アソビモが展開するICOプロジェクトの概要やこれからの未来について、同社代表取締役兼ASOBI COIN CEOの近藤克紀氏、ASOBI COIN CFOの生原優介氏にインタビューを実施した。

2018年3月15日にアソビモは、ブロックチェーン技術を活用した大型MMORPGを開発する新たなプロジェクトを発表。この発表を皮切りに“ブロックチェーン”をキーワードにした様々な取り組みが徐々に公開されてきた。だが、これによってゲーム体験がどう変わっていくのか、そもそもどういった技術なのか疑問に思っている人も多いのではないだろうか。

本稿では、そんなプロジェクトの概要や、新しい技術の導入によって起こる変化などを、アソビモ 代表取締役兼ASOBI COIN CEOの近藤克紀氏、ASOBI COIN 最高財務責任者の生原優介氏に聞いた。

左から近藤克紀氏、生原優介氏

――本日はよろしくお願いします。それではまず、今回のプロジェクトの概要をお聞かせ下さい。

近藤氏:今回の我々のプロジェクトですが、ブロックチェーンを使ったデジタルコンテンツの保護・流通プラットフォームを作ろうというのが目的です。ブロックチェーンを使うことで、全くおなじに見えるデジタルコンテンツを一つ一つユニークなものにする、というのがポイントになります。

――同じ様に見えるデジタルコンテンツをユニークなものにするとは具体的にどういったことでしょうか?

近藤氏:例えば私が買った電子書籍と、生原が持っている全く同一の電子書籍であっても別物として管理できる、ということですね。複製などもできません。デジタルコンテンツをそれぞれユニークなものとして管理することで、皆さんのスマートフォンなどにある利用済みのコンテンツを、リアルの物と同じように売買できるようなマーケットを作りたいということですね。

――デジタルコンテンツには、どのような物が含まれるのでしょうか?

近藤氏:ゲームはもちろん、電子書籍や音楽、動画やeチケットも含まれます。これらを安全かつ著作権に配慮した形で、購入・売却できるマーケットになります。

――ゲームに限った話ではないんですね。

近藤氏:そうですね。ただ最初は、ゲームから始める予定です。ゲーム内のアイテムを一個一個ユニークであることを保証して、それが不要になった時に売却を可能にしたり、ダウンロードで購入したゲームを売買できるようにといった感じです。その後、そのテクノロジーを応用して、ゲーム以外のデジタルコンテンツの中古流通プラットフォームを作っていきます。

――ブロックチェーンは仮想通貨の技術、というイメージがありました。

近藤氏:そうですね、そのイメージを持たれている方も多いともいます。ですが、テクノロジーの一つの形として、仮想通貨として事例化されているだけであって、それ以外のことにも応用できます。

生原氏:基本的にブロックチェーン自体は、誰が何を持っているかを示す台帳なんです。その技術の仮想通貨という部分を、ゲームアイテムなどに置き換えてもらうと分かりやすいかもしれません。

――「ASOBI COIN」を使って「ASOBI MARKET」でデジタルコンテンツの売り買いが可能になるとのことですが、こちらの概要についても教えて下さい。

近藤氏:「ASOBI MARKET」は、現在は5つの専門MARKETから構成されます。ゲーム、電子書籍、音楽、動画、チケットです。ゲームの取引所は「SWITEXJAPAN(スワィテックスジャパン)」といいます。ここでは遊び終わったゲームのアイテムや、ゲームソフトといったデジタルコンテンツを仮想通貨を使って売買することが可能です。他にも電子書籍や音楽、映画、チケットの専門の取引所があります。

――そこでは一括して「ASOBI COIN」が使用できるのですね?

近藤氏:そうですね。それらの総称が「ASOBI MARKET」になります。TSUTAYAに行けば、映画コーナーや音楽コーナー、ゲームコーナー、書籍コーナーなど色々ありますよね? そういったものをイメージしてください。ちなみに購入できるデジタルコンテンツは、基本的には2次流通したものになるので1次流通よりも安く購入することができます。

――デジタルコンテンツは汚れがついていたりするわけでは無いので、かなりお得に感じます。

近藤氏:中古といっても新品と変わらないのがデジタルコンテンツのメリットですね。しかも、中古で買ったコンテンツでも売却することも可能です。

――そうすると1次流通の市場が滞ってしまい、クリエイターに還元されないのではないでしょうか?

近藤氏:リアルの2次流通はそこが非常に大きな問題としてあります。ですが我々の仕組みでは、デジタルコンテンツが2次流通で売買されるたびに、権利者に一定の権利収入が入る仕組みです。つまり、2次流通でも著作権者やクリエイターに利益還元されます。今までのリアルな2次流通は権利者にとってメリットが無かったわけですが、このような仕組みを導入することで、ユーザーと権利者、双方にメリットがあるわけですね。

――売買されるたびとなると、権利者にもかなりのメリットがありますね。

近藤氏:そうですね。デジタルコンテンツは劣化することがありませんから、売買される度に権利収入も発生します。半永久的に利益を生み出す可能性もあります。

――マーケットを展開するアソビモ側の取り分はどのくらい発生するのでしょうか?

近藤氏:ごくごく僅かですね。個人的には無くてもいいんじゃないかと思っているくらいで……(笑)。管理コストなどの若干の費用だけ頂ければいいかなと思っています。それよりもこのビジネスが流行ることで、世の中をもっと便利にしたいですね。

――なるほど。ストアを使って収益を得ようという考えでは無いのですね。

近藤氏:私も含めてユーザーとして利用しているデジタルコンテンツって膨大になってきているじゃないですか。いつもスマホの容量は溢れそうです。これを何とかしたい部分が大きいですね(笑)。

――構想のきっかけもそこからですか?

近藤氏:一番最初は、ゲームのチート問題からですね。そこをどうにか出来ないかと考えているときにブロックチェーンにたどり着き、研究が始まったのがきっかけでした。

アソビモが掲げるロードマップ
アソビモが掲げるロードマップ

――このブロックチェーン技術がMMORPGに活用されるということで話題になりましたが、それが2021年にサービスする予定となっているタイトル、という認識で正しいでしょうか?

近藤氏:そうですね。いまいろいろと準備をしています。出来るだけ早く皆さんに楽しんでいただけるようにがんばります。7月ぐらいにブロックチェーンを活用した第一弾のゲームをお披露目できるかもしれません。

――MMORPGとブロックチェーンが融合することで何が変わるのでしょうか?

近藤氏:従来のMMORPGは、中央にサーバーがありユーザー側にはクライアント端末がありました。サーバーとクライアントで通信を行いながらゲームを進めるわけですが、重要なデータは全てサーバー側に保管されています。そうしないと改ざんされる恐れがあるからですね。そのため中央サーバーのセキュリティコストや維持コストが発生します。その費用はゲームの売上などで賄われるわけですが、売上が落ちてくるとコストを維持できずサービスがクローズします。そこで、私たちはブロックチェーンを活用することで、中央のサーバーを無くし、クライアント端末しかいないMMORPG作ろうとと考えています。

――今までは改ざんなどのリスクがあるので、各クライアントにデータを持たせることができなかったわけですが、ブロックチェーンでセキュリティを高めることでそれが可能になるというわけですね。そうなった場合、何が変わるのでしょうか?

近藤氏:まず、中央サーバーでデータを管理する必要が無くなるので、ゲームを継続させていくための維持コストが不要になります。極端な例ですが、ユーザーが5人とかになったとしても、ゲームのサービスをプレイヤーが居る限り継続できるというわけですね。クライアント側のセキュリティは、ブロックチェーンで担保します。つまり改ざんができません。ですから全て端末側で管理しても、完全にセキュアなゲーム環境を用意することができるわけです。

――その場合、一人のユーザーにかかる負担なども気になるところですが(笑)。

近藤氏:負荷の問題はやっぱりありますね。ユーザー毎にそれぞれのマシンスペックの違いもありますので。その代わりに、負担が大きい人にはゲーム内でバフをかけたりといった、調整も必要かなと感じています。

――仮想通貨におけるマイニングと同じ様な考え方ですね。

近藤氏:そうですね。その辺は、今後技術が進歩していってマシンスペックが向上していくにつれて解決される問題なのかなと思います。

――かなりスケールの大きい話で夢がありますね。ちなみに今までそういったブロックチェーンを活用したゲームの事例などはあるのでしょうか?

近藤氏:もっと初歩的なものですが、思想が近いゲームははあります。

――あぁ! 海外のゲームなどでは聞いたことがあります。

近藤氏:dAppsゲームっていうんですけど、イーサリアムなどのに使われているERC721というブロックチェーンテクノロジーを活用してサービスを行っているものがあります。ゲーム内容としては一昔前のフラッシュゲームのようなものなのですが、これがもっと進化するとMMORPGやリアルタイム性が必要なゲームにも応用できるのではないかと考えています。

――dAppsゲームは自分も興味があって調べたことがあるんですけど、現在サービスされているものはゲーム性に乏しく、まだまだ仮想通貨のおまけというイメージがあります。

近藤氏:そうですね、現在のdAppsゲームは、仮想通貨業界やギークの人たちが作っているものが多いからかもしれません。なので、専門のゲーム屋として面白いものを作って行きたいと思っています。

――今サービスされているdAppsゲームの多くは、最初にゲームを始める際に仮想通貨を購入しなければならないですよね? 今後「アヴァベルオンライン」を遊ぶには、まず「ASOBI COIN」を購入しなければならない、という風になってしまうのですか?

近藤氏:そうはならないです。ゲームを遊ぶ際には、これまで通り、各ゲームストアで課金石やアイテムを購入することができます。今回はそれに追加する形で、ASOBI COINで、課金石やアイテムを購入することができるようになります。。さらに、元々ゲームを遊んでいる人にとっては、「SwitexJapan」などでアイテムを売却して「ASOBI COIN」を手に入れることができるようになります。

――ちなみに先程「ASOBI COIN」を使用して、ゲーム内アイテムを購入できるという話がありましたが、お金でアイテムの購入が可能になるとゲームバランスが心配です。

近藤氏:ゲームバランスの問題は非常に重要だと考えています。マーケットで売れるアイテムと売れないアイテムは、運営の方で決めることができますので、そこでゲームバランスに影響しないようなアイテムを取引可能にするといいのかなと考えています。例えば見た目だけのアバターなどは適していると思います。。

――確かに使わなくなったアバターが倉庫を圧迫している、という話はよくありますもんね。それが可能になると非常に便利そうです。

近藤氏:そうですね。またたブロックチェーン周りの技術も少しづつ進化していて、例えば「A」というゲームで得たアバターを「B」というゲームでも使えるという、「クロスゲーム」という思想も生まれてきています。

――それは初めて聞きました。凄く可能性を感じますね!

近藤氏:少し未来の展開ではありますが、今遊んでいるFPSで使っているライフルを、違うFPSでも使えるという未来がいずれくるかもしれません。海外ではゲームタイトル同士でそういったアイテムの持ち込みやろうという話が出てきていますね。

――ゲーム間コラボの進化系みたいなイメージですね。

生原氏:そうですね。dAppsゲームは、基本的にブロックチェーンの中のイーサリアムを利用していて、同じ規格で作られているんですよね。なので他のゲームに流用しやすいという側面もあります。

――「ソードアート・オンライン」という小説の中にも似たようなシステムがありましたよね。MMOのデータを別のMMOにコンバートするといった……。

生原氏:ありましたね。現実がフィクションに追いついてきた事例ですね。

――ちなみにアソビモはモバイル向けタイトルが多いイメージがありますが、2021年にサービス予定のMMORPGもモバイル端末向けとして作成されているのでしょうか?

近藤氏:モバイルとPCの両対応を目標にしています。

――色々とお話をお聞きして今後来るであろう未来が楽しみになりました。最後に、この一連のプロジェクトに興味を持っている方に向けてメッセージをお願いします。

生原氏:仮想通貨という単語だけ聞くと、怪しいイメージを持つ人もいるようですが、私たちは新しい技術を使って次世代の便利なサービスをつくりたいという意図があるので、ぜひ興味を持って欲しいです。テレグラムなどのコミュニティもあるので、こちらでも疑問点や気になる事など色々な意見を頂ければと思います。

近藤氏:我々としては、もっとこういう風にすれば便利な世の中になるのに!という想いで一生懸命やっています、ぜひ応援して頂ければと思います。このプロジェクトを通じて、世の中をもっと良くしていきたいと思います。

――ありがとうございました。

またアソビモは、2018年7月4日・5日にアジア最大級のブロックチェーンカンファレンスをベルサール汐留(東京都中央区)にて開催することを既に発表している。本稿を読んで少しでもこの新しい技術に興味をもった人は、こちらのイベントにも注目してみてはどうだろうか?

ニュースページ
http://asobimo.com/corporate/?p=17579

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