2021年3月10日より稼働がスタートした「機動戦士ガンダム エクストリームバーサス2 クロスブースト」。連載第1回では主に、「機動戦士ガンダム EXTREME VS. マキシブーストON」からシリーズデビューを果たしたプレイヤーに向けた、「クロスブースト」の新要素を解説していく。
目次
いよいよ正式稼働がスタートした「機動戦士ガンダム エクストリームバーサス2 クロスブースト(以下、「クロスブースト」)」。現在はPS4「機動戦士ガンダム EXTREME VS. マキシブーストON(以下、「マキシブーストON」)」も発売されており、家庭用ゲームをメインに遊んでいるプレイヤーの中には「マキシブーストON」の次に、ゲームセンターで最新作を遊んでみたい……と考えている人も少なくないだろう。
「クロスブースト」と「マキシブーストON」は、同じ「エクストリームバーサス」シリーズの作品であり、コスト管理や慣性ジャンプやズンダといったテクニックについては、「マキシブーストON」のものを引き継いでいるので、すぐにゲームに慣れることができる。ただ、シリーズとしては間に「エクストリームバーサス2(EXVS.2)」を挟んでいることもあり、「マキシブーストON」から大きく変更された要素も少なくない。
そこで今回はよりスムーズに「クロスブースト」を遊べるよう、「マキシブーストON」から変更された部分や、「クロスブースト」の新要素を紹介していこう。なお「クロスブースト」から「エクストリームバーサス」シリーズを始めたいという方は、まずは以前に掲載した「マキシブーストON」の連載記事で紹介した、基本的なシリーズの知識やテクニックを参考にして欲しい。
EXバーストは5種類に!新たに追加された「Rバースト」と「Cバースト」とは
「マキシブーストON」では、格闘寄りのF(ファイティング)、射撃寄りのS(シューティング)、防御寄りのE(エクステンド)の3つのEXバーストが存在していたが、「クロスブースト」ではEバーストが廃止となり、C(カバーリング)バーストへと変更された。これに「R(レイジング)バースト」、「EXVS.2」から追加された「M(モビリティ)バースト」を加えた、5種類の中から選択する形に変更されている。
F及びSバーストについては、細かな性能の違いこそあるものの、基本的には「マキシブーストON」のものと同じ感覚で使えると思って間違いない。注意すべきはEバーストに変わって実装されたCバーストで、これは「EXVS.2」から追加されたL(リンケージ)バーストと、従来のEバーストを足して割ったような効果(ハーフバーストでの受け身が可能かつ、パートナーにEXゲージを譲渡できる)をもっている。
そのため、Eバーストと同じように高コストと組んだ際の後衛側のEXバーストとして選択したくなるところなのだが、Cバーストには防御力アップ効果が存在しない。「マキシブーストON」をプレイしていて、Eバーストの防御力アップ効果のおかげでギリギリ生き残った……という経験をしたことは誰しもあると思うが、Eバーストと同じ感覚で発動すると頻繁にバースト落ちをしてしまい、防御力アップ効果の偉大さを痛感させられる(後述するEXバーストクロスが発動した場合は、Eバーストのような防御力アップ効果が乗る)。
また、Lバーストから受け継がれたEXゲージの増加効果についても変更が加えられており、Lバーストが発動した瞬間に僚機のEXゲージが増加していたのに対し、Cバーストではバーストの効果時間に応じてパートナーのゲージが増える仕様になった。
Lバーストの場合、バーストを発動して即撃墜されようと僚機のEXゲージはしっかり増えていたため、低コストが前衛となってLバーストをひたすら回し、後衛の30コストのEXのゲージを増やし続けるといった極端な戦法がかなり流行ったのだが、Cバーストは発動後に即撃墜されると僚機のゲージをほとんど増やせないため、効果中に思い切った攻めを行いにくく、前述の戦法には不向き。またEバーストと同じく受け身に使用してしまうと、その後の効果時間が短くなり、結果としてパートナーに譲渡できるEXバーストゲージがごく僅かになってしまう。
そのため、自身の生存か、パートナーにEXゲージを渡すか、どちらを優先するか考えて使う必要がある。
大半の機体との相性がよく、後衛向けとして初心者にもオススメしやすいEXバーストではあるのだが、効果的に使うにはEバーストやLバーストよりも使うタイミングの重要性が上がったと言える。
一方、もうひとつの新規EXバーストであるRバーストは、なかなか使い所が難しい。効果中、スーパーアーマーを付与することがRバーストの最大の特徴だが、「マキシブーストON」で、EXバースト中のZガンダムやZZガンダムに付与されるスーパーアーマーとは異なり、常時効果が適応されるわけではないため、想像した以上にゴリ押しが効きにくい。
EXバーストアタックは、発動時の初動にスーパーアーマーが付与されることが多く、Rバーストもこれに類似した効果であると推測はできるが、スーパーアーマーが付与される武装、されない武装があり、それらを把握することが必要なやや上級者向けのEXバーストだ。一部の武装との組み合わせでかなり強烈な効果が発揮されそうな予感もあり、Rバーストを生かした強力なムーブがこれから発見される可能性も高い。
「マキシブーストON」にはない、「EXVS.2」からの続投となるMバーストは、機動力に特化したEXバーストで、旋回性能やBDの速度が大幅に上昇する。「EXVS.2」においては、「迷ったらMバースト」と言えるほど強力だったが、動きの止まる射撃攻撃のステップキャンセル(青ステとも呼ばれる)が行えなくなったことや、攻撃補正が一切乗らなくなったなどの仕様変更を受けており、「EXVS.2」の頃の汎用性は失われている。
とはいえ、機動力の向上は攻めにも守りに活かせるため、低コスト側の先落ちを視野にいれる自衛力の高い3000コストなどにとっては、本作においても有力なEXバーストの候補となるのではないだろうか。
フルバーストでのメリットが増加!同時発動による「EXバーストクロス」も
EXバーストには、ゲージ半分の状態で発動するハーフバーストと、ゲージ最大で発動するフルバーストがあり、フルバースト時には、「EXバーストの効果時間が伸びる」「ブースト回復量が増加する」といった追加効果が存在している。
ただ、EXバーストの効果中にダメージを受けるとゲージが溜まらないため、フルバーストを発動すると次のバーストが溜まりづらく、思い切った攻めも行いにくいため、「できるだけハーフバーストを使ってEXバーストの回数を増やす」というのが、初心者脱却のための重要なセオリーとなっていた。
一方、「クロスブースト」ではフルバースト発動時に、従来通り効果時間の延長に加えて、50の耐久値回復の効果が追加されたことで、フルバーストの効果が強化された(あくまでも回復扱いなので、耐久全快の状態で発動しても上限は突破しない)。またブーストの回復効果についても、どのEXバーストでもフルバースト時はブーストゲージが全回復するように仕様が変更され(「マキシブーストON」では、フルバーストでブーストゲージが全回復するのはFバーストのみ)、ブースト回復量の少ないSやR、Mバーストは、フルバーストのメリットも多くなっている。
とくに3000・2500コストで組んだ際のコストオーバー側は、武装によっては1撃で落とされる危険も高いので、受け身と大幅なブーストゲージ回復に加え、耐久を50回復できるという点からフルバーストを行うメリットが大きくなっている。
また、フルバーストは本作から追加された、僚機と同時に発動することで追加効果を得られる「EXバーストクロス」との相性も良い。EXバーストクロス発動時は、
Fバースト:攻撃ヒット時にEXバースト発動時間が延長される
Sバースト:全ての攻撃で相手がダウン状態になりづらくなる
Mバースト:攻撃ヒット時にブーストゲージが回復
Cバースト:被ダメージの減少
Rバースト:攻撃ヒット時に耐久値を回復
という、それぞれのEXバーストごとに異なる追加効果が発動する(僚機のEXバーストの種類は影響を受けず、あくまでも自身が選択したEXバーストの追加効果のみを得られる)。
ハーフバースト同士のEXバーストクロスの場合、発動してもすぐ片方のEXバーストが終了してしまい、結局追加効果の恩恵を得られなかったということも多いが、効果時間の長いフルバースト同士であれば、追加効果を意識しての立ち回りも十分可能になる。
シャイニングガンダムのフルバーストに、後衛側のCのフルバーストをあわせて、EXバーストクロスを発動させつつ、EXバーストの時間をさらに伸ばす……といったように、とくにチーム固定での対戦においては、フルバースト同士のEXバーストクロスを前提とした戦術が生まれてくる可能性もある。
……とはいえ、筆者がプレイした感覚では、従来までのEXバーストのセオリーは「クロスブースト」でも有効で、やはりハーフバーストを複数回発動させるのがオーソドックスな戦い方になるとは思われる。ただ、フルバーストが強化されたことで、ハーフバーストを使う前に撃破されてしまった際のデメリットが減少したことは間違いなく、ハーフバーストを発動し損ねがちな初心者に優しくなったとも考えられるだろう。
機体数は198機に!コストや武装コマンドが変更され、既存機体も新たな操作感へ
「マキシブーストON」の時点でも186機(特典のガンダム・バルバトスルプスレクスを含む)という、対戦ゲームとしては破格のプレイアブル機体数を誇っているが、「クロスブースト」からは、スタービルドストライクガンダム、ガンダム・フラウロス、ユニコーンガンダム3号機 フェネクスが参戦を果たし、稼働開始時点での機体数はなんと198機体に。
それ以外に「マキシブーストON」に参戦していない機体では、トライバーニングガンダム、ガンダムダブルオーダイバーエース、ガンダムAGE-1 フルグランサ、ガンダム・キマリスヴィダール、ナラティブガンダム、カバカーリー、騎士ガンダムなど多数の人気機体が存在しており、「ガンダム」シリーズのファンであれば、使いたいMSが1機も参戦してない……ということにはほぼならないといってもいいだろう(筆者も大のガンダムファンなので、参戦してほしい機体はまだまだ残ってはいるのだが)。
とはいえ、「186から198機体って、そんなに増えてないんじゃない?」と感じるプレイヤーもいるかもしれない。ただ、「クロスブースト」では前作である「EXVS.2」から150機体以上がリニューアルされ、新武装やキャンセルルートが追加されており、「マキシブーストON」に参戦している機体を操作してもまったく異なる操作感を得られるようになっている。
とくに、コスト変更が入った一部の機体(インフィニットジャスティスガンダム、ガンダムF91、ハイペリオンガンダム、ハンブラビなど)は、武装の変更に加えて相性のいいコスト、基本的な戦術まで大きく変わるため、ほぼ新機体のような新鮮味を味わえるだろう。また、このコスト変更に関しては「EXVS.2」においても行われているため(トールギスⅢ、ガンダムヴァサーゴ・チェストブレイク、クロスボーン・ガンダムX2改など)、「マキシブーストON」から「クロスブースト」に移ってきたプレイヤーはより多くの変更点を味わえるはずだ。
武装コマンドや機体のコンセプトそのものの変更など、思い切ったリニューアルがされた機体も複数存在している。例として分かりやすいのがターンエーガンダムで、VSシリーズを通しての特徴にもなっていたメイン射撃のガンダムハンマーがチャージ格闘へと移行し、メイン射撃がビームライフルに変更になった。
「EXVS.2」のHi-νガンダムなど、同じような例は従来のシリーズでもごく稀にあったのだが、今作はとくにそれが顕著な印象で、それ以外にも換装が武装扱いになったガンダムAGE-3、ビーム・アサルトライフルの単射と連射でメイン射撃の切り替えが可能になったヤクト・ドーガなど、思い切った変更が行われた機体が多い。
今まで独自性の強い機体を使い込んでいた“職人プレイヤー”にとっては賛否が分かれるかもしれないが、扱いが難しすぎて使えなかったプレイヤーが、新機体に挑戦するきっかけになったのは間違いない。
「プラスコイン」を使えば、対戦で負けても継続したプレイが可能に!3連勝でさらなる追加プレイも
アーケード初心者にとってありがたいのが、前作「EXVS.2」から追加された「プラスコイン」。それまでは「勝てば対戦が継続、負ければクレジット終了」というのが基本的なアーケードの仕様で、勝率の安定しない初心者の間は1クレジット分がすぐに終わってしまうことも多く、非常にハードルの高いものだった。
その点、「EXVS.2」から導入されたプラスコイン制では、事前に2クレジット分を投入することで、2戦までなら敗北してもプレイを継続でき、最低でも3回の対戦が保証され、勝率の安定しないプレイヤーでも一回のプレイで結構な時間を遊べるようになった。
その分プラスコインには、最大で5戦(1クレジットの場合は、連勝で最大で10回まで継続プレイが可能)という制限があったのだが、「クロスブースト」では、後半に3連勝すれば+1戦、4連勝なら+3戦、5連勝なら+5戦までのEXTRAラウンドをプレイ可能になった。
一度でも負けるとEXTRAラウンドは終了になってしまうものの、筆者もプラスコインを利用し、調子よく連勝した際には「これ1クレジットでやってればもっとプレイできたのに……」と勿体なさを感じる機会も少なくなかったので、この変更は純粋にありがたい。
CPU戦(トライアドバトル)がすべての店舗で選択可能に!オンライン協力プレイも
「EXVS.2」からトレーニングモードが追加され、コンボ練習やキャンセルルートの確認をやりやすくなったが、とくに家庭用からアーケードデビューする際には、まずはトライアドバトル(CPU戦)で、機体のクセを掴んでおきたいというプレイヤーは少なくないだろう。
ただ、基本的にゲームセンターの台は、対戦専用の設定がされているものがほとんど。トライアドバトルをプレイするには、CPU戦を選択できる台を探す必要があったが、CPU台は数が少なく、なかなか気軽にプレイできないのが実情だった。
その点「クロスブースト」では、どの店舗でも1P~4Pのゲーム筐体でトライアドバトルを遊べるようになっており、初心者や家庭用プレイヤーが新しくなった機体の操作性を体験するのに最適。5Pからはお店の設定によって選択できない場合があるので注意しよう。
CPU戦と実際の対戦はゲーム的な違いも大きいが、新たに2on2限定のコースも用意され、家庭用のフリーバトルモードのような感覚で2on2の練習ができる。時間をあわせる必要はあるが、遠くの知り合いとオンラインでチームを組んで出撃することも可能だ。
ゲームパッドが引き続き使用できる!
これも前作「EXVS.2」から追加された仕様だが、ゲームパッドがゲームセンターで使用できるのは、家庭用プレイヤーにとってはもっともありがたい要素だろう。ゲームパッドがなかった頃は、家庭用からアーケードデビューを果たす際、アーケードスティックでの操作に慣れる必要があったのだが、普段ゲームパッドで家庭用をプレイしている人も、すぐにアーケードをプレイできるようになった。
FPSなどのジャンルでは、よくパッドとマウスによるエイム性能の違いが議論されることも多いが、「エクストリームバーサス」シリーズは、ゲームパッドとアーケードスティックの違いによる有利不利はないので、安心してプレイできる。
ただし、ゲームパッドのボタン配置を変更するには、バナパスポートなどのカードを発行してプレイデータを登録した上で、会員制サイト「ガンダムVS.モバイル」に登録する必要があるので注意。無料コースと有料コースがあるが、ボタンの配置設定は無料コースでも可能となっているので、家庭用でボタン配置を変更している場合は忘れずに登録しておこう。
ランクマッチがシーズン制に!気軽な対戦ができるカジュアルマッチも追加
基本的にこれまでのアーケードでの対戦システムは、家庭用のランクマッチに相当するものになっており、プレイヤーマッチのような階級に影響しない気楽な対戦ができない仕様になっていた(見知ったプレイヤー同士でマッチングできるプライベートマッチはあったものの、人数を揃える必要があったり、利用までの敷居が高かった)。
そのため、新しい機体を練習しようとする場合に、現在の階級準拠で対戦すると負けがかさんで階級を落としたり、パートナーの足を引っ張ってしまうということも少なくなく、練習のために新しいカードを別に購入して初心者とのマッチングを狙う、いわゆるサブカード問題を生む原因にもなっていた。
「クロスブースト」では、対戦モードが「ランクマッチ」と「カジュアルマッチ」に分かれ、ランクマッチでは新たに追加された「ROOKIE~EXX」までのプレイヤーランクに基づいたマッチングが行われるようになった。ランクは一定のシーズンごとにリセットされるため、従来の階級と比べて昇格に必要な対戦数がかなり少なくなっている(階級自体はランクとは別に存在している)。
一方、ランクに関係なくマッチングが行われる「カジュアルマッチ」では、階級の昇格のみ行われるので、機体の練習を気軽に行えるようになった。なお、階級の上がり幅はランクマッチや店内対戦と比較すると、かなり小幅となっている。家庭用の「マキシブーストON」ではカジュアルマッチはシャッフルのみだが、「クロスブースト」ではタッグを組んで対戦することも可能だ。
またシャッフル対戦終了後に、チームタッグの申請を行い、承認されればそのままチーム出撃が可能になった。シャッフルで息がぴったりあったプレイヤーともう一度組みたいと感じた際や、固定でのパートナーがなかなか見つからないというプレイヤーが「ガンダムVS.モバイル」でフレンドを作る際に、かなり重宝するのではないだろうか。
「マキシブーストON」のあとにデビューするには最適のタイトル!
「EXVS.2」では、アメキャンなどの落下テクニックの増加にあわせて、ミサイルなどの誘導が全体的に底上げされたり、相手に押し付けられる強力な武装が追加されたことで、「マキシブーストON」と比べると、全体的に攻め側が強いバランスとなっており、「マキシブーストON」の後にゲームセンターに行くと武装性能の強さに困惑することも少なくなかった。
「クロスブースト」では、「EXVS.2」で猛威を奮った急速変形関連の誘導切りが削除されていたり、大きく飛び上がる格闘(ピョン格)の多くがバウンドダウンから通常のダウンに変更、オーバーヒート時の特殊移動系の武装の移動距離が少なくなるなど全体への仕様変更もあり、筆者の主観にはなるが、全体的には「EXVS.2」より少しマイルドになった印象を受ける(やはり非常に強力な性能の武装もあるが)。
さらにCPU戦で気軽に機体に触れることが可能になったこと、ゲームパッドやプラスコインの存在もあり、従来のアーケードタイトルと比べて、敷居は低くなっている。とくに現在は、家庭用でしっかり練習をすることもできるので、「マキシブーストON」の後にプレイするなら、「クロスブースト」はピッタリの作品だと言える。
アップデートによるバランス調整、追加される新機体、ゲームセンターでのプレイヤー同士の交流など、アーケードには家庭用にはない魅力がある。「マキシブーストON」だけではなく、是非ともゲームセンターで「EXVS」シリーズ最新作となる「クロスブースト」を体験してほしい。