コンピュータエンターテインメント協会は、「日本ゲーム大賞2021 アマチュア部門」の受賞10作品の中から制作者「※スタッフが美味しくいただきました」(HAL大阪)の「ウニィ研究所」を本年度のアマチュア部門「大賞」に決定したと発表した。
「メビウスの輪」がテーマとなった今年の「日本ゲーム大賞2021 アマチュア部門」では、応募総数493作品から一次審査で99作品、二次審査で12作品、そして最終審査を経て10作品の受賞タイトルが選出されている。
そして、本日10月2日にオンラインによる発表式を執り行われ、大賞ほか各賞が発表された。「ウニィ研究所」の「※スタッフが美味しくいただきました」チームには、大賞のトロフィーと副賞である50万円が贈られている。
大賞作品の「ウニィ研究所」は、ウニの形をした謎の生命体「ウニィ」を操り、ステージ上のクリスタルを全て破壊していくアクションパズルゲーム。今年のテーマである「メビウスの輪」から「上下左右が反転」、「ループする」という2つの特性に着目した作品だ。
プレイヤーは、上下左右が反転した2つのステージを操作して、ループポイントを探し出し、ひと続きになったステージにウニィを解き放つことで、クリスタル破壊する。2つのステージがどこでループし、どこにつながっているかを理解して、一筆書きのようにクリアできた時の爽快感は抜群だ。直感的に理解できるゲームシステムと多彩なギミックから構成された奥深いパズル要素、そして背景を彩るグラフィックやサウンドで独特の世界観を表現するなど、完成度の高い作品となっている。
その他のアマチュア部門受賞タイトルや、審査員からのコメント、発表式のアーカイブ映像も公開されているので、気になる人はこちらもチェックしよう。
「日本ゲーム大賞 2021 アマチュア部門」各賞一覧
優秀賞・佳作:カナ50音順
受賞名 | タイトル | プラットフォーム | 学校名 | 受賞者名 |
---|---|---|---|---|
大賞 | ウニィ研究所 | PC | HAL大阪 | ※スタッフが美味しくいただきました |
優秀賞 | ウニィ研究所 | PC | HAL大阪 | ※スタッフが美味しくいただきました |
オリヒメ | PC | HAL東京 | こもへり-Common Heritage- | |
シロクロコネクト | PC | HAL大阪 | リスティングの壺 | |
DungeonInversion | PC | HAL名古屋 | ベイビーのひとりごと | |
PARADOGS | PC | 早稲田文理専門学校 | 田之上 和億 | |
LUMINO La ruta naturaL | PC | HAL名古屋 | てーぶるぱんち | |
佳作 | 鏡娘 | PC | HAL大阪 | 睡眠欲 |
Confettia | PC | HAL東京 | のんとのぶ | |
ツキカゲ | PC | HAL東京 | FMトクシン研究所 | |
ReverseRoom | PC | 名古屋工学院専門学校 | 鈴木 駿也 |
最終審査員:株式会社コーエーテクモゲームス 松下竜太氏からのコメント
今回、最終審査の際も、ウニィには審査員全員が票を入れており、意見の出かたとしても「これは大賞が相応しいよね」という満場一致のものとなりました。大きな理由として共通していたのは、やはりその完成度です。完成度という言葉って全然簡単なものでなくて、ただ時間をかけてもたどり着けない厳しい道のりだと認識しています。素晴らしいゲームには素晴らしいアイデアやアートがもちろん存在していますし、ウニィも面白さの根底には間違いなくそれらがあります。
ただ、それらをゲーム体験として成立させるためのデザインが道中にあって初めて、ゲームとして完成度の高いものになると思っています。で、このとき、ただ角をとって調整していくだけでは面白さが立ってこないので、そこでの取捨選択や力のかけどころの判断のためには、自分たちのゲームの魅力や持ち味を芯から理解した上で、客観的に実機ベースで現実に向き合っていく必要があります。
ウニィ研究所は遊んでいるうちに、そこに泥臭くアプローチして、ユーザー目線で最後まで誠実に向き合っていた形跡が感じられました。
ゲームに最後まで付き合ったプレイヤーに向けてのエンディングも素晴らしくて、ウニィでクリスタルを壊す行為をしていたはずが、普遍的で大きなテーマになっていくことで、プレイヤーが費やした時間を意味のあるものとして肯定する働きもありました。
他にも言っても言い尽くせませんが、10の体験のために100のおもてなしを感じる、素晴らしいゲームでした。多くの方にとって忘れられないゲームになれると、胸を張って紹介できます。
もうチームの皆さんにはゲーム開発に大切なことが備わっていると思いますので、今後のご活躍をとても期待しています。大賞、おめでとうございます!
最終審査員:株式会社ディー・エヌ・エー 楠田芳晃氏からのコメント
小気味よい演出、レスポンスも良く、繰り返し試行錯誤して遊べる。気がつくと夢中になって遊んでいた作品でした。上下のループを生かして、リアルタイムにギミックを攻略するゲーム性は、失敗しても、次にこの方法を試してみようと考え、手軽に試せる心地よさは素晴らしく、完成度が非常に高い作品です。
シンプルなゲーム性で、まず見せて体験させることで、ゲーム性を理解させる部分や、プレイを通して、プレイヤーに学習させようというレベルデザインも秀逸で、ゲームの完成度に大きく貢献しています。そのまま売り物にしても遜色ない作品に感じました。
「アイデア」と「遊ばせ方の工夫」を両立させることは、なかなかプロでも難しい部分です。制作中に試作相互を繰り返して、たどり着いた結果だと思いますが、今後ともその情熱と経験をゲーム制作に生かしてください。