一般社団法人日本野球機構(NPB)とコナミデジタルエンタテインメントは、競技タイトルとしてPS4用ソフト「実況パワフルプロ野球2018」を使用したプロ野球eスポーツリーグ「eBASEBALL プロリーグ 2019」において、1月25日に令和初の日本一を決める頂上決戦「SMBC e日本シリーズ」を開催した。
今回、両リーグから「SMBC e日本シリーズ」まで勝ち上がってきたのは、読売ジャンアンツ(以下、巨人)と千葉ロッテマリーンズ(以下、ロッテ)の2チームだ。
先週開催されたコカ・コーラ eクライマックスシリーズでは、3位中日と2位巨人が対戦して2勝1敗でジャイアンツが勝利。セ・リーグ優勝のヤクルト相手には、2連勝で巨人が勝利を収めた。一方パ・リーグは、楽天との対戦を制してオリックスが勝ち上がってきたものの、ロッテが返り討ちにして、ここまでコマを進めてきている。
試合の会場となったのは、東京銀座に新しくできたばかりのeスポーツ施設「esports 銀座 studio」だ。会場内には有料観戦チケットで入場したファンと関係者が数多く集まったほか、ユナイテッド・シネマ豊洲でもパブリックビューイングが実施されていた。
オープニングセレモニーでは、ベリーグッドマンが歌う公式テーマソング「夢のまた夢」からスタートした。
選手入場に続き会場内に、ロッテの井口資仁監督と巨人の原辰徳監督から各選手に向けて激励のメッセージが流れる。巨人は昨年の日本シリーズで日本一を逃してしまったこともあり、原監督はそのときの記憶はもう思い出せないと語っていたが、その雪辱を今回出場の選手たちに託していた。
試合前に意気込みを聞かれた、両チームのキャプテン。ロッテの下山佑躍選手は、「ペナントレース、eクライマックスとすべてトップを取ってきました。今日完全なるトップを僕らは会得できるよう、応援をよろしくお願いします」と意気込みを語った。
また、巨人の館野弘樹選手は、「我々ジャイアンツは、セ・リーグ優勝というひとつの目標を達成できずにここまで来ました。日本一まであと一歩のところまで来ているので、しっかり自分たちのプレーをして、いつも通りのプレーをして勝ちたいと思います」と述べた。
ここまで来たのは、今回出場しているわずか8名の選手たちだけだ。悔いが残らないように、試合前にお互い握手をしながら戦いに臨んでいた。
キャプテン同士の戦いが試合の行方を決めた第1試合
「SMBC e日本シリーズ」のルールは、最大3試合2戦先勝の9イニング制、3イニングごとに選手交代で行われた。9回終了時点で同点の場合は、タイブレーク方式の延長戦で決着が付くまで行われる。先に2勝したほうが優勝となる。
第1試合はロッテが先行でDHあり。第2試合は巨人先行でDHなし。第3試合は、第1試合と同じだ。ピッチャーのスタミナについては、引き継ぎがないためフレッシュな状態で戦うことができる。
また、3試合のうち1試合のみレジェンドOB選手が起用できる。いきなり第1試合から両チームともレジェンドOB選手を選択したのだが、ロッテは先ほどビデオメッセージにも登場した井口資仁、巨人は世界のホームラン王・王貞治を選択した。
巨人・吉田友樹選手とロッテ・町田和隆選手の対戦から幕を開けた、「SMBC e日本シリーズ」。試合が動いたのは、4回裏。最多本塁打と最多打点を誇る館野選手と、最優秀防御率を獲得した下山選手という、いわゆる矛と盾との戦いだったが、王のフォアボールに続きゲレーロが見事2ランホームランをかっ飛ばしジャイアンツが先制。
負けじと下山選手も、6回表に加藤でホームランを放つと、さらにその裏に館野選手が王の打順でボール球を強振してタイムリーを放ち、すかさず返すという激しい展開に。このままジャイアンツが守り切り、第1試合は勝利を収めた。
点の取り合いから始まった第2試合もキャプテン同士が勝負を決めた
巨人が勝てばそのまま優勝となる、第2試合。巨人・高川健選手とロッテ・町田和隆選手の戦いから始まったが、こちらはいきなり点の取り合いといった感じで高川選手が1回表に2ランホームランを放つと、その裏に町田選手が先制ホームランでお返し。4回には館野選手が1点を加え、8回裏まで3対1のままジャイアンツ優勢で試合が進んでいく。
このままジャイアンツが押し切ると思われたが、ここで意地を見せたのがロッテのキャプテン下山選手だ。1塁と2塁にランナーを置いた状態で、3バントを成功。代走を出した後、ワンアウトランナー3塁2塁でセンター前ヒットを放ち同点に持ち込んだ。
ここで本シリーズ初の延長戦にもつれ込む。延長は1イニングずつ選手が交代するスタイルで行われ、巨人は館野選手、吉田選手、高川選手の順に、ロッテは下山選手、町田選手、柳選手の順番で対戦。第1試合と同じく、ここでもキャプテン同士の戦いから延長戦が始まった。
ノーアウト満塁からチャンスに強い大城を代打に起用した館野選手。レフトフライのタッチアップから1点を追加。続けて3塁線を抜けるヒットで2点目も追加。ワンアウト3塁2塁の状態でさらに1点を追加して6対3と、巨人が大きくリード。
その裏ロッテの攻撃は、レフトフライでワンアウトになったところで下山選手がタイムを要求。一息ついたが、その後ライトフライとレフトフライに倒れ試合終了。ジャイアンツが日本一に輝いた。
試合終了後、10回の攻防について聞かれたキャプテンの館野選手は、「追いつかれたら自分が行くぐらいの気持ちでいたので、問題なく入ることができました。とにかくリラックスしてやることを、今シーズンは1番大事にしてきたので、それが実った」と喜びを語っていた。
ジャイアンツが喜びのインタビューに答える中、落ち込んでいる選手たちを慰めるロッテ・キャプテンの下山選手。 ぜひ次回はこの雪辱をはらしてもらいたいものだ。 |
優勝した巨人には、トロフィーと賞状、そして賞金1400万円が贈られた。 |
試合終了後の表彰式に続き、一般社団法人日本野球機構(NPB) 会長・コミッショナーの斉藤博氏より、今シーズンを統括するコメントが語られた。
この大会は「野球」そのものを多くの人に知ってもらうために行われているものだが、今シーズンは交流戦や地方大会なども行われ、広島では多くの熱気に包まれた。その結果、インターネットによる配信は100万人以上の視聴者を獲得。述べ、530万回以上の視聴数を記録している。フジテレビと協力して「eプロ野球ニュース」も配信し、高い視聴率を獲得した。
最後に斉藤コミッショナーからは、3年目となる2020年も引き続き開催することも発表。この瞬間、各選手たちの目には新たな闘志がみなぎっていた。
これにてすべてのイベントは終了。最後はオープニングと同じくベリーグッドマンが登場し、公式テーマソング「プレイヤー」の歌唱で締めくくられた。はたして、次のシーズンはどのチームが勝利を掴むのか、今から開幕が楽しみだ。