カプコンからリリースを予定の本格ミリタリーシミュレーションゲーム「BLACK COMMAND」。本格の名に恥じないこだわりを持った本作をリリース前にプレイすることができたので、その魅力を紹介したい。
「BLACK COMMAND」は、カプコンが2018年9月26日にリリースを予定している本格ミリタリーシミュレーションゲーム。スマホ向けのミリタリー系のシミュレーションゲームといえば、施設を建設して資源を獲得、軍隊を増強して戦い、領土を増やしていく…という戦略シミュレーションゲームが多い。
しかし本作は、戦場で部隊を指揮する戦術性にフォーカスしており、これまでのミリタリーシミュレーションとは一線を画す仕上がりだ。「本格」の名も伊達ではなく、世界観や設定にもなみなみならぬこだわりが込められている。そんな本作を一足先にプレイできる機会に恵まれたので、その魅力を紹介しよう。
指揮官としての戦術が試される!RTSライクなゲームシステム
本作のメインとなるゲームシステムは、戦場で部隊を指揮して目的を達成するというもの。部隊への指揮はリアルタイムに行うため、リアルタイムストラテジーに近いゲームシステムだ。
目的には敵のせん滅や施設の破壊、人質の救出など様々な目的が用意されており、いずれも基本的に制限時間が設定されている。制限時間内に目的を達成できなければミッション失敗。さらに弾薬の量も制限されている。たとえ弾薬がゼロになってもハンドガンで戦ったり、アイテムで回復したりといったことは可能だ。
ただ、ハンドガンは戦力が低下する上、施設破壊が行えない。またアイテムは貴重なため湯水のように使えない。なので、弾薬消費を抑えながら戦うというのが基本だ。
戦術のキーとなるのが「移動」。敵に気づかれにくく、それでいて制限時間内で目的を達成できるルートを探し出すのがポイントとなる。
ゴールやルートを設定するめに必要な操作はとてもシンプル。「ゴール設定」ボタンをタップするだけだ。それだけで最寄りの目標物がゴールとして設定され、同時にルートも設定される。ただ、そのままのルートを採用すると、敵の攻撃範囲内にみすみす飛び込んでいくことになる…というケースも多い。
そこで、ゴールやルートをスワイプして微調整することになる。微調整することで、敵の真正面を回避して横から攻撃をしかけたり、敵を迂回して目的地を目指したり…といったルートを作り出すわけだ。
ゴールとルート以外に、移動には「高速移動」「警戒移動」という要素がある。「高速移動」はスピーディーに移動できる反面、視界が狭まって敵に発見されやすくなる。「警戒移動」は視界が広く敵に先制攻撃を仕掛けやすいものの、移動速度が遅く時間を消費することになる。
攻撃範囲に敵を捉えたり、敵の攻撃に入ったりすると戦闘が発生。攻撃か退避かを選び、武器によってダメージを与え合う。HPがゼロになったキャラクターは死亡。もちろん、攻撃をすれば弾薬は減る。
また、部隊が何らかの施設に到着した場合もコマンド入力が発生。施設によって何ができるかは変わる。アイテムを入手したり、火をつけて敵をおびき寄せたり、狙撃で一方的に敵を倒したり…と、発生するのは基本的にプレイヤーにとって有利なイベントだ。ただ、コマンドによっては実行に時間がかかるものもあるため、何も考えずに施設を利用すると、いたずらに時間を失うことになってしまう。
つまり、時間、弾薬、部隊のダメージといった要素を秤に掛けながら目的達成を目指すわけだ。プレイするとわかるが、かなり緊迫感が高い。「プライベートライアン」や「ブラックホークダウン」など、よくできた戦争映画はスリリングだが、本作もまた上質なスリルが味わえる。
戦場のスリルと臨場感を伝えるグラフィックとBGM!
本作のスリルを支えているのはゲームシステムだけではない。グラフィックとBGMも戦場のスリルや臨場感を生み出すのに一役買っている。グラフィックについてはスクリーンショットからもお分かりいただける通り、上空から見たレーダー画面のようなルックス。敵や味方は▲マークで表示され、自分が実際に司令室のモニターを見ながら指揮しているような気分になれる。
戦闘やイベント時には、カットインが挿入される。カットインは、カメラを通した映像のように演出されており、これまた臨場感が高い。彩度を抑えた実写調のルックスも、シリアスで緊迫感を煽ってくれる。
また、文章と画像でお伝え出来ないのが残念だが、BGMが何よりスリルをかき立ててくれる。メロディラインではなくドラムラインを全面に押し出したジャズ調の狂おしいBGMは、戦場の狂気を音で表現しているかのよう。個人的にはサントラが欲しいと思うレベルだ。
本格の名は伊達じゃない!設定やネタに思わずニヤリ
最後に、世界観や設定を紹介しよう。本作の世界観は、プレイヤーがPMC(民間軍事会社)を率いて、ビジネスとして紛争地帯の戦闘に介入していく…というもの。各紛争地帯から受けるオーダーの中に複数のミッションが含まれており、1ミッションが1つの戦場によって構成されている。
なおミッションは、一般的なスマホRPGのようにミッションを順番に受けていけばよい…というものではない。ミッションをこなすことで、こちらの武装が強化されたり補給が強化されたり、最終ミッションとなる敵本拠地にダメージを与えたり…といった効果が発生する。なので、戦略的にミッションを選ぶ必要があるのだ。
部隊はより優秀な傭兵を雇ったり、強力な武装を装備することで増強していくことができる。武装は特に本作で力が入れられているポイントだ。武装はハンドガン、アサルトライフル、サブマシンガン…銃種ごとに分かれており、ツリー状にアンロックすることができる。武装はパラメータなどもリアルに設定されているが、ツリーの進化系統でさえもリアルさを追求。「本格」の名に恥じない作り込みがなされているのだ!
また、ミリタリーものが好きであれば思わずニヤリとしてしまう小ネタが込められているのもイイ。たとえば冒頭のチュートリアル的な依頼で登場し、ガイド役を務めるガーハイムというキャラクター。彼は主人公=プレイヤーをいきなり豚野郎呼ばわりしてくる。「フルメタルジャケット」を観たことがある人なら、ハートマン軍曹を思い起こさずにはいられないインパクト抜群の演出だ。ストーリーではそんなガーハイドがどんな結末を辿るのか、ちゃーんと最後まで描いてくれているので是非注目してほしい!
本作をプレイして感じたのは、本作がリアルタイムストラテジーとして非常におもしろい作品であるということ。時間、弾薬、部隊のダメージに気を配りながら目的達成を目指すスリリングなプレイは、他のリアルタイムストラテジーにない、本作ならではのもので、新鮮な楽しさが味わえる。さらに、気合の入ったミリタリー方面の作り込みも満足度が高い。よく訓練された豚野郎である筆者は、個人的にはリリースされたらやり込む予定だ。ミリタリー好きな豚野郎の諸君も、是非プレイしてみることをオススメする! オーバー!