6月10日に東京国際フォーラム ホールAにて開催された「薄桜鬼 桜の宴 2018」。ここでは昼公演についてレポートする。

出演者

三木眞一郎さん(土方歳三役)
森久保祥太郎さん(沖田総司役)
鳥海浩輔さん(斎藤一役)
吉野裕行さん(藤堂平助役)
遊佐浩二さん(原田左之助役)
津田健次郎さん(風間千景役)

吉岡亜衣加さん(アーティスト)

ステージは作品をイメージした桜や日本家屋風の門構えなど、和を思わせる装飾が施されたもの。イベントは朗読劇からスタート。怪我をしたのに大人しくしない沖田と藤堂に、どうしたものかと手を焼く斎藤。土方が早く怪我を治すよう厳しく言い含めていたところ、原田が酒を手に現れる。しかし土方に気付かないまま来客用の酒をくすねたと言いふらしてしまい、あえなく没収。また、怪我が治ったことにすれば外出許可が下りるかもしれないと考えた藤堂はあえて原田の拳を受け止めるが、かえって怪我が悪化してしまうというコミカルな一幕も。

伊東甲子太郎の暗殺や鳥羽伏見の戦いでの敗戦を経て、次々に羅刹と化していく新選組の隊士たち。羅刹を“まがい物の鬼”とどこか見下した様子の風間だったが、守るべき信念に命をかける彼らへ「一体何のために戦うのか?」と興味を抱いていく―というところで朗読劇の前半が終了。

ここで、シリーズの原点となるPS2ソフト「薄桜鬼」のオープニングテーマ「はらり」を吉岡さんが熱唱。そして改めてステージに三木さん、森久保さん、鳥海さん、吉野さん、遊佐さん、津田さんが登場し、約5年ぶりの単独イベントということもあってかどことなく緊張した様子で挨拶をしていく。

続いて特別企画「薄桜鬼10年の軌跡」と題し、シリーズにまつわる出来事を振り返っていく。ステージには、出演者ですら良く見ないと文字が読みにくいほどぎっしりと書きこまれた年表が登場。2008年に発売となった一作目から2017年にリメイク発売した「薄桜鬼 真改 風華伝」まで実に32種のゲームが発売・配信された。そして壇上にずらりとゲームパッケージが並ぶとファンからも感嘆の声が上がる。収録時の思い出について聞かれると、遊佐さんはPS2「薄桜鬼」のゲーム本編よりも、ドラマCDの収録が先だったため役作りが比較的楽だったとコメント。津田さんは様々なドラマCDなどの展開を経て、怖いイメージだった風間が少しずつコメディ化していくのが印象に残っているようだ。

津田さんがサプライズで参加した第1回目の「薄桜鬼 桜の宴」は2010年に行われ、その後2012年、2013年にも開催。ここで“鬼チーム”として天霧九寿役の山口りゅうさん、不知火匡役の吉田裕秋さんからのビデオレターが届く。2013年の「薄桜鬼 桜の宴 2013」に参加した2人は懐かしそうにイベントを思い出しながら、舞台裏でのエピソードを語る。さらに、津田さんが映像に混ざって3人で「薄桜“き”~!」と鬼のツノのジェスチャーを繰り出して会場をわかせた。

2013年には楽しみながら薄桜鬼の知識を試せる「薄桜鬼検定」が実施され、出演者も問題に挑戦。4つの選択肢から「薄桜鬼 随想録で千鶴が潜入した島原の揚屋の名前」をスケッチブックに回答していく。津田さんは「唐揚屋」、吉野さんは「津田さんと同じ」、森久保さんは「名古屋」、ステージから直接ファンに答えを聞こうとして止められた鳥海さんは「トルコ」、遊佐さんは「ジュリアナ」と誰も選択肢から選ばず会場は爆笑の渦に。ちなみに鳥海さんはスケッチブックの中ではなく、裏表紙に答えを書いてしまうというおちゃめな一面も。「薄桜鬼検定」はシリーズ10周年を記念して復刻展開が決定しているとのことなので、今後発表される情報に注目だ。

その後「薄桜鬼 真改 風ノ章・華ノ章」の振り返り部分では、「薄桜鬼 真改」より攻略対象として加わった永倉新八役の坪井智浩さん、山南敬助役の飛田展男さん、山崎烝役の鈴木貴征さんもビデオレターで登場。坪井さんは役のイメージをいち早く掴み当初予定されていたよりも早く収録を終わらせたことや、鈴木さんは思い悩みながらも山崎というキャラクターを作り上げていったことを明かしていく。飛田さんはストーリーの面白さがとくに印象的だったそうだ。

テレビアニメやOVA、劇場アニメ、ドラマCD、ラジオ、舞台など、今なおさまざまな展開を続けている「薄桜鬼」シリーズ。2018年で10周年を迎えたことを記念して行われている多彩な企画についても迫っていく。第1弾は1月~3月に行われた「嵐電×東映太秦映画村 京の都めぐり2018」、第2弾は3月に行われた「薄桜鬼×流山 歴史薫る流山本町江戸回廊めぐり」、第3弾として4月に東京・池袋で行われた「薄桜鬼シリーズ 十周年記念展 薄桜鬼 ~士魂語り~」は8月に京都での追加開催が決定している。

ここから「薄桜鬼」シリーズの総合プロデューサー・藤澤経清氏も加わり、声優陣と改めて作品についてクロストークを展開。三木さんは収録時に面白いゲームになるという手応えのようなものを感じ、森久保さんも他の現場で「薄桜鬼」の出演者と共演した際にも面白い作品だと話をしたそう。遊佐さんはドラマCD収録時の飛田さんとの共演が印象に残っており、吉野さんはアニメ化までのスピードがとても早かったこと、津田さんは発売後にオトメイトパーティに参加した際、お客さんからの反応で作品の盛り上がりを実感したことなどを語ってくれた。

鳥海さんから藤澤氏に「ストーリー的に書きやすいキャラクターは?」という質問を投げかけられると、土方は史実的に終わりがはっきりしているため書きやすく、逆に沖田・藤堂・原田のような史実の資料が少ない人物は難しいと回答。史実には登場しない風間は、藤澤氏の抱える幕末の歴史へのさまざまな想いを代弁してもらっているような部分もあるそうだ。このほかキャストの選定についてはスタッフで話し合いをしながら、重厚な物語のためしっかりとした演技のできる人という点を重視しながら決めていったという。

「薄桜鬼10年の軌跡」でのトークが終了し、朗読劇の後半がスタート。鳥羽伏見の戦いで敗れた後、甲州勝沼の戦いへと身を投じていく新選組。多くの隊士が犠牲となったことで永倉は近藤へ怒りを露わにし、原田も藤堂の前で迷った様子をみせる。藤堂も辻斬りに関わっているかもしれない山南を追いつつ、羅刹という化け物になっても生きる意味を考えていた。

幕府が江戸城の明け渡しに応じ、新選組は会津を目指す。羅刹となりながら病に苦しむ沖田を斎藤や藤堂は止めようとするが、沖田は近藤を守ると聞く耳を持たない。そんな中、流山で再起を図っていた近藤が捕縛されたという情報が風間によってもたらされる。会津では土方らが新政府軍と激しい戦いを繰り広げていたが、松平容保の命で仙台へ向かうという土方と斎藤が対立。斎藤、沖田、藤堂は新選組組長として名乗りをあげ、“守る”ための最期の戦いへと突き進んでいく。真っ赤な衣装に身を包んだ吉岡さんが劇場版『薄桜鬼 第一章 京都乱舞』主題歌の「紅ノ絲」を歌い上げ、物語を締めくくった。

その後は、出演者のサイン入りのはっぴがプレゼントされる抽選会や、近藤勇役・大川透さんからの手紙も読み上げられた最後の挨拶を経てイベントは終了。「薄桜鬼 桜の宴 2018」終演後もシリーズ10周年を記念した企画はまだまだ続いていくので、このアニバーサリーイヤーを存分に楽しもう。

薄桜鬼 総合サイト
http://www.hakuoki.jp/

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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