2018年12月7日、東京都のオルタナティブシアターにて、「斬劇『戦国BASARA』蒼紅乱世「紅」未来への誇り」の幕が上がった。本レポートでは、舞台初日に先立って行われた出演者からのメッセージと、その舞台の魅力をお届けしよう。

キャスト陣・スタッフからのコメントをお届け!

松村龍之介さん:真田幸村役の松村龍之介です。今回は「紅」と「蒼」という二作品に分かれての上映になるんですが、僕らが先陣を切らせていただくということで、僕ら「紅」が「蒼」にいいバトンを渡せるように全13公演頑張っていこうと思いますので、よろしくお願いいたします。

中尾拳也さん:徳川家康役の中尾拳也です。今回は約一ヶ月に渡って「紅」と「蒼」の二作品が上演されるということで、「戦国BASARA」としても新しい試みですし、稽古から新鮮な気持ちで臨むことができました。ぜひ、新たな「戦国BASARA」を楽しんでいただければと思います。

白又敦さん:長曾我部元親役の白又敦です。同じことの繰り返しになってしまいますが、今回はとにかく「紅」と「蒼」の二つに分かれるというところが大きな見どころなのではないかと思います。稽古でも「蒼」のチームを意識しながら練習してきたので、いい意味で切磋琢磨できのではないでしょうか。よろしくお願いします。

橘龍丸さん:山中鹿之助役の橘龍丸です。私は今回、「蒼」「紅」共に出演させていただく唯一のキャストとなっています。それぞれにとても面白味や見どころがいっぱいありますので、ぜひ皆さんと斬劇「戦国BASARA」をもっともっと盛り上げていけたらいいなと思います。

伊藤裕一さん:黒田官兵衛役の伊藤裕一です。今回の作品は8名という少ない人数での上演となりますが、とてもバランスの良い座組になったと感じています。相手のことを尊重してアイディアもだしていきながら、とてもお互いに聞く耳を持てるメンバーで、それも座長の龍之介くんが作る空気なのかな、と思っています。自信を持ってお届けできる作品ですので、楽しんでいってください。

小谷嘉一さん:毛利元就役の小谷嘉一です。今回は龍之介くんが初めて座長を務める「戦国BASARA」になりましたが、しかもこの公演で龍之介くんは150公演目になるという、記念すべき公演になったと思います。そして今回もうひとつ初の試みとなる「笑劇」も加わるということで、こちらも新しい「戦国BASARA」が観れると思います。ぜひ、よろしくお願いします。

西野太盛さん:宮本武蔵役の西野太盛です。宮本武蔵という「戦国BASARA」初登場のキャラクターなのでわくわくしています。宮本武蔵というキャラクターらしく、がむしゃらに全力で頑張っていきますので、よろしくお願いいたします。

瀬戸祐介さん:明智光秀及び天海役の瀬戸祐介です。「蒼」や「紅」については先輩方がお話してくださったので個人的なことを申し上げますと、光秀は今回”その後”が描かれています。何の”その後”かは実際に舞台を観ていただきたいのですが、その光秀がひとつ答えを出すので、そこに注目して観ていただければと思います。

ヨリコジュン氏:構成・演出・映像のヨリコです。本作品は「蒼」と「紅」の二部に分かれておりますが、僕は幸せなことに両方の演出をさせていただいております。本編のセリフにもあるのですが、ライバルという言葉が物語の中心になっているかと思います。同時に稽古が進んでいて、お互いのチームがお互いの良きライバルとして、お互いを高めあってきた作品になりました。作品としては、自分たちは何のためにこんなに頑張っているんだろう、ということを思い出せるようなものとなっていますので、楽しんでもらえればと思います。

小林裕幸氏:「戦国BASARA」シリーズのプロデューサーを務めている、カプコンの小林です。今回もカプコンの山本と一緒に監修をしています。今回は新しい試みをしようということで、2本連続での上演というチャレンジをすることになりました。今はまだ「蒼」のほうは稽古中ですので、演出のヨリコさんには多大なる負担をかけてしまいました。また、共通で出ている龍丸くんも、稽古と本番を行き来するという過酷な状況になってしまいましたが、皆さんが頑張ってくれているおかげで素晴らしい舞台になると思います。

また今回はヨリコさんのアイディアで「笑劇」をやることとなりました。この「笑劇」はどちらの公演でもたった2回しかやらないのですが、こちらもかなり面白い演出をつけていただき、役者の皆さんのアドリブも効いています。笑劇のほうはチケットもあっという間に完売してしまったのですが、「紅」も「蒼」もDVDに「笑劇」を収録いたしますので、ぜひそちらもよろしくお願いいたします。

初の”蒼紅”が分かれての舞台、その内容は…!?

今回は、真田幸村が主役の「紅」編、二週間後には伊達政宗が主役の「蒼」編が上演されるという、斬劇「戦国BASARA」史上初の二部構成の舞台となっている。

とは言えど、少なくとも「紅」編を見た限り、「紅」編だけでストーリーは完結しているので、「蒼」を観ないとわけがわからない、というようなことは全くない。ただ、「ここは蒼を観たらわかるのだろうな」というシーンはいくつかあるが、尾を引くようなものではないので安心してほしい。

以下については少なからずストーリー部分に触れるため、これから観に行く予定のある人は注意してほしい。

まず蒼紅が分かれたことにより、真田幸村のソロシーンが非常に多い。オープニングも、幸村が織田家の残党を相手にひとりで大立ち回りからの、長台詞。さすが「紅」というタイトルがつけられているだけあり、”真田幸村”という象徴を際立たせる構成だ。

主役である幸村は実に見どころが多く、「戦国BASARA 真田幸村伝」とはまた違った、あくまで「戦国BASARA」の幸村として彼が成長していく様を見守るといった風の内容であり、そして幸村が生涯のライバルとしている伊達政宗への想いも実に深く描かれている。

普段は政宗とそろって登場することで互いを高めあっていくライバルのように描かれる幸村だが、政宗がいないことによって逆に政宗への想いの深さを知ることが出来る。

また、今作では全体的に登場するキャストの数が普段の舞台よりも少ない。その分、各武将の背景がしっかりと描かれている。

幸村のソロシーンが多いことはもちろんのこと、他の武将にもそういったシーンは多く、とにかく”一人の武将をしっかり見せる”ということに重きを置いているように見受けられた。

冒頭のシーンでは、明智光秀の歪んだ愛を感じることが出来る。思わず背筋にゾクっとしたものが走るほどに艶やかで美しく、そしてその心のなかは様々な意味で、醜い。それが「戦国BASARA」の明智光秀である。

幸村に向かって頭を地べたにつけるのは、長宗我部元親。もちろん、元親がこうして幸村に頭を下げるのにも、深い理由がある。友人である徳川家康にならばともかく、元親が幸村に対して何かを乞うのは珍しい。なおこの後も、元親にしては珍しい絆を結ぶこととなる。

殺陣シーンだけを切り抜くといつもと変わらないように見える瀬戸内組のやり取りも、そのストーリーは濃密で、実に素晴らしいという一言に尽きる。策士毛利元就は、今作ではこれまでに見たことのない新たな策で元親の動きを封じようとするので、ぜひ注目してほしいところだ。

舞台初登場となる宮本武蔵は、ナンバリングタイトルでは「戦国BASARA2」と「戦国BASARA2英雄外伝」のみに登場するキャラクターだ(一応「戦国BASARA4皇」にも登場はしているが、ストーリーには出てこない)。

武蔵は所属国がないため「乱入」という形で入ってきたが、今回の舞台でもまさに「乱入」という形で唐突に入ってくる場面が多く、そして場を和ませてくれるキャラクターとなっている。

家康は、今作ではある意味で一番の”異端”だった。家康といえば絆の力で天下統一を狙うキャラクターで、展開的に鬱と呼ばれるルートはあれども、あくまでも思考のベクトルは前向きな人間として描かれていることが多い家康だが、今作ではそれとは大分違った姿を見せてくれる。

家康がそのような姿を見せる理由も丁寧に描かれているため、不自然さは感じない。本作では伊達政宗に代わり幸村のライバルのような立ち位置になる家康なので、幸村がこの物語で描く絆と、家康が描いた道を、ぜひ実際に見てほしい。

今作のストーリーはほぼシリアスに振り切ってはいるものの…

斬劇「戦国BASARA」はストーリーに重厚なものが多いもののそこそこに笑いの部分もあり、前作で観客が泣くほどの残虐さを見せた「第六天魔王」ですら、その悲痛な物語の中にも笑いのシーンがあった。

しかし今作は、全体的にはほぼシリアスと言って良い。今作では舞台上のストーリーは全く同じものなのに全てをコメディにしたという「笑劇」公演があるから、あえて本公演の内容はほぼシリアスに振り切ったのだろうか、とも予測できる。

だが、重いシーンばかりというわけではない。今作で登場する武蔵と、そうして「紅」と「蒼」の橋渡し的な役だろうと思われる鹿之助が、まさに客席に息抜きをさせてくれるキャラクターだからだ。

そして今作では政宗も、そして佐助もいない、”一人”の重さを背負う幸村だが、鹿之助や武蔵がもつ明るさに、幸村らしい笑顔を見せてくれる場面もある。笑いという形ではなくとも、客席が緊張をしないで見ていられるシーンもあるので、そういう場面では思い切り肩の力を抜いてステージを眺めていてほしい。

ステージでは映像演出も多々取り入れられており、幸村の回想シーンに政宗の映像が出てきたり、もちろん他の武将たちにもそういった演出があちこちに見られるが、回想シーンをうまく使うことでどういった経緯で現在この場にいるのかが解りやすい。

サブタイトルの「未来への誇り」は、幸村のことだけを指しているのではなく、本作に登場する武将たち全員の抱えている想いと生き様を描く、「誇り」の物語だと言えるだろう。

殺陣シーンはじっくりと楽しむことが出来る!

筆者が今作で特に推したいのは、殺陣シーンだ。今作では登場武将数が少ないが、そのため殺陣シーンでも数で圧倒するよりも、1対1の決闘的なものが多いと感じた。その分じっくりと、各武将たちの殺陣シーンを堪能できるのだ。

これまでの舞台では、ステージの上手と下手と中央とで別々の殺陣シーンが繰り広げられていたりすることも多く(最近ではそこにステージの上段や下段が加わることも…)、そういった大規模で派手な殺陣シーンが斬劇「戦国BASARA」の魅力のひとつであったものの、どこを見たらいいのかわからないという風になりがちだった。

それが今作では殺陣シーンに限るならば、オープニングなどは除いてたとしても、5名ほどしか登壇しない。むしろほぼ1対1か3名程度で行われる殺陣シーンがほとんどで、どうしても舞台では起こりがちな「DVDが出るまでこんなシーンがあったことにすら気づかなかった…」というような場面はなかったと言っていい。

今回の公演が行われるのは比較的小さめの劇場ということもあり、どこの席でもじっくりとステージに登場する武将全員を追うことが出来る。推しの武将が出演するというだけでも観劇する価値があると感じるほどだ。

しかし既に売り切れている公演も多いだけに、観たいというファンはチケットサイトを確認するか、もしくは当日券情報などをチェックしてほしい。

あえて二つの公演に分けられた、斬劇「戦国BASARA」。「蒼」編では幸村のいない政宗がどのように描かれるのかも楽しみになる、そんな舞台だった。そして本公演で卒業が発表されている、徳川家康役の中尾拳也さん。彼が演じる最後の家康を、ぜひその眼で見届けてほしい。

また、衝撃の「笑劇」公演のことも忘れてはならない。今回「笑劇」公演のチケットは真っ先に完売してしまったこともあり、舞台で実際に見ることが叶わないファンもいると思うが、本作のDVDに「笑劇」公演も収録されるので、チケットが取れなかったファンは、ぜひそちらに期待していよう。

公演概要

公演タイトル:斬劇「戦国BASARA」蒼紅乱世「紅」未来への誇り

【「紅」未来への誇り】
2018年12月7日(金)~12月16日(日)
オルタナティブシアター
全席指定 7,900円(税込)

公式サイト
http://www.basara-st.com/

スタッフ(順不同・敬称略)

原作:CAPCOM(「戦国BASARA」シリーズ)
構成・演出・映像:ヨリコジュン
企画・原作監修:小林裕幸(CAPCOM)、山本真(CAPCOM)
シナリオ協力:松野 出

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