ソニー・インタラクティブエンタテインメントジャパンアジアは、PlayStation4(PS4)用ソフトウェア「ゴッド・オブ・ウォー」のメディア向け体験会を実施した。
伝説のスパルタ兵・クレイトスと、その息子・アトレウスの旅路が描かれる
伝説のスパルタ兵・クレイトスが強大な神々に立ち向かう壮大な物語と、作りこまれた爽快感抜群のアクションで、全世界のゲームファンから絶大な支持を得ている「GOD OF WAR」シリーズ。
今回の体験会でプレイすることができたのは、そのシリーズ最新作となる2018年4月20日に発売予定のPS4用ソフトウェア「ゴッド・オブ・ウォー」。オリュンポスの神々との激闘の後、北欧の地で新たな人生を望むクレイトスとその息子アトレウスの物語を描いた作品だ。
国内初のプレイアブル状態でのお披露目となった今回の体験会。「ゴッド・オブ・ウォー」コミュニティーマネージャーのアーロン・カウフマン氏も登壇し、集まったメディアに向け、本作の内容を解説するプレゼンテーションを実施した。
まず「ゴッド・オブ・ウォー」は、従来のアクションからアクションアドベンチャーへとジャンルが一新されているのが最大の特徴。それにあわせて視点も、従来の真上から俯瞰したような視点から、近年のTPSに多い背中越しのものに変更されており、操作方法も大幅な変更が加えられている。
また本作のテーマの一つとなっているのが「成長」。本作でも主人公を務めるのはもちろんクレイトスだが、クレイトスの息子・アトレウスがもう一人の主人公的な立ち位置として登場する。クレイトスはアトレウスに自身がこれまで培ってきた生きるための術を教えていくのに対し、クレイトス自身も息子との交流を通して、かつて失った人間性を取り戻していくという。
本作におけるクレイトスと息子アトレウス。 二人は、亡きクレイトスの妻の遺灰を、世界でもっとも高い山に蒔くために旅立つことになる。 前作「GOD OF WAR III」からかなりの月日が経っており、 髭が生えるなどクレイトスの見た目にも変化が表れているのが分かる。 |
ゲームシステムが一新!
プレゼンの後には、早速「ゴッド・オブ・ウォー」の序盤を実際にプレイすることに。物語は、クレイトスとアトレウスが、亡きクレイトスの妻を火葬し、遺言に従って息子アトレウスと共に狩りにいくシーンからスタートする。クレイトスは狩りを通してアトレウスに生きることの厳しさを教えようとするのだが、百戦錬磨の戦士であるクレイトスも、息子とのコミュニケーションには不慣れな様子で、見ていて微笑まししい。
プレゼンでも説明されたが、本作では従来のシリーズから操作性が大きく変更されている。基本的な攻撃ボタンは弱攻撃がR1、強攻撃がR2へと設定されており、これまでの攻撃ボタンであった△と□には、新アクションが割り振られている。
その中の1つ目の新アクションとして追加されたのが、L2ボタンで行うことができる、クレイトスの初期装備となっている斧・リヴァイアサンを投擲、△ボタンで手元へと斧を引き寄せる攻撃。この斧投擲は、射撃武器のような要領で敵に対して投げてダメージを与えたり、敵を氷漬けにしたりと様々な効果があるが、戦闘だけではなく後述するフィールドの仕掛けを解くのにも使われ、何かと使い道が多い。
さらに本作では息子・アトレウスも戦闘へと参加し、□ボタンを押すと弓で援護を行ってくれる。弓の攻撃力はそれほど高くないのだが、気絶ゲージが大きく溜まる特徴をもっている。この気絶ゲージが溜まることと、「GOD OF WAR」シリーズお馴染みのQTEによるアクションにより、大ダメージを与えることができる。
またクレイトスとは攻撃や入力の判定が別に設定されており、クレイトスが攻撃を受けている時に敵の攻撃を中断させたり、クレイトスの攻撃でふっとばした直後の敵を追撃させたりといったりと、使い道はかなり豊富。
矢は連続して最大3発まで撃て、一定時間経過後に再装填される。もし使い切ってしまっても、再使用可能になるまでの時間はそれほど長くないので、惜しまずに使っていけるのも楽しい。アトレウスの使い方はこれまでのシリーズにはなかったタイプのアクションでもあり、今後の攻略の上でも非常に重要になってきそうだ。
もう一つの新要素が、フィールドを探索する要素だ。本作ではマップ内を歩きまわっていると、地面や宝箱にある「古びたおもちゃ」などの資源を回収することがある。コンプリートを目指すコレクション要素としてだけではなく、入手時にクレイトスを成長させるポイントを獲得できるため、ゲーム的なメリットもある。
また、クレイトスの道を阻むことになる道中の仕掛けもパワーアップ。従来の「GOD OF WAR」シリーズでも、いわゆるダンジョンギミックにあたるものは存在していたが、本作では上述したリヴァイアサンなどを用いて、どうやって仕掛けを解除して進むかという謎解きの要素が大幅に増えている。
スイッチを押しておかないと足場が上がってしまう橋にリヴァイアサンを刺し、渡り終えた後で呼び戻すなど視点がTPSに近いものになっていることもあり、このあたりのプレイ感覚は同じSIEタイトルである「アンチャーテッド」シリーズなどをプレイしている時の感覚にも近いと感じられた。
最大のウリとも言える爽快なアクションはもちろん健在で、複雑な入力も一切なく、キビキビ動くクレイトスを操作するのは純粋に楽しい。多数の雑魚敵に囲まれても、あっという間になぎ倒していく様は、いかにクレイトスがぶっとんだ強さなのかを実感させてくれる。あらゆる行動をキャンセルして行える緊急回避が×ボタンに変更になっているが、筆者はまったく違和感なく使用することができた。
本作ではポイントを消費して武器や防具を強化・新しいスキル技を習得したりと、クレイトスをパワーアップさせていく要素も従来作以上に充実しており、ゲームが進むにつれ様々な新アクションが解禁されていくため、戦闘中にとれる行動の幅が広がっていくのも楽しみの1つとなるだろう。
一方でボス戦の歯ごたえはかなりのもの。今回はノーマルの難易度でプレイしていたのだが、敵の攻撃に対してどの方向に回避を行うか、周囲に出現する雑魚敵を倒すか無視するか、スパルタン・レイジ(一定時間の間、クレイトスの能力が大幅に強化され、攻撃を命中させることで体力も回復する)をいつ使うかなど、しっかりと考えながら戦わないと苦戦を余儀なくされる、ほどよいバランスとなっている。
中でも印象に残ったのが、今回のプレイ内でも戦うことができた、クレイトスの過去を知る謎の男との戦闘。「GOD OF WAR」シリーズでは珍しいほぼ完全な人間型のボスとの戦いは、連続して繰り出される攻撃を回避だけで凌ぎきるのは困難で、ガードがいかに大切な行動かを教えてくれた。ただのチンピラのような外見をしていながら、歴戦の戦士であるクレイトスをギリギリまで追い込んでくる、シナリオ上の存在感もかなり強烈たった。
加えて個人的に嬉しかったのは、「GOD OF WAR」シリーズで気に入っている、ヒットストップの心地良さが本作でも健在なこと。クレイトスの攻撃モーションはスピード感抜群なのだが、しっかりと攻撃が敵に命中した時の重さを感じられる作りとなっている。こうした細かい要素を積み重ねることで生まれる心地よさは、まさに職人技とも言うべき領域に達しており、数多くの傑作アクションゲームを生み出してきた「GOD OF WAR」シリーズだからこそ生み出せる楽しさとも言えるだろう。
そんな様々な面で「新生」を遂げた本作だが、筆者が全体のプレイを通してもっとも大きなインパクトを受たのはこれまでのシリーズと一味異なるクレイトスの描かれ方だ。
息子であるアトレウスが始めての狩りで獲物を仕留めた際、動かなくなる生き物を目の当たりにしてショックを受けた際、どう声をかけようとするか躊躇ってしまう姿などは、実に人間味に溢れており、これまでのクレイトスのイメージを一新させられる。
壁をのぼっていく場面では、アトレウスを背中におんぶして進むという必見のアクションになっており、ストーリー部分でも想像していた以上にしっかりとクレイトスが父親らしいことをやっているという印象を受ける。これまでのクレイトスを知っているプレイヤーにとっては、かなり新鮮に映るはずだ。
しかし思い返せば、そもそもクレイトスが神々に対して反旗を翻したきっかけは、かつて彼の心の拠り所であった妻子をアレスの企みによって手にかけてしまったため。邪魔する敵を容赦なく殲滅してきたイメージが強いクレイトスだが、元々、家族を深く愛する人物だったのだ。
そんな彼の心を射止めた女性とは、一体どんな人物なのか気になるところだが、物語開始時に故人となっているクレイトスの妻については、今回プレイした範囲では部分的な情報を除いてぼかされており、プレイヤーは必然的に様々な想像を巡らせることになる。これまでの「GOD OF WAR」のストーリーは、「いかに気持ちよくクレイトスを操作していけ好かない神々を倒していくか」という部分に焦点が置かれていた印象だったが、本作ではこうした謎がプレイヤーに提示されたり、続きが気になる展開が用意されているなど、ドラマ的な面白さも見所となっている。
プレイ時間はシリーズ最大のボリュームに
プレイ終了後には質疑応答の時間も設けられ、様々なメディアからの質問にアーロン氏が回答。
その中の一つとして挙げられていたのがルートガイドに関するもので、本作では探索の要素が増えたこともあり、マップがかなり広くなっているのだが、普段のプレイ画面では次の目的地の方向などは表示されない(マップメニューを開き、おおまかに目的地がどちらなのかを知ることはできる)。そのため、途中で道に迷って行くべき方向を見失ってしまうこともあった。
しかしこれはある程度開発側も想定しており、道に迷って彷徨っている際に思わぬアイテムを発見した喜びなどを体験してもらうため、あえてガイドを少なめにしているのだという。
なお今回プレイできたのは2時間半ほどだが、ここまでが全体の1~2割ほどの進行度。個人差はあるが1周あたりのクリア時間は25~30時間前後といったところで(サイドミッションなどを含む)、シリーズの中でも最高のゲームボリュームとなっているとのこと。
攻撃方法やストーリーラインなど、従来のシリーズからゲームデザインを大幅に変更されているのも本作の特徴だが、これにはアクションゲームとしての楽しさだけではなく、ストーリー部分を強化することで、新しいクレイトスの魅力を見せたいという開発陣の狙いが影響しているという。
同時にアーロン氏は「第一作目が発売されてからかなりの時間が経っていて、昔のままのゲームデザインでは今のユーザーを満足させることは難しい。『GOD OF WAR』シリーズも変わっていかなければならないタイミングが来ていると考えた」と、その理由を述べていた。
ドラマ・アクション・やり込み要素と、あらゆる面において新生を遂げた「ゴッド・オブ・ウォー」。ナンバリングの数字も外されていることからも分かるように、本作はシリーズ中でも新たな再スタートというのを強く感じさせる作りとなっていた。そのため、今までシリーズをプレイしたことがない人でもすんなりと入ることができる(ただ、主人公・クレイトスの変化というのも一つの見所になっている部分があるので、PS4向けにリマスターされている「GOD OF WAR III」だけでもプレイしておくと、その衝撃を存分に味わうことができるようになる)。かたやシリーズファンなら、絶対にプレイするべきなのは言うまでもないだろう。
アクションからストーリー、システムとあらゆる面が進化を遂げ新生を果たした「ゴッド・オブ・ウォー」。クレイトスら親子の旅路の行方を、是非とも自分の目で確かめて欲しい。