カプコンは、東京・なかのZERO 大ホールにて「ロックマン30周年記念ライブ」を実施した。ここでは、2018年7月7日に行われた追加公演の模様をレポートする。

目次
  1. 土屋和弘プロデューサーから、「ロックマン11 運命の歯車!!」に関する情報も
  2. 数々の名曲たちを生み出した、松前真奈美氏・青木佳乃氏も駆けつける
  3. 熱烈なロックマンファンである、MCU氏(KICK THE CAN CREW)による生歌も
  4. 新旧入り交じった「ロックマンX」の熱い楽曲たちから、大熱狂のアンコールへ

土屋和弘プロデューサーから、「ロックマン11 運命の歯車!!」に関する情報も

カプコンを代表する人気アクションゲーム、「ロックマン」シリーズ。そのゲーム中に流れる楽曲の数々は多くのプレイヤーの記憶に刻まれ、今もなお多くの人々に愛される人気曲を生み出してきたシリーズでもある。

その30周年を記念して行われた今回のライブは、誰もが「ロックマン」シリーズを代表する曲としてその名前を上げるであろう、「Dr.ワイリーStage1」(「ロックマン2 」より)と共にスタート。

おなじみのギターやベース、ドラムだけでなく、バイオリンやトランペット、ホルンといった様々な楽器が入り混じった、聞き慣れた8bitサウンドとは一味違う壮大なメロディが醸し出す重厚感に、会場のボルテージはいきなり最高潮に。

続いてステージには、本日のMCを務める楪 望さん、ロックマンファンのコミュニケーションサイト「ロックマンユニティ」管理人であるウッチー氏、最新作「ロックマン11 運命の歯車!!」のプロデューサーを務める土屋和弘氏が登壇。

演奏を目の当たりにした土屋氏は、「波のように音が当たってくる」と生の楽器ならではのサウンドの迫力に興奮気味の様子で、「『ロックマン』シリーズが非常に多くの方々に愛されており、その音楽だけでもこれだけ人を魅了することができるんだということを実感させていただいた」と、その心境を明かす。また実は土屋氏は、カプコンに入社して初めて関わった仕事が「ロックマン5 ブルースの罠!?」だっという縁もあり、「ロックマン」シリーズは特別な思い入れのあるタイトルなのだという。

左から、ウッチー氏、土屋氏、楪さん。ウッチー氏と楪さんは、ロックマンとロールをイメージした衣装に身を包んでいた。

また、気になる「ロックマン11」の開発状況については、現在佳境を迎えており、来たる2018年10月2日の発売に向けて、非常にいい手応えを感じながら開発を進めることができているという。

音楽面についても、従来のシリーズの音楽のどの部分がプレイヤーに愛されているのかを分析した上で、「プレイヤーが自然を口ずさめるようなフレーズ」を意識した、「ロックマン」シリーズらしい楽曲が作られていることも明かしていた。

その後には、「ブリザードマン ステージ」(「ロックマン6 」より)、「スプラッシュウーマン ステージ」(「ロックマン9」より)、「スネークマン ステージ」(「ロックマン3 」より)からなる懐かしの楽曲が目白押しの「ロックマンメドレー」に続いて、最新作「ロックマン11」の新曲「Fuse Man Stage」がお披露目に。

軽やかでリズミカルなアレンジの「ロックマンメドレー」から続く、ギターとベースが激しくかき鳴らされるメタルロックさが全開の「Fuse Man Stage」は、まさに「ロックマン」シリーズらしさに溢れた楽曲となっており、「これぞロックマンの音楽だ!」と、会場に集まった多くのシリーズファンを唸らせたであろう完成度となっていた。

なおこの「Fuse Man Stage」、今回のライブにあわせてセットリストを公開するため、土屋プロデューサーが改めて曲名を確認しようとしたところ、「“ヒューズマンステージ”に決まってるじゃないですか」と返されたのだとか。これは、ボスのステージ名がそのまま曲名となる、「ロックマン」シリーズのお約束に則ったもので、それを聞いた土屋プロデューサーも思わず納得したという。

数々の名曲たちを生み出した、松前真奈美氏・青木佳乃氏も駆けつける

続くMCパートのスペシャルゲストには、松前真奈美氏と青木佳乃氏ら、現在は共にフリーで活躍する、歴代のロックマン作品の音楽を手がけた開発メンバーが登壇した。

中でも松前氏は最初期の「ロックマン」に関わった、シリーズの生みの親の一人とも言える存在。しかし当時は、ハードの制約上4つの内蔵音源しか使うことができなかった上、ROMの中でもサウンドが使える容量はごく一部であり、容量の制限も非常に厳しかったのだという。そのため、短いフレーズを何度も繰り返し再生したり、転調を使うことで同じ楽曲データで異なる雰囲気を演出したり、様々な工夫を凝らしていたという、今もなお多くのファンから愛される名曲たちが生み出されることになった、意外な経緯を明かす。

また初期の「ロックマン」では、エンドロールに本名ではなくあだ名が記載されていたが(松前氏の場合は「ちゃんちゃこりん」)これには、当時のゲーム開発現場が圧倒的な人手不足で、外部からの引き抜きが常習化していたため、開発スタッフの本名を記載するのが好ましくないという風潮があったからだという、黎明期ならではの業界の歴史を感じさせる裏話も語られていた。

一方の青木氏は、「ロックマンエグゼ」及び「流星のロックマン」シリーズなど、比較的新しいシリーズの楽曲を手がける一方で、レースゲーム「ロックマン バトル&チェイス」のロール編の隠しエンディング曲である「風を伝えて」のボーカルを担当したことでも知られている。

ファンからの評価が非常に高い名曲だが、会場ではウッチー氏から「ここで聞きたい!」という強い希望が寄せられたこともあり、当時のままの伸びやかな歌声で、ワンフレーズの生歌をサプライズで披露し、ファン大喜びさせていた。

前半の締めくくりとなったのは、初代「ロックマン」の中でもとくに人気の高い「カットマン ステージ」と、名作として名高い「ロックマンDASH 鋼の冒険心」を代表する曲である「フラッター号 VS ゲゼルシャフト号」。ゲーム中のイメージそのままの、ハイテンポでノリのいい、小気味いいギターの音色が中心の「カットマン ステージ」から一転、管楽器が中心となったシックなジャズ調のアレンジが加わった「フラッター号 VS ゲゼルシャフト号」へとつながるメリハリの効いた構成は、ライブならではの醍醐味を味あわせてくれる。

熱烈なロックマンファンである、MCU氏(KICK THE CAN CREW)による生歌も

後半がスタートすると、ヒップホップグループ・KICK THE CAN CREWのMCU氏が登壇。実はMCU氏は、筋金入りの「ロックマン」シリーズファンで、ライブ当日の楽屋でもファミコンカセットを持参して松前氏にサインを求めにいっていたという。ロックマンが好きすぎるあまり、自らアレンジした楽曲をカプコンに送り、カプコン社内が大騒ぎになったという伝説を作っていたほどで、今回のライブではその曲をファンの前で初披露。「Dr.ワイリーStage1」をベースに、ヒップホップ調のアレンジを加えた、ゲーム・ミュージックとラップをかけ合わせた、ロックマン愛に溢れる楽曲を、堂々としたパフォーマンスで歌い上げる。

その後には、「ロックマンエグゼメドレー」(「RUNNING THROUGH THE CYBER WORLD」(1より)→「FINAL TRANSMISSION」(3より))→「THEME OF ROCKMAN EXE 6」(6より)から、「流星のロックマンメドレー」(「Shooting Star」(1より)→Wave Battle(2より)→「Last Battle」(3より))、「ロックマンゼロ・ZXメドレー」(「Departure」(ZERO2より)→「Esperanto」(ZERO4より)→「Wonder Panorama」(ZXより))という、携帯ゲーム機を中心に展開されたシリーズを彩った怒涛のメドレーラッシュが続く。

時にギター、時にバイオリン、時にトランペットと、主役が目まぐるしく入れ替わり、それぞれのソロパートの迫力はまさに圧巻。中でも「エクゼ」では、高い人気を集めたアニメ版の映像も上映され、誰もがそれぞれの名シーンを思い浮かべながら、当時の思い出に浸っていた様子だった。

最後のMCでは、土屋プロデューサーが再び登壇。「ロックマンは、どんな存在であって欲しいか」という質問を向けられると、「これまでの歴史の中でいろいろなロックマンが生まれ、それぞれの世代にとって重要な思い出を残しています。それを考えると、“『ロックマン』はこうでなければ”という定義や議論は必要なく、『青い少年の姿をしたロボットヒーロー』こそがロックマンであり、シリーズの全ての作品が『ロックマン』だと言えます。遊んでくださったプレイヤーの皆さんの心の中に『ロックマン』がいれば、それでいいのではないかと思います」と熱い持論を展開。若い世代から年配まで、幅広い層のファンで構成された客席からの拍手喝采を集めていた。

新旧入り交じった「ロックマンX」の熱い楽曲たちから、大熱狂のアンコールへ

ライブのクライマックスを飾るのは、歴代作品を最新ハード向けに再録した「アニバーサリーコレクション」の発売も7月26日に予定されている「ロックマンX」シリーズ。まずは「オープニングステージ」(1より) →「エクスプローズ・ホーネック ステージ」(3より)→「シグマ 1st」(5より)からなる「ロックマンX」メドレーが演奏され、ギターを中心に、ドラム・弦楽器が奏でる懐かしのハイスピードなメロディが、会場を圧倒する。

さらには、「ロックマンX」シリーズ歴代ボス達がタッグを組んでプレイヤーに襲い掛かる「アニバーサリー コレクション」で追加される新モード「Xチャレンジ」でのBGM「Give It A Shot」も披露。力強いギターとベース、ドラムが中心となった、熱いメタル調の楽曲となっており、まさに「ロックマンX」シリーズの新曲に相応しい出来栄えとなっていた。

ラストを締めくくるのは、「ロックマンX5 」にて二人の主人公であるエックスとゼロが激突する名場面で使用されたシリーズ屈指の人気曲「X VS ZERO」。やや物悲しい雰囲気も漂うオリジナル版から、より戦闘曲らしい激しいアレンジに加えて、ゲーム中での両者の激闘をバックに展開される、息つかせぬように奏でられるギターとストリングスの絶妙なハーモニーにより、客席の盛り上がりも再び最高潮に。

当然ながらその後も、客席からの拍手は鳴り止まない。すると「ロックマンエグゼ」の「ロックマン」と「ブルース」の二人も登場し、会場全体が1つとなって盛大なアンコールを送る。その声援に答えるように、出演陣も再登壇し、熱気をさらに高めていく。

最後に、客席も総立ちとなる中行われた、本日2回目となる「Dr.ワイリーStage1」では、再度MCU氏が乱入し、夢のセッションを奏でるというサプライズも。会場全体を揺るがすような熱狂の渦が沸き起こる盛り上がりの中、ライブの幕は閉じられれた。

「ロックマン」シリーズの30周年を記念する形で実施された今回のライブ。ファンにとっては馴染み深い、懐かしの名曲だけでなく、最新作の楽曲がゲームの発売に先駆けてお披露目されるなど、非常に充実した内容となっており、来場した誰にとっても忘れられない思い出となっていた様子だった。「ロックマンX アニバーサリーコレクション」や「ロックマン11 運命の歯車!!」を始め、引き続きも新たな歴史を刻み続けていくであろう「ロックマン」シリーズの今後の展開から目が離せない。

会場の入り口では、大きなロックマンのぬいぐるみがお出迎え。様々な関連商品の展示も行われていた。

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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