セリフがないシーンでも熱い演技合戦に注目！？「劇場版ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん」舞台挨拶レポート

2019年5月23日、東京・有楽町朝日ホールにて「劇場版ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん」の完成披露試写会が開催された。

「劇場版ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん」は、息子である事を隠して父とオンラインゲーム「ファイナルファンタジーXIV」（FFXIV）をプレイする日々を綴り、累計アクセス数が1,000万を超えるブログが原作。ギャガ配給により、2019年6月21日より全国公開となる。

公開に先駆けて行われたイベントでは、本編上映前に出演キャストや監督を招き、舞台挨拶としてトークの時間が設けられていた。ここに姿を見せたのは岩本アキオ役の坂口健太郎さん、アキオの父親・岩本暁役の吉田鋼太郎さん、アキオの同僚である里美役の佐久間由衣さん、アキオの妹・美樹役の山本舞香さん、実写パートの監督を務める野口照夫氏、ゲームパート監督の山本清史氏の6人で、撮影のエピソードなどを語った。

写真左から野口照夫氏、佐久間由衣さん、坂口健太郎さん、吉田鋼太郎さん、山本舞香さん、山本清史氏。

まずは出演のオファーが来たときの心境や、役を演じる際に心がけたことなどのトークが展開。坂口さんは“ゲーム作品の映画に出演”という話を聞いた際、自身がゲームの世界に入って芝居をするのかと、勘違いしたという。しかし台本を読むとゲームの「FFXIV」という主軸はあれど、「父と息子のヒューマンドラマがあって、とても気持ちが入りました」と話す。本編では親子の会話は少ないようだが、父親の背中を見ているまなざしなど「セリフがない部分の芝居を大切にしました」とのコメントも。

また、作中でゲームをプレイするシーンがあるため、役作りにあたって実際に「FFXIV」も触ったという。「ただ遊んだわけではないですよ（笑）」としつつも、役作りでゲームをプレイするのは楽しかったとのこと。

坂口さんとのダブル主演となる吉田さんは、「最初は健太郎と同じで（ゲームの中で芝居をすると）勘違いしていました」と正直なエピソードを披露。ただ、吉田さんはファミコンが発売された当時、真っ先に飛びついた世代であり、意外とゲームになじみが深いという。「ファイナルファンタジー」シリーズもずっとプレイしてきたようで「とうとう来るべきときが、『ファイナルファンタジー』に俺が出るときが来たなと思いました（笑）」と会場を笑顔で沸かせる。

その一方で、テレビドラマ版を見たファンの期待や、同じ役を故・大杉漣さんが演じていたことがプレッシャーで、身が引き締まる思いだと話す。「大杉さんごめんなさい、僕がやらせていただきます。という気持ちでした」という心境と「ファンの期待を裏切らないように、一生懸命やるしかないと思いました」という決意があったことを明かした。

続いて佐久間さんは、台本を読んで家族の話が軸になっていると感じたため、「自分の役柄を通して、（アキオたち家族を）周りから応援する気持ちを一番に演じました」とコメント。坂口さんとの共演について話を振られると、撮影は4日間で終了したらしく、少し困った様子を見せながら「私が一方的に観察している感じでした（笑）」と感想を口にした。

アキオの妹役を演じた山本さんは、親子関係をつなぐ大事な役であり、現場でも家族をつなぐムードメーカーだった様子。しかし本人は「そうなんですか？そう思っていただけていたらよかったです」とマイペースな反応を見せる。演技については特別な役作りをせず、「普通の女の子ってこんな感じなんだろうな」という気持ちで、素の自分を出したようだ。

監督陣からのコメントもあった。実写パートを担当した野口監督は、テレビドラマ版も担当しており「ドラマのキャスト・スタッフの想いを引き継ぎつつ、今回は新たなキャスト・スタッフの力を借り、新しい素敵な光のお父さんが出来上がったと思います」と感想を語る。

撮影はかなりハードだったらしく、通常、映画は公開の1年前には撮影が終わっているが、本作では2ヶ月前まで撮影をしていたとのこと。「映画ってこういう風にできちゃうんだなとよくない前例を作っちゃいました（笑）」とおどけるが、この日初めてお客さんに見てもらうため、ドキドキしている面もあるという。特に、関係者内で映像をチェックした際、プロデューサーから「どうしてもここは切ってくれ」と言われ「分かりました」と返したものの、実は1秒も切らずにそのまま完成させたため、「そのシーンで笑いが起きなかったら監督を辞めようかというぐらいの覚悟」でいるようだ。

ゲームパートについて山本監督は、「実際にゲーム内でリアルタイムに起こっていることを、そのまま記録しているだけ」と、ゲームパートだから特別なことはないと話す。監督が見ている画面がレコーダーにつながっており、ボタンを押せば録画ができる。実写の撮影とやることはほぼ変わらず、「そこにカメラや照明があるかどうか、動かしているのが自分の体がキャラクターかの違いです」と、制作の裏側についてコメントした。

このあとは話題が少し変わり、アキオがオンラインゲームに熱中していたように、キャスト陣が熱中していることについて触れられた。坂口さんはここ1ヶ月程度だがトレーニングに熱中しているようで「筋肉は裏切らないという世界になってきました」と話す。

吉田さんは今でこそ芝居に熱中しているが、中学生から高校生の頃はギターやバレーをやっていたという。当時は吉田拓郎さんや井上陽水さんの影響でギターが流行っていたり、日本のバレーが強かったというのもあるが、これらをやっていたのはあくまで「女の子にモテたいから」だという。芝居の道に入るまでは女の子にモテることに熱中していたが、残念ながら結実しなかったようで「モテたいと思うとモテないね（笑）」とオチを付けた。

佐久間さんは抜け出せないほど乗馬にハマっているとコメント。乗馬の楽しさは「戦い」にあり、馬に舐められないようコミュニケーションをとり「うまく乗れたらハッピー」になれると魅力を語った。山本さんも話を振られるが、「本当に趣味とかがなくて…見つけられたらいいなという感じです」と正直に告白。家にいることが多く、「寝ることかな。寝るのはみんな大好きですよね？」と支持を集めていた。

トークの最後には、原作者でありゲームパートの撮影も行っているマイディーさんがサプライズで登場。エモートでさまざな動きを見せつつ「僕も皆さんに負けないよう、一生懸命撮影を頑張りました。ゲームパートもお楽しみに！光のお父さん計画が成功するように、どうか応援してくださいね」と、“CV：南條愛乃”で挨拶を行った。

イベントの締めには吉田さんが「僕らの役はお互いにあまり喋らないけど、熱い演技合戦が行われています」と、坂口さんが「喋っていないのにクランクアップの日は濃い芝居をした感覚でした」とそれぞれが撮影の充実っぷりを語り、よかったと思ったらいろんな人に広めて、作品をどんどん大きくしていってほしいとアピールした。