カプコンが2018年10月4日に発売を予定しているPS4/XboxOne/Switch/PC用ソフト「ロックマン11 運命の歯車!!」、および2018年7月26日に発売を予定しているPS4/PS4/Xbox One/Nintendo Switch/PC用ソフト「ロックマンX アニバーサリー コレクション」。ここでは、両タイトルの先行プレイインプレッションをお届けする。
「ロックマン」は、1987年12月に第1作が発売されたカプコンを代表するアクションゲームのシリーズ作品だ。シンプルな操作性と2Dスクロール式のゲーム画面は誰にでも分かりやすく、老若男女問わず幅広い世代のゲームファンを魅了し続けてきた。
「ロックマンX」シリーズをはじめとする派生作品の数が多くあるのも、大きな特徴の一つだろう。その時、その時代の流れを汲んだ独自の世界観とゲームシステムを作品毎に生み出しており、きっと誰もが一度はいずれかの「ロックマン」に触れたことがあるのではないだろうか。
そんな「ロックマン」が生まれてから、今年は30周年の節目となる。この記念すべき年に、派生シリーズを含まない、いわゆる“ファースト”シリーズの正統なナンバリングタイトルとして「ロックマン11 運命の歯車!!」が発売される。
さらに、こちらも第1作目から今年で25周年を迎える「ロックマンX」についても、シリーズ8作品を2つのパッケージにまとめた「ロックマンX アニバーサリーコレクション1」「ロックマンX アニバーサリーコレクション2」が発売される。
本稿では、この2つの「ロックマン」ゲーム最新作の先行プレイレポートをお届けしよう。
初心者と熟練者、どちらにも上手く“ハマる”2つのギアシステム!
「ロックマン11 運命の歯車!!」は、先述した通り、元祖となる「ロックマン」シリーズの最新ナンバリングタイトルだ。ロックマンとその相棒のラッシュはもちろん、Dr.ライト(ライト博士)やロールちゃんにライトット、そしてDr.ワイリーといったお馴染みのキャラクターたちが登場する。
最新ハード向けに一から作られた完全新作タイトルなだけあり、グラフィックの美麗さはもちろんのこと、キャラクターボイス付きのオープニングも用意されている。
このオープニングが1つのポイントで、旧来からのファンであれば、Dr.ライトとDr.ワイリーの関係など、人物の相関に関して説明は不要だろう。しかし、本作からロックマンシリーズに触れるという人は、彼らの関係性も分からないはずだ。オープニングでは、ファンには当たり前になっているこうした人物たちの関係性を端的に表しており、新規のファンもロックマンの世界観が理解しやすいように工夫して作られている。
そんな新旧どちらのファンにも意識を向けた本作のゲームシステムは、まさに王道のスタンダードなロックマンのスタイルに則っている。“ロックバスター(攻撃)、ジャンプ、スライディング”、この3つのアクションのみで完結されるロックマンの基本的なプレイフィールは旧来のファンには馴染み深いものであり、新規のファンにとってはシンプルでいてやればやるほど奥深さが実感できる非常に完成度の高いものだ。
ただ、すべてが過去と全く同じというわけではない。描画技術が代表するように、時流に合わせた細かな調整が行われているのも本作の特徴だ。
筆者が特にそれを感じたのは、ゲームテンポの部分だ。旧来のシリーズに比べて、全体的なゲームテンポがやや速くなっているように感じた。これは、映像がドット絵から3Dグラフィックに変わったことによる“感覚のズレ”もあるが、本作ならではの新システム“ダブルギアシステム”が追加されたことによるところが大きいだろう。
ダブルギアシステムは、周囲の時間を遅らせることができる“スピードギア”と、ロックバスターや特殊武器を強化する“パワーギア”の2つを状況に合わせて使用できる、ゲームスタート時から使用可能なロックマンの新たな基本能力だ。
この2つの新能力のうち、特にスピードギアの使い勝手が非常に良い。敵の動きを遅らせられるのでボスの行動も見切りやすく、ロックマンの代名詞でもある“落とし穴”や“トゲ”などのトラップも落ち着いて対処することができる。シリーズ初心者の頼もしい相棒になってくれることはもちろん、上級者にはスーパープレイの開拓やタイムアタックにも貢献してくれるはず。ゲームプレイの幅が広がる、利便性の高い能力だった。
もちろん、パワーギアも非常に強力な能力であることは間違いない。特に注目したいのが、通常のバスターの強化だけでなく、特殊武器に関してもパワーアップしてくれるところだ。
例えばブロックマンの特殊武器は、通常だとロックマンの前方に頭上から4つのブロックを横一列で落下させるというものだ。これがパワーギア発動中は、倍以上のブロックが雪崩のように降り注ぐ。どのように強化されるかは特殊武器毎に異なるので、そこは実際にプレイしてみてからのお楽しみになるが、いずれも強力なことに変わりはないだろう。
2つのギアシステムは強力な反面、使用時間が設けられており、制限時間を超過してしまうと一定時間ギアシステムを発動できなくなってしまう。制限時間を超過させしなければ、ギアのゲージは緩やかに回復していくので、特に使いすぎには注意しておこう。
また、ロックマンの体力が少なくなっている時にだけ、“ダブルギア”を発動できる。これは2つのギアを同時に動作させ、また絶大な威力を誇る“ファイナルチャージショット”も短いチャージ時間で使用可能になるかなり強力な効果のギアだが、途中で解除することができず、効果終了と同時にロックマンは強制的にオーバーヒートしてしまう。オーバーヒートすると、ロックバスターの連射数が低下するほか、チャージショットが使用不可になるなど、一部の性能が低下してしまうので、使用するタイミングには気を付けておこう。
新たに描かれるストーリーに、プレイヤーの使い方次第でさまざまなプレイが楽しめるダブルギアシステム。今回触れることができたのは2つのステージのみだったが、それだけでも「ロックマン11」はすべてのロックマンファンが楽しめる、新しいスタンダードを築き上げていることを確信できた。まだ公開されていないボスの情報など、これから続々と新情報が発表される本作に、ぜひ今から注目しておこう。
歴代ボスたちがエックスに牙を剥く!?「ロックマンX アニバーサリーコレクション」
「ロックマンX」は、1993年にスーパーファミコン用に発売された、ロックマンの派生シリーズだ。Xシリーズは「ロックマンX8」まで発売されている。
「ロックマンX アニバーサリーコレクション」は、これまでに発売された「ロックマンX」シリーズ8作品を2つのパッケージに分けて収録したタイトルだ。過去作を収録するだけでなく、歴代のボスたちがタッグを組んでプレイヤーに襲い掛かる、新たなバトルが体験できる新モード「Xチャレンジ」も収録されている。ここでは、この「Xチャレンジ」を紹介していこう。
Xチャレンジには、まず「イージー」「ノーマル」「ハード」3種類の難易度が存在する。難易度によってボスの強さ、クリア後の体力や残り時間の引継ぎの有無などに変化があるようだ。
Xチャレンジは、プレイヤーが操作するエックスが専用アーマーで登場。最初から強化済みのエックスが操作でき、ホバリングや空中ダッシュ、強力なチャージショットも使用可能となっている。
Xチャレンジにおける最大の特徴は、9種類の特殊武器から3種を選んで最初から装備できることだ。特殊武器は「ロックマンX」から「ロックマンX6」までの中から選抜され、ステージを攻略するのに欠かせない要素となっている。各ステージ2体のボスを相手取っていくことになるので、通常のゲームプレイのボスラッシュ時とは異なり、すべてのボスに対して有効な攻撃を与えられるわけではない。
自分が苦手なボスに対して有利な特殊武器を持っていくか、あるいは戦闘が長引きがちな厄介なボスに対して有利な特殊武器を選ぶか。特殊武器の選択は、自身の戦略と先のステージ編成も見据えた上で選んでいくことが重要になるだろう。
シリーズファンならば、ボスの組み合わせにも注目してみてほしい。実はロックマンXシリーズに登場するボスたちレプリロイドにはそれぞれしっかりとした設定があり、例えばロックマンXのボスの一人であるブーメル・クワンガーとロックマンX3のボスの一人であるグラビティー・ビートブードは実の兄弟で、ビートブードが敵としてエックスの前に立ちはだかる理由は兄のクワンガーを倒したエックスに復讐するためだったりする。
こうした設定は各ボスに用意されているので、ステージボスの組み合わせを見つつ、ボスの設定などを調べてみるとXチャレンジのまた違った面白さが楽しめるかもしれない。
なお、Xチャレンジではオンラインランキング機能が搭載されており、全国のプレイヤーとクリアタイムで競い合うことができる。クリアタイムだけでなく、ランキング上位のプレイヤーが選択した特殊武器もチェックできるので、タイムが伸び悩んだ時などは、上位ランカーの編成を覗いてみるのも良さそうだ。
現代機向けに高精細になったシリーズが遊べるだけでも往年のファンにはたまらないが、一人のファンでもある筆者が特に注目してもらいたい部分が、各タイトルもオープニングムービーまでしっかり収録されている点だ。「ロックマンX」シリーズはシリアスな世界観とストーリーも今なお愛され続ける人気の一つだと思うので、かつての映像をそのまま見られるのはありがたい。
コレクションと銘打たれるだけあって、本作には各タイトルに使用されているBGMやアニメーションを自由に鑑賞できるだけでなく、当時の設定資料なども閲覧することができる。各キャラクターの原画は、通常では見られない内部構造まで綿密に描かれているので、ファン必見の内容になっている。
映像と言えば、かつてPSPタイトル「イレギュラーハンターX」に収録されていた、「ロックマンX」シリーズの始まりを描くアニメーション作品「The day of Σ」も、本作に収録されている。
本アニメでは、シリーズの主人公であるエックスとゼロがイレギュラーハンターとなった経緯や、仇敵であるシグマがイレギュラーハンターとして活躍していた時代の姿が描かれている。シリーズのストーリーをより深く知る上で非常に重要な前日譚的作品となっているので、まだ見たことがない人はぜひこの機会にチェックしてみて欲しい。