「東方Project」25周年を祝い、超豪華なアーティスト陣が集結！歴史を振り返るトークや新情報も盛りだくさんの「東方ダンマク祭」レポート

25周年を振り返りつつ、東方アレンジでお馴染みの豪華アーティスト陣による生ライブも

「東方Project」（以下、東方）は、ZUN氏による個人サークル「上海アリス幻樂団」が制作する弾幕STG。プログラム・ストーリー・作曲・デザインのすべてを原作のZUN氏が手掛け、その独特の世界観と個性的なキャラクター、ハイクオリティな楽曲、やりごたえ抜群のゲーム性が人気を呼び、現在もなお多数の2次創作が作られ、絶大な支持を集め続けているシリーズだ。

そんな「東方」の25周年を祝う形で横浜スタジアムにて行われたのが、「東方ダンマク祭」。イベントの口火を切ったのは、十六夜咲夜のコスプレパフォーマンスでも知られる「石鹸屋」によるライブパートで、「D-89」や「id恋し いと恋し」、「ってゐ！」といった人気の高い楽曲の数々をノンストップのメドレー形式で熱唱。冒頭から25周年を記念するイベントの幕開けを飾るに相応しい盛り上がりとなった。

その後のMCパートでは、「東方」シリーズの生みの親であるZUN氏、ビートまりお氏、霜降り明星・粗品さん、上坂すみれさんの4人が登場し、「東方」シリーズの25年を振り返るトークが行われることに。

大の酒豪でビール好きとしても知られるZUNさん。今回のイベントでも、ZUNさんのために 球場で実際に売られているビールが用意され、次々と飲み干していた。

第1作である「靈異伝」から続く「旧作」と呼ばれるシリーズから「紅魔郷」、「永夜抄」といった現在でも馴染みのあるシリーズまでが紹介される中、大の「東方」ファンだという上坂さんも、「紅魔郷」が「東方」デビュー作であったと明かす。

普段それほどゲームをプレイしないという上坂さんは、当初はその難易度の高さに度肝を抜かれたものの、「東方」シリーズのキャラクターと楽曲の魅力に取り憑かれしまい、以降は「靈異伝」からの旧作シリーズにも遡ってプレイしたり、初期の頃の楽曲を収録した「幺樂団の歴史」シリーズを買い揃えているなど、ガチなファンっぷりを感じさせるエピソードを披露。コスプレで例大祭にも参加したこともあり、雨天でなければ今回のイベントにも、レミリア・スカーレットのコスプレで登場する予定だったのだとか。

続くライブパートでは、メジャーレーベルでも大活躍中のグループ「岸田教団&THE明星ロケッツ」が登壇。今回は天候の関係で横浜スタジアムのブルペン（投手が投球練習を行うエリア）がライブステージとして使われていたのだが、リーダーの岸田氏は、横浜DeNAベイスターズのユニフォームに身を包みながら、ブルペンでライブができることに興奮気味の様子も見せつつ、「ネクロファンタジア」、「明星ロケット」の人気曲を立て続けに披露し、イベントを盛り上げる。MCブースからライブを見ていたビートまりお氏は「同じ時代を駆け抜けてきた仲間が今も頑張っている姿を見られるのは嬉しい」と、同じ古参の東方アレンジサークルならではの喜びも語っていた。

一方、2005～2008年のシリーズ作品の歴史や、ファンコミュニティの動きを振り返るトークの中で、2004年の例大祭からの盛り上がりの凄まじさを肌で感じていたというビートまりお氏。氏が最初に「東方」のイベントに出演した2006年頃は、500人の箱が埋まるかどうかという規模感だったのが、あっという間に幕張メッセに7000人が集まるほどになっていったというのだから、その急激な人気の高まりぶりも頷ける。

例大祭を主催する博麗神社社務所のあおしま氏も登場し、 10月18日より東京ビックサイトで開催予定の、秋季例大祭の告知も行われていた。

ライブパートでは、テレビCMにも活躍の場を広げるピアニストのまらしぃ氏が登場。中学生の頃、幼少期からずっと続けていたピアノを一度止める決意をしていたというまらしぃ氏だったが、そこからピアノを再び弾くようになったのは、「東方」シリーズの楽曲との出会いがあったからだという。ライブでは、「風神少女」、「偶像に世界を委ねて〜Idoratrize_World」の後、まらしぃ氏自身が「人生を変えてくれた曲」と語る、「東方」シリーズ屈指の人気曲「ネイティブフェイス」で、ZUN氏への感謝を込めた渾身の演奏を披露する。

あの伝説の2次創作SRPGが、ついにコンシューマに！「正体不明スポンサーX」の正体も判明

2011年～現在に至るまでの振り返りでは、近年活発になりつつある、同人ゲームのコンシューマゲーム機への移植プロジェクトである「Play,Doujin!」にも触れられ、多数の東方2次創作ゲームを開発してきたAQUASTYLE代表・JYUNYA氏が登壇し、「Play,Doujin!」プロジェクトが始動した当時の思い出が語られた。

プロジェクトがスタート6年前はZUN氏も商業への展開を考え初めていた時期で、渡りに船な企画だったこともあり、トントン拍子に話が進んでいったという。その一方でJYUNYA氏は「Play,Doujin!」参加を呼びかける最初のメールが届いた時、「そんなメールが来るわけがない」とスパムメールだと思い込んでしばらく放置し、後に本物だと分かって度肝を抜かれたというエピソードも語られる。

そんなJYUNYA氏が手掛けたAQUASTYLEのローグライクRPG「不思議の幻想郷 TOD RELOADED」は、現在では全機種・全言語版の総売上本数が15万本を突破。「不思議の幻想郷」シリーズとしてのシリーズ累計は50万本を超える規模へと成長していることも明かされていた。

さらに「Play,Doujin!」プロジェクトの新ラインナップとして、「さんぼん堂」開発の東方SRPG「幻想少女大戦」のコンシューマ移植もサプライズ発表された。「幻想少女大戦」は、東方2次創作ゲームの中でも抜群の人気を誇りながらも、様々な問題によってコンシューマ移植が難しいとされてきたタイトル。JYUNYA氏自身も一ファンとして以前から移植を熱望しており、JYUNYA氏が自ら関係各所に根強い交渉を続けた結果、奇跡的に移植が実現したのだという。パブリッシャーはPhoenixxが担当し、対応ハード・発売時期は未定となる。

ライブコーナーのトリを飾るのは、これまでMCとしてもステージを盛り上げてきた、ビートまりお氏が主催するサークルである「COOL&CREATE」。東方アレンジを代表する曲と言っても過言ではない「Help me, ERINNNNNN!!」では、恒例の「えーりん」コールでMCブースの上坂さんに粗品さん、ZUN氏も一緒に腕を振り上げたり、ビートまりお氏が歌唱中にアドリブで本日の出演陣に触れるなどパフォーマンスでも大盛り上がり。25周年を飾るに相応しいライブとなっていた。

さらに「東方」を代表するキャラクターである霊夢と魔理沙、そしてZUN氏自身の変遷が紹介された後には、今回のイベントの主催でもある「正体不明のスポンサーX」の正体が、AQUASTYLEとDeNA、xeenの3社よって結成された、東方の世界を盛り上げるためのチームであったことが明らかになり、以降は「アンノウンX」が正式名称となることが発表された。「アンノウンX」を命名したZUN氏によると、「正体不明のスポンサーX」のインパクトがあまりに強すぎたため、それ以上の名前がなかなか思いつかず、「正体不明」という要素を残したまま、東方らしさを感じさせる名前として考案したのだとか。

イベントの最後には、そんなZUN氏が「横浜スタジアムでのイベントもそうですが、人生で一度しかできない経験を毎回のようにさせてもらっている」と周囲やファンへの感謝を述べつつ、「その人達に対して自分に何かできるかを考えた時、やっぱりゲームを作り続けるしかない」と、これからもオリジナルとなる「東方」を作り続けることを力強く宣言。また現在も「東方」の新作を製作中であることを明らかにしていた。

25周年という節目を迎えてもなお、絶大な人気を誇る「東方Project」。これからも多数のクリエイターの手によって様々な作品が生み出され、盛り上がりが続いていくことは間違いなさそうだ。

※番組内で発表された、新アプリの記事はこちら。