「ファイナルファンタジーXIV」のオフィシャルバンド「THE PRIMALS」。初のワンマン Zepp ツアー「THE PRIMALS Live Tour 2018 - Trial By Shadow -」が全国4都市で開催される。本稿では、5月25日に開催された東京公演の模様をレポートする。
※本記事にはセットリストなどのネタバレが含まれます。
「THE PRIMALS」は、「ファイナルファンタジーXIV(以下、「FF14」)」サウンドディレクターの祖堅正慶氏を中心に結成されたオフィシャルバンド。
祖堅正慶氏(Gt.&Vo.)、GUNN氏(Gt.)、イワイエイキチ氏(Ba.)、たちばな哲也氏(Dr.)、マイケル・クリストファー・コージ・フォックス氏(Vo.)の5人で2014年に結成された(以下、敬称略)。
5月16日には、「THE PRIMALS」単独では初となるアルバム「THE PRIMALS」をリリース。オリコンのアルバムランキング&デジタルアルバムランキングで週間7位を獲得するなど、注目を集めている。
そんな彼らが、1stアルバム「THE PRIMALS」を引っ提げ全国4都市+ソウルを巡る、初のワンマンライブツアー「THE PRIMALS Live Tour 2018 - Trial By Shadow -」を5月より開催。本ツアーにはゲストヴォーカルとして、バンド「チリヌルヲワカ」のユウ(元「GO!GO!7188」)も参加する。
初回の会場であるZepp ダイバーシティ東京には、開演前から多くの光の戦士たちが詰めかけた。その様子はさながらパッチ当日のクエスト開始エリアのよう。入場はチケットナンバー順になっており、“ワールド1st”には他の光の戦士たちから拍手が贈られるという場面も。
開演前の会場には、聞き慣れた「FF14」のBGMが流れる。スクリーンに映しだされているのは、これまた見慣れたCFマッチング画面。コンテンツ名には「Trial By Shadow」の文字が踊る。
また、2階席には「FF14」プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏の姿も。観客からの「よしだあああ!」コールに対し、「今日ライブやるの俺じゃねーから!」と場を和ませていた。
CFがシャキると、BGMが「雷鳴」へと変化。おどろおどろしい雰囲気の中、アシエン風のフードに身を包んだ祖堅正慶、GUNN、イワイエイキチ、たちばな哲也の4人が現れる。ゲーム内でお馴染みのカウントダウンの後、「原始の審判 ~蛮神イフリー討滅戦~」がスタート。祖堅が「揃いも揃ってお前ら、4.3をすっぽかしてよく来たな!これからお前たちをぶったおしてやる、覚悟しろ!」と煽ると会場から歓声が挙がる。
続けざまにザクザクと切り刻むようなギターリフに乗せて「混沌の渦動く ~蛮神リヴァイアサン討滅戦~」が演奏される。演出の青いレーザービームと観客が持つ青いサイリウムによって、会場はまるで荒れ狂う海のようになっていた。
2曲立て続けに披露したところでフードを脱ぎ捨てるメンバーたち。その後、ライブツアー名を読み上げるも噛んでしまう。先ほどの勢いとのギャップに会場からは笑いが起こった。「早速ですけど、『Heavensward』の曲をやってみようと思います」と、「英傑 ~ナイツ・オブ・ラウンド討滅戦~」、「逆襲の咆哮」を立て続けに演奏。会場を雪が吹きすさぶイシュガルドへといざなう。
演奏後、「ファンフェスなどの演奏は1時間くらいの尺でやっているんで、僕たちは1時間用にチューニングされたおじさんたちなんですよ。今日は2時間を予定しているんで……(祖堅)」と休憩を挟みつつジョークを飛ばす。
またここで、ゲストヴォーカルのユウも登場。ここでも光の戦士たちに向け「ぶったおしてやる!」と宣戦布告がされた後、自己紹介をかねて「雷光雷鳴 ~蛮神ラムウ討滅戦~」が披露された。
ここでユウは一旦退場。「ここからは再びおじさんたちですよ(祖堅)」と言うと会場からは「おじさん!」コールが沸き起こる。そんなおじさんたちでヴォーカルを担当する「堕天せし者 ~蛮神ガルーダ討滅戦~」が次曲として演奏。ここでは「Now fall…」なども全て男性ヴォーカルとなっており、今までとひと味違う骨太なガルーダに観客は酔いしれた。
続いては、「次は、皆さんがほどんど行かなくなったであろうコンテンツの曲をやります」と、「イマジネーション ~蒼天聖戦 魔科学研究所~」、「曲がらぬ刃 ~蛮神ラーヴァナ討滅戦~」を演奏。蛮神ラーヴァナ討滅戦では、マイケルが登場し重厚な低音を響かせフロアを盛り上げる。
ここで全メンバーが揃ったこともあり、それぞれのパフォーマンスを交えながらメンバー紹介が行われる。祖堅のパフォーマンスでは、「FF」シリーズのレベルアップ音をギターアレンジして演奏するなど茶目っ気もたっぷりだ。
いよいよ正式にフルメンバーとなって演奏される最初の曲は「メタル ~機工城アレキサンダー:起動編~」。サビのコールアンドレスポンスでは演者とオーディエンスの息もぴったりだった。ステージ上に炊かれたスモークは、まるでマニュピレーターのスチームのようで、MTを担当している光の戦士たちは思わずスタンの準備をしていたかもしれない。
その後、会場ごとのお楽しみ企画インターミッションショーが。ここでは再びユウが登場し、アルバム未収録曲の「女神 ~女神ソフィア討滅戦~」、「美の謀略 ~蛮神ラクシュミ討滅戦~」が披露された。女神ソフィア討滅戦はバラード調にアレンジされ、ピアノを祖堅が担当する。蛮神ラクシュミ討滅戦では、打ち合わせなど無かったはずなのに即興で「魅惑の抱擁状態」となった光の戦士たち。「FF14」プレイヤーでなければ分からない異様な光景に、ユウは「海藻みたい(笑)」とコメントし、会場の笑いを誘っていた。
その後、「あとの曲はうるさいのしかないよ(祖堅)」というコメント通り、「アンブレーカブル ~博物戦艦 フラクタル・コンティニアム~」、「魔神 ~魔神セフィロト討滅戦~」、「過重圧殺! ~蛮神タイタン討滅戦~」を立て続けに披露。祖堅とマイケルの息の合ったツインヴォーカルによる蛮神タイタン討滅戦は、「THE PRIMALS」のライブでも聞く機会の多いナンバーだ。それ故にオーディエンスの盛り上がりも凄まじいものがあった。ラストはユウがメインヴォーカルとして登場し「忘却の彼方 ~蛮神シヴァ討滅戦~」を披露。パワフルなヴォーカルを会場に響かせ本編が終了した。
アンコールは、ゆりかごのようなミディアムナンバー「指数崩壊 ~機工城アレキサンダー:天動編~」でスタート。心地良いメロディーから始まるも、サビは一転してゴリゴリのバンド・サウンドへと変化する本楽曲は、ライブでこそ真価を発揮する。
続いてはユウがヴォーカルを務める「忘却の彼方 Never Let it GO」。祖堅のピアノとGUNNのアコースティックギターが脇を固める。歌詞を一字一字噛みしめるように歌うユウの歌声とスクリーンに映し出されるイゼルの最期に、イシュガルドの戦いを思い出したプレイヤーも多いはずだ。
一旦暗転し、再度ライトアップされたステージに現れたメンバーは、軽やかなライブTシャツ姿で登場。トランペットを手にした祖堅は、「3日前に吹くことが決まったが、30年前に1回吹いたことがあるだけ」と内情を明かし、「メタル:ブルートジャスティスモード ~機工城アレキサンダー:律動編~」をスタート。
曲の合間合間に鳴り響くブラスが小気味いい本楽曲。祖堅はトランペットを吹きながら会場を走り回り、ヴォーカルも一部担当と八面六臂の大活躍だ。お馴染みのコールアンドレスポンスでは、オーディエンスにマイクが向けられ会場全体で曲が作られていった。
大盛り上がりの中、続いて始まったのは「ライズ ~機工城アレキサンダー:天動編~」。バキバキのベースソロが非常にクールな楽曲だ。「Rise with me,Rise with me,Rise with me(RISE UP!)」のコールアンドレスポンスもばっちり決まっている。もちろん時間停止ギミックもステージ上で完全再現。最後は全員の「Sonic boom!」で楽曲を締めくくった。
一瞬の静寂の後、ハイハットが弾けた。「THE PRIMALS」のアンセム「ローカス ~機工城アレキサンダー:起動編~」が始まったのだ。スクリーンにはライブの終焉を予期させる「THE PRIMALS」のロゴが映し出されるが、そんなことはお構いなしだとばかりにサウンドで殴り続けるバンドメンバー。会場もそれに応えるように本日一番のボルテージで迎え撃った。
演奏終了後のZepp ダイバーシティ東京には惜しみない拍手が鳴り響き、本ライブは幕を閉じた。
セットリスト
- 原始の審判 ~蛮神イフリー討滅戦~
- 混沌の渦動く ~蛮神リヴァイアサン討滅戦~
- 英傑 ~ナイツ・オブ・ラウンド討滅戦~
- 逆襲の咆哮
- 雷光雷鳴 ~蛮神ラムウ討滅戦~
- 堕天せし者 ~蛮神ガルーダ討滅戦~
- イマジネーション ~蒼天聖戦 魔科学研究所~
- 曲がらぬ刃 ~蛮神ラーヴァナ討滅戦~
- メタル ~機工城アレキサンダー:起動編~
- 女神 ~女神ソフィア討滅戦~
- 美の謀略 ~蛮神ラクシュミ討滅戦~
- アンブレーカブル ~博物戦艦 フラクタル・コンティニアム~
- 魔神 ~魔神セフィロト討滅戦~
- 過重圧殺! ~蛮神タイタン討滅戦~
- 忘却の彼方 ~蛮神シヴァ討滅戦~
- 指数崩壊 ~機工城アレキサンダー:天動編~
- 忘却の彼方 Never Let it GO
- メタル:ブルートジャスティスモード ~機工城アレキサンダー:律動編~
- ライズ ~機工城アレキサンダー:天動編~
- ローカス ~機工城アレキサンダー:起動編~