9月14日に発売が予定されているPS4/PS3「ウイニングイレブン 2018」のメディア大会が、W杯予選・オーストラリア戦の翌日、9月1日に開催された。シングルプレイとは異なる盛り上がりを見せた本大会の優勝者は?
発売まであと2週間を切った「ウイニングイレブン 2018」。先月末には体験版が配信され、エキシビションマッチやCO-OP(協力プレイ)モードを楽しんでいる人も多いのではないだろうか。
ハリルホジッチ監督の采配と若手選手たちの活躍で完勝したW杯予選・オーストラリア戦の翌日、もう一つの熱戦「ウイニングイレブン 2018 メディア大会」が行われた。会場は楽天カフェ 渋谷公園通り店の3階・FCバルセロナフロアだ。
今回の大会では、オープンβでも好評を博したCO-OPモードを使用し、2vs2の対戦形式で行われた。
本作のCO-OPモードはオンラインに対応しており、最大3vs3で戦うことができる。6月に行われたE3 2017でのプレイレポートにも書いたが、シングルプレイとはまた異なる、「チーム」としての楽しさが存分に味わえるモードになっている。
メディア大会には、ゲームメディア、サッカーメディアはもちろん、新聞社やCSチャンネルなど総勢20チームが参加。さらに敗者復活戦からは、「PES LEAGUE myClub 2017」優勝者の2人が加わり、参加者を迎え撃った。
Gamer(ボルシア・ドルトムント)は初戦のJ SPORTS戦(リヴァプールFC)に勝利するも、2回戦でぶつかったPlayStation.Blog(FCバルセロナ)に0-0からロスタイム弾を見舞われ、残念ながら敗退。守備的な展開からカウンターを狙ったが、一歩及ばず……。
PlayStation.Blogはその後も勝ち進み、決勝戦までたどり着く。相手はそれまで盤石の試合運びで駒を進めた「PES LEAGUE myClub 2017」チャンピオンチームだ。チャンピオンはとにかくドリブルが巧み。ここまでの試合も、何度もヌルヌルとしたドリブルで相手の守備網を突破してきた。
決勝戦は、ドリブルを主体に攻め込むチャンピオンと、パスで崩すPlayStation.Blogという図式に。互いに決定機を得ながらも前半をスコアレスで折り返す、白熱の展開となる。
迎えた後半、PlayStation.Blogはチャンピオンの突破を水際で止め続けてペースを握ると、85分にカウンターが炸裂。ハイラインの裏を取るパスでルイス スアレス選手が抜け出すと、GKとの1vs1を制し値千金の先制弾を沈める。虎の子の1点を守り抜いたPlayStation.Blogが、見事頂点に輝いた。
大の大人が何十人も集まった大会は大盛り上がり。惜しいシュートには2人で声をあげ、ゴールが決まればハイタッチ。ディフェンス時には「先に(プレスに)いきます」と声を掛け合うなど、シングルプレイとは違う楽しさが凝縮されていた。
また、難しそうなサッカーのプレーが簡単な操作で繰り出せる(というより、自然に出るように作られている)のも、本作の大きな魅力。アウトサイドトラップや華麗な切り返しからのクロス、ボールの引き技などで「おおっ」とみんなで盛り上がるのも、CO-OPプレイならではのこと。今作の醍醐味が十二分に味わえた大会であった。
開発陣に本作のポイントを聞く
最後に、会場内で行った開発陣へのインタビューも掲載する。今回は「ウイニングイレブン 2018」アシスタントプロデューサーの益田圭氏、リードプログラマーの尾島正敏氏に話を伺った。
――少々早いかもしれませんが、体験版の手ごたえはいかがですか?
益田氏:国内と国外で反応が違っていて、我々が狙っていたところもあればそうではないところもありますね。皆さんの反応を見ながら、きちんとお応えしようと思っています。ネガティブな反応も歓迎です。
――シリーズの過去作品でも2人での協力プレイができましたが、今作ならではのCO-OPプレイのポイントをお教えいただけますか?
益田氏:今回は2人~3人と限定したところがポイントです。最大11人でプレイできるモードは既に提供していますが、ハードルが高かったんですね。ボールが回ってくるタイミングや回数を考えると、みんなが十分楽しめる最適な人数は違うのではと考えました。
そこで、協力や連携プレイといったサッカーの醍醐味を感じていただくため、1チームのプレイヤーを最大3人と設定し、“3人目の動き”も含めて、連携が完成したときの楽しさを表現しました。
自身の行動と最終的なスタッツからプレイヤーが評価される視覚的なフィードバックには、とても気を使っています。現地取材をしたり、プロコーチの方などからアドバイスをいただいたりしながら、どんな行動を取ったら選手の評価につながるのか、我々のロジックに落とし込んでスタッツとして表示しています。
――プレイヤーには無意識下のクセがあると思うのですが、それをハッキリとデータで可視化されて、「自分はこんな選手だったんだな」と気づかされました。
益田氏:プレイデータはオンライン上でプロフィールにも蓄積されていき、それによって称号が付与されたりもしますよ。
――その称号で自分のプレイスタイルをアピールできるんですね。
益田氏:そうですね。より気軽に楽しんでいただくために、一人でパッと飛び込んで、オンライン上で即席チームを結成して遊ぶこともできます。
――個サル(個人フットサル)みたいですね(笑)。
益田氏:まさにそうです(笑)。その時に、プロフィールが役に立ちます。「今回のチームはこういうスタイルのプレイヤーたちが集まったな。そしたら自分はこういった動きをしよう」と考えたりしながら楽しむことができます。
もちろん、コアなプレイヤーやe-Sportsプレイヤーの方々には、仲の良い友達3人で組んでいただいて、完璧な連携を作って挑んでいただきたいですね。
――プレイの評価システムを組むのは難しそうなイメージですが……。
尾島氏:なるべくみんなが納得できる形を作り上げるのが難しかったですね。
益田氏:例えばある1つのプレイを評価すべきか否か、考え方が違ったりしましたね。そこは先ほどお話ししたプロコーチのアドバイスなどを参照しながら、収束させていきました。
――プログラムそのものというより、その前にどういう定義をさせるのかが難しかったんですね。
尾島氏:そこがやっぱり一番大事な部分でしたね。
益田氏:実際にプレイしたら結構違ったということもあったので、チーム内でフィードバックを繰り返しながら作っていきました。
――今回のCO-OPプレイは「3人」というのがポイントのように感じられました。
益田氏:3人の連携がつながったときが一番気持ちいいですよね。例えば1人がマークを引きつけて、空いたスペースにもう1人が飛び込んで、そこにボールを出すという3人の動きの気持ちよさを感じてほしいです。
もちろんCO-OPモードは2人でも楽しめるのですが、イメージとしては2人と3人が対戦したら、3人が強くあってほしいです(笑)。熟練した3人に、2人では勝てないというような流れになってほしいですね。
――今作からポストプレイやGKの動きなどで、新しいモーションも追加されていますが、以前から加えたいと考えていたのでしょうか?
益田氏:もう、加えたいものは毎作品積んでいますね。注力する方向性を決めたら、やりたいことの中で甲乙つけて、今回はここまでと決めてやっています。
なので、「次回作は何をしよう?」と悩むことははあまりないですね。開発が終わるとすぐ次のことを考えています。
――いろんな動きが増えましたが、とても簡単にサッカー選手らしいアクションが生まれるのが印象的でした。
益田氏:そこがまさに意識しているところですね。「ウイニングイレブン」は長いシリーズなので、同じコントロールで、かつ新鮮味を感じてほしかったんです。それを操作に落としてしまうと、一部のスキルが高いプレイヤーしか味わえないですよね。そこは常に気を使っていて、現在のコントロール上でのバリエーションや、納得感のあるサッカーのアニメーションを増やしていくのが今の考えです。
――FWにクサビのパスを入れてDFを背負ったときに、DFと逆側にスティックを倒すだけで相手をブロックしてくれたり、そういった特殊なのかなと思う動きも簡単に再現できるのが楽しかったです。
益田氏:実はそこ、開発的にはめちゃくちゃ難しいところです。相当、調整しましたね。
尾島氏:ユーザーさんは簡単にできますけど、僕らは簡単ではなかったですね(笑)。
益田氏:その動きが的確なシーンで出るようにしないといけないんです。相手選手がまったくいないところで発生するところから始まり、だんだんと収束させていきました。
――細かな条件を重ねていって、発生するシーンを絞っているんですね。最後に、発売と発売後に向けたコメントをいただけますか?
益田氏:今までやってきたことの集大成として、目指してきたところに近い形を提供できていると思っていますので、ぜひ楽しんでください。ユーザーさんのフィードバックを真摯に受け止めながら、必要なものに対しては手を入れていきます。より楽しめるゲームと、より環境に合った形を提供していきたいと思っています。
尾島氏:そちらを楽しんでいただきつつ、PES LEAGUEに参加して世界一になってください!