Xbox One/PC向けに配信中の「Ori and the Will of the Wisps」のプレイレビューをお届けする。

目次
  1. 美しいグラフィック表現が目を引く探索型アクションシリーズ2作目
  2. アクションの腕前を強く求められる、やりがいに満ちたフィールドデザイン
  3. 痛快な戦闘アクションと「打ち返し」がもたらす絶妙なゲームバランス
  4. オリのカスタマイズ、拠点の発展、サブクエスト……豊富なやり込み要素
  5. アクションゲームファンには文句なしにおすすめの逸品

今回、レビューするゲームは「オリとくらやみの森」(原題:「Ori and the Blind Forest」)の続編、「Ori and the Will of the Wisps」だ。ゲームデザイン、グラフィック共に高い評価を得た前作からさらなる進化を遂げた本作の魅力が、多くの方に伝われば嬉しい。

美しいグラフィック表現が目を引く探索型アクションシリーズ2作目

「Ori and the Will of the Wisps」は2020年3月11日にXbox OneとSteamでリリースされた探索型アクションゲーム。前作「オリとくらやみの森」のリリースは2015年3月11日だったので、ちょうど5年ぶりに世に出た続編だ。開発はオーストリアのゲーム開発スタジオ・Moon Studiosで、販売はMicrosoftが行っている。

主人公は精霊のオリ。オリはある日、フクロウの子どものクゥと出会い、友だちになるが、ある出来事によって離ればなれになってしまう。“大切な友だちを見つけ出す”というのが、本作のひとまずの目的だ。その後のストーリーは、オリの“精霊としてのさだめられた運命”を巡って二転三転していく。どんな結末を迎えるかは、ぜひ実際にプレイして見届けてほしい。ちなみに前作をプレイしていなくても、ストーリーの理解にほとんど支障はないはずだ。

本作の映像を観て誰もが息をのむのが、美しいグラフィックだろう。木々が生い茂る森や、そこに差し込む暖かな陽射しの描写は、実際にプレイするといっそう胸に迫るものがある。また、森ばかりではなく、雪山や、南国の海を思わせる彩り豊かな水辺、禍々しさを放つ“穢れ”の領域など、中盤以降では訪れることになるロケーションもバリエーションに富んだものに。オリが攻撃を放つときに生じる閃光や、アイテムが発する穏やかな光など、各種エフェクトの表現にも惚れぼれさせられる。

この映像に加え、オーケストラを用いた映画音楽的なBGMも感動的なストーリーと手に汗握るゲームプレイを彩っている。後述する各種ゲームシステムも併せて、ひとことで言えば「この上ない贅沢な体験が味わえるアクションゲームである」というのが本作をエンディングまでプレイしての率直な感想だ。

アクションの腕前を強く求められる、やりがいに満ちたフィールドデザイン

ゲームの基本的な流れとしては、入り組んだ構造のフィールドを探索しながらオリの使えるアクション(スキル)を増やすアイテムを入手し、それによって行ける場所が徐々に増え、行動範囲が広がっていくというもの。「メトロイド」シリーズや最近の作品ならば「Bloodstained: Ritual of the Night」などをプレイした方ならば、イメージできるだろう。

ほかのタイトルと比較した際の特徴としては、オリのアクションの拡張において“ジャンプの飛距離を伸ばすもの”や“遠くの足場にたどり着くためのギミックを利用できるようになるもの”が豊富に用意されている点が挙げられる。例を挙げるならば、前者は空中ダッシュや、滑空、後者は特定の場所に瞬時に跳び移れる「グラップル」や、敵の飛び道具や敵本体を踏み台にして任意の方向に跳び上がれる「打撃」などだ。また、泳ぐアクションにはのちに水中でダッシュできる「スイムダッシュ」が追加され、これを水中から水面に向かって放つことでも勢いよく飛び上がって飛距離を稼げるようになる。

序盤はシンプルな操作で多くの局面を切り抜けられるが、様々な能力を得る中盤以降では、複数のボタンに振り分けられたこれらのアクションを、地形やギミックに合わせて組み合わせる必要が生じてくる。それができてはじめて、新たな道を切り開いたり、隠しアイテムがある場所までたどり着くことが可能になるのだ。

したがって、探索主体のゲームにしては、次々にタイミングよく適した操作をこなしていく腕前がプレイヤーに求められる比重が高い。地形やギミックを見て“どの順番でどのアクションを繰り出せばよいか”を導き出すパズル的思考も必要だ。いたるところで思考力と指さばきの両方を要求されるのがチャレンジ精神を掻き立てられ、アクションゲーム好きとしてはたまらない。

強大な敵に追いかけられながら強制スクロールが行われる局面もいくつかあり、ここでは通常のフィールド以上に瞬発的な判断が求められ、勇壮なBGMも相まって、非常に高揚感のあるプレイが楽しめる。なお、強制スクロールのあとはこの敵との本格的な戦闘、いわゆるボス戦になだれ込むことも多いのだが、この点については戦闘システムについてご紹介したあとで、あらためて説明しよう。

もちろん、多くの探索アクションで見受けられる「この道を塞いている物体はあとで新しいアクションを手に入れたら壊せるのだな」という場面も数多く存在する。探索型アクションというゲームジャンルの魅力を余すところなく取り入れながらも、よりアクションの腕前が求められるバランスだと思ってもらえば間違いない。

痛快な戦闘アクションと「打ち返し」がもたらす絶妙なゲームバランス

痛快な戦闘アクションも本作の醍醐味のひとつだ。本格的に冒険がはじまってから最初に手に入る能力である「精霊の刃」を使えば、鋭い斬撃による連続攻撃を繰り出せる。各所に配置された敵対生物に対しては、主にこの攻撃を使って対処していくことになる。スティックや方向キーと組み合わせれば、斬り上げて小柄な敵を空中に浮かせたり、空中から下突きを放って地上の敵を一方的に攻撃することも可能だ。

「精霊の弓」や「ライトバースト」など、遠距離攻撃の手段も徐々に増えていくが、とりわけユニークなのが「打撃」を利用した攻撃だ。飛び道具に「打撃」を使うと対象を利用してオリが跳び上がるのは前述した通りだが、このとき飛び道具はオリとは反対方向へと飛んでいく。これを利用して敵が放った攻撃を、敵に打ち返してダメージを与えられるのだ。「打撃」を使うと少しのあいだ、ゲーム中の時間が静止するので、この時間内にスティックで狙いを定めよう。

「打撃」は敵本体に使用した場合もわずかながらダメージを与えられる。また、複数の敵が同時に出現している場合は、攻撃を放ったのとは別の敵を狙って倒すこともできる。「精霊の弓」や「ライトバースト」は使用するたびに「エナジーセル」を消費するが、「打撃」ならば消費しないのも使い勝手がいいところだ。

「打撃」を使用すると時間が止まる上、使用回数の制限はない、と書くと戦闘が簡単になりすぎてしまいそうな印象を受けるかもしれない。しかし複数の敵が同時に登場する局面ではオリへの攻撃は結構激しくなるので、この思考する猶予が与えられるバランスは、アクションゲームが得意でないプレイヤーへの間口を広げる意味でも丁度いい塩梅に思えた。

強大な敵との一騎打ちとなるボス戦では、プレイヤーが道中で磨いた攻撃と回避の腕前を総動員して挑むことになる。いずれのボスも避けづらい攻撃が多く、初戦で勝つのはそれなりにアクションゲームが得意でなければ厳しいかもしれない。

オリは「エナジーセル」を消費して「ライフセル」(体力)を回復する能力も手に入れるのだが、これを使うときは若干の硬直時間が生じるので、ボスの攻撃が止むタイミングを見計らって使う必要がある。攻めるにせよ、身を守るにせよ、敵の行動のパターン把握が重要だ。

オリのカスタマイズ、拠点の発展、サブクエスト……豊富なやり込み要素

本作にはやり込み要素も豊富に用意されており、そのどれもにいわゆる「隠しアイテム」の存在が関わっている。

隠しアイテムはその多くが、あえて分かりづらい場所に配置されていたり、メインストーリーを追う上では向かう必要のない脇道で、少々難易度の高いアクションを要求された先にあったりする。

種類としては、敵を倒したときも少量ドロップする、ゲーム内で通貨のように使用できる「精霊の光」、エナジーセルやライフセルの最大値を上げる「エナジーセルのかけら」と「ライフセルのかけら」、装着することでオリに常態効果を付与する「精霊のかけら」、この精霊のかけらを装着するスロットを増やす「かけらスロット」、後述する「森の空き地」の発展に不可欠な「ゴーレク鉱石」と「植物の種」、それからサブクエストで使用するクエストアイテムなどが挙げられる。

「精霊の光」は、新しいアクションスキル(攻略上必須ではないもの)や精霊のかけらの習得と強化、フィールドマップの入手などで消費される。オリのカスタマイズは、本作でも特に悩ましい要素だ。スキルをどのボタンに振り分けるべきか、どの精霊のかけらをスロットに装着するべきか……いずれも便利なのに、すべてを一度に使用することはできないので、ひとまずは自分にとって使い勝手が良さそうなものを優先的に習得・強化していこう。

この「精霊の光」を用いた取引を行うキャラクターはその多くが、冒険の拠点となる「森の空き地」に集うことになる。この場所はいくつかのサブクエストをこなす上でも重要な場所だ。空き地は最初こそトゲの生えた蔦などが目立つ荒涼とした場所だが、力自慢の種族・ゴーレクの職人であるグロムに「ゴーレク鉱石」を渡すことで、森の住人のために新たな住居を立てたり、蔦を撤去したりしてくれて、少しずつ活気ある和やかな場所に変わっていく。ぜひ森の住人たちに希望に満ちた新しい生活を提供してほしい。

また、空き地の中にも隠しアイテムがいくつか配置されているのだが、とあるキャラクターに「植物の種」を渡せば、空き地にステージギミックを担う植物が生え、アイテム探しが便利になる点にも注目だ。

ほかにも、道中で様々なキャラクターと、アイテムを次々に物々交換していくいわゆるわらしべイベント的なものや、家族を森の空き地につれてきてほしい、といった依頼を受けるなどのサブクエストも。中には悲しい結末で終わってしまうものもあるが、優しいだけではない、本作の豊かな世界観を味わうためにも、多くのキャラクターたちの物語に触れてみてもらいたい。

厳密にはサブクエストではないが、“スタートからゴールまで、特定のタイムより早くたどり着く”といったタイムアタックにも各所で挑戦できる。ここでの時間設定はあらゆるアクションを適切にこなしていかなければクリアできない若干シビアなものになっているので、アクションの腕に自信がある方は、こちらも挑戦してみてほしい。

アクションゲームファンには文句なしにおすすめの逸品

今回のレビューを通して、「Ori and the Will of the Wisps」が探索、アクション、美麗なグラフィックに音楽、さらにはやり込み要素まで、すべてがハイレベルな傑作であることがご理解いただけたのではないだろうか。

最後に若干気になった点として、サブクエストのナビゲートが分かりづらかったり、一部の日本語訳が直訳気味で、ちょっと硬い印象を受けたことなどを挙げておきたい。しかし、いずれもトータルの完成度と比べたら些細なことだ。ただ、難易度設定はあるものの、戦闘は簡単になっても道中のギミックが変化するわけではないので、アクションが大の苦手、という方には強くおすすめはしづらい。

逆に、アクションが得意、特に探索系のものが大好き、という方におすすめしない理由は全くないといってよいだろう。オリの感動的で手に汗握る旅路を、ひとりでも多くの方に体験していただきたい。

Xbox Oneストアページ
https://www.xbox.com/ja-JP/games/ori-will-of-the-wisps

Steamストアページ
https://store.steampowered.com/app/1057090

Ori and the Will of the Wisps

Microsoft

XboxOneダウンロード

  • 発売日:2020年3月11日
  • 全年齢対象

Ori and the Will of the Wisps

Microsoft

PCダウンロード

  • 発売日:2020年3月11日
  • 全年齢対象
  • Steam

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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