バンダイナムコエンターテインメントが12月9日より「VR ZONE SHINJUKU」にて展開する対戦型VRアクティビティ「近未来制圧戦アリーナ 攻殻機動隊ARISE Stealth Hounds」。ここでは、「攻殻機動隊」の世界をVRで再現した本アクティビティの体験レポートを掲載する。

目次
  1. “スタンドプレーから生じるチームワーク”が勝負のカギ!?
  2. コヤ所長、タミヤ室長、そしてプロデューサー“C・J”氏へのミニインタビュー

「攻殻機動隊」は、士郎正宗氏による漫画を原作としたSF作品だ。1989年の発表以降、コミックはもちろんアニメや映画、小説にゲームなど、多岐にわたるコンテンツで展開されており、日本のみならず世界中で多くファンを魅了し続けている。

今回、「VR ZONE SHINJUKU」に新たに展開される「近未来制圧戦アリーナ 攻殻機動隊ARISE Stealth Hounds」は、そんな「攻殻機動隊」の世界をベースとしたフィールドVRアクティビティだ。

20m×11mの専用アリーナ内を体験者が自由に歩き回り、体験者同士で攻撃し合い、勝敗を決めるチーム対戦型のアクティビティで、VRで再現した“光学迷彩”や“義体”といった「攻殻機動隊」ならではの世界観を体験することができるようになっている。

まずアクティビティを体験する前に、参加者全員で基本的な遊び方のブリーフィングを受ける。本アクティビティでは、体験者は草薙素子 少佐(以下、少佐)の部下として、繫華街を根城としたテロリストたちの制圧任務を遂行することになる。

アクティビティは“チームα”と“チームΩ”の2チームに分かれて行われ、体験者同士で銃撃戦を繰り広げ、戦闘中に出現する機密情報を奪い合い、より多くスコアを稼いだチームが勝利となる。

※補足:体験者全員が少佐の部下という設定だが、チームαの視点ではチームΩはテロリスト、チームΩの視点ではその逆となっているので、決して同士討ちというわけではない。

スコアは敵を倒すか情報を奪取することで加算されていく。武器はハンドガンのみで、頭部は1発、そのほかは3発命中させれば倒すことができる。情報を奪取するには一定時間ターゲットに接触し続ける必要があるため、奪取を狙う人はしゃがんだりして周囲を警戒しつつ、味方に援護してもらうようにしよう。

義体が破壊されて戦闘不能になると“ゴースト”になり、リスタートポイントまで移動することで何度でも戦闘に復帰することができる。劇中でもあったような、少佐が義体を切り替えつつ戦った感覚が味わえるようだった。

また「攻殻機動隊」といえばやはり、“光学迷彩”は欠かせない。本アクティビティでも光学迷彩は再現されており、ハンドガン型デバイスの背にあるボタンを押すことでこれが発動する。光学迷彩は視界が緑色になり、一定時間、敵からは自身の姿が一切見えなくなる(味方には認識できるような表示がされる)。ただし、あくまで見えなくなっているだけなので、光学迷彩中でも銃撃を受ければ倒されることもあるので注意しよう。

そのほかの注意点としては、本アクティビティでは静かにゆっくりと移動することが推奨される。というのも、例えば早足に移動すると壁越しであろうと自身の位置が敵に露見するほか、ペナルティとして倒された際にリスタートできるようになるまでの時間が加算されてしまうのだ。

これは電脳化によって音を視覚で認識できるようになった「攻殻機動隊」の世界を再現しつつ、周囲が見えない体感型VRアクティビティの安全性を確保するという、2つの目標を上手く達成させた秀逸なシステムだった。

また、敵と味方の区別は見た目で判別できるものの、本アクティビティでは味方にも銃撃が当たってしまうので、くれぐれも誤射だけは注意しよう。……なお、誤射すると少佐からきつーく叱られてしまう(経験済み)。

“スタンドプレーから生じるチームワーク”が勝負のカギ!?

さて、ここからは実際にアクティビティを体験した感想をお伝えしていく。体験者は、レッグ・アームガードとパソコンを積んだバックパック、そしてVRゴーグルとヘッドセット、ハンドガン型のコントローラーを装備してゲームに参加する。バックパックのみやや重量はあるものの、女性の体験者でも十分快適に遊べる重さになっていた。

バックパックとハンドガン
フル装備するとこうなる。

本アクティビティは20m×11mの専用フィールドで行われるため、体験者が自由に移動し、銃撃などのアクションを行うには十分な広さとなっている。とはいえ、実際にゲームが始まると風景も一変し、半壊した屋内の景色が眼前に広がるため、遮蔽物も多く閉塞感を覚えることだろう。室内戦となるため、ゴーグルを外して見た時の感覚よりも、敵との距離はかなり近くに感じられた。

フィールドの様子

本アクティビティは特に世界観の作り込みが精巧で、例えば体験者はブリーフィング後にプレイヤー名と身長、そして性別を端末に入力するのだが、この時に入力した身長と性別が義体としてそのままゲーム中の自身の見た目に反映される。

さらに、キャラクターのモデリングにもかなり力が入っており、腕や足に取り付けたセンサーを介して、自身の動作が瞬時にゲーム内のキャラクターに反映される。サバイバルゲームのように身を屈めて遮蔽物に隠れることも、腕だけを壁から出して銃撃することも可能だ。

また、ハンドガンの精密さも特筆すべきポイントで、類似するアクティビティだと見えている照準と実際の照準が大きくズレていることはままあるため、精密射撃を行うことが難しく、それ故にマシンガンなどの連射できる武器が採用されることが多い。しかし、本アクティビティは武器が単発射撃のハンドガンのみのため、瞬時に意図して頭を狙い撃ちできるほどの精密なモーションキャプチャー技術が用いられている。実際に戦ってみると分かるのだが、撃ちたいポイントに向かって直感的に射撃が行えるので、ヘッドショットを決めるのがとにかく気持ち良かった。

本アクティビティは、基本的なゲームデザインとして身を潜めながら戦うステルスアクションの側面を有している。……のだが、筆者たちは初心者ということもあって、中央の部屋や機密情報のある場所などで過激な銃撃戦を繰り広げていた。これはこれで“VR FPS”のようで非常に面白かったのだが、ゲームに慣れてくるとあまり大きく動き回ったりはせず、部屋の角や物陰からあまり出たくなくなるという。

戦闘中は外から見るとこんな感じ。

「それじゃあ待っているだけでつまらない!」と思う人もいるだろうが、そこで役に立つのが「攻殻機動隊」ならではの要素である光学迷彩だ。敵がいるかもしれないポイントや通路を通る時などは、姿を消すことで安全に移動することができるはずだ。また、例え姿が見えずとも、そこにいるかもしれないという“ゴーストの囁き”に身を委ねることもあるだろう。ただ撃ち合うだけでないそうした駆け引きも、本アクティビティでは味わうことができるようになっている。

また、試合のリザルトは公式サイトにて確認することができる。自身がどのくらい活躍できたかを見られるのも嬉しいポイントだ。

「攻殻機動隊」の世界をぎゅっと凝縮させた「近未来制圧戦アリーナ 攻殻機動隊ARISE Stealth Hounds」。本アクティビティは、12月9日より一般稼働が開始される。最大で8人まで同時に遊べるので、ぜひ友人などと一緒に遊んでみてはいかがだろうか。なお、公式サイトではチケットの予約受付も行われているので、いち早く遊びたい人はぜひ事前に予約しておこう。

「近未来制圧戦アリーナ 攻殻機動隊ARISE Stealth Hounds」公式ページ
https://vrzone-pic.com/activity/koukaku.html

コヤ所長、タミヤ室長、そしてプロデューサー“C・J”氏へのミニインタビュー

――新アクティビティに「攻殻機動隊」を採用したワケを教えてください。

ローム・チャールズ氏(以下、C・J氏):「攻殻機動隊」は国内外問わず非常に人気のある作品であることはもちろんですが、今回は対戦型のアクティビティを作りたいと思ったので、銃火器による戦闘も魅力の一つである「攻殻機動隊」は特に相性が良いと思いました。

――特にこだわったポイントはありますか。

C・J氏:光学迷彩ですね。私自身「攻殻機動隊」のファンなので、この要素はぜひゲームに取り入れたいと考えていました。

コヤ所長:本作は、どちらかといえば激しく銃撃戦を行うようなゲームデザインではなく、身を隠しつつ相手の出方を待つような静かな仕組みになっています。これだけではゲームが動かなくなってしまいますが、光学迷彩があることで“静”のデザインを保ちつつゲームに動きを出しています。

最初のうちはどうしても銃撃戦が主なわちゃわちゃとした雰囲気になりがちですが、慣れてくるとどこに敵がいるか分からない緊張感のある戦闘が楽しめるようになると思います。

――どのくらいまでやればそういった“上級者”のようなゲームプレイができるようになるのでしょうか。

タミヤ室長:回数など、何か基準を設けているわけではないのでなんとも言えません……でも、例えばサバイバルゲームの経験者などは、動きが違いますよね。銃の持ち方も異なりますし、角からの身の出し方も洗練されます。そういった動作がゲームに反映されるのも、本作の面白いところだと思います。

――コマンドやアクションが用意されているのではなく、モーションを自分で考えるというのは体験型VRならではの遊びですよね。開発する上で一番苦労したポイントというのはありますか。

C・J氏:やはりモーションキャプチャーですね。体験者の動作が逐一ゲームに反映されるような精密な表現を実現するのは苦労しましたね。

――敵を倒した際、ゴーストとなった敵の位置が視認できますが、これはやはり安全上の配慮なのでしょうか。

タミヤ室長:そうですね。完全に見えなくしてしまうと体験者同士がぶつかってしまう危険があるので、仕方のない部分ではあります。ただ、光学迷彩もあるのでリスタート地点などはあまり気にならなくなると思います。

――以前にも体験会を行っていましたが延期されたこともあり、やはり技術的な面でかなりハードルが高かったのでしょうか。

コヤ所長:実はモーションキャプチャーのハードウェアが国内ではあまり使われていないものを使用しており、諸々の修正に少し手間取ってしまった経緯があります。しかし、今回はそれらの諸問題をすべてクリアし、類似のアクティビティと比較してもかなり遅延の少ない滑らかな動作が可能になったと思います。

――ここまで精度を高めよう、という具体的な目標は何かあったのでしょうか。

タミヤ室長:数値的な目標はありませんが、室内戦でマシンガンで戦っても面白くないと考えていたので、しっかりとハンドガンで狙って撃てるようなレベルまでは高めようと考えていました。

――ありがとうございました。

左から)コヤ所長、C・J氏、タミヤ室長

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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