レベルファイブが4月12日にリリースしたNintendo Switch用ソフト「スナックワールド トレジャラーズ ゴールド」。昨年発売された3DS版をベースにした本作は、ゲーマー目線でも楽しめるのか、その魅力を紹介する。
「スナックワールド トレジャラーズ ゴールド」は、昨年8月に発売されたニンテンドー3DS用ソフト「スナックワールド トレジャラーズ」をベースにしつつ、グラフィック、アクションといったあらゆる面を“カンゼンカンペキ”にパワーアップさせた作品だ。
元々「妖怪ウォッチ」などで有名なレベルファイブが発売している点、またTVアニメといったメディアミックスにも積極的なところから、なにかとキッズ向けというイメージを持たれている本作。いや、もちろん老若男女、誰でも楽しめる作品に仕上がっていることは間違いないのだが。
今回の記事では、本作があくまでもひとつのRPGとして、どれだけのクオリティなのか、という観点でプレイレポートを展開していきたい。熱心なゲームファンにこそ、ぜひ読み進めてもらいたい。
ダンジョンの探索→装備強化のルーチンがクセになる
「スナックワールド トレジャラーズ ゴールド」の大まかな流れとしては、物語の舞台となる王国・フレンチトースターの王様からさまざまな依頼を受け、それを叶えるために多彩なダンジョンへ潜る、というもの。はじめは裸一貫の主人公だが、ダンジョンで素材を集め、それを元に装備品を徐々に充実させていく。ダンジョンでモンスターを倒してアイテムを入手、キャラクターを強化した上で新しいダンジョンに挑戦する流れは、ハック&スラッシュ、いわゆるハクスラと言っていい内容だ。
その一方で、本作は章仕立てになっており、各章ごとにボスが存在するし、コミカルなストーリーも楽しめる。その意味では、国産RPGのエッセンスも充分に感じ取ることができる。
バトルシステムはシンプルなアクションで、全部で6種類装備できる武器(ジャラ)をリアルタイムで切り替えながら戦っていく。ジャラはオーソドックスなソードから、素早い攻撃が可能なナイフ、動きは遅いが一撃が重いハンマーなどさまざま。その種類も膨大で、どれを持っていくか迷う人も多いだろう。ジャラの入手方法も多岐にわたるが、もっとも機会が多いのはクエストでの活躍に応じて手に入る報酬だろう。クエストには必ず「目玉報酬」が存在し、運が良ければ新しい装備品が手に入る。
クエストには大きく分けて2種類が存在する。ストーリーの進行に関係するストーリークエストと、熟練冒険者に向けたアドベンチャークエストだ。このうちアドベンチャークエストは通信プレイで他の人との協力プレイも可能。難易度は全体的に高めで、ストーリー中のボスと再び戦うことも。その分アイテムの収集やレベル上げに最適なクエストも揃っているので、ぜひ挑戦したい。ちなみに、協力プレイも可能と書いたが、ソロでの挑戦ももちろんできるし、筆者がプレイした限りではクリアもできた。少なくとも“ソロプレイお断り”なバランスではないのは嬉しい限り。
ダンジョンは自動生成になっており、入るたびに構造、そして仕掛けまで変わってくる。仕掛け自体は「扉を開けるための鍵を探す」といった簡単なものだが、ダンジョンは広大なため苦戦することもしばしば。また一定時間が経過すると通常のモンスターとは比較にならない強さの「死神さん」がプレイヤーを襲ってくる。死神さんとまともに戦っても勝ち目がないので、早く次のエリアへ行けるよう行動するのが攻略のコツ。
また同じモンスターを何度も倒すと、仲間にするチャンスが訪れることも。ピントが合った瞬間に撮影すると仲間になり、以降「おともスナック」、「ポケットスナック」としてバトルに連れて行けるようになる。これがかなり強力で、特にボス戦では度々助けてもらった。
ダンジョン探索と強化の流れは非常にシンプルで、難解なシステムは一切ない。それでいて装備品による強さの変化が顕著なので、強くなった感覚を肌で味わえる。RPGが持つ原初的な楽しさをしっかり詰め込んでいる印象だ。
レベルにクラフト、そして人間性…強化方法もさまざま
手強いダンジョンの攻略に向けて、プレイヤーが操作するキャラクターの操作も欠かせない。レベルに関しては言うまでもなく、モンスターを倒せば徐々に経験値がたまっていくおなじみのシステム。なのだが、クエスト前に使うと一時的に経験値がアップする「ドラゴン焼き」や、使うだけで経験値がもらえる「グングンスター」などのアイテムがあることにも注目したい。膨大な素材アイテムが手に入るゲームだけに、これらはついつい見逃しがち。定期的にアイテムリストをチェックするといいだろう。
そして素材アイテムを元に装備品を作る「そうびクラフト」では、頭と体の2種類を作ることが可能。また装備品のレベルを上げる「そうび強化」では、元になる装備品の能力を底上げできるだけでなく、回復アイテムを強化することだってできる。わずかな回復量が勝負を分ける可能性だってありえるので、決して軽視してはいけない。
ちなみに本作には毎日のトレンドファッションがあり、日付が変わるごとにおすすめのファッションが変わる。流れてくるニュースを元にコーディネートすると、レアドロップ率がさらに上がる仕組みだ。
そしてもうひとつ、決して派手ではないが重要な強化ポイントとして、人間性を使ったステータスの上昇もある。人間性とは、レベルが上ったときにもらえるポイントのことで、運、美、忍耐、知識、センス、女子力、愛嬌の7項目に振り分けることで、さまざまな能力が上がっていく。能力だけでなく、例えばセンスを上げると獲得経験値がアップしたり、運を上げたらレアドロップ率がアップしたりと、効果は実に多彩。最終的にはすべてを上げるのが理想だが、特に序盤は、ポイントをどう振り分けるか悩むことになるだろう。
クエストは豊富でダンジョンは自動生成、キャラクターの強化もありとあらゆる手段が用意されており、人によってまったく違った表情を見せるゲーム、というのが実際にプレイしてみた感想だ。とりわけ、丁寧にキャラクターを育て上げて強力なボスに立ち向かう一連の流れは、特にRPGファンには刺さることだろう。
ゲームにはTVアニメ「スナックワールド」の第1話~第4話を収録するという、サービス精神旺盛なところも。アニメをまったく見たことがない人でも、作品を知るきっかけになる優秀な一本だ。