2017年7月29日・30日の二日間に渡り、幕張メッセにて開催されている「Fate/Grand Order Fes 2017」。ここでは、ゲームにまつわる開発秘話から最新情報の発表も行われた、29日のクリエイターズトークステージの模様をお届けする。
3人の開発陣が、FGOの2周年を振り返る
2周年を迎えた「Fate/Grand Order (以下、FGO)」の2年目を振り返る形で行われた今回のステージには、FGO PROJECTのクリエイティブディレクターを務める塩川洋介氏、マーケティングディレクターの石倉正啓氏、バトルグラフィックなどを担当する開発スタッフの安生真氏らが登壇。
公式サイトにて連載中の「マンガで分かる!Fate/Grand Order」から、主人公、マシュ、セイバーの着ぐるみも登場。一際強い存在感を放っている主人公は機敏なステップも披露し、会場を沸かせていた。 |
2年目に入って行われたイベントの中から印象に残ったとして話題だったのが、先日まで開催されていた、「カルデアサマーメモリー」&「カルデアヒートオデッセイ」の復刻水着イベント。塩川氏としても復刻イベントということで受け入れてもらえるか不安も大きかったそうだが、これまでのデイリーアクティブユーザーの記録を大幅に更新したほど、大勢のプレイヤーに遊ばれたイベントになったそうだ。
なお復刻水着イベントでは、「FGO」内では初めて、サーヴァントの衣装を変更する霊衣開放の「システム」が導入された。昨年実施した水着イベントで立ち絵として登場していたマシュの水着姿をどうにか実装したかったが、マシュはプレイヤーにとって特別なサーヴァントでもあるため、報酬として水着姿のマシュを別途配布することに違和感を覚え、結果として衣装変更という形で実装に踏み切ったのだという。
バトルグラフィック面を担当する安生氏曰く「衣装を変えるだけなので簡単そうに思われるかもしれませんが、衣装によってアニメーションの際に干渉する箇所が変わってくるので、全てのモーションをチェックして細かく手直していかなくてはいけない」そうで、決して少なくない労力が掛けられていることが明かされていた。
その後には、今年のエイプリルフール限定で配信されていたアプリ「Fate/Grand Order Gutentag Omen」に関する開発秘話が語られたコーナーも。
元々、サーヴァントを集めることをメインにしたゲームがあれば楽しいだろうという前提が塩川氏の中にあり、その上で大流行していた某タイトルをプレイした際に感じた「外に出ないでゲットしたい」という発想が、開発のきっかけとなったという。
実は開発途中には、聖晶石1個を投げるたびに一回ずつフリックが必要だったり、サーヴァントが聖晶石を避けたり、戦闘から逃げ出したり……といった別のバージョンも作られていたそうなのだが、最終的には配信されたシンプルな形式に落ち着いたという。
またゲーム中に登場した全てのサーヴァントにユニークなフレーバーテキストが書かれていたが、実は奈須きのこ氏を筆頭とするFGOのシナリオを担当するライター陣総動員で書かれたものであることが判明。イラストを担当するリヨ氏だけではなく、ライター陣も一緒に酷使されていたことが語られていた。
開発陣による「心に残った宝具ランキング」の後には、新イベントに関する新発表も
2017年の「FGO」では、実に29騎ものサーヴァントの宝具がリニューアルされ、新たなアニメーションに生まれ変わっている。今回はその中から、事前に開発陣を対象に行われたアンケートによって選ばれた「心に残った宝具ランキング」が発表された。
まず第3位となったのが「Fate/EXTRA CCC」コラボイベントにて実装された「殺生院キアラ」の宝具「快楽天・胎蔵曼荼羅」。こちらは元々、かなり厳しいスケジュールで制作が進行していたそうなのだが、ほぼアニメーションが出来上がった段階で奈須きのこ氏から「最終再臨のイメージに合わせたい」という希望が上がり、ギリギリのタイミングで最後の宇宙空間の演出が追加されることになったのだという。
一方で安生氏からは「TYPE-MOONさんからの提案は決して理不尽なものではなく、ゲームをよりよくするための理にかなっていて、こちらとしても頑張るしかないという感じです。ただ、スケジュールだけは無慈悲なので……」と、日頃の苦労を感じさせる発言が飛び出す一幕も。
続いて第2位にランクインしたのが、同じく「Fate/EXTRA CCC」コラボイベントにて実装された「メルトリリス」の宝具「弁財天五弦琵琶」。メルトリリスの攻撃は、慣性を乗せたスピード感が特徴の一つとなっているため、アニメーションの中割の位置一つで攻撃の気持ち良さがまったく違ってくるのだという。テンポの早いモーションには中割りが飛びやすいという弊害も発生するため、見栄えの悪い絵にならないよう調整に時間を掛けることが少なくないそうだ。
そして栄えある第1位となったのが、1.5章にて実装された「新宿のアーチャー」の宝具。冒頭の月夜をバックに舞い上がるシーンを筆頭に、様々な宝具の中でもカット数が非常に多いのが特徴だが、カット数を増やすと見栄えはよくなるのもの、戦闘のテンポが悪くなってしまうデメリットもある。実は実装される前のバージョンでは、5~10秒ほど長い演出となっており、そこから削りに削って現在のバージョンになったという。また安生氏は「あまり長くすると、リヨさんに怒られるので……」と、「マンガで分かる!Fate/Grand Order」の定番ネタにも言及し、客席の爆笑を誘っていた。
ステージの最後にはFGOにまつわる最新情報として、2017年版の水着イベントの開催が発表に。同時にイベント内に登場する織田信長、ニトクリス、アルトリア・ペンドラゴン[オルタ]の3名のサーヴァントの水着姿も公開された。
加えて会場では、水着バージョンとなる織田信長の宝具映像も初上映され、武器と思わしきギターを用いての、スピード感溢れるラッシュ攻撃の演出に、会場も本日一番の盛り上がりとなっていた。
一方、気になるイベントの開始時期に関しては「8月」ということ以外は明言されず。クリエイターステージでの発表は、「少し先の情報」として前置きされていたこと、塩川氏の「なんとか8月中には実施したい」という発言から、開催まではもうしばらくの時間が掛かるのではないかと予想される。
現在実施中のメモリアルクエストに続き、まだまだ新イベントが目白押しの「Fate/Grand Order」。今後明かされていくであろう、水着イベント2017の続報にも要注目だ。