Nianticは本日11月6日、iOS/Android向けリアルワールドゲーム「Ingress Prime」のプレスラウンドテーブルを開催、同日より配信開始となった本作についてのプレゼンテーションを行った。
今回のイベントには、「Ingress Prime」でプロダクトマネージャーを務める廣井隆太氏と、シニアUXデザイナーの石塚尚之氏が参加。まず廣井氏からは、Nianticが会社のミッションとして掲げる内容や、本作の開発経緯などについて語られた。
Nianticは「Adventures on Foot(アドベンチャーズオンフット):皆さんが外に出て誰かに出会い、身体を動かして新しい発見や体験をする機会を提供すること」をミッションとして設立された。
外に出ての発見やゲーム体験、それを周りの友人と楽しむこと、共有することで、より拡張現実という世界を楽しんでもらうことに重きを置いているという。
そのミッションのなかで生まれたのが「Ingress」だ。「Ingress」は、プレイヤーが緑の“エンライテンド”、または青の“レジスタンス”という2つの陣営に分かれ、エージェントとして戦いを繰り広げていくというもの。現実世界を歩き回りながら、仲間とともにポータルを奪い合うことが目的となる。
「Ingress」の大幅アップデートとなる今回の「Ingress Prime」を開発するにあたって、廣井氏は「拡張現実と現実世界がより楽しく見えるようなものを提供したいと思っています」との思いを述べた。また、技術的な面での話もあり、開発にはUnityが使われているほか、同社が提供予定の「Real World AR Platform」のもとで開発されていることも明かされた。
従来のものを完全に作り直して生まれた「Ingress Prime」
続けて石塚氏からは、「Ingress Prime」で新しくなったポイントについて説明が行われた。石塚氏は本作を提供するにあたり、スキャナを新しくデザインしたという。このスキャナは本作のアプリを起動するためのデバイス(スマートフォンやタブレットなど)を指し、ここでの意味合いとしてはインターフェーズ全般ととらえるのがわかりやすいだろうか。
新しいスキャナのデザインを作るにあたっては、ポータルのイメージビジュアルを現在の最新テクノロジーでどこまで忠実に再現できるか、に挑戦し続けたとのこと。
「Ingress」と「Ingress Prime」の画面を比較すると、オブジェクトの周りから湧き出るようなフレアが再現されていることがわかる。また、高さの表現が可能になったことで、これまで実現できていなかった上空でつながっている表現も行えるようになっている。
高さと解像度の高いイメージを表現することで「スキャナを使っているエージェントの皆さんが、その場に立っているかのような臨場感、Ingressの世界に入っているような没入感が実現できるようになりました」と話す。
また、グラフィックを向上させた一方で、別のチャレンジとしてUIの課題も見えてきたという。たとえば画面をズームアウトした際、より遠くまでフラットに見渡せるようにしたことで、周囲のポータルの状況などを確認しやすくしているとのこと。従来ではマップを限界までズームアウトしても真上から見ることはできなかったが、今回真上から見られるようになったことで、視認性が高くなったというわけだ。
操作性の向上も大きなテーマとして掲げられている。外で遊ぶゲームのため、片手で簡単に操作できることに力を入れたという。従来ではマップの回転に2本の指を使う操作が必要だったほか、戻るボタンやインベントリへのアクセスなどは画面上部にあり、指を伸ばさなければいけない配置となっていた。
そこで今回は、マップの回転が片手で行えるようにしただけでなく、重要なボタン類を画面下部に集約。片手での操作はもちろん、右手と左手、どちらでも操作しやすいように改善が行われている。長押し後にフリックをするメインボタンも、本作からフリックだけで操作できるようになり、素早くアタックボタンなどにアクセスできるようになったとのこと。
通常のゲームプレイのなかでかなりの時間を取っていたというアイテム整理も簡略化が行われている。従来はアイテムとポータルキーが同じように収納されていたが、ポータルキーのページを独立させて整理しやすくなっているほか、ポータルを同時に選ぶことで一括リサイクルといった作業も可能になっている。
こうしたUIの改修だけでなく、アクションやアイテム、ルールなど覚えることが多いというハードルの高さを緩和する施策も用意されている。それがストーリーと一体になったチュートリアルだ。ADAとジャービスという2人のキャラクターがプレイヤーをナビゲートしてくれることで、自分が映画の主人公になったような気分で、エージェントとして成長できる仕組みにしているとのこと。レベルが低いうちは従来よりもレベルが上がりやすくなっているため、その点とあわせて初心者が遊びやすいようテコ入れされている。
新規ユーザーのことを考えた施策がある一方で、これまでゲームを続けてきたエージェントに向けた新要素「プレステージモード」もある。このモードはレベル16のエージェントがもう一度生まれ変わる(リカージョンする)ことでファクションチェンジができたり、レベル1からとなるかわりに特別な特典が得られるというもの。生まれ変わったエージェントのスキャナには、特別なビジュアルエフェクトが登場するという。詳細については「ぜひ皆さんに触っていただき、試していただきたい」とのことで明かされなかったが、一度リカージョンしたら戻せないことが補足された。
プレゼン内容としては以上となるが、「Ingress Prime」としてゲームが生まれ変わったものの、まだまだ実装していきたいものは多いという。廣井氏は「エージェントの皆さんから多くの声をいただきたいと思っています」とも話していたので、長く続けてきたエージェントの方も、まだエージェントになったばかりの方も、これを機に感想や要望を出してみてはどうだろうか。
最後には、まだ未実装ながらも今後考えているひとつの機能として、AR空間のなかに周辺のインテルマップを映し出すデモ映像がお披露目された。将来的にこの機能が実装されれば、まるでSF映画のように空間に映し出されたマップを見ながら作戦行動を決めたりするような楽しみ方もできそうだ。