著に見られますので。

もちろん、対戦環境の様子を見つつ、ユーザーの皆さんの意見を受け止め、僕らとしての答えの出していきますので、手放しにするつもりもありません。

――家庭用版の発売以降も、大会は予定されていますか。

森氏:弊社の格闘ゲームタイトルの一大イベントである「あーくれぼ(ARC REVOLUTION CUP)」は、もちろん続けていきます。「ブレイブルー」「ギルティギア」を含めて、来年も再来年もやっていくつもりです。

――昨今は「e-Sports」の言葉とともに、ゲームジャンルを問わず、これに類した大会が活発になってきました。流れとしては当然良いものですが、その一方で課題だと感じていることはありますか?

森氏:今は猫も杓子もの勢いでゲーム大会が開かれるようになりました。そこで僕が懸念しているのは、“(ユーザーさんが)どの大会に出るのか”を選択しづらくなっている点です。

――ユーザー側の選択肢ですか。言われてみるとそうかもしれません。格闘ゲームだけにフォーカスしてみても、1タイトルで複数種の大会が行われていますので。

森氏:弊社では今後、「EVO Japan」の運営やタイトーさん(※現在、闘神祭を主催中)と話し合い、大会を運営していく予定です。そうしないとユーザーの皆さんの方が先に疲れてしまうと思うんですよ。僕らとしては、ユーザーの皆さんが一番望む形で大会を開きたいので。

――ユーザーが望む大会ですか。

森氏:もし、「EVO Japan」がずっと1on1でやっていくというなら、それに対して僕らは3on3でやっていくなど、レギュレーション面においての選択肢を提供していくつもりです。

――ではその一方で、「ブレイブルー」あるいは格闘ゲーム初心者への施策はいかがでしょう。

森氏:大会の話から続けると、本当はレベル別、年齢別、段位別など、さまざまな大会をやっていきたいとは考えているんです。スタイリッシュモード専用大会とか、遊びの範疇かもしれませんが、盛り上がると思います。僕はもっと“遊び的なお祭り要素”を推進していきたいです。「ゲームは遊びでやる」という考え方は大切ですので。

――家庭用版BBCFの公式サイトでは、「格闘ゲームに慣れていなくても楽しめる! ブレイブルー 5つのポイント!」といったコンテンツで、初心者の間口を広げようとする試みが見られます。これもそういった考えの延長で行われているのでしょうか。

森氏:公式サイトでは初心者というワードを使っていますが、こちらの意図は「ゲーム内容を極力、分かりやすくしたい」です。専門用語に当てはめてゲーム内容を説明するのではなく、何も知らないという人にも一目で「なるほど、こういうゲームなんだ」と分かってもらいたい。

あと、僕は昔からずっと言ってますが、「ブレイブルー」を簡単にするつもりは一切ありません。面白くするつもりならいくらでもあります。しかし、簡単にするのと、面白くするのとでは全然違う話なので、「初心者向けに操作を簡単にすれば面白いか?」と考えたら、答えはNOです。ここで用いるアプローチは、あくまで「分かりやすく」なんですよ。

――簡単にはしないが、分かりやすくはする。具体的な例はありますか。

森氏:スタイリッシュモードの存在です。これは操作を簡単にするために導入しているわけではなく、対戦の駆け引きを分かりやすくするために導入しています。初心者に「このゲームは、簡単ですよ」と伝えるシステムなのではなく、初心者に「このゲームは、こういうゲームですよ」をより面白く伝えるためのシステムなんです。

――なるほど、そう言われると、今になってすごく合点がいきました。

森氏:ありがとうございます。

――続いて、ゲーム発売後のDLC配信については、なにか予定されていますか。

森氏:DLC、配信したいですね。ゲームが売れればします。ほんと、ほんとこれです(笑)。

――なるほど(笑)。DLCの随時配信には期待しても良さそうですね。

森氏:DLCに関してはキャラクターコンテンツに限らず、遊びという面でもいろいろと提供していきたいです。

――続けて、これまでの家庭用版というとPS Vitaでもリリースされていましたが、今回のBBCFではPS Vita版の発売は考えられていますか。

森氏:残念ながら、無理です。

――それはスペックの問題で?

森氏:それも一つですが、一番は容量です。データが入りきらないんです。今回は全34キャラクターもいるので、ボイス量が半端なく、専用BGMもそれぞれ用意していますから。

――音源の圧縮には限界があると?

森氏:PS VitaのROMに収録できるギリギリまでデータを圧縮すると、音が割れてしまいます。一度試してはみたものの、ボイスが何を言っているのか分からない状態になってしまいました。

――私もさまざまなインタビューの場で「PS4版とPS Vita版の違い」を尋ねてきましたが、今年に入ってからは各社さん、一様に「辛い」という声に切り替わってきました。

森氏:PS4基準で作ったゲームを、PS Vitaのパフォーマンスで動かすには、そろそろ無理が出てきました。BBCFにしてもそうです。

――では逆の方向で、PS4 Proはいかがでしょう? リッチテイストに対する施策などは。

森氏:現状、BBCFでは特別な対応はしていません。PS4 Proに関しては、僕らもまだ研究段階にありますので。

――パッケージに関する話でいうと、先程仰られた「BBCFは長く遊んでほしい」の考えの核となるのは、やはり大々的にコメントされている“エクステンドは発売しません宣言”になると思うのですが、こちらについての考えも、改めてお教えいただけますか。

森氏:これまでBBCS、BBCPでは大きなアップデートの節目として、別パッケージとなるエクステンド版を発売してきました。しかし、今回のBBCFでは発売しません。この考えの大元にあるのは“全世界のプレイヤー格差”です。

エクステンドを発売するとなると、ローカライズや流通の関係でどうしても日本が先行してしまい、海外ユーザーにとってはそこで“差”が生まれてしまいます。こうなると海外ユーザーは「ええぇ……?」となりますし、日本ユーザーにしても「エクステンドぉ……?」となりますので、今回はエクステンド無しで、ゲーム本編を日本・アジアで同時発売することにしました。

――そのほか、北米・欧州地域の発売時期はどうなっているのでしょう。

森氏:北米・欧州は流通関係の調整もあり、約1ヶ月ほど発売時期がズレてしまいます。

――個人的にいろいろなパターンで「エクステンド待ち」という硬直期間を体験してきたので、エクステンドが発売されないことを良く思うところもあります。ユーザーも分散せず、一つのパッケージで、同じタイトルに打ち込めますので。

森氏:僕の「エクステンドは発売しません!」の言葉を信じられない方々もいるかもしれませんが、今回に限っては本当に発売しませんので、待っていたら乗り遅れますよ(笑)。

――海外版のローカライズ作業は既に終了しているのですか。

森氏:はい、それも9月に終わっています。

――ローカライズはすべてアークさんでやられているのですか。

森氏:翻訳以外はすべてやっています。

――翻訳が外注となると、“言葉や文化の違いで監修に頭を悩ます”ことが起きるのではないのでしょうか? 「ブレイブルー」はストーリーモードの文章量にしても途轍もないですし、言ってしまえば「第666拘束機関」や「次元干渉虚数方陣」などなど、ゲーム中に出てくる用語がその、なんといいますか……専門性に富んでいますので。

森氏:そこのところはすべて問題なしです。弊社ではBBCTの頃からアメリカ在住のマイクという翻訳家に頼んでいます。彼は僕の元同僚なのですが、当時社内にマイクという名前の人物が2人にいたことから、僕はマイキーという愛称で呼んでいます。

このマイキーですが、彼は“ガチの中二病”なんで、細かいことを言わずともうまいこと翻訳してくれるんですよ。「ブレイブルー」も「ギルティギア」も世界設定からして全部理解しているので、すべて信じて任せています。言ってしまえば、逆に僕がマイキーの語録から言葉を引っ張ってきて、蒼の物語におけるさまざまな用語として組み込んだものもあるくらいですから。

――知りませんでした。マイキーさんはローカライズにおけるベストパートナーですね。

森氏:ただ、彼にも一つだけ「止めてくれ!」と言われる言葉があります。

――それは?

森氏:ダジャレです。(ゲーム、アニメ、漫画で脚本などを手掛けている)赤尾でこが「タオカカのタピオカ」とか、やたらとダジャレを好んで使っていると、「(ニュアンスが伝わらないから)それだけはやめてくれ」と言ってきます。

――ダジャレは言語における最難関の壁ですものね(笑)。さて、ここで改めて確認しておきたいことがあります。今回はラグナ=ザ=ブラッドエッジの最後の物語をもって「ブレイブルー」が終了すると伺っておりますが、“ラグナ以外のキャラクターで「ブレイブルー」の新章がはじまる”といったお考えはあるのでしょうか?

森氏:いえ、「ブレイブルー」は今回で完全に終了です。

――「ラグナの物語は終わったけど、次はジンの物語だよ!」的な言葉遊びの余地もなく、完全に終了するということですか?

森氏:僕は“ブレイブルーはラグナ=ザ=ブラッドエッジの物語だ”と言い続けてきたので、今回のBBCFをもって、しっかりと終わらせました。ラグナが最後にどのような選択をするのか、「ブレイブルー」の集大成を、ユーザーの皆さんに見ていただきたかったので。

――つまり、現状は「ブレイブルー」というラベルが付いた続編の構想はないわけですか。

森氏:ないです。ただし、蒼の物語は現在進行形でいろいろと派生しているので、もしかしたら“蒼に関わる外伝”が生まれることはあるかもしれません。うちの石川にしても「バングが主人公のアクションゲームが作りたいです!」とか言ってましたし。これに関しては「絶対にストライダーバングって名前にはするなよ!」と伝えていますが(笑)。

そういう意味では、スタッフのアイディア次第で、対戦格闘ゲーム以外のゲームジャンルで、キャラクターコンテンツが生まれる可能性はあります。この辺りはすべてチャンス次第ですから、出たら出た、出なかったら企画倒れ、そう思っていてください。

――ありがとうございます。寂しくはありますが、まずは本編を楽しみにするとします。あと、10月6日には秋葉原のソフマップさんで発売日記念イベントが開催されるようですね。

森氏:はい、当日は私とEs役・野村真悠華さんが参加するトークショーや、サイン入りポスターなどを用意した抽選会を予定しています。ソフマップさんでは巨大な看板広告も掲示されていますので、あわせて見に来てくれると嬉しいです。

――それらがすべて終わった暁には、今年の年末をゆっくりと過ごせそうですね。

森氏:(横に座る広報さんを見ながら)年末年始はワタクシ、休ませていただけるんでしょうかね……? 「コミックマーケット91」の抽選に受かったら、駆り出されそう……。

広報:受かったら行きませんとね!

森氏:あなた来るんですか? 来る気ゼロなんじゃ?

広報:まあ、取材に来てくれるというのであれば……(チラッ)。

――いやー、こういう風に飛び火してくるとは思っていませんでした……。では据わりもよろしいようなので最後に、これまで「ブレイブルー」を遊んできた人たちと、これから「ブレイブルー」を遊ぶという人たちに向け、一言メッセージをお願いいたします。

森氏:「ブレイブルー セントラルフィクション」は、ユーザーの皆さんに長く遊んでもらえるよう作ったタイトルです。ゲーム発売後もいろいろな仕掛けを用意していますし、今後は大きな大会のみならず、ユーザーの皆さんがいろいろな形で参加できる大会にも取り組んでいきたいと考えています。仮に遅れてゲームを買ったとしても、いつまでも楽しめる作品となっていますので――あっ、ただ遅れて買うと、Esが有料配信になっちゃうので……。

――早期購入特典「Es」DL用プロダクトコードが封入されているのは初回生産分だけ!……ということで、よろしいでしょうか?

森氏:皆さん、ぜひよろしくお願いいたします!

※画面は開発中のものです。

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